シャングリラ・フロンティア~神ゲー観察録~   作:グラシズ

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一日中塾に拘束されるせいで書く時間が足りねぇッ‼


オイオイオイ。死ぬわアイツ

探索し始めてから大体30分くらいだろうか。あれからかなりモンスターとエンカウントしたのだが、ヴォーパルバニーとやらにはエンカウントできていない。この森ゴブリンとオークしか出てこねぇ……。生態系大丈夫?多様性終わってるよ?

ウサギ型モンスターとエンカウントしたからヴォーパルバニーにようやく出会えたかと思ったらアルミラージだしさぁ……。ヴォーパルバニーってレアエネミーなのか?

 

無言でただひたすら歩き続ける。ヴォーパルバニーにエンカウントしたくて声を出しながら進んできたが、そろそろ俺も学習した。大声出してもオークかゴブリンしか出てこない。まぁ戦闘を何回かしたことでそれなりにレベルアップもできたし、新しいスキルも習得できて無駄じゃなかったからいいけど。戦闘を挟んでいるので少しずつだがセカンディルへ着実に向かっている。元々の目的はこっちだからな。

 

「それでも一回くらいはヴォーパルバニー見てみたいのになぁ……」

 

そうして森の中を進んでいると何か音が聞こえた。

 

「いや……。音というよりは声?」

 

他のプレイヤーがいるのだろうか。

 

一応気配を殺しながら声が聞こえた方へ向かうと段々はっきりと声が聞こえてきた。

 

「もうポーション尽きちゃったし戻ろうよカズト~」

 

「いやここまで来たら最後まで行こうよ。アイテムの補給ならセカンディルですればいいじゃん」

 

そこにはおそらく魔法職なのであろうローブを着た「マリナ」という女性のプレイヤーと双剣を装備した戦士職のように見える「カズト」という男性プレイヤーがいた。モンスターじゃなかったようだ。じゃあ隠れる必要はないかと木の陰から出ようとした瞬間。

 

ガサガサ!

 

「きゃぁぁぁ‼」

 

「うおぉ⁉くっつくなよマリナ‼」

 

近くの茂みが揺れたことでビビったプレイヤーがもう一方のプレイヤーにくっつく。男性の方とは違って女性の方はゲームにあまり慣れていないのかね。

 

そして俺は出てきたモンスターを見て驚いた。

 

『ヴォーパルバニー』

 

あっれー?普通に出てきたぞヴォーパルバニー。他の人は普通にエンカウントしてんな。乱数か?乱数の女神の仕業か⁉あの邪神め……。

 

ヴォーパルバニーの見た目は赤いスカーフを巻いたグレージュ色の毛を持つ二足歩行ウサギ。だが一番目を引くのはそのウサギが持つ一本の出刃包丁。それはまるで血に染まっているかのような鮮やかな赤色をしており、そのウサギがなぜ()()()()()バニーと呼ばれているかを示すかのような―――

 

「わぁ!可愛いウサちゃん!」

 

「あっ!バカお前ッ!」

 

俺がこれまで人づてに聞いた情報が正しいなら、ヴォーパルバニーはプレイヤーをワンパンできる攻撃力があるわけで。

そんなモンスターに対してあの女性プレイヤーは警戒のけの字もないような様子でノコノコとそのヴォーパルバニーに近づいていった。んー言っちゃ悪いが死ぬなアイツ。

男性プレイヤーは引き留めようとしたが、もう遅い。そのプレイヤーは首をヴォーパルバニーに掻っ切られ、ポリゴンとなって爆散した。ほら言わんこっちゃない。警戒がどうの以前に後衛が前衛より前に出ちゃダメでしょ……。

 

そして残されたもう一方のプレイヤーはヴォーパルバニーと戦うしかないわけで。

 

「クソ……マリナの仇‼」

 

双剣を構えてヴォーパルバニーへ肉薄し、二閃入れようとしたみたいだが。

 

「キキュ」

 

ヴォーパルバニーに素早い動きで避けられて、切り返してからお返しと言わんばかりのカウンター。

 

「キィィッ‼」

 

「くっ……」

 

おー。なんとか攻撃を逸らした。さっきのプレイヤーと違って結構やるな。だがヴォーパルバニー側はその程度じゃ話にならないと言わんばかりの木なども足場として使った立体機動で翻弄。そして……

 

「グハッ‼」

 

さっきのプレイヤーと同じく首を斬られて死んでしまった。いい線行ってたんだけどなー。ヴォーパルバニー側は攻撃するときにフェイント混ぜてたよなあれ。フェイントに惑わされて生まれた隙を突かれたな。フェイントをあの精度で仕掛けられるとはな。モンスターに積んでるAIも上等なんじゃないか?コイツ初心者エリアに出てきていい奴じゃないだろ。

 

他人のエンカウントを横から取るようで悪いが、その他人はもうポリゴン爆散してしまったし、俺も30分くらいそいつ探してたから許してくれ。お前らの仇は討ってやるからな……!

 

ヴォーパルバニーは俺の存在にも気づいていたのか、すぐに俺の方を向いて俺のことを警戒している。俺の出方を伺っているのか?悪いが俺は少し試したいことができたからお前の方から来てくれ。

 

そんな意思が伝わったのか、ヴォーパルバニーはまたフェイントを交えながら接近してきた。悪いけどその動き一回見ちゃったからなぁ。こっちから来るんだろ?

 

俺は盾を構え、攻撃を真正面から受けるのではなく受け流す。そしてすぐさま胴に袈裟切り!

 

「キィ⁉」

 

俺に攻撃を対処されると思っていなかったのか驚きの籠った鳴き声で攻撃を食らい、吹っ飛んでいく。結構いいの入ったけど流石に一撃じゃ終わらないか。

 

それに今の一撃で確信した。こいつらは攻撃にフェイントを混ぜる知性がありながらも、何故か首だけを執拗に狙ってくる。確かに首などの急所を狙って攻撃を当てられるならその方が良いのだろうが、首への攻撃を防がれてしまうならば、体格差を利用して防ぎにくい末端部位から狙って削り殺すのがベストだと思うし、コイツの賢さならそういった臨機応変なこともしてくると思ったもんだが。ヴォーパルバニーの習性か何かだろうか。

 

「俺にこれだけ動きを見せた上に、狙う箇所は首限定。お前もう俺に勝てないぜ?」

 

「キィ‼」

 

俺の煽り文句のニュアンスが伝わったのか、ヴォーパルバニーはさっきより素早く激しい動きで攻撃を繰り出してきた。

 

「だから首だけ狙ってちゃダメだって!攻撃ルートの予測が簡単だ‼」

 

「シールドバッシュ‼」

 

クリティカルの音が鳴り響かせながら今度は真正面から攻撃を弾き返す。ヴォーパルバニーが怯んでるところに追い打ち‼

 

「スク―ピアス‼」

 

ゴブリンやオークをシバいたときに習得したスキル「スク―ピアス」

かなり威力が高く、取り回しやすいから結構好みのスキルだ。

 

ヴォーパルバニーの首元にスキル攻撃が炸裂し、ヴォーパルバニーはHPが尽きてポリゴンとなって消えた。あれだけ強いなら入ってくる経験値も多いわけで、また俺のレベルが上がった。

 

「そしてもちろん武器は落ちていないと」

 

これまた乱数の女神の仕業ですなぁ。ふざけんな畜生。

 

「絶対あの武器序盤だと強いだろ。このままセカンディルに向かおうと思ったが、ヴォーパルバニーを狩りまくってあの武器を手に入れるまでは行かん‼大虐殺(スローター)の時間じゃあ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれ程時間が経ったのだろうか。

 

ヴォーパルバニーを狩った回数はもう100回いったんじゃないかと思うくらい狩ったが、未だにあの武器は手に入れられていない。乱数の女神ェ……‼

 

「もう戦闘しすぎてレベルも14まで上がっちゃったし。戦闘には困ってないからステータスpt使わなかったけどステ振りするかぁ」

 

――――――――――

PN:ルシッド

LV:14

JOB:傭兵(片手剣)

2,900マーニ

HP30

MP5

STM45

STR20

DEX25

AGI40

TEC25

VIT5(15)

LUC20

 

装備

右:傭兵の片手剣

左:傭兵の小盾

頭:なし

胴:皮の服

腰:皮のベルト

足:皮の靴

アクセサリー

スロット1:なし

 

スキル

・スピンスラッシュ

・ナックルラッシュ

・シールドバッシュLv.3

・袈裟斬り

・タップステップ

・フラッシュカウンター

――――――――――

 

とりあえずステータスは結構均等に振ったかな。まあ序盤はそこまでステータス尖らせなくてもやっていけそうだし。あと特技剪定所(スキルガーデナー)で読んだ書のスキルも習得した。どれも癖が少なく、初心者が使いやすい実直なスキルだ。

 

「あとはあの武器さえ手に入れられたら心置きなくセカンディルに行けるのに……」

 

ここまで出てこないと乱数が云々じゃなくてそもそもドロップしないとか?そろそろプレイ時間も長くなってきたし、諦めてセカンディルに行くか……。

 

ガサガサ‼

 

「お。またヴォーパルバニーだ」

 

あの後ずっとヴォーパルバニーを探していたのだが、最初の30分はただ自分の運が悪かったみたいで、それなりの回数エンカウントできた。現にエンカウントできているからそこはいいのだが……。武器が出てこないんだよなぁ。

 

「すまんけど時短のためにさっさと畳むぞ」

 

「キッキュ‼」

 

あーはいはいまたそのフェイントパターンね。ステップ刻んで~、一回踏み込んで後ろに素通りしてからのココ!!相変わらず首狙うの好きだねぇ。

 

「シールドバッシュ」してから「フラッシュカウンター」の補正込みの「スク―ピアス」をクリティカルでプレゼント。ステータスが伸びたというのもあるが、ヴォーパルバニーの動きに慣れてきた。スキルを組み合わせてのブッパでワンパンできるようになってしまった。もうマジでさっさと次のエリアに進みたいんだが。別にあの武器を今手に入れる必要もないし、諦めて進むか~。

 

カランッ

 

「ん?」

 

音がした方へと目を向ければ、そこにはヴォーパルバニーが持っていた真っ赤な出刃包丁が落ちていた。

 

「やっとキタァァァァ‼」

 

これで未練なくセカンディルに向かえる‼てかこの諦めようとしたタイミングで出てくるのか。まあ結果的には手に入れられたからいいんだけどさ?もっと早く出てきてくれないかな。次は物欲センサーか?おん?

 

その武器を拾って詳細を確認してみる。

 

致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)

ヴォーパルバニーが持つ包丁。それは人という肉を切り裂き捌く武器であり、弱者が持ちうる武力の象徴である。

クリティカル攻撃に成功時、ダメージ補正が入る。

 

クリティカルで補正が入るのか。結構良い武器だな。少なくとも効果が何もない初期装備よりは強い。傭兵の片手剣と違って短剣型だが、これも片手剣としては使えないわけじゃない。しばらくあんたがメイン武器かな。

 

さてと。寄り道も終わったもんだし、本当にプレイ時間がそろそろヤバくなってくるから急いでエリア突破して、街でセーブしてさっさとログアウトしよう。

 

マップを確認してと……。ヴォーパルバニーを狩るために動き回っていたが、現在位置はセカンディルから結構近いな。

 

「よし!じゃあ行くか!」

 

そうして俺は跳梁跋扈の森を抜けて、マップに表示されている吊り橋の方へ向かう。そこに立ちはだかる存在も知らぬまま……。

 




スキル「シールドバッシュ」をレベル付きにしたよ。
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