処女作です。あ、面白そうだなと思っていただけたら幸いです。
「さて。どうしようか」
どーもみなさん。困惑してるでしょー。でもね。こうやって誰かと話してる風にしないと、精神やってられないのよー。や〜ね〜奥さん。おっと。危うく潰されるところだった。あれ?そういえば今どんな状況か説明してなかったよね。いいだろう、教えてやる。あれはまだ私が小さい頃……え?そんなところじゃなくていい?そうだよね〜ごめんなさい。まず、今、俺は巨大な虎のような龍と戦ってます。
龍が俺にめがけて左前脚を振り下ろす。俺は頭上に両手を交差させ防御する。地面が波打つ感触を足で感じた。いいね。体格を充分に生かした攻撃は。でも俺も負けないよ。俺は龍の手を弾き、懐に入り込む。コイツは、四足型で全長は800m。全高600mの大型だ。俺の身長は190だからデカさが違う。鳩尾を狙うのも一苦労だ。だがそんなこと知ったこっちゃない。俺は、コイツの鳩尾めがけ、ジャンプをする。そして右手に拳をつくり、思いきり体を捻り、パンチを繰り出した。
「ギャーーーーーーース!!!!」
龍は、大きな金切り声をあげる。それもそうだ。俺のパンチは、内部まで響く。いくらコイツがデカくて筋肉質であっても俺の方が強い!何故なら俺だって鍛えてるから!そんなことを考えていると、龍は少し後退り、グルルと俺を見下ろした後、横に倒れた。よし。大丈夫。死んでない。さてとじゃあ悪いけど。
君の柔らか〜い毛皮、貰っていくね!大丈夫!少しだけだから!
◇◆◇◆◇
俺は多分転生者だ。多分っていうのは、俺がこの世に生まれ落ちた時、頭の中に流れ込んできたのだ。前世の記憶というものが。
ただ記憶は少し曖昧だ。前世の家族は思い出せないし自分がどんな人間だったかも思い出せない。死んだ原因も。
だから俺には前世の記憶がある……とだけ理解している。正直気にしてない。俺は、俺だ。それが分かれば充分だった。さて。俺が生まれたこの世界のことなんだけど、まず初めに俺は人間として生まれてない。
龍として生まれたのだ。
いや、パニクったよそりゃ?いきなり人だった頃から龍なんて、ウッソだろ(笑)と思った。だが自分の体を調べるとそれが本当だと理解した。
人の手とは似つかない鋭利な手。腰にある尻尾。そしてなにより、頭にある二本のツノ。これマジだわ。俺、龍だわ。そう自覚したらふと動揺がおさまった。まるで龍として生まれたことが何も問題ない。当たり前のことだと本能がそう呼んでいた。
そこから俺はどうしようかと考えた。俺は親を頼ろうと思った。今世の親。つまり龍に。何故なら俺が生まれたすぐ側に龍の姿があった。本能が理解した。あれは母だと。俺は駆け寄ったが、目の前の光景に立ち止まった。
母が喰われていた。おそらく縄張り争いだろう。そして母は負けて、喰われた。恐ろしかった。生まれて間もないのに、もう一人だと思い知らされた。母を喰った龍が食べる口を止め、俺を睨んだ。そしてゆっくりと近づいてくる。逃げたかったが、体が動かなかった。恐怖で震えていた。龍は、俺を喰おうと口を開いた。死ぬ。そう悟った。
「この子を喰うのは、やめてくれないか」
その瞬間、いつの間にか誰か立っていた。龍は、口を閉じ後ろに振り返り走っていった。俺は見た。美しい銀髪で肌は、とても白かった。太陽が照らすと、まるで天使だと錯覚してしまう。
「君、面白いな」
声を聴かなければ分からなかっただろう。まさかの男だった。顔立ちが女性のようだったので勘違いしそうになった。
「僕の言葉、分かってるんだろう。君はどうやら特別なものをもって生まれたようだね」
特別なものとは、何だ?まさか前世の記憶のことだろうか。
「そうそう」
え?!聞こえてるの?!
