少し短いです。なるべく3日以上は空かないようにしたいとは思ってるんです……
「ふぉっふぉっふぉっ、なんじゃお前さん! 二回もベジタブルスカイに登ったのか!! お前さんなら言わんでも分かっておるかと思っとったが、これからは手取り足取り教えた方がいいかのう!!」
浮き島が海にいくつも浮かぶ、景色のいいIGO施設のテラス席。
無事にオゾン草を捕獲して届けに来たのだが、うっかり「最初は一人で登って、無理だったからメルクを呼んだ」と口を滑らせた瞬間、目の前のふざけたジジイ——一龍会長の猛烈な煽りが始まった。
「いやいい! いらないです! つい浮き足立って行っちゃっただけだから!」
「浮き足立ちすぎじゃろ! 海の上の浮き島だって、そんなに浮いとらんぞ?」
う、うぜぇこの人……。
「わかったって。ちゃんと獲ってきたんだからいいでしょ」
「ま、依頼は無事達成じゃな。……しっかし、一つで良かったんじゃが、これ全部『剥いた』のか?」
一龍の前に置かれたグルメケースには、オゾン草が3個入っている。これとは別にマンサム所長へのお裾分け分と、俺とメルクの分を合わせれば、計6個は持ち帰ってきた計算になる。
「いや、ちゃんと剥いたのは『一個』だけだね」
「ほう……。メルクの娘は、随分と好かれておったか」
さすが理解が早いな、この人。
「好かれてるなんてもんじゃないよ。露骨すぎるぐらい対応が違ったね。僕が先に野菜畑に向かおうと離れたら、メルクの目の前のオゾン草がパァァッと全開になったんだ。で、僕が一歩戻ったら全力でバサァッ!って閉じられたよ。マジでひん剥いてやろうかと思ったね」
一歩下がる、一歩踏み出す。この少しの動作だけで、オゾン草はバッサバッサと開いたり閉じたりを繰り返していた。完全に舐められている。俺たちのあの苦労は何だったのか。まぁ、その後の収穫は秒で終わったから良いけどさ……。
「ふぉっふぉっ、オゾン草は中々偏屈でな、好みがようわからんのじゃ」
(ホントに好き嫌いで選んでんのかよアレ……)
「だが、そうかそうか、好かれとるか。まぁの、美食屋に選ばれる人間は不思議とそういうものが多い。で、コンビは組んだのか?」
一龍はにっこりと、俺の目を覗き込むように笑いかけてきた。
「あーいや、コンビは組んでないよ」
「組まんでいい、のカ?」
語尾にやたらと含みを持たせた聞き方だ。
「メルクの本職は研ぎ師だよ? 仕事も忙しいし、美食屋のコンビなんて負担が大きいでしょ」
「ほう、ほうほうほう」
俺の返事を聞き、一龍は腕を組みながらニヤニヤと身体を寄せてきた。
「ナニ」
「まぁ、別に急がんでもいい。じゃが……良いと思った相手とは、さっさとコンビを組むのが吉じゃぞ? メルクの娘にとっても、負担にはならんと思うがなぁ」
「どうだろね」
のらりくらりとかわす俺を見て、一龍は「こんなに奥手だとはなぁ」とボソッと溢し、困り顔を作る。
奥手だとかそういう話じゃない。俺は話を切り上げようとしたのだが、今日の一龍はやけにしつこかった。
「次はいつ誘うつもりなんじゃ? 良いスポット、ワシ知っとるぞ?」
「行く予定は今のところありません」
「受け身じゃだめじゃ、ガツガツ行かんとな! 飯食うみたいに!!」
「はいそうですね」
(やたらしつこいな……)
「男なら、ビシッと服装から決めんとじゃぞ? ワシがとっておきの勝負服、貸してやろか?」
我が物顔でグイグイくるのがいい加減うざったくなってきた俺は、ついポロリと口に出してしまった。
「……勝負服ダサいくせに」
「な、なんと言うた今!? てか、お前さんワシの勝負服見たことないじゃろ!!」
「あの赤い肩パット付いて、ほっそいヒラヒラしたやつが袖にいっぱい付いてるコートのことでしょ?」
「なんで知っとるんじゃ!!」
「あれ、ホントに絶望的にダサいからね」
一龍がガビーンとショックを受けたように目を見開く。
「な、なんでじゃ……。3、400年前は、あれで世界中の女をヒーヒー言わせてたんじゃぞ……」
「どんだけの年代物だよ……」
会長には悪いけど、美食會に乗り込む時に着ていたあの服は本当にダサい。弁護の余地がない。
さっきまで散々煽られていた立場が逆転し、俺は完全にマウントを取った。
「だいたい、あのヒラヒラは何の役にも立たないでしょ。動きの邪魔だし、色合いもなんか目に痛いし。今あんなの着てデート行ったら、一瞬でフラれるよ。間違いなく」
「ぐぬぬ……若造が、ファッションの奥深さが分からんとは……」
「分からないんじゃなくて、時代が300年ズレてるんだよ」
俺が鼻で笑って追い打ちをかけると、一龍はピタッと動きを止め、無言で立ち上がった。
そしてトボトボと俺の横まで歩いてくると、片手で俺の肩をガシッ!と掴んだ。
「——そうじゃ、モノク忘れとったわ。久々に『腕試し』でもするか?」
笑顔のまま、肩に万力のような握力が込められる。
「えっ、ちょ、う、腕試し? いや結構です! 絶対勝てないの分かりきって……痛い痛い痛い! 肩もげる!!」
「まぁまぁ、年寄りの運動に付き合うと思うて、な? あ、そうじゃ。水面の歩き方とか、知りとうないか? 教えちゃるぞ?」
一龍は空いている方の手で、グッと威圧的な握り拳を作った。
俺は原作の記憶——水切り石のように海面をバウンドさせられたトリコの姿を思い出し、全力で首を振った。
「ストップストップ!! ホントにいいって!! それ歩き方じゃなくて、ただの『吹っ飛ばされ方』でしょ!! 水面跳ねるだけじゃん!!」
俺が悲鳴を上げると、一龍は「チッ」と舌打ちをしてスッと拳を収め、肩から手を離した。
ホッと胸を撫で下ろす俺。だが、ジジイの報復はまだ終わっていなかった。
「なんじゃ、連れないのう……。んじゃ、ワシが直々に少し特別な稽古をつけてやろうか? うん、そうしよう」
一龍はスゥッと息を吸い込み、周囲の『次元』すら歪めるような底知れない気を練り上げ始めた。
「『マイノリティワ——』」
「わーっ! わーっ! やりすぎやりすぎ!! ごめんて! 僕が言い過ぎました!!」
世界最強の技をギャグで出すな!!
全力で土下座の勢いで謝ると、一龍は満足そうに気を収めた。
「うむ。分かればよろしい」
……大人気なさすぎるだろ、この世界トップ。
精神的な疲労で、俺はどっと肩を落とすのだった。
「ふぅ……んじゃ」
一龍はポンッと手を打って空気を切り替えると、懐から小さく折り畳まれた紙切れを取り出し、「ほれ」と俺の顔の前に突き出してきた。
「あ、これって……」
紙を受け取り、書かれた内容に目を通す。
それは、ただのメモ紙だ。しかし、そこに書かれた名前の羅列が持つ意味を、俺は誰よりも知っていた。
「オゾン草を無事捕獲できたからの。次のステップじゃ。その紙に書かれた食材を全て捕獲せい」
——会長が『役目』を果たし、第一線から退いた後のグルメ時代。それを支えられるだけの強さを身につけさせるための、特別な修行食材。正式に、その食材が俺にも準備されたのだ。
ありがたい。独学で闇雲に強くなるより、会長の導きに従う方がずっと確実だ。俺はさっさと強くなって、会長も……そしてみんなの運命も……
——しかし、これは。
メモ紙に目を通した俺は、顔を上げて口を開いた。
・メルクの星屑
・メロウコーラ
・サンサングラミー
・メテオガーリック
・シャボンフルーツ
なんか……
「……全部被ってない??」
(トリコと全被りじゃないか)
「なんで知っとるんじゃよ……そうじゃよ。全部被っとる」
「……手抜き?」
俺がジト目を向けると、一龍は「バカ言うな! ちゃんと考えとるわ!」と吠え、コホンと咳払いをした。
「オゾン草は初歩の初歩。お前さんはとにかく『協調性』を高めるべきなんじゃ」
オゾン草の依頼も、やっぱり狙いはそれだったのか。
協調性……確かに、二十年以上も人とまともに関わってこなかったから、欠けている自覚はある。でも、前世では社会人として多少は身についていたスキルだ。ちょっとは残ってると思うんだけど……。
「全く無いとは言わん。しかし、確実にそこで差が出る。人はな、一人では生きていけんのじゃ。時には助け、時には助けられ、支え合う。そうして人は完成するんじゃよ。かつてのアカシア様とフローゼ様、そしてその弟子、ワシら三人のようにな。あ、ここの説明っているかの?」
「いや、大丈夫だよ。『
俺が静かにそう返すと、一龍は少し目を見開き、嬉しそうにニカッと笑った。
「あぁ、そうじゃ……!」
少しだけ遠くを見るような、優しい目を経て、一龍は再び言葉を紡ぐ。
「それに、トリコにサニー、ココ、ゼブラは子供の時から一緒に育ったからのう。息もぴったりじゃ、たぶん。よく合体技とかやっとったしな。しかし、お前さんとはついこないだ知り合ったばかり。ゼブラに至っては、まだ知り合ってすらおらん。これからは、あやつら四人に合わせられるようにならねばならんのじゃ」
一龍はビシッと俺を指差した。
「だからお前さんは、今回の依頼食材を通して、連携、団結力、チームワーク、チームの和、コンビネーション、協調性——」
「あー! 一緒一緒! 後半の並べた単語、全部意味合い一緒でしょそれ!!」
「そうか? なるべく長く語ったほうが凄みが出るかと思っての」
「逆だよ逆。すっごい良い感じの雰囲気だったのに、台無しになりかけてたから」
難しいのぉ、とボヤく一龍。
おふざけを挟まないと死ぬ病気にでもかかっているのか、この人は。
でもまぁ、言いたいことはしっかりと伝わった。原作の要であった四天王たちとのシナジーを高めなければ、最終的な戦力として加われないということだ。
(だけど、幸いなことに修行食材の内容は『全て頭に入っている』)
それぞれの食材の捕獲方法も、トリコたちがそこで何を学ぶのかも。
その知識を活かして、トリコたちと合流して連携を学んで行けば——
そう余裕を持って考えていた俺だったが、メモ紙をいじっていた指先に、ふと妙な違和感を覚えた。
ん? なんか紙の厚さがズレて……。
「えっ、二枚あるの?」
なんと、一枚かと思っていた紙がペリッと捲れ、下から『二枚目』が出てきたのだ。
「なんじゃあ、気づいとらんかったのか。特別に、お前さんの食材はあやつらより多めにしといたぞ!」
一龍がガハハと笑う中、俺は二枚目に書かれたリストに目を落とし——完全にフリーズした。
・エンド・ロール
・オブシディアンドレス
・ワッフルバッフル
(ぜ、全部わかんねぇ……!!)
俺の持つ
本当の『修行』が、始まろうとしていた。
◇
「で、結局その2枚目の食材たちも、全部知っとるんじゃろ? 全く伝え甲斐のないやつじゃわい」
すっかり白けきった様子の一龍は、つまらなそうに爪で机をカリカリと引っ掻きながらそっぽを向いた。
だが、俺の目はリストの文字から離れない。
「いや、あの、これ……知らなぃ」
「え? なんじゃって?」
一龍が耳に手を当てて聞き返す。
「2枚目の食材、一つも知らない」
完全に上の空で、魂が半分抜けたような声が出た。
その言葉を聞いた瞬間、カリカリと動いていた一龍の手がピタリと止まる。
「な、なんじゃと!? お前さんが、知らないじゃと!?」
バタンッ! と立ち上がった一龍は、俺がこの世界に来てから見た中で、過去一レベルで驚愕の表情を浮かべていた。
「本当か!? 本当に一つも知らんのか!?」
「イチミリモ、ワカラナイ……」
カタコトで答える俺に、一龍は「おお……」と大袈裟に天を仰いだ。どんだけだよ……。
だが次の瞬間、一龍の顔にニヤァァッ……とひどく意地悪な笑みが浮かんだ。
「そうか! 知らんか! ……知りたいか!? なぁ、どんな食材か知りたいかのう!?」
「いや、べつに——」
「教えんぞー!! たまには自分で頭と足を使って考えねばなぁ!!」
くっ、ここぞとばかりに……!!
子供のように大はしゃぎして煽ってくる一龍に、俺は少しムッとした。
「まっ、どうしてもと泣いて頼むと言うなら、一つぐらいはヒントを——」
「うんん、いいよ。いらない」
俺は一龍の言葉を遮り、手元のリストをもう一度見つめた。
全く知らない3つの食材。『手抜き』だと文句を言った手前、怖気付いてはいられない。これまでとは違う、完全な未知の旅だ。
もちろんプレッシャーはある。だが不思議と、不安よりも胸の奥が熱く高鳴るのを感じていた。
「ずっとやり甲斐があるよ」
俺がリストを折り畳んでポケットにしまい、真っ直ぐに一龍の目を見て答えると。
一龍は少しだけ目を見張った。そして、先ほどまでふざけ倒していた空気をスッと収め、静かに口角を上げる。
「……ふっ。大人な対応しおって。はしゃいでたワシが子供みたいではないか」
(おもいっきり子供みたいだったよ……)
「未知なるものに怯えるでもなく、ただ純粋に食への探求心を滾らせておる。……お前さんなら、必ず見つけられるじゃろう。せいぜい骨の髄まで味わってくるんじゃな」
からかうような意地悪なジジイの顔ではなく、一人の美食屋の先輩としての、静かで温かい表情だった。
「うん。どんな味なのか楽しみだよ」
心からの期待を隠しきれずに笑う俺を見て、一龍は「すっかり美食屋の顔になりおって」と嬉しそうに目を細めた。
「よし。じゃ、そろそろ行くよ。……っと、その前に」
帰り支度をしようとした俺は、ふと机に置いたグルメケースの前に立ち、ピッピッと操作した。
「ん? 何しとるんじゃ?」
「んー? いや、オゾン草食べようと思ってね」
プシュッ、と冷気が漏れる音と共にケースが開き、俺は中に3つ入っていたオゾン草のうちの1つを取り出した。
そして立ち上がり、一龍の方へと向き直る。
手にした野菜の王様を見つめ、俺は静かに言葉を紡いだ。
「食べよう、一緒に」
その言葉を聞いた瞬間、一龍の身体が微かに硬直した。
数秒の間。やがて彼は、わざとらしいほど豪快な笑顔を張り付けて言った。
「ふぉっふぉっ! なんじゃ、お前さんそれも知らんかったのか? ワシならこんなもの、二人で合わせずとも一人で——」
「知ってるよ」
俺は、すかさず遮った。
「でも……一人で食べても、意味ないでしょ?」
「……」
一人で腹を満たすことと、誰かと食卓を囲むこと。
この違いは、一龍の心の最も深い部分に触れている。
一龍はなんともいえない、ひどく懐かしむような、それでいて少し寂しげな表情を浮かべた。
「ほら、会長はここ。僕はここね」
俺は一龍の目の前に歩み寄り、オゾン草の端と端を指差した。
「せっかく獲ってきたんだから、一緒に食べようよ」
モノクの無理のない自然な誘いに、一龍はふっと肩の力を抜き、やがて優しく相好を崩した。
「あぁ、食べようぞ。しかし……オゾン草を『誰か』と食べるのなんて、何百年ぶりかワシも覚えとらん。うまくタイミングを合わせられるか……」
「あれれ? 世界のトップであるIGO会長が弱気? 僕にすら合わせられなかったら、今すぐ隠居してもらうよ?」
俺がわざとらしく煽ると、一龍の目にいつものイタズラっぽい光が戻った。
「なっ、ぬかせ! ワシはまだまだバリバリの現役じゃぞ!」
「じゃあいけるでしょ。んじゃ『せーの』でいくからね。あ、ちなみに僕の『せーの』は、合わせづらいと大好評でして」
「やはりお前さん、根本的に協調性が足りてないんじゃ……」
「はい、細かいことは気にしない! 行くよー!」
俺たちはオゾン草を挟んで向かい合い、互いの目を見た。
「——せーのっ!」
ガブッ!と、分厚い繊維が噛み砕かれ、パァンッ!と弾け飛んだ清涼な水しぶきが、キラキラと太陽の光を反射して宙を舞う。
澄み切った大空の下。
葉の両端に食らいついた二人のその横顔には、全く同じ満面の笑みが咲いていた。
◇
帰路につく俺は、秘書のモータンさんに挨拶をして階段を下り、長い地下道を歩きながら、さっきもらった三つの未知なる食材について考えを巡らせていた。
あの後、会長は「や、やっぱり一つぐらい教えようかの?」とモジモジしながらまた聞いてきたが、キッパリと断ってやった。
『エンド・ロール』
『オブシディアンドレス』
『ワッフルバッフル』
どれも名前の響きから、なんとなくの雰囲気しか掴めない。
エンド・ロールは、ロールだから巻き物系か? ロールケーキやロールキャベツ的な。
ワッフルバッフルは、流石にワッフルだろう。名前からしてスイーツ系っぽい。
問題は『オブシディアンドレス』。オブシディアンって何だっけ……? どこか聞き覚えはあるような気がするけど。で、ドレス。何かを纏っている食材なのか?
うーん、全くわからん。
こうなったら、片っ端から知ってそうな人に聞いて回るしかないだろう。
トリコと一緒に星屑獲りに行くついでに、初代メルクさんに聞いてみるか。てか、そもそもトリコたちなら美食四天王だし知ってたりするかな?
——そこまで考えを巡らせた時、ふと先ほどの会長との会話が脳裏をよぎった。
『食材全部被ってない??』
『そうじゃよ。全部被っとる』
あの時俺は、『一枚目の5つの食材』だけを見て、トリコと全部被っているという意味で聞いた。だが、あの時の会長の言う『全部』というのは——
ピピピピッ。
その思考の渦を遮るように、ポケットの端末が震え、軽快な着信音を鳴らした。
画面を見ると、そこには見知った名前が表示されている。
「もしもし、久しぶり小松シェフ。……え? あぁ、新食材! いやー、喜ぶと思ってついサプライズで入れちゃったんだよ!」
『 ——!!』
「あはは、ごめんごめん。え? それで? ……うん、うん」
『 ——!!』
「……マジで? 遂に完成したんだね。さすがだよ、小松シェフ」
『 ——!』
「うん、僕は全然いつでも行けるけど……ホントに僕が行っていいの? 一緒にアイスヘルで戦ったわけでもないのにさ……あー、わかったわかった! そんなに言ってくれるなら、喜んで行かせてもらいます。うん、じゃあまた後で。連絡ありがとね!」
通話を切り、携帯をポケットにしまう。
気がつけば、つい数秒前まで頭を悩ませていたことなんて、完全に吹き飛んでいた。胸の奥から、抑えきれないほどの強烈なワクワク感が湧き上がってくる。
ついに、あの味が完成したのだ。
俺は地下道の先に見える出口の光に向かって、自然と早足になっていた。
——いざ、伝説の『センチュリースープ』の実食へ。
書くのはもう少し先ですがオリジナル修行食材を書きます。いらないって言われるかなぁとギリギリまで悩みましたがもう書くと決めました。ワクワクしていただけるように頑張ります。誰から書こう……。