最近、凪のやつが騒がしい。
顔を合わせればやれ可愛いだの、優しいだのなんだのと私をおちょくってくる。
「立希さん、これやっておきますね」
「ありがとう」
だけど、今日はバイト中一日そんなことを言ってこない。
なんなのか知らないけど、静かになってせいせいする。
……それにしても、今日は何も言わないなこいつ。
元々そこまで関わりがあったわけじゃないけど。
髪でも変だったかな。
機嫌でも悪い?
それとも、私なんかした?
(って、なんで私が凪のこと気にしなきゃいけないわけ)
あいつのことなんて気にしないで仕事に集中しないと。
今日はいつもよりお客さんが多いし、余計なこと考えてる暇ない。
「ホールの方お願いします!」
「わかった」
なんとか忙しい時間を乗り越えて、休憩時間にスタッフルームで休んでいると、少し遅れて凪のやつが部屋に入ってきた。
「いやー今日めっちゃ忙しかったですね」
「まあ、いつもより多かったかも」
私の斜め前の椅子に凪は腰を下ろしてスマホを開いた。
「そういえば」
スマホをいじってたと思ってたら、急に私の方を向いてくる。
「立希さんは今日も可愛いですね」
「……あっそ」
そう返すと、少しだけ凪は首をかしげた。
「そっか、立希さんは可愛くて当たり前だもんな」
「お前!」
「仕事中に髪乱れてないか確認する仕草も可愛かったです」
「ちょ、お前!見てたの!?」
「いや、偶然見かけただけだけど」
単純にバイトが忙しくて、何も言ってこなかっただけじゃん。
本当に何考えてんだ私。
「お前さ!可愛い可愛いっていうけど、本気で思ってるわけ?冗談ならいい加減やめて欲しいんだけど」
「冗談?立希さんが可愛いのは当たり前じゃん」
「冗談じゃ、ない?」
「冗談じゃないってずっと言ってると思うんですけど」
は?じゃあ、こいつ本気で私のこと可愛いって思ってるの?
「うるさいっ!ほんと黙れ!」
「じゃあ、立希さん。可愛いって言われるのが嫌なら、もう言わない方がいいですか?」
「……はぁ?」
やばい、自分でも何話してんのか訳わかんなくなってきた。
「嫌ならやめますけど」
「……別に」
嫌ってわけじゃない。でも、私の見た目を褒めるやつとかいないし。
「別に?」
「凪が勝手に言ってるだけでしょ、好きにすれば」
別に気にすることじゃないし。別に告白された訳じゃないから。
「じゃあ、これからも言いますね」
「なんでそうなるんだよ!」
「そういうところも可愛いからです」
「はぁ……もう勝手にして」
バイトに戻ると、偶然鏡に自分が映りこんだ。
……可愛いね。
別に、あいつが勝手に言ってるだけだし。
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立希ちゃんのみんなが思う可愛いところ教えてください。