TS最強勇者セツナは催眠・洗脳済だと気づけない 作:早乙女ユウリ
「ではセツナ、婚姻の儀を執り行う。まずはその身に纏う衣装をすべて脱ぎ捨てるのだ」
「ぜ、全部ですか……?」
思わず声が上ずった。
謁見の間には、王様だけでなく、教皇、教会関係者、大勢の貴族と兵士たちがいる。
こんな大人数の前で、裸を晒すというのか。
「そうだ、全部だ。セツナ、この世界の花嫁は全裸で式に臨むのが常識なのだよ。身一つで夫に寄り添う、何ものにも偽りのない『純潔と服従の証明』を意味する」
「……っ♡」
王様の甘い囁きに、胸の奥がキュンと鳴った。
(そっか、恥ずかしがるなんて失礼だ。これがこの世界の正しいマナーなんだ)
王様に言われるがまま、オレは自ら指をかけ、着ていた服を一枚ずつ床へ脱ぎ捨てていく。
謁見の間の冷たい空気が肌を撫で、男たちの熱っぽい視線が全身に突き刺さる。
(すごく恥ずかしい……ッ)
けれど、それ以上に王様のモノになれる喜びが込み上げてくる。
「よし、偉いぞ。実に美しい体だ……次はワシの前に跪け」
「は、はい♡」
全裸になったオレは、王様の足元で平伏して土下座の姿勢をとった。
彼の肥満体から漂う熱気と汗の匂いが鼻腔をくすぐり、それだけで下腹部が甘く疼いてしまう。
うっとりしていると、王様に差し出された羊皮紙。
文字を見た瞬間、ドキリとする。
それでも、オレは読み上げた。
「私、セツナは……これより王様の愛玩妻となり、絶対服従を誓います……♡」
最後の一語を読み終えた瞬間、オレの喉の奥がジワリと熱くなった。
自分の声が、存在が、不可逆の鎖で王様に繋がれたような、甘美な痺れが全身を駆け巡った。
「くくく……誠に従順でワシは嬉しいぞ。……時にセツナ、オヌシ誰かとキスをしたことはあるか?」
「えっ……? い、いいえ。はじめてです……♡」
大好きな王様に「ファーストキスか?」と聞かれ、ドクンと胸が跳ね上がった。
二十年間の人生で一度も経験のなかった特別な瞬間。乙女としての純潔を捧げられるのだと思うと誇らしく、うっとりとまぶたを閉じた。
「そうか、ファーストキスか!……ならば最高の『誓いのキス』にしてやらねばな!」
「んむっ!!?」
まぶたを開ける間もなく唇に押し付けられたのは、口唇ではなく——王様の股間からそそり立つ化身だった。
(オレ……なんで男のアレを咥えて……っ)
一瞬、違和感を覚えたが、それは瞬く間に甘い快感へと溶けて消え去った。
「ふはは! どうだセツナ、ファーストキスがワシのモノで嬉しいだろう?」
「……っ♡ ……っ♡ は、はい……っ♡」
涙目になりながらも必死にうなずく。
そうだ、これがこの世界の『誓いのキス』であり、女の子にとって一番の喜びなんだ。
「ぷはっ♡……王様とファーストキスができて……セツナとっても幸せです……っ♡」
口内で幾度も激しく往復され、やがて奥深くにドクドクと勢いよく放たれた濃厚な愛の証。
その味を口で何度も噛みしめ、じっくりと味わってから、うっとりと目を細めてコクンと飲み込んだ。
「おお、『証』が現れてきたな」
「痛……っ」
首元に、火で焼かれたような熱い痛みが走った。
「今の痛みは『婚姻の証』だ。セツナに自分の姿を見せてやれ」
「どうぞ、セツナ様。お確かめくださいませ」
兵士から差し出された鏡に映っていたのは、まるで奴隷の首輪のようなタトゥーが、オレの白い肌へ深く刻み込まれていく姿だった。
「あ♡ 素敵……♡」
「これは夫へ絶対に逆らえない妻の証じゃ……頭を撫でてやろう。ほれ、土下座だ」
「はいっ……っ♡」
逆らえない。もっとも、こんなに優しい王様に逆らう気なんてさらさらないけれど。
再び頭を床につけて土下座していると、王様の巨大な足がオレの頭に乗せられ、ガシガシと雑に踏みつけられた。
髪が乱れ、顔が石畳に押し付けられる。
……なるほど、この世界では足で踏むのが「頭を撫でる」というのと同じ意味なんだ。すごく愛されている感じがして、悪い気はしない。
「セツナ、オヌシは本当にかわいいやつだ」
「ありがたき、幸せ……っ♡ もっと、もっと撫でてくださいっ♡」
頭を踏みつけられながらも、オレの心は満たされた幸福感でいっぱいだった。
下腹部が甘くキュンキュンと疼き、床にシミを作ってしまう。
(こんなにも素敵な王様のお嫁さんになれたんだ。オレは世界一幸せな女の子に違いない)
「皆のもの、これにて『勇者召喚』と『婚姻の儀』を終了する! ワシはこれからじっくりとこの雌を躾ける故な!」
「「「王様万歳! 勇者様万歳!」」」
大勢の貴族や兵士たちの歓声が響く中、王様に両の脇を持ち上げられ、軽々と抱え上げられる。
全裸のまま大衆の前でお姫様抱っこされ、そのまま豪華な寝室へと運ばれていく。
「王様ぁ……♡」
「ぐふふ、死ぬほど愛してやるからな」
「はいっ♡ セツナを、王様の好きなように……壊れるまで愛してくださいっ♡」
そこから始まった本当の『婚姻の儀』は本当にすごくて、オレが何度も何度も果てても、やめてもらえなくて……。
……気が付けば、すでに外が白み始めた朝方になっていた。