「あーぐちょぐちょやってるなあ」
と、撲殺単于はワイングラスをくゆらせながら、ちなみにこのワインは遥か西方より取り寄せたもので奴婢の家族を2年養える程の額である
「ぐちょぐちょやってますねえー」
と、マレーナはチーズを抓みながら
撲殺単于は輿の隣を進む臣、モアチョイ3に命じる
「弓隊前進、あのぐちゃぐちゃ戦っているカヤバンダの雑魚どもに矢の雨を降らせろ」
「しかし、あの混戦では味方に当たります」
「いかんか?」
「滅相もございません、これこそあの奴婢どもの最上の活用法、さすがは陛下」
8千もの弓兵が雨あられと矢を放ち、奴婢兵の投石兵の盾兵の入り乱れ争う斜面へと降り注ぐ、盾に突き刺さり、頭に突き刺さり、マントに突き刺さって向こう側へと飛び出して、振り抜く腕の先の棍棒に当たり跳ね、土に突き刺さり踏まれて振れ、頭を突き抜けて咽喉より飛び出して血は伝い落ち、くぐもった叫びは漏れ出でて
背に矢の突き立つ奴婢兵の屍は斜面をずるずると滑り、胸と腹を矢の突き抜けたる投石兵の屍は口を大きく開けて斜面を転がり落ち、バタバタと死体は増え血の赤は増えていく、ポッピペチョはその乱戦の後方の高みに近衛投石兵を並べ、弓兵を狙わせる
重装弓兵の兜はガンッとへこみ、一瞬の火花はあり、体が沈んで尻もちをつき、兜から下の顔に血が流れ両手を上げ、掻くように振り、「アー、アー」、と声を上げながら、また1人の弓がバンッと跳ね上部に亀裂はあり、木屑は飛び散り舞い、亀裂より一瞬で裂けて弾け飛び何本かの指もまた跳ね飛んで、一瞬の後に血は噴き出す
モアチョイ2が命じると、弓兵たちは前進し、弓の仰角をさらに上げ、近衛投石兵に向かって矢を打ち上げる
ぐるぐると投石紐を回す近衛投石兵の目に矢は深く突き刺さり、紐はくるくると巻き付きずり落ちて鉛弾は左後ろ高くへ飛んでいき、2、3歩と前に出てよろめいて、右手を強く回し体を回すようにした後ぶっ倒れ斜面の疎らな草の上をずるずる滑り落ちていく、また1人の腕に矢は突き立ち貫いて、投石紐を取り落とし鉛弾を取り落とし、ふらふらと右を見て左を見て前に進んで右に行って左にゆきて辺りを見回して、口を大きく開けながら
矢は次々と投石兵を打ち倒し、列は次第に崩れていき、打ち出される鉛弾の密度も乱れるも威力は変わることなく、弓兵の鎖帷子が大きく波打ち、鉛弾は強く掠め火花は散り、また1発はある1人の咽喉にぶち当たり、ごぼごぼと血は溢れ、両の腕で喉を抑えるようにして弓を取り落とし、指の間より血は噴き出して、直立したまま、不明瞭な声を立て、しばらくして左に
弓兵の列線しだいに疎らとなり、鎖帷子に血の赤の滲む者おおく、軽装兵の方はさらに悲惨にして頭部の割れ首の捩れ曲がり臓物の撒き散らす者おおく、何かを叫びながら地を這いずる者もまた多くして屍と臓物と血のぬめりはつややかに生臭く斜面より匂いたち