「うん。聞こえてるよ」
マジか!驚愕したと同時に嬉しかった。まさかこんなに早く人と話せる時が来るなんて!
「人ではないけどね」
え?人じゃない?よく見ると、頭にツノがあった。まさか……。
「そう。僕は、龍だよ」
マジか!!あれか!龍人ってやつか!
「龍人ではないよ。僕は、正真正銘の純度100%の龍だ」
???どゆこと???だってめっちゃ人じゃん。龍人じゃん。
「魔法で人の姿をしてるだけ」
ほぇーーって魔法!!?魔法があんのかこの世界!
「あるよ。だって君のいた所とは全く違うんだよ。分かってるんだろう」
イヤ。そこまで頭は回らなかったです。ハイ。
「うーん。君はどこまで自覚してるんだい?」
どこまで?えーと、龍として生まれて、親亡くしてぐらいです。
「じゃあまだこの世界について全く知らないんだね」
その通りでございます。
「じゃあ僕が教えてあげるよ」
おー!それは良かった。やっぱ情報だよね、欲しいもの!
──────────
俺は近くの洞窟に男と入りそこで詳しい話を聞いた。まず自己紹介からだった。
「僕は、エターニ。この世界の神様みたいなものさ」
神ィィイ?!!!イカン。某ピエロが出てしまった。イヤでもビックリするよそりゃ。神様だぜ神様。これはあれか?俺に啓示を与えに来たのかな?
「イヤ全然そんなことないよ」
そんなことなかったわ畜生!しかし神様が何でこんなところに?
「偶然面白い気配を発見したんだ。それが君だった。前世の記憶……面白いヤツだ」
なるほど。つまり興味本位というヤツですか。玩具扱いは心外ですか相手は神様。こちらの価値観を押し付けてはいけません。ところでここはどこですか?どういう世界ですか?
「ここはパンゲア大陸。多種多様な生物で満ちた大陸だよ。まぁ主に龍がほとんどだけどね」
ほー龍が主に生息している大陸かーすごいなー。…………え怖。
「怖くないよー」
怖いですよ!だって、俺人間だったんだよ!怖いよ!クソ!前世の記憶のせいなのか?自然界は危険だという価値観が邪魔してやがる。
「大丈夫。今世の君は、龍なんだ。君もこの世界に順応できるよ」
そうですかね。
「そうだとも」
じゃあ教えてください!魔法とか!知ってるでしょう、ねぇいいでしょ。
「うーーーーーーーーんやだ」
なんで?!俺、前世持ちだよ。特別なんだよ。だからいいじゃん。
「前世を持ってるから特別なんてことはしないよ」
トンネル内の空気が変わった。俺は、背中が冷たくなる感覚を覚え、姿勢を正す。
「この世界……大陸は、弱肉強食で成り立ってる。誰もが生まれてすぐ死ぬこともあるし、激しい闘争を勝ち抜いてきた者もいる。ここではそれが全てだ。戦えなければ、すぐ死ぬ」
…………どうすればいいですか。
「簡単。強くなればいい。いいかい。君はこの世界で生きていきたいのなら、強くならなきゃいけない。誰よりもね」
…………………出来るかな、俺に。
「出来るさ。努力は、期待を裏切らない。君がよく知っているんじゃないかい」
そうでしたっけ?でもそうだよな。せっかく二度目の人生(龍生?)を貰ったんだ。なら存分に生きていかないとダメだ。今世の母に顔を向けできない。
「気持ちは、固まったね」
はい。俺は、この世界を存分に生きてやる!
