光明機動ネメシスエイト   作:星々

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第9話「リルモア」

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

「目標の情報はあるんですか?」

 

ヴェーガスの右舷側にある第2デッキに格納されている、修理直後のテンペストのコックピットにサクラが乗り込む。

その表情は真剣そのもので、パイロットの顔だ。

 

『全長100mくらいの獣型だ。今までのよりもはるかに巨大だが、それよりも状況が厄介だ。』

 

エリックがそう言うと、3機のサブモニターに拡大した衛星写真が映し出された。

街のビル群を破壊する四足歩行の獣型ゴースト。

その周りには3m程のビットが5基浮いている。

しかしその中に交じって、とあるものがいた。

 

「ん? ……これって…!?」

 

サクラは驚愕した。

いつも陽気なフィルシアも目を細めて深刻な顔をしている。

 

「おいおいマジかよ…」

 

ユウは画像を拡大し、明らかな人工物を見た。

しかもそれは、ヒト型をしていた。

 

「これって機動兵器じゃないか…なんでゴーストと一緒に……」

「それも、ゴーストから全く攻撃を受けていないわ。」

「怪しい香りがほんのり…ってレベルじゃないね。」

 

解像度の問題で細部まで見ることはできないが、ゴーストとは対照的な白と青で彩られた機械ということはわかる。

 

『とにかく俺たちの任務はゴースト殲滅だ。未確認機にはこちらから手は出すな。』

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

現在、地球に存在する人型兵器の中で飛行能力を持つものはネメシス08しか存在していない、はずだった。

しかしそれを覆すものを、アポカリプスは目撃する。

 

「作戦ポイント上空に到達したわ。」

「ヴェーガス及びIAD3機、各部異常なし。 いつでもいけるぞリーダー!」

 

ヴェーガスのブリッジでは、そんな報告が飛び交っていた。

その中央、キャプテンチェアの前で腕を組んで仁王立ちするエリックは、右手を前にかざして言った。

 

「主砲用意。」

「主砲、よぉおい!」

 

砲術士のアインが黒いテンガロンハットをかぶり直してエリックの指示を反復した。

 

「艦首、下方へ! 逆立ちするわよ!」

 

操舵士のカトリーヌがヴェーガスの艦首を真下に向ける。

 

「ターゲットロック!」

「エネルギー臨界95%!」

 

機関士であるシンジがエネルギーチャージ状況を伝える。

 

「ゴーストビット5基、迎撃してきた!」

 

レーダー士レックニックが著しく変化し続けるレーダーを見ながら言う。

 

「臨界120!」

「主砲、()てェェエ!!」

 

ヴェーガスのブリッジ両サイドの位置にある2門の主砲から、膨大なエネルギーが放たれた。

その2つの光線はビットを巻き込みながら目下の巨大獣型ゴーストに直進する。

大きな爆風が辺りを包んだ。

 

「IAD投下!」

 

エリックの号令とともに、3ヶ所あるIADデッキからそれぞれ1機ずつ飛び降りていった。

言わずもがな、ネメシス08、テンペスト、ギガンティックである。

テンペストとギガンティックはパラシュートを開いて減速しながら、ありったけの火器を撃ち込んだ。

ネメシス08も無闇には突っ込まず、爆煙のそとからサブマシンガンとソニックレールガンを撃つ。

 

「どうだ…」

 

放火を止めたアポカリプス。

ユウは呟きながら爆煙を眺め、ネメシス08に槍を構えさせる。

その時、その一瞬、赤い光がなびいた。

 

「っな!?」

 

目の前に、赤い()が見えた。

と思うと、ネメシス08は大きく体勢を崩しながら落下していった。

 

「ユウ君!?」

 

フィルシアがネメシス08の目の前を一瞬通り過ぎた何かを目で追う。

しかしそれは爆煙の中に戻ってしまい、姿を隠した。

 

「先行するわ!」

「援護するよー」

 

テンペストがマシンガンを両手に持って土煙の中に飛び込んだ。

サクラはレーダーで必死にネメシス08の反応を探した。

しかし、そこに映ったのはゴーストの反応。

どうやらサクラはゴーストの目の前に飛び込んでしまったらしい。

 

「全く…最近ついてないわね…ッ」

 

ゴーストが不明瞭な視界の中でその鋭い爪を振り上げた。

その時、煙が引き裂かれ、ゴーストはそのまま仰け反った。

テンペストの目の前には槍を振り上げたネメシス08が立っていた。

 

「ユウ君…!」

「アイツは…」

「え?」

 

ユウの声は聞いたことにない程低く、憎悪のようなものが含まれていた。

映像通信に映るその目も鋭く、少し充血していた。

 

「アイツは何処だ‼︎」

 

直後、仰け反ったゴーストがその姿勢のまま縦に真っ二つに分裂した。

2体となったゴーストは再び破壊を始める。

その光景に唖然とするサクラとフィルシア。

そして彼女らの前に現れた姿に、驚愕した。

 

「青い…ネメシス08……!?」

 

その白い機体は、背中と腰から赤い光を布状にして放ちながら降臨する。

その手にはビームの大剣が握られている。

ゆっくりと着地する。

 

「あれってネメシスタイプ? でも、製造できたのはこの3機だけって聞いてたけど…」

『それは科学者の理屈だ。』

 

少女の声だ。

その声と共に、映像通信が繋がった。

その画面には白銀の仮面で目元を隠した白髪の少女が映し出される。

 

『兵器運用として見るならば、ゴースト化した素体でも十分に利用できる。』

「ゴースト化? どーゆーことよ。」

『いと哀れ…無知とはいと哀しきかな…』

「答えなさい。あなたの目的は!」

 

サクラが左肩のビームキャノンの銃口を向ける。

それに怯むことなく、青と白のIADは一歩前へ踏み出す。

 

『この地球を守ること。そしてその為にまず…貴公らを排除する。』

 

静かにそう言うと、荒々しく大地を蹴って斬りかかってきた。

誰を狙ったわけでもなく、ただ3機まとめて斬り裂く勢いでだ。

 

『この機体の名はリルモア。私たちはノーネームモンスター。』

「ノーネームモンスター!?」

「あの脱獄犯の…!?」

 

ギガンティックとテンペストは、リルモアの猛攻に間合いを取った。

しかし、ネメシス08は槍を構えてリルモアに突っ込み、その身体を押さえつけた。

 

「お前、ユr----」

『私はユリではない!』

 

ユウの言葉を遮り、ネメシス08を蹴り上げる。

ネメシス08は空中へ逃げるが、リルモアも飛び上がりそれを追う。

ネメシス08は青、リルモアは赤の軌跡を描きながら大空を縦横無尽に飛び回る。

その軌跡は交わる度に、スパークによる光を放ち、離れては交わりを繰り返す。

 

「ユウ君、今はゴースト殲滅が…ッ!?」

『おっと、お前らの相手は俺だぜ嬢ちゃん。』

 

テンペストの行く手を塞いだのは、ルークの発展型AD、ウォーリアーだ。

その1番機、以前カリフォルニア半島で交戦した機体。

 

「あなたは…!」

『いつかは楽しいダンスをありがとう…今度は最後の晩餐と行こうかァ‼︎』

 

ウォーリアーはさらにカスタムが加えられているようで、格闘戦用のブレードが両腕に取り付けられている以外に見た目の変化はないが、動きははるかに滑らかになっていた。

 

「あなたは一体、何者ですか!」

 

テンペストがマシンガンを撃ちながらウォーリアーを追う。

ウォーリアーはそれを軽々とかわしながら右肩の2連装キャノン砲を放つ。

不安定な姿勢で放たれたにも関わらず、その狙いは完璧だった。

サクラは咄嗟に両腕で防御するようにテンペストを動かし、脱獄犯にその名を問う。

 

「あなた名前は! 答えなさい!」

『ジョウ・フリエン少佐。嬢ちゃんたちの上官だよ!』

 

ウォーリアーはキャタピラーをフルで駆動させ、一気にテンペストに詰め寄る。

ジョウと名乗った男は、映像通信でその顔を晒した。

まだ十代半ばから後半という若い顔であったことが、サクラやフィルシアにとって驚きだった。

自分たちよりもひとつかふたつ年上という青年が、少佐の地位を持ち、さらに大罪人として収容されていたのだ。

 

『俺は狂った軍を壊す…争いのない世界をつくるんだ‼︎』

「ならすぐに戦闘を止め、武器を捨てて投降しなさい‼︎ 命まで奪おうとは言いません。」

「このままゴーストを放っておけば、ウチらもアンタらもこの街も、まとめてドカンなんだよ‼︎」

 

ウォーリアーのブレードとテンペストのソードがぶつかる。

 

『その前においとまするさ。』

「無責任なッ」

『無責任なのはどっちだコラァ!!』

 

ウォーリアーがもう一方のブレードでテンペストのソードを弾き飛ばす。

テンペストは跳躍して距離を取るが、ウォーリアーはギガンティックの弾幕を潜り抜けて追ってくる。

 

『いいよ、教えてやるよ。アポスル神話計画の真実をなァ‼︎』

 

 

 

 




どうも星々です!

ノーネームモンスターとアポカリプスが激突しましたね!
この人たちは一応ボスキャラのつもりなんですが、この先どうなるかわ自分でもわかりません(というのは嘘w)
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