―――『跳梁跋扈の森』―――
RPG系のゲームにおいて最初のエリアってのは草原か森がお決まりだ。跳梁跋扈の森も初心者がこのゲームに慣れるためのエリアとしての役割もあるのだろう。跳梁跋扈の森は視界はそこまで悪くなく、どちらかと言えばマイナスイオンが溢れてそうなタイプの森のエリアだ。
そして俺はふとそこら中に落ちてる葉っぱに目を向け、手に取る。
「さっきはこのゲームのNPCに積まれてるAIに驚いてたけどそれ以外の要素もヤバいな。落ちてる葉っぱの模様や形まで一枚一枚ちゃんと違うなんてどこまでこのゲームは作り込まれてるんだ?」
ゲームを作り込む方針だとしても製作コストの関係上、こういった葉っぱなどのあまり重要ではない部分のテクスチャは同じものか数種類のものを使いまわすのが普通だろう。本当にどうやって制作したんだこのゲーム。
あと色々なものを観察しながら歩いてきたが、一つ気付いたことがある。このゲームにおける動植物は実際に現実にいるものと類似している点が多いが、現実でいうこの種類の生き物だときっぱり言えるわけじゃないというか……。複数の種類の特徴をごちゃまぜにしたようなそんな感じだ。それでもあそこに生えてるベニテングダケの色調を反転したかのような絶対に現実にはないであろう植物とかもあったりするが。あのキノコ絶対毒だろ。
ガサガサ……
……‼
まだ街を出てからそこまで歩いたわけじゃないが、早速モンスターのお出ましか?
俺はすぐに武器を取り出し、見つからないように近くの茂みにしゃがみ込んで息をひそめた。戦闘はできるなら見つかってない状態から始めたい。比較的ゆっくり観察できるし、不意打ちも狙えるからな。
「ギャギャ!ギャギギ!」
近くの茂みから出てきたのはファンタジーゲームにおける王道モンスターであるゴブリン。ゲームによっては単なる雑魚敵だったり、案外賢くて馬鹿にできないやつだったりもするが、このゲームだとどうかな?装備は打製石器の斧か。あまり賢そうではないか?
「ギャギャギャギャ‼」
ん?あいつ何してんだ?あのヤバそうな色調反転ベニテングダケの方に向かって……。まさか。
「ギャッギャ!」
食いやがったぞあいつ‼明らかに「食べないでね」と言わんばかりの色のキノコを!?案外ただの美味しいキノコだったりするのか?いやでも色だけで食欲失せるし、食用と分かったとしても食べたくはないな……。
「ギャギィ!ギャッ!ギャギャ!」
ガツガツ食うなあいつ……。あのモンスターには衛生や毒という概念はないのか?まぁないか普通。
「ギャギャ!ギャガ……」
そうしているとゴブリンがいきなり食べるのを止め、自分の存在がバレたかと思い武器を握る手に力を入れたのだが。
「ギャ……ギャギィ……」
ゴブリンが腹を抑えながら膝から崩れ落ちた。
「やっぱり食っちゃダメなやつじゃねぇか‼」
「ギャギャ!?」
あ。思わず声が。俺のことに気づいたゴブリンは俺のことを警戒しているが、さっき食べたキノコの毒でそれどころじゃないらしい。
「初戦闘がこれって……なんかなぁ」
もう緊張感無くなっちゃったよ。そこらへんのもの食って毒食らって苦しむ敵キャラとかギャグだろ……。
「ギャギャ……ギャギィ‼」
おー立った。敵の目の前で腹痛に悶えてる場合じゃないと思ったらしい。だが……
「ギャギャァ……」
また崩れ落ちた。分かるよ。変なもん食ったときの腹痛ってなんか
小さい頃の自分は本当にどうかしてた。山に生えてるキノコを拾い食いするなんて命にもかかわるかもしれないのに興味が惹かれるがままに当時の自分はそれを食った。大事には至らなかったが、そのときは両親にめっちゃ怒られた。そりゃそうだよ。なんか懐かしいこと思い出したらコイツにも親近感湧いてきたな……。まあでも
「こんな状態になったとはいえ、ちゃんと決着はつけないとな」
なんかもうほっといても死にそうだが、これ以上苦しまないように終わらせてあげよう。
「ふんっ‼」
「ギャッ⁉」
傭兵の小盾でゴブリンの頭を思い切り殴る。CRITICAL!!の文字が出て、そのままゴブリンはポリゴンとなって消えてしまい、レベルアップのSEが鳴ったのと同時に、その場にゴブリンが持ってた石の手斧が落ちた。
「ドロップアイテムは勝手に落ちるシステムか」
ゲームの中にはプレイヤーがモンスターから直接剝ぎ取らなきゃいけないゲームもあったが、あのシステムグロイからなぁ。捌いて中まで観察できる点は良かったけど、あのシステムは大衆向けの神ゲーには合わないだろう。
手斧を拾って詳細を見るが、耐久がほぼ残ってないし、ダメージ倍率も低い。お世辞にも武器として使えるとは言えないな。
そして初めてのレベルアップ。ステータスを確認したらステータスポイントが5pt増えていた。すぐに振ってもいいけど、まだ余裕がありそうだし様子見かな?
ガサガサガサ……
おっと。戦闘音で新手でも来たかな?
そこに現れたのはこれまたファンタジーの王道モンスターのオーク。デカいこん棒を装備しているな。あれ正面からパリィできるかなぁ。
「グウゥゥォォォオアア‼」
オークはこちらの方へ叫びながら走り、そしてその大きな棍棒を上段から振り下ろしてきた。
これまた大ぶりな攻撃だこと。事前にモーション見とかなくても大丈夫そうかな?
そんな呑気なことを考えながら俺はスッと横に避ける。
「そんな大ぶりな攻撃、後隙狩り放題だぞ」
丁度いいからスキル使ってみるか。スキル:スピンスラッシュ起動!
俺は一歩踏み込み、回転しながらすれ違いざまに胴に一閃をクリティカルで叩き込む。
するとオークはHPが尽きたのか、ポリゴンとなって消えてしまった。
「ありゃ。終わっちゃった」
ゴブリンのときは毒でHPが減ってたから一撃だと思ったもんだが、HPが長そうなオークもクリティカルとはいえ一撃か。あんまり最初の敵はHP多くないのかな?
「うーんなんか不完全燃焼だし強い奴探すか!どこだヴォーパルバニィィィ‼」
そうして叫ぶと近くの茂みがガサガサと揺れる。もしかしてヴォーパルバニーか⁉
「ギャギャギャ!」
お前かぁ……。
「まあいいや。スキルとか色々試させてもらおうか!」
「ギャギャア‼」
ゴブリンが跳躍してきて上からの振り下ろし。お前そんなに身軽に動けたのか……!本当にあのときは余裕が無かったんだな……。そしてこの攻撃。避けてもいいが、お前見た目的にそんなにSTR高くないよな?それなら……
「真正面からパリィしてやんよ!」
「ギャギ⁉」
ゴブリンの手斧と傭兵の小盾が拮抗するのは一瞬。俺はすぐに盾を突き出し、軽快な金属音を出しながら攻撃を押し弾いた。
お前らのモーションは素直だし、少しだが
「スキル!ナックルラッシュ!」
名前そのままの拳のラッシュ。今更だが、このゲームのスキルはモーションアシスト制じゃないっぽいな。なんかこう……、できる!っていう確証を持って攻撃ができるというか。すごく自然に動ける。
「グギャギャ……」
あれ?耐え切られた?職業補正的に拳はあんまり強くないのか。
「まあでもこれで終わりだ!」
「ギャ……ギャガ……」
ゴブリンを袈裟切りで真っ二つに。結構うまく斬れたと思うけどスキル習得できるかな?
レベルアップのSEが鳴り響き、ステータスを確認してみる。
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PN:ルシッド
LV:3(LvUP:10pt)
JOB:傭兵(片手剣)
出身:冒険者
2,900マーニ
HP30
MP5
STM30
STR10
DEX15
AGI30
TEC15
VIT5(15)
LUC10
装備
右:傭兵の片手剣
左:傭兵の小盾
頭:なし
胴:皮の服
腰:皮のベルト
足:皮の靴
アクセサリー
スロット1:なし
スキル
・スピンスラッシュ
・ナックルラッシュ
・シールドバッシュ NEW!
・袈裟斬り NEW!
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本当に読んだことを意識しながら動いたらスキルを習得できた。読んだこと無いやつでも条件達成できれば習得できるっぽいな。
・袈裟切り
袈裟切りの一閃を放つ。胴に当たった際にダメージ補正。
・シールドバッシュ
敵の攻撃を盾で受け止め、押し弾く際のVITとSTRに補正。クリティカルを発生した場合、対象に3秒間の間行動不能状態付与。
やべぇすごく楽しくなってきた。こうなったら他の書で読んだスキルも習得したいな。ていうかヴォーパルバニーとも戦いたい。
「どこだヴォーパルバニィィィ‼」
ガサガサガサ……
今度こそ!
「グウゥゥゥォォオアアア‼」
またお前かよ‼うおぉぉぉぉスキル!袈裟切り!
こうして俺はヴォーパルバニーを探しながら時にはお前じゃねえ!とゴブリンやオークを斬り倒し、森を彷徨い歩いて行った。
筆者は自分で投稿した小説をよく見返すのですが、その時に気づいた誤字や修整したくなった部分を変えたときって前書きか後書きに変更内容書いたほうが良いのかな?