◇◆◇◆◇
そんなやりとりから数十年。俺も歳をとったわ(20歳くらい)。俺はあの日から強くなるために、努力した。主に肉体を。何故ならステゴロ一本でこの世界をやっていきたかったから。
龍の強みは、巨大な体。鋭い歯、爪。そしてなにより口からなんか吐く。火だったら水だったり、魔法も使ってくる。俺はそんな中で腕っぷし一本でのし上がる。目指せ地上最強の生物。
唯一俺が覚えた魔法は、人化の魔法だけ。やっぱこの体じゃないとね。そっからは主に肉体作りの為に色んなやつと戦った。お陰で俺の肉体は、ムッキムキだ。よく寝てたし身長も爆伸び。この体で戦いを制した快感は何事にも変え難い。んで俺は、今何をやっているかというと。
食材探しをしています。俺がいる場所は自然に満ちている。果物だったり、山菜が豊富。そしてなにより。
「美味しいんだなーここの生物」
そう。美味いのだ。最初に戦っていたやつは、爪虎龍『ウルトライガー』。命名は、俺じゃないよ。エターニさんが俺にくれた図鑑にそう書いてあった。そいつの毛皮は、ニンニク代わりになるらしい。だから俺の今回の食事は。
「ステーキだな」
肉。やっぱ肉だね。この世界の肉は美味い。シャトーブリアンや神戸牛が跋扈している。最高だね。そんな感じでお肉になりそうなやつを探していると。
「おや?」
目の前の木々の隙間から出てきたのは、真っ赤な龍だった。ファンタジーの王道のドラゴンの姿をしたそいつは。
「ラッキー!レッドドラゴンだ!」
『レッドドラゴン』。なんの捻りもない王道な名前だが、ここでアイツと会えたのは、幸運だ。
「よし。静かに」
俺は、ウルトライガーの毛皮が入った袋を、地面に置き、レッドドラゴンに近づく。そして後ろの左足に立つと、手を手刀の形にし少し傷をつける。血が出るがその血を、隠し持っていた瓶に入れる。
「よしよし」
半分まで溜まった。その時、視線を感じた。目を向けると、レッドドラゴンが首を後ろに回して俺を見ていた。
「…………おっと」
威嚇の声が鳴る。俺は、急いで満杯にしたかった為、足を押さえて血が出るのを速めた。すると痛かったのか、俺に対して明確に敵意を向け咆哮をあげる。
「よし!ありがと!それじゃ!」
俺は急いで瓶と袋を持って離れる。レッドドラゴンが火のブレスを吐いてくる。俺はより速度を出して、ブレスに巻き込まれないように逃げた。それはもう全速力で。後ろからやるせない咆哮を聞きながら、俺は自分の家に帰った。
──────────
俺は洞窟内に帰ってきた。エターニさんと話し合った日からあそこは、俺の家になったようだ。縄張りを侵される心配はあったが、エターニさんの気配がどうやら強すぎるらしく、全ての生物は洞窟に入ってこないらしい。
あの人何者?というかあの日以降ほとんど会ってない。もっとこの世界について知りたいんだけどなーと考えながら俺は今、肉を焼いてる。
「あぶね。やりすぎるところだった」
調理は原始的。石の上で肉を焼く。火は、簡単。指パッチンでつける。
ジュージューといい音が鳴り、洞窟内に香りが充満する。口から涎が出そうになるが、飲み込んで出来上がりを待つ。そして、待望のステーキが完成した。
「さて。それじゃいただきます」
今回の晩ご飯は、牛竜『ミノサウルス』のステーキです。いい感じのミディアムレアに焼けた肉の上に香ばしく香るウルトライガーの毛皮。そして、木でできた歪な形のコップに注がれた赤い液体。
レッドドラゴンの血だ。俺は、まずレッドドラゴンの血をググッと飲む。口から喉を通り抜け、胃に入る。口からコップを離し、フーっと一息つく。それと同時に突き抜ける芳醇な葡萄の香り。
「〜〜〜〜〜〜ッッ!!かぁーーー美味い!」
そうレッドドラゴンの血は、ワインなのである。
レッドドラゴンの正式名称は、赤酒竜『レッドドラゴン』。主に、葡萄などの果物を好む雑食竜。そしてレッドドラゴンの舌は、アルコールを分泌する特殊な構造をしている。それが葡萄を飲み込む時に混じり、血液中にワインの状態となって、体中に流れているのだ。
「スゲーなやっぱ。この世界は」
……この世界はとても美しい。日々、龍種が戦い合っているが、それも含めてとても美しいのだ。俺は、口にステーキを頬張りながら、そんなことを考える。うん。美味い。
──────────
「フーー。ごちそうさま」
腹が膨れ、満足感が半端じゃない。ずっとこんな生活……悪くない。悪くはないのだが。
「流石に飽きてくる」
前世の娯楽道具なんてものはない。スマホなんてもってのほかだ。とか言ってもバスケとかサッカーとか出来るやつはいない。(そもそもどこ見渡しても龍だし)。
「あーーーーーーどーーしよーー」
洞窟に響く俺の退屈に満ちた声。本当にどうしよう。もうこのまま地面のシミになろうかな。そんなアホなことを考えた時だった。
「やぁ。久しぶり」
不意に響く優しい声。まさかと思い俺は、体を起こすとそこには久しぶりに見るあの人が見た。
「あ!どうも!お久しぶりですエターニさん!」
エターニさん。この世界で右も左もわからなかった俺に目標をくれたいい人。……だと思う。いやだってこの人、図鑑を置いて行っただけであとなーんもしなかったんだもん。俺なんどか、エターニさんのこと呼んでたんだけど、応答なかったし。
「あのーどうしたんですか。こんな夜分遅くに」
どういう意図があって俺に会いにきたんだ。そんな疑惑の念をエターニさんに向ける。
「そんな警戒しないで。君を放置したのはごめんだから」
放置してたんじゃねーか!このネグレストめ!
「あのね。普通は自分でなんとかするのがこの世界の基本だからね。最初から僕がなんか君にしてたら、ここまで成長してないでしょ」
それは……確かにそうかも。強くないといけない。この人の言葉は、確かにその通りだった。例え自分に敵対してこずとも龍同士の争いで巻き添えをくらうことがあった。あれは、死ぬかと思った。一目散に逃げて正解だった。あれから外が怖くなったけど、なんとかここまで来たんだ。
「そう。そんな努力家な君にそろそろ話そうと思ってね」
「?何がです?」
「この世界のことをもっと詳しく教えようと思って」
「それ出会った時に、話せなかったんですか?」
──────────
「まず最初にこの世界についてだね」
エターニさんは、そう言って右の手のひらを上に向ける。すると右手に魔法陣が作られる。そしてあるものが形成される。それは、紛れもなく地球だった。
「この世界は君がいた世界と同じ、地球と同じ形をしている。だが、住んでいる生物。人種は全く違う。大陸もね」
エターニさんは、地球を指差す。
「今、君がいるのがここ。知ってると思うけどパンゲア大陸と言われているところだ」
「デカいですね」
俺は、指を刺したところを見た。見る限り地球の半分を覆い尽くしてしまうほどの陸地がパンゲア大陸らしい。
「そ。そしてこの反対側。ここが、人間たちが住んでいるところ」
「人間……」
そっか。やっぱりいるんだ人間。エターニさんの人化の魔法があるあたり予想はしていたが、いると知ったら少し心がスッとなった。やはり人肌が恋しかったのだろう。
「
「おーー!」
「まぁ今はまだ置いといて」
「何で!!」
いや何で!俺はすぐに人間に会いに行きたいよ!恋しいよ人!まぁ、ちょっと。いやかなり遠かったけど、とりあえず海を泳いでいけば着けるんじゃ。
「今の君じゃ人間界に行っても難しいよ」
「……え?そんなに強いんですか?」
「まぁね。僕ほどではないけど、苦戦はするんじゃないかな?」
マジかよ……俺ここでめっちゃ頑張って努力したんだけど。あのクソデカい虎もどきだって倒したんだけどそれでもキツいの?
「アレは人間でも倒すのは難しい。だから一人で倒した君はすごいよ」
「だったら」
「ただ人間の中にはアレを単独で殺せる奴もいる」
「え?……いやそれなら俺だってやれますよ」
「だろうね。でも問題は、そんな奴と戦いになったら君は勝てるのかっていう話だよ。いくら君が人化の魔法で擬態しているとはいえ相手は、君と同じ考える思考を持ち、魔法の扱いもたけてる。そいつは君の正体を見破れるし、君を殺せる実力を持っている。そんな奴と戦いたくはないだろう?」
……確かに……戦いたくない。俺は話し合いをしたいしあわよくば友達になりたい。向こうが龍をどう思っているかは分かんないけど、エターニさんの話からすると、龍に対して何か思うことがある人間もいるのか?
「人間界に行くならもう少し鍛えないと」
「どれくらいですか?」
「少なくとも、龍王種の一歩手前くらい」
?龍王種?龍王種って何だ?そう考えると、エターニさんは、地球を消し、変わりにピラミッドを作った。そのピラミッドには四つの区分が分けられていた。
「まずこの大陸には、下竜種、上龍種、龍王種、龍神種の四つの種がいてね。一番下の下竜種は、この大陸で最も多い種。生態系の基盤の役割を果たしてる」
草や虫みたいなことか。
「次が上龍種。下竜種とは違い大きな力を持った龍が多い。魔法も扱うやつもいるがそれは稀。知能があるのもいるがそれはもっと稀。とりあえず強いとだけ覚えてていいよ」
草食動物に割り振られるな。
「次が龍王種。これは数が少ない。何故ならコイツらはこの大陸の覇者だから。知能もある。魔法も扱う。そしてなにより戦闘経験が豊富。ほとんどの龍は、立ち会わない。まさに王に相応しい種だ」
肉食動物だな。……どれだけ差があるんだ。今の俺とそのアイツらは。
「かなりあるよ」
「マジかよ」
「殺したとしても、差は少ししか縮まらないよ。それほど強いんだ」
…………すごいな。世界って。俺がまだ敵わないヤツがいるとは。あー何だろ。これ。すごくゾクゾクする。
「最後が龍神種、だけどこれは今のところ教えることはない」
「え。何でですか」
「まさしく神だから。今の君ではどうひっくり返っても届きはしない。空想の生物。だと思ってていいよ」
空想の生物……その表現じゃないと表しきれない領域……か……。アレ?確かエターニさん、神様って言ってたけど。
「あのー。もしかしてエターニさんって……」
「そう。僕は、龍神種の一体。創世龍『エターニ』」
そそそそそそ創世龍ーーーーーーー!!!メチャクチャすごいお人だった。ヤベェよ俺。この人に対して色んなこと言っちゃったよ。ネグレストとか言っちゃったよ。もう駄目だ死んだ。
「落ち着いて。僕は君のことを気に入ってるから」
「え?本当ですか?」
「うん。だからこれからもそんな感じで良いよ」
嗚呼、この人神だわ。正真正銘神様だわ。前から神だって言ってたしね。
「ハーーー。けどそうか。まさかこんな区別があったなんて」
この四つの中のうち龍王種に届くくらいじゃないと人間界には行けないか……強くない?人間?
「今君がいるのはここ。上龍種のところ。あともう少し努力すれば龍王に届くんじゃないかな」
「うおーー!マジですか!」
「多分」
「多分」
多分かぁー。でも、そうか。龍王種。うん。それがひとまずの俺の目標だな。いずれ龍王の喉元を喰ってやる。その為に俺は強くならないと。さらに強く。
「エターニさん」
「うん?」
「俺がいる場所はどこまで続いてるんだ」
この話を聞いて俺が浮かんだのは、やはりこの大陸全土が、自然豊かというわけではないという考えだ。その龍王が支配している陸地があるはず。
エターニさんは、ピラミッドを消して、パンゲア大陸の全土を作った。そして真ん中以外の周辺に八つの色をつけた。赤、青、茶、黒、紫、黄、緑、白。中心を囲むようになっている。
「君がいるのは、パンゲア大陸のど真ん中。比較的安全で、自然豊かな場所『ユグドラシル』。下竜種と上龍種の割合が均等になっている」
『ユグドラシル』か。初めて俺の出生地を知った。次にエターニさんは、左上の赤い陸地を指差した。
「ここは、炎が渦巻く陸地『レーヴァテイン』。全てが火山で出来た陸地で、常に噴火が絶えない。炎の雨だって降る」
ウゲー暑そう。
「その『レーヴァテイン』を支配しているのが、炎王龍『カグルヌス』。炎を統べる王だ」
エターニさんは、次に右上の緑の陸地を指した。
「風が渦巻く陸地『フラガラッハ』。風が止まない陸地。その風はカマイタチのように鋭くもある」
えー皮めくれない?
「その頂点が風王龍『ルドオロス』。風を統べる王」
次に、レーヴァテインの下を指した。
「水で満たされた陸地『トライデント』。大雨が止まない陸地。台風もあるがフラガラッハ程ではない」
大雨か。傘持ってないよ作っておこっかな。
「その頂点が水王龍『ティアマイドン』。水を統べる王」
次に、フラガラッハの下を指した。
「雷鳴が轟く陸地『ケラウノス』。雷が絶え間なく落ち続ける。空気は常に静電気状態だ」
シンプルにやだ。
「その頂点が雷王龍『ユピテルウス』。雷を統べる王」
次に、トライデントの下を指した。
「乾燥した陸地『カリバーン』。見渡す限り砂漠と硬い地面で出来てる」
これもシンプルにやだ。お肌痛くなっちゃう。
「その頂点が土王龍『ルズガイア』。土を統べる王」
次に、ケラウノスの下を指した。
「毒が蔓延する陸地『ダーインスレイヴ』。即死レベルの毒がそこかしこに、湧き出てる」
どうやって行けばいいの?
「その頂点が毒王龍『カーリヤガンド』。毒を統べる王」
残るは、上下の陸地だけになった。
「この二つは少し特殊でね。見てわかると思うけど、他のと比べると、小さいよね」
「確かにそうですね」
「この二つにも王がいる。最後の砦みたいに思ってていいよ」
最後の砦。この二つは特別なのだろうか。
「下の黒い陸地は『ダークホール』。ここいる王は闇王龍『ヘルヘイム』。上の白い陸地は『ホワイトホール』。王は光王龍『ヴァルハラ』。この二頭が最後の関門だよ」
「……この全てを倒したら何かあるんですか」
何となく予想はできてるけど、一応聞いておく。
「…………僕らの所に来る権利」
「……やっぱり」
エターニさん達、龍神種と戦える権利が持てるか。確かにこの王達を倒せば、エターニさんの領域に届くかも。それに。
「ここでずっと狩って寝るを繰り返すより、冒険に出た方がいい」
俺の本能が、そう言ってる。
「いつ出るんだい?」
………フッ…………。
「明日からです」
明日に向け今日はもう寝よう。俺は、地面に寝転がり寝ようとする。するとエターニさんの端正な顔が俺を見下ろした。
「君が来るのを待っているよ」
そう言うとエターニさんの足元に魔法陣が展開された。おそらく転移魔法だろう。消える直前エターニさんは、思い出したような顔をして俺に聞いてきた。
「君の今の名前は?」
今の名前か。そうだな。昔の名前は、思い出せないし、うーん。力強さが感じる名前がいいな。フィスト?パワー?ダンベル?いや。やっぱりアレしかないか。
「ヘラク」
「ヘラク?」
「ヘラクレスっていう神様からとったんです。力の象徴だと個人的に思っているので」
「そうか。ヘラクか」
エターニさんは、何度も呟く。
「じゃあね。ヘラク。ここに来るのを楽しみにしてるよ」
転移魔法でどこかに消えていった。
「……ええ」
待っててください。俺は、アンタの前に立ちはだかりますよ。
いつかね!
怖いなー。書くのは楽しいんですけど、乗りすぎてないかなー。そんな考えを持たないようにしたいです。とにかく楽しく書きたいです。どうぞ感想のほどよろしくお願いします。