そろそろ楽しくなってまいりました。
意外と人気なMちゃん、作者側からしたら複雑です。
ヒロインはクレアなんだから(二度目
俺の前にいる少女。
一本の居合刀を手に、俺の前に立ちふさがる。
「やっぱりストーカーだろ」
「だから違いますっ」
照れ隠しだろうか、刀を抜き出す。
「ちょちょちょ。冗談だって」
「………」
「無言で構えるの止めてくれ」
ちょっと虐めすぎたか。
反省しよう。
「んで、何の用だ?デートのお誘いか?」
「デ!?そんなわけ無いでしょうがっ!?」
うん。コイツ面白い。
「………どうしてここを?」
「ちょいと、不可解な事件があってね。何でも、共和国と帝国の拠点が同時に爆破されるっていうな」
「……なるほど。それで」
「まだ最後まで言ってないが?」
「だいたい分かります」
「んで?またやるのか?」
「私がここにいる。その意味で分かりませんか?」
「へいへい……んで、なんでそんなに俺に突っかかってくるんだお前」
「決まっています。貴方が天ヶ瀬を捨てたから」
「その割にはお前、俺に捨てた理由を思い出させるような言動だな。まるでもう一度天ヶ瀬を使えと言いたそうな感じだ」
これまでのアイツの台詞、どう考えてももう一度天ヶ瀬一刀流を使わそうとさせるような言い方だった。
「私は、貴方を超えなければならない」
「それが、自分の使命。とでも言うのか?」
「………」
「その沈黙は肯定。だな」
「理由はどうあれ、私と貴方は敵同士。ならば、刃を合わせる理由になる」
「否、それは違う。俺はお前と刃を合わせたいわけじゃない。戦う理由を勝手に作るな」
「……くっ、いいから刃を抜きなさいトーリ・X・アイゼンブルグ!私は、貴方を超える!」
縮地で距離を詰めてくるM。
……何故そこまでして俺に突っかかってくる。
「悪いが、お前と戦ってもいい。だが、お前の目的は達成出来ない」
「そんなの、分からない!」
横薙の一撃を防ぐ。
刀と刀が合わさり、火花が散る。
弾き返して距離をとる。だが、また縮地で距離を詰められる。
「そんなに俺を殺したいか」
「ええ、殺したい!貴方が憎い。それほどの力を持ちながら、何故振るおうとしないのか!」
距離を取っては鍔迫り合い、の繰り返し。
正面から来れば空蝉が来るのを分かっているのだろう。正面からではなく、死角からの攻撃に徹しているようだ。
「天ヶ瀬一刀流!螺雲!」
死角からの神速な斬撃。
攻撃を受け流し、軌道を逸らす。
「…!まだ!」
体制を立て直し、また納刀の構えをとるM。
「天ヶ瀬一刀流居合、凪風!」
「天ヶ瀬弐閃流、天鎚」
また死角。
だが、殺気から気配を探り、二本の刀を振り落とす。
捉え、相手の刀を下に叩きつける。
二本の刀の峰で相手の刀に叩きつけ、手の痺れを誘う技だ。
案の定、弾いて距離を取ったMの左手が痺れたらしい。
「言ったろ。お前の目的は達成出来ない、と」
「くっ……!!まだです!」
無理矢理左手に力を入れ、痺れを吹き飛ばす。
……あの執念、まるで五年前ぐらいの俺を見ているようだ。
力に溺れ、なおも力を求め続ける。
そして限界がきて精神が壊れ始める頃には、身体はもうボロボロになって、それでもなお戦い続ける。
そして、いつしか恐怖する。
このような残状を造り出したのは、誰なんだと。
自分が、この死体の山を造ったのだと。
「……」
「どうしました、戦闘中に考え事なんて随分余裕ですね!」
俺が着地した場所に亀裂が走る。
その攻撃を回避し、改めて少女を見る。
……若い。俺が言うのも何だが、年齢と精神は比例する。
どこまで強く成長できても、精神は育たないのだ。
そして、あの感情の昂りさ。
そろそろ、限界なのかもしれない。
いや、引き金を引くのは、恐らく俺だろう。
……どうすれば、彼女の精神を壊さずに済む。
「なぁ、M」
「っはぁ、はぁ…なんですか」
「前に、一刀流を見せてやるって言ったよな」
「どうせ、見せる気などないのでしょう」
「……その予定だった。見せたら最後、本当にお前を殺してしまうかもしれないからな」
「……私は、貴方を殺そうとしているのに、貴方は、殺すつもりで戦っていないんですね」
「あぁ。無益な殺生はしないんでな」
「……!巫山戯ないで!!私は!自分の全てをかけて貴方に挑んでいるんです!!なのに、手加減とかされたくない!」
「それは、お前の都合だ。俺は関係ない」
「……!」
「だが、気が変わった」
俺の周囲に黒い靄がかかる。
それらは火花を散らし、だんだん大きくなる。
「俺は見た通り、居合刀を持ってないんでな」
「な、何を……」
「取り出させてもらうだけさ」
黒い靄が集中しているところに手を突っ込む。
すると、何かが砕けたような音がし、中から一本の刀を取り出す。
「ここまできたら、もう後戻りは出来ない。お前が全てをかけているのであれば、俺もかけよう」
取り出した刀は黄金色に輝き、抜くと刃が黒く、刃から黒い靄が溢れている。
「神刀、フツノミタマ」
「しん、とう…」
「これが、俺の恐怖だ」
一振り。それだけで、周囲にあった岩が粉々に切り刻まれる。
よく見ると、刀から出た黒い靄が、鋭い刃となって岩を切り裂いていた。
「か、影……」
「俺は
俺が歩く度に、地面を斬っていく影。
少し歩くだけで、俺の足元には無数の切り傷が残る。
そして、俺の茶髪が黒に染まりかけ、目の色も黒になっているだろう。
身に着けているローブが風になびく。
そして、俺の身体から黒い影が溢れ、刀を鞘に納刀する。
「……それが、天ヶ瀬を捨てた理由…!」
「捨てては無いさ。弐閃流はなおも健在だ」
「そんな流派、存在しません…!」
「そりゃそうだろう。俺が作ったからな」
「……っ」
「本当はもう一本あって、それも使って初めて弐閃流になるんだが……どうもアイツは
「せ、性格……?」
「おっと、こっちの話だ」
改めて向き直す。
天ヶ瀬一刀流を駆使し、俺の前に立ち塞がるこの少女。
まだ若い。あと五年修行すればいいところまで行くだろう。
「さて、準備はいいか?」
「……っ!?」
俺からは得体の知れない感覚が出ているのだろう。
少女は呆然とし、やっとこっちに意識を向けることが出来たようだ。
殺気とも言えぬ気味の悪さ。
俺も最初は戸惑ったものだ。
「……【
「……上等、です。貴方をここで倒して、私の生きた証をここに証明する!」
「……いい覚悟だ」
影を更に溢れさせ、こちらも交戦体制に入る。
さぁて、久しぶりの居合だ。
「……
影の神刀を手に、ただ笑みが溢れるだけだった。
初めて物語で神刀顕現を使用しました。
神刀顕現については、また別の機会に書かせて頂きます。
やっと。本気を出すことにしたトーリ。
やはり、トーリとMは一悶着ありますね。
そのうち。この二人に決着つけさせないといけませんね。
何か質問等あればください。
可能な限りお答えします。
ご意見、感想お待ちしております。