これでデート終了になります。
トーリはやっぱいい男ですね。あ、別にホモォとか、そんなんじゃないです。僕はノーマルです。
トーリはどこぞの警察官の人やどこぞの士官学院生とは違って唐変木じゃないので、ニヤニヤできますね、はい。
クレア姉可愛い。
あの後、俺が連れて行ったのはとあるレストラン。
そこのランチがとても美味しいらしく、デザートには特製チーズケーキがついてくるのだ。
無論。行かないわけがない。
「とても美味しいですね」
「だろー?口にあって良かった」
どうやら美味しく食べてくれたようだ。
俺も満足したし、なかなか良い店を見つけたみたいだ。
「あ、トーリ」
「んー?」
咀嚼中に喋るのはだらしないし、生返事で返す。
「ソース、付いてますよ」
「!?」
俺の口元に付いてたソースを。
人差し指で取って、そのまま口に運ぶクレア姉。
ちょ、なにしてんのっ!?
「…うん、美味しいですね」
思わず顔を隠してしまう。
……こういうこと平気でするんだから。
変なところ抜けてるよなー……。
「次はデザートだな」
「結局チーズケーキなんですね」
「ん。好きだからね」
運ばれてきたのは、これはまた見事なベイクドチーズケーキ。
これこれこれぇ……。この甘酸っぱい香りが良いんだ。焼きたてだなぁ……。
「…ふふっ、暴徒鎮圧部隊の第一線者が、チーズケーキを前に笑顔。威厳がありませんね」
「へいへい、どうせチーズケーキの前では子供ですよ」
わざと拗ねた感じでチーズケーキを口に運ぶ。
美味いなぁ……。
「美味しい……」
「後味もサッパリしてるな。これなら何個でもいけそうだ」
「貴方が言うと冗談に聞こえませんよ?」
「冗談じゃ、ないからねー」
ちなみに最大完食量は12ホールだ。
ま、その時点でスイパラ出禁食らったからそこで止まってるがまだいけた気がする。
と。そんなこんなしてるうちに。
「完食、っと」
「御馳走様でした。美味しかったですよ」
「そいつはよかった。誘ったかいがあったよ」
「お代の方は……」
財布を取り出そうとするクレア姉を止める。
流石に払わせたくない。
「いいっていいって。ここは俺持ちで」
「でも……」
「少しぐらいカッコつけさせろって。金なら幾らでもあるし。心配いらないよ」
「……では、ご馳走になりますね」
店を出る。時間ももう15時前か。
「ちょっと遅くなっちまったかな」
「結構ゆっくりしてましたから」
食事を終えた後も雑談で結構時間を使ってしまった。
あと少しもすれば太陽が沈み始めるだろう。
「それじゃ、次はクレア姉の買い物かな」
「そうですね。じゃあ、行きたいところがあるんです、そこに向かってもいいですか?」
「了解、んじゃ向かいますか」
クレア姉が行きたいところがあるらしい。
先導するクレア姉についていこう。
『いいムードだねー』
『まーったくだ。見てるこっちが胸焼けしそうだ』
『むむむ?もしかしてレクター羨ましいのー?』
『ばっ!?んなわきゃねーだろ!俺は孤高を気取る一匹狼で……』
『はいはーい。わんわんおー♪』
『……ばかにしてるだろ』
クレア姉に連れられたのは、雑貨屋さんだった。
いろんなアクセサリーや小物類が売っていて、見てても飽きない。
……折角だし、クレア姉に何か買ってこうかなー……
クレア姉は何か真剣な眼差しで商品見てるし、これは時間かかりそうだな……。
あ、これ良さそう。
俺が見つけたのは、薄青色のネックレスだ。
こういうシンプルなのはクレア姉に似合いそうだな。
「これ買お…。これください」
「いらっしゃいませー……おや、デートですかぁ?」
「あ、いや。そういうわけじゃ。一応姉弟なんで」
「あ、そうなんですかー。お二人共お似合いなのでカップルかとー。いいですねぇ美男美女での姉弟とか、憧れますねー」
「そ、そんなもんですかね」
「はい、どーぞ!包装しときましたよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございましたー」
……うん、なかなか良い買い物したな。
どうやらクレア姉も買い物終わったらしい。
外に出ると、夕日が沈みかけている。
綺麗な夕焼けが公都を照らしている。
「綺麗……」
「噴水と重なっていい味出してるなー……」
「公都も、もうすぐ夜ですね」
一日ってのは短いもんだな。
集合したのがさっきみたいだ。
「んじゃ、帰るとしますか」
「はい。そうですね…」
そのまま歩き出す、が。
一瞬でその空気が壊れる。
近くで悲鳴が聞こえたのだ。
「クレア姉!」
「ええ、声の音からしてそう遠くはないはずです。行きましょう」
俺達は声がした方へと走り出した。
『ちぃ……とんだアクシデント発生かよ。空気読めねぇな』
『どうするレクター、僕達も向かう?』
『いーや、止めとこう。俺が表沙汰って目立つのもいろいろと面倒なことになる』
『……そうだねー。ま、あの二人なら大丈夫かな?』
声のした方に向かうと、そこには膝から崩れ落ちた女性が。
「どうされたのですか!」
「鞄を取られて…!向こうの住宅街に逃げられて…!」
「物取りか……クレア姉」
「ええ、今すぐ追いましょう。あまり時間は経っていませんし、まだ近くに居るはずです」
「了解!」
俺とクレア姉は、その犯人が逃げたという住宅街にへと走り出した。
捜索をしていると、不審な男が女性ものの鞄を漁っているのが確認できた。
「そこまでです。貴方ですね、先程の婦人から鞄を取っていったのは」
「神妙にしな。悪いようにはしねぇ」
突然の声に驚いたのか、一瞬挙動不審になったが、俺達が二人だけということに安堵したのか、余裕な表情を浮かべる。
「けっ、正義の味方ごっこかぁ?わざわざ敵地に来るなんてご苦労なこった!」
男が声を上げると周囲から次々と男達がやってくる。
どうやら囲まれたらしい。
「見られたからにはただで帰すわけにはいかねぇな」
「おい!この女見ろよ!超当たりだぜ!」
「やりぃ!俺から最初な!」
「ふざけんな、俺からだ!」
「とりあえず、邪魔な男から片付けるか」
「さっさとくたばってくれよー?」
男達がぞろぞろと俺を囲む。
数は六人、か。
それよりも……
「おら!死ねやぁ!」
一人の男が俺に拳を振りかぶる。が。
振り返り間に、その男の顔を蹴り飛ばす。
男はそのまま壁に激突し、意識を飛ばした。
「んな!」
「なんだこいつ!」
「アンタらよ……クレア姉を、どうするって?」
殺気を溢れさせ、男達に詰め寄る。
「ばっ!ビビるんじゃねぇ!たかが一匹だ!人数で囲め!」
主犯格の男の言葉に一斉に動きだす。
だが。
避けてのカウンター、からの相手の勢いを利用して投げ飛ばす。
一瞬にして、六人の人数は主犯格の男一人になってしまった。
「もう一回、聞こうか……クレア姉を。どうするって?」
「ひ、ひぃ!」
腰が抜け、立っていられないのだろう。
だが、関係ない。
胸倉を掴んで、そのまま壁にぶつける。
息を吐き切り、呻きを上げる男。
「……窃盗、及び公務執行妨害で現行犯逮捕ですね」
「なっ……!お前ら一般人じゃ……!?」
呆気に取られてたクレア姉が、嘆息気味に呟く。
「良かったな。クレア姉がいなきゃ、お前らこの世にいねぇよ」
殺気で怯んだのか、意識を失う男。
戦場だったら瞬殺してたところだ。
「憲兵隊を派遣しました。後は任せましょう」
「……そうだな」
犯人を確保したあと、先程の婦人に鞄を渡し、帰路につく。
「あー……胸糞悪い」
「仕方ありませんね…、ですが、嬉しかったですよ?」
「……なにが?」
「私のために、動いてくれて」
一旦思考が停止する。
「え、あ、別にそんなんじゃ……」
ただ、あの時、本当に、街中でなければ殺していたかもしれない。
それぐらい、本当に腹が立ってしまった。
「それに、あんな奴らに負けるクレア姉じゃねぇだろ」
「ええ、ご心配には及びません」
それぐらいは、分かってた。
例えあの場所にクレア姉だけでも、容易に制圧することは出来た。
なのに……
「……凄くムカついた。それだけ」
「……ふふっ、そういうことにしておきます」
……そんな顔されたら、こっちも照れる。
あ、そうだ。
「クレア姉」
「…?はい」
「これ」
先程の雑貨屋さんで買った包装箱を渡す。
「これは…?」
「今日のお礼。中身は、後で見て」
照れくさくて、これ以上は言えなかった。
でも……
「……ありがとうございますね」
…その笑顔は、反則だ。
『うんうん、万事解決、だな』
『流石はトーリだねー。あっという間に制圧してたよー』
『ま。戦闘能力だったら子供たちの中で一番だろうからな。あれぐらいはよゆーだろ』
『レクター一度も勝てなかったもんねー』
『うるせーよガキンチョ。んじゃ俺らも帰るとしますかね』
『はいはーい』
やるじゃねぇかトーリ。
カッコよかったぜ。
『ママー、あのきぐるみ何か変な隠れ方してるよー?』
『しっ!見ちゃいけません!』
〜その夜〜
レクター「えらくご機嫌だねぇクレア」
クレア「ええ。トーリからネックレスを頂きまして」
レクター「へぇ、そいつはよかったな。お、なかなか似合ってるじゃねーか」
ミリアム「あーあ。僕もチーズケーキ食べたかったなー」
レクター「ちょ!お前!」
クレア「……どうして、チーズケーキを食べたことを知っているんですか?」
レクター「え。いや、その、ほら、あれだ…」
クレア「まさか。後をつけていた、とかは、ないですよね」
レクター「ま、まっさかー……なあ、ガキンチョ……」
ミリアム「そういえばあの雑貨屋さんで何買ってたのー?」
レクター「( ゚д゚)」
クレア「レクター?お話があります」ゴゴゴゴ
レクター「ひぃぃ!?」
ぎゃぁぁぁぁぁ……………
レクターさんが氷の乙女の拷問を受けたのは別のお話。
ちなみに、クレアは雑貨屋さんで6つセットのキーホルダーを買ったそうです。