平凡未満なわたしと、平凡じゃない錬金術士   作:#NkY

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舟を作って、クーケン島へ
平凡未満なわたしの、なんてことない前語り


 そもそも、世間一般でいう平凡な女子高生ってなんなのだろう。

 友達がいて、部活に入っていて、想いを寄せる人がいて。

 いわゆる、ほどよいセイシュン、とかいうやつ。

 

 そんなの嘘だ。世間は漫画とかアニメとかに毒されすぎだと思う。

 わたしの世界にそんなもの、ない。

 

 平日は学校、休日は家。

 なんにも興味を持てず。だれからも興味を持たれない。

 それがわたし、中平(なかひら)唯花(ゆいか)という人間だった。

 高校1年生の15歳。セイシュン真っ盛り、な年頃……って世間はラベリングする。

 

 中平って苗字はわたしにお似合いすぎるな、って思う。

 唯花って名前は……わたしには、重すぎる。

 

 こんな平々凡々な日々、どうにかして脱却したい。

 抜け出して、何か刺激的な経験、体験をしてみたい。

 でも、そのやり方がわからない。

 

 大抵、そういうのって、世間の「ほどよいセイシュン」から逸脱する。

 そうなると、普段は優等生で通している(というか通されてしまっている)わたしが、生きづらくなるのが目に見えている。

 

 優等生って、毒にならないと期待される人間に、勝手に貼られる称号――。

 わたしが起こした反逆は、部活に入部して1か月持たず退部したことくらい。その部活の空気感が、どうしても無理だった。

 

 それ以来、どんなことに対しても興味を持ててない。

 どうせ、また――そんな思いが、無意識に興味や好奇心を止めてしまう。

 あれからずっとそうで、これからもずっと、そうなんだろう。