「ねぇ、愛音。あいつどうにかならないわけ?」
「あいつって凪くんのこと?」
「そう。顔を見ればニヤニヤして。話す度に可愛い可愛いって」
幼なじみの愛音ならどうにか出来るかもしれない。
「そんなに嫌なら本人に嫌って言えばいいじゃん」
私はそこで言葉に詰まった。
「……別にあいつ悪いやつじゃないし。変に言って傷つけたら気まずいし」
「へ〜りっきーにしては優しいじゃん」
「お前……」
こいつ、凪のことに関してはいつも以上にイラッとさせられる。
「自然に諦めるくらいでいいんだよ。なんか案無いわけ?」
「いや、諦めるって。別に凪くんってりっきーのこと好きとは言ってなくない?」
……たしかに。可愛い可愛い言ってるだけで別に好きって言ってきてるわけでもない。
「え、りっきー凪くんに好かれてる前提なんだ」
「違う!あんだけ可愛い可愛い言われればそう思うでしょ!」
あのバカのせいで、愛音に振り回されっぱなし。
「う〜ん……ちょっと素っ気なく接してみるとか?」
「それはもうやった。素っ気ないところも可愛いとか言ってきたから頭引っぱたいた」
適当にあしらって置けば勝手に飽きるだろうって思ってたのに。
「りっきーバイト中しっかりしてるから、だらしないところ見せてみるとか」
「それも試した。ラフな立希さんも可愛いってニヤニヤしてたから伝票で引っぱたいておいた」
そこまで言うと愛音はため息をついて面倒くさそうにスマホを開いた。
「じゃあ、やっぱり無理なんじゃないの」
「だから愛音に相談してるんだけど……」
「そもそもさ、可愛いって言われるのってそんなに嫌?りっきーも女の子なんだし嬉しいもんじゃないの?」
別に嫌なわけじゃない。でも、可愛いなんて言われ慣れてないからむず痒い。
「……別に。嫌でもないし嬉しくもない」
「えっと、『りっきーが可愛いって言われるの嫌ではないって』っと」
「ちょ!お前何してんの!?」
愛音がスマホの画面をポチポチと操作してメッセージを誰かに……多分凪に送った。
「だって、ここまで来たら本人に聞くしか思い浮かばないんだもん」
「対処方法聞いてないし!」
私たちが言い争っていたら、愛音のスマホから通知音が鳴った。
『……oh』
あっ凪くんって意外と押し返されると弱いタイプだったんだ。
「ほら、定期的に可愛いって言われるのを受け入れてあげればいいんだよ」
「はぁ?無理なんだけど」
「でも、そうすれば今よりは鬱陶しく無くなるかもよ?」
「う、うるさい。どうせもっと調子に乗るだけだから」
結局、解決方法が見つかることもなく時間だけが過ぎていった。
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立希ちゃんの可愛いが収まらないので息抜きにあげていきたいと思す。