南国ハワイ。
ここライカニビーチで、とある女性2人が再会を果たしていた。
一人はイスダルン軍の軍服、それも司令官のものを着、もう一人は露出の多い私服だ。
ライトグリーン髪の私服の女性はサングラスをずらし、ビーチパラソルから顔を出す。
その肌はほんのり日焼けをしていて、少女のようなハリを保ったままきらめいている。
「久しぶりね。」
「あれから12年だっけ? まさかアンタがイスダルンに入ってるとはねー。」
「連邦には戻れない。あなたも分かってるでしょ?」
桃色の髪の軍人は、角ばったバイザー型サングラスで目元を隠したまま無愛想に言う。
色白の肌は、室内での仕事が多いことを示している。
「久方ぶりの再会なのに、なんでそんなに固いのさ。彼がいなくなったから癖が蘇っちゃったのかなー?」
冗談めかしく言う私服の女性。
その言葉に、軍人の女性は即答した。
即答というより、本題に入ったといった方が適当だ。
「彼が、姿を現したわ。」
「何ですって?」
その言葉に、私服の女性も真面目な顔になる。
驚いているわけではなく、睨みつけるような表情だ。
彼女は何かを察したように立ち上がり、軍人の女性に手を差し出した。
その手には所々にタコができている。
「あなたの言いたいことは理解できたわ。協力するよ、サクラ。」
その手に自身の手を重ねる軍人の女性。
彼女もまた、同じ位置に同様のタコがある。
「相変わらずあなたが私の一番の理解者だわ、フィルシア。」
2人は、イスダルン軍の車に乗り込むと、白浜輝くビーチを後にした。
「これ、大昔の兵器にそっくりだ…!?」
コックピット正面の下、手元の画面に表示された機体の概要図を見て、ヘンズは以前見た資料を思い出した。
確か、20世紀くらいのことだと思い出す。
この形態で使用可能なのは、機首のライフルとスプレーミサイル。
一方のアマツは両手とそれによって扱われる近接兵装と翼から放たれるビームカッター。
いかに敵を寄せ付けずに距離を離すかが勝利の鍵となってくる。
「よける!」
交差する2機。
アマツはその手に持った刀、"天羽々斬"を振ったが、ネメシスアークはスレスレでヨーイングして回避。
そのまま両機は遠ざかるように加速する。
「直線スピードならネメシスアークの方が上よ!」
「でも、逃げてるだけじゃ同じことの繰り返しです!」
再び向き合う2機。
ネメシスアークはライフルを放つ。
『斬る‼︎』
「ビームを斬った⁉︎ この野郎!」
刀をクロスさせてビームを斬り裂き、減速せずに斬りかかるアマツ。
その切先がネメシスアークを捉える。
『もらった‼︎』
凄まじい風切り音と共に、刀が横に振られる。
しかし、それが斬り裂いたのは正に風だけだった。
ネメシスアークはガクンと高度を下げたのだ。
通り過ぎていくその機体のエンジンからは、なんの光も出ていなかった。
『エンジンを切ったのか!?』
機体を少し傾けた状態でエンジンを切ったネメシスアークは左旋回しながら高度を下げ、次第に自由落下へとシフトしていく。
「ちょっと、死んじゃうって!」
「大丈夫です…落ち着いてください…」
ヘンズはユリと自分自身に言い聞かせた。
猛スピードで迫る乾いた地面。
たまらず目を瞑るユリ。
ヘンズは歯を噛み締め、息を整えた。
「うおぉおおお‼︎」
地面ギリギリ。
ここでネメシスアークは、人型形態へ変形した。
減速もせずに地面に足をつく。
常識的に考えるならば、この衝撃に耐えられる機体など存在しない。
しかし、ネメシスアークの足は原型をとどめているように見える。
その足で、何万年もの間で堆積した地面をめり込ませ、それを思い切り蹴る。
それと同時に再び高速移動形態に変形する。
「なんて無茶を…!」
同じ要領でグランドキャニオンの崖を次々と蹴りながら狭い渓谷を高速移動していく。
ヘンズの手元は忙しく動き、彼の額には汗が溢れ出ている。
激しく方向転換しながらのあの速度に、流石についてこれないアマツ。
近場の崖の上に人型形態で降り立ち、腕を組んでその後ろ姿を眺める。
『若いな…柔軟な思考力だ、評価に値する。』
アマツのパイロットは正直にヘンズを褒めた。
『また会おう、少年‼︎』
とうに通信は途切れていて、その言葉はヘンズには届かない。
どうも星々です!
なんとなんと、亡霊の大嵐編から12年も経ってましたw
すみませんこれ書くの遅くなりました
サクラとフィルシアも登場しましたが、ユウは一体何処へやら?
それも含め期待して頂けると嬉しいです!
では、また次回