緋弾のアリア 血濡れた銀狼   作:浅田湊

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山の翁

 目の前に拡がる光景。イ・ウー最強の一角の一人だった項羽先輩がこうも簡単に遊ばれている。

 信じられない。信じられる筈がなかった。

 相手が立花繚乱ならまだしも、直接表だって動く事が少なかった主任が相手なのだ。

 どうする。分かっている。動かなければならない事は。でも、身体がいう事を聞かない。

 本能が逃げろと告げている。あれには勝てないと。

 

「おいおい。二対一かと思えば一人は腰を抜かして矢がるのかよ。こりゃ、傑作だね」

 

「ここは私が足止めする。お前は為すべき事を為せ」

 

 横目で項羽は私に引いて別の場所へ行くように促す。まるで、ここはお前には力不足だと言わんばかりに。

 その瞬間、主任が動いた。当然だ。視線を逸らしたその隙をこの狡猾な男が見逃す筈がなかった。

 それに気付いた項羽も即座に柳葉刀で防ごうとするが間に合わない。肩を射抜かれる。

 これで右手が使えなくなった、左手だけではどうしようもない。

 

「身の程知らずのバカを庇わなけりゃ、ここで死ぬこともなかっただろうになぁ。覚悟も矜持も捨てちまった狗になんざ。恐ろしさの欠片もアリもしねぇのになぁ!」

 

『ざまぁないわね。山の翁の名を継いでいながらこのていたらく。本分を忘れたモノの末路ってやつかしら』

 

 どこからともなく声が聞こえてくる。それが自分の声だと気付くのには少しばかり時間を要した。

 山の翁としての本分。それは暗殺者だ。その技術を私は身に着けて来た。その為の修練を行って来たのだ。

 ならば、何を忘れたというのだろうか。私に足らないソレは一体、何なのだろうか。

 そう考えていると、意外な人物が答えを投げかけて来る。

 

「なるほど。そういう事か。だから、中途半端って訳か。掃除屋風情が暗殺者を気取るなんじゃ場違いにも程があるだろ。そりゃ、腰もぬかす訳だわなぁ。そもそも、戦う理由すらまともに持ってねぇんだからな!」

 

 戦う理由がない。そんな筈はない。

 私は自分の限界を決めたくなく、ここに参戦した。ソレの何がおかしいのだろうか。

 挑戦者であり続ける事が間違いだというのだろうか、一体、何が足らない。何が。

 

『じれったいわね。そんなの簡単じゃない』

 

 私の声で囁くソレは私に対し、こう告げる。

 あの男がはっきり口にしているじゃない、と。

 お前はいつから暗殺者を止めたのか、と。

 

『皆の為に殺すのが掃除屋。殺したいから殺すのは殺人鬼。依頼者の為に殺すのが暗殺者。山の翁は代々、主に遣えてその牙として奉公する。お前は一体どうなのかしら? 誰の為の牙になる』

 

 誰の為の牙。その言葉に私はすぐには答えられなかった。

 全てを捧げるに値する人間。私はそんな人間に出会えたのだろうか。

 教授。あの方は確かにすばらしい方だ。項羽もそうだ。それら全てを守りたいから戦う。それが理由ではダメなのだろうか。その考えは傲慢なのだろうか?

 

『傲慢ね。何かを守る為には何かを犠牲にしなければならない。なら、お前は最初から戦場に立つべきではない。山の翁を名乗るべきではない。お前はただの一里塚に戻るだけ』

 

「それもいいかもしれません」

 

 私はその言葉にそう返していた。

 私は私だ。他の誰でもない。私は私にしかなれない。

 もしも、私に山の翁を名乗る資格がないのならば――そんな物は捨ててしまえば良い。

 ここに立つのは武偵としての私。ずっとそんな風に考えていた。だからだろう。自然と山の翁としての私を遠ざけていた。東京武偵校に入学してからそれは更に強くなった。

 周りに溶け込む為と言い訳をしてきたが、ずっとそれを理由に逃げていたのだ。

 山の翁としての自分が嫌いで。普通という物に憧れて。その結果がこれだ。

 自分の持つすべてを否定した結果が大切な物を失うのだとすれば、それは仕方のない事なのだろう。

 私が山の翁失格なのならばそれでいい。私が一里塚になればいいだけだ。それだけの話だ。

 

「終わりだ。俺にはまだやる事があるんでな」

 

 主任の拳銃――M500が項羽を捉えた。

 発射されるのはマグナム弾。今度こそ、確実に息の根を止めるつもりだろう。

 そんな事をさせる訳にはいかない。引き鉄を引こうとする主任の手をダークで弾き飛ばした。

 

「ほぉ。先に殺されたい奴がいるようだなぁ」

 

「殺されるのはどちらか。試してみましょうか」

 

 これは試練だ。私が山の翁になる事が出来るかどうか。

 個に執着していた私が個を捨て去った先祖代々に勝てるかどうかは分からない。

 だが、先祖たちが辿った道が全て正しかったかどうかは分からない。

 火花が飛び交う。私が投擲したダークを全て主任が弾き飛ばしているのだ。

 なるほど。これは項羽が押される訳だ。この男、この状況下でも常に策略を張り巡らせている。

 それらを全て読み取り、こちらで動きを封じているからいいモノのそれらを力任せに突破するタイプの項羽が勝つには最初の一撃というハンデは大き過ぎたのだろう。

 恐らく、あの銃弾にも何かしらの仕掛けがあった筈だ。それを考えると現状はここを撤退するのがベストな選択しなのははっきりと理解している。だが、それ以上に目の前の男をここで仕留めておかなければ番狂わせが怒る事も理解してしまっていた。

 

「ちっ! さっきまでと纏ってる気配が変わってやがる。何をしたのかは知らねェがちと真正面から挑むのはヤバそうだな!!」

 

 主任が舌打ちするのも当然だった。

 ここまでの主導権を握っていたのは完全に主任だったのだ。それをいきなり覆されたのだ。

 しかも、相手は山の翁。ここまでその代々に渡るまでに忌み嫌われているその名を冠する由縁。その切り札を出して来ていないのだ。出来る事ならばそれを使われる前にどうにかしたいのだが、動けない。

 捨て身ならばどうにかなるのだが、相手は暗殺者。一撃を喰らえば負ける。そういう意味では項羽などと比べるべきもなく、やり辛い相手である事には変わりない。

 つまり、切り札を出させてしまえば対策がとれる。そう考えている事は私も読んでいる。

 

『咎討ち』

 

 ダガーの嵐が止んだ瞬間、主任の目の前から一里塚の姿が消えた。

 辺りには音もなく、おぞましい程の静けさが満ちている。

 そんな中、主任の右腕に血飛沫が舞った。苦痛で顔が歪む。だが、それでも主任は止まらない。

 肉を切らせて骨を断つ。いくら気配を完全に消す事が出来ても、身体に触れた瞬間だけはこちらも知覚が出来るからだ。そのチャンスを見逃さず、気配を断っていた一里塚の骨を貫き、肉を断った右腕を掴み取った。

 

「まさか、腕を壊されるとはな。だが、これで終わりだ!」

 

「残念。どうやら、私はまだまだその資格があったようですから」

 

 山の翁を継ぐ為には絶対的な条件がある。それは個を捨てる事。

 そして、新たな力に目覚める事。現代風に言うのであれば、超能力とでも言えばいいのだろう。

 先代の中には人格を切り離し、多くの姿を持っていたモノや心臓を破壊する程の呪いを持っていたモノもいるという。それに比べてしまえば私の導き出した答えは落第点なのかもしれない。

 ジャンヌのように氷を張り巡らせる力でもなければ、理子のように変装する力でもない。

 もっと、単純でありそれ故に恐ろしい力。『咎討ち』はその為のブラフ。間宮の用いる『鷹捲り』のコピーに過ぎない。幻想後転――理そのものを捻じ曲げ、後に投げたモノを先にぶつける。そんな暗殺者らしからぬ技だ。

 だが、重要なのはそこではない。理そのものを捻じ曲げてしまう事だ。それが故にこの技の恐ろしさはどんな超偵ですら凌ぐ事が難しいという事だろう。

 一度、彼女が放ってしまえば彼らが防ぐ前に到来する。

 先程投げ、到来していなかったダガーが主任の背中を幾重にも突き刺さる。

 数にして五十にも劣らないそのダガーの山に一里塚は一瞥する事もなく、項羽に肩を貸すと後にする。

 もしも、この時僅かでも主任を確認する事が出来れば彼にまだ息があった事に気付く事が出来たかも知れない。

 一里塚は項羽を抱えてビルを飛び出すとそのまま闇に塗れて姿を消した。

 優先すべきは項羽の治療。目的であった本陣。主任は動けない。やるべき事はやった。

 後は他の動いている人間に任せても問題ない。そう判断しての事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨今の界隈は随分と生温いらしい。一昔前はその程度の実力で大きな顔など出来なかったのだがな」

 

 ナタリアの実力は鬼塚の見立てでは中の下。その評価も当然だった。

 鬼塚が戦って来たのは有象無象の化物。本来ならば対等に戦う事すら不可能と言われていた超能力者や人外。そして、時代を作ってきた白鳥たちだ。

 今に比べれば荒れていた時代。殺し屋どもが闊歩し、闇に塗れその技を競い合った暗黒の時代。

 そんな時代を生き抜いてきた時代の敗者からしてみればこの程度、まだ生温い。

 常に死が隣り合わせだった。そんな前に進まなければ生き残れなかった時代に比べれば楽になったものだ。

 

「散華」

 

 まるで花が散るが如く。ナタリアの身体から血が飛び散った。

 だが、それでもナタリアは倒れなかった。

 ただ悠然と立ち続ける。その姿はどこかあの自分を負かしたあの女。立花を思い出させる。

 

「私は『人形』には興味がない。正義なんて物もどうでもいい。私は武装探偵よ」

 

 武装探偵。それだけの理由で立ち向かうか。思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 立花も私に相対した際にこう告げて来た。

 

「私が立花であること以外に理由が必要か」

 

 戦う理由に壮大さなど必要ない。

 必要なのは強靭な精神と覚悟。それを貫けるのならば単純な言葉以外には必要ない。

 あの時の私はそんな簡単な理由に敗れたのだ。それだけに油断ならない相手ではある。

 しかし、それ故に理解に苦しむ。ナタリアがこの事件に関わる由縁が見えない。

 武装探偵としてこの事件に関わる理由はない。この戦いに正義はない。

 それなのになぜ、戦う。どうして立ち向かう。理解に苦しむ。

 

「理解出来んな。もしも、名声が欲しいのならここにはそんな物は存在しない。勝ったものが正義。故にここは中立。お前のような人間が来るべき場所ではない。身の程を弁えろ。小娘」

 

 再び僅かに指を動かすとナタリアを圧倒しようとするのだが。それに対し、ナタリアは迷いなく足を踏み出した。止まる事無き猛進。一縷の迷いもない全身に鬼塚は言葉を失った。

 ここまで一方的にやられていながら、どうしてそこまで前に進む足を止めない。

 勝てないと。その実力差を分かっていながら、どうして前に進もうとする。

 理解に苦しむ。何故、どうしてわからないのだ。この先が地獄だと。

 

「身の程なんてとっくの昔に理解しているわよ。私が誰かを救おうなんざ出来やしない事だって事くらい分かってるわよ。正義とか悪とかそんな線引きなんてどうでもいい。正義なんてのにも興味がない。自分が狂犬と呼ばれている事だって知ってる。でも、それでも思い出せたものだけは否定させない」

 

 ナタリアの根幹はどこかで捻じ曲がってしまっていた。

 その心も、その願いも。いつしか、過程が願いになり、狂気になっていた。目的の為に力を求めたのにもかかわらず、気付けば力を求め本質を見失っていた。

 ナタリアは戦いを求めていたのではなかった。乾いていたのはその心だったのだ。

 本当は誰一人として傷付けたくはなかった。ナタリアが求めていたモノはすぐそばにあったのだ。

 ブチ。その音と共に細い鋼糸が引きちぎられる。

 

「誰かに感謝されなくてもいい。何もかもを取りこぼしてしまってもいい。最後まで足掻き続ける。私は武装探偵。誰かの――正義の味方なのだから」

 

「なるほど。公共ではなく、誰かの、か。ようやく理解した」

 

 ナタリアの本質、それは単純だ。

 どんな手段でも構わない。誰かが救われれば構わない。

 正義の味方。公共のなんていう詰まらないものではない。誰かの為。そんな甘い幻想。

 バカバカしい幻想。その筈なのだが、何故か鬼塚は笑えなかった。

 それどころか、その答えを認めてすらいた。

 知っているからだ。そうやって今も修羅の道を歩き続ける人間を。

 鬼塚の腕を奪った。全てを奪った女。立花桜花――あの女のその後を調べた限り、自らの信念を貫く為に己の全てを犠牲にした。その信念の為に己の血縁すら切り捨てた。

 それだけの覚悟を持ってその道を歩んだ人間を知っている。知っているのだ。

 ならば、ここで問うべきは一つだ。

 その覚悟。その入り口を開け放ち、進む事が出来る資格があるかどうかだ。

 

「なら、正義の味方。私を越えて見せろ。その信念が。その覚悟が本物であるのならば――」

 

 この先に進めば、お前はもう戻れなくなる。

 『人形』という存在を知ってしまえば、お前はいやがおうにも世界の闇に巻き込まれる事となる。

 それだけの闇があそこにはあるのだ。もしも、正義の味方を名乗るつもりなのならばそれは絶対に見過ごせないものだ。その悪意と裏側に立ち向かう覚悟があるというのならば、それを試すまで。

 絡新婦と恐れられた過去の亡霊である私を倒せないのであればその資格はない。

 この先にあるのはフィアナ=シュトレーゼだけではない。世界の裏側。悪意の巣窟。力だけが正義の世界だ。

 そこに光はない。生き延びる為にならばどんな手段も厭わない。そんな連中が蔓延る世界なのだ。

 

「越えられなければ、お前はこの先に進む資格はない。越えられないのであれば、関わる資格はない。お前達にはこの世界には不釣り合いだ」

 

「私も理解したわ。もう喰らわない。武器は鋼糸による縦横無尽の攻撃。分かってしまえばなんて事はない」

 

「実力差も理解した。そういう訳ではなさそうだな」

 

 その鬼塚の言葉にナタリアは苦笑いを浮かべる。

 理解はしているが立ちはだかるなら押し通る。そう言いたげな顔だ。

 それがナタリアの出した答えなのならば、ここでする事は決まっている。

 全力を持ってナタリアを排除する。弱者にその資格を持たぬ者にここから先、一歩でも進ませる訳にはいかない。それがロスアラモスの鬼塚でもなければ、絡新婦の鬼塚でもない。武偵校教師としての鬼塚千尋の答えだった。

 確かに鋼糸を引き千切られた事には驚いた。

 だが、そうされる可能性を理解してしまえば対処は容易い。

 

「舐めるなよ小娘。貴様はここで終わる。ここから先には進ませない」

 

 久しぶりだ。両手で糸を操るのは。

 片腕が義手になり、戦線を離脱してからはリハビリを兼ねて義手でしか糸を操る事がなくなっていた。

 お蔭で義手での糸の扱いも全盛期とまではいかないまでもそれに並ぶものにまで仕上がったのである。

 ここまでナタリアは鬼塚に与えた傷は零。それに比べ、ナタリアは全身ボロボロだ。

 一歩も動いていなかった鬼塚もナタリアに向かって走り出す。

 その光景にナタリアは驚愕の表情を浮かべるのだが、もう止まる事は出来ない。

 

「私の負けか」

 

 ナタリアの腹はズタズタに引き裂かれていた。

 理由は簡単だ。鬼塚は両手に鋼糸を巻きつけ、ナタリアの腹に叩き込んだのだ。

 ここまで受けたダメージが酷過ぎるのかもはやナタリアは断っている事すら難しい。

 だが、その薄れ行く意識の中で握りしめた拳を鬼塚に叩き付ける。

 もはや、殴るとも言い難いその弱々しい拳。避ける事は容易かったが、鬼塚はそれを避ける事はしなかった。

 

「執念だけは本物だったよ。まだ、実力は追い付いていないがな。せいぜい、足掻いて見せろ。血反吐吐いて這いずり回れば少しは追い付くかもしれん。覚えておこう。ナタリア・スティール」

 

 新しい煙草に火を点けると現状の戦況に大きく溜息を吐いた。

 戦いながら戦場に糸を張り巡らせ、情報を収集していたのだがどうやら主任が行動不能に一時的に陥ったらしい。だが、この様子だとまだ生きているのだろう。トドメを刺しておきたいのだがここからでは間に合わないだろう。それに本来の目的である『人形』の確保に関しても動かなければならない。

 

「さて、どうなることやら。奴が本物なら戻ってくると思うのだが、間に合うかな」

 

 フィアナ=シュトレーゼが死亡したとは鬼塚は考えていなかった。

 だからこそ、この戦場にも見事静観して見せると信じていた。

 

「早く戻って来い。そうでなければ、私が人形を潰すぞ」

 

 そう呟くと倒れ伏したナタリアに着ていた服を一枚脱ぐとそれをかけ、戦場の中心点。『人形』の追跡を再開する。残っている侵入者は三。イ・ウー。

 鬼塚は支援を吐き出すとゆっくりと『人形』を追いかける為に歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

『メールが届いています』

 

 通信を通して戦況を確認していた中空知のPCが誰も知らない筈のメアドにメールを受信した。

 当然、中空知はそれを不審に思う。だが、状況が状況だ。確かめない訳にはいかない。

 そう思い、ウィルスチェックを行うとそのメールを開くとそこには一言、『危険、そこから逃げろ』と書かれていた。このメールをどう読むか判断に困る。

 内容が内容。そして、今争っているのが国家権力である公安。

 別働隊がここを発見し、襲撃を仕掛けて来ないとも限らない。

 直接的な戦闘力がない以上、ここに留まる事は危険。だが、機器にデータを残しておけば向こうにこちらの情報をただで投げ渡す事になる。

 その狭間で悩んだ結果、中空知は通信機器を破壊してから動く事にした。

 もともと、こうなる事は想定済みなのだ。それなりの大作も行っている。

 僅かな操作で破壊出来るように安全装置も組み込んでいたのだ。何の問題も。

 大急ぎで作業を行っていると扉の向こう側で足音が聞こえた。

 数は四。まっすぐこの部屋の扉に向かっている。だが、問題はこの部屋から出る為にはその扉を通らなければならないという事だ。元々、項羽のセーフハウスとして機能していたのだが、彼女にとって奇襲はそもそも無意味であっただけにそういう脱出経路という物を考えられていなかったのだ。

 中空知はその極限の状況にどうするか頭を巡らせていると四はつの銃声が鳴り響いた。

 そして、ゆっくりと扉が開く。その先にいたのはバイオリンケースを背負い、M9の弾倉を入れ替える女性とその下に転がる四つの遺体だった。




主任VS項羽、一里塚は項羽が負傷したモノの一里塚の勝利となりました。
鬼塚VSナタリアの勝負は鬼塚の勝利。
次はジャンヌと人形を中心にしたいと考えています。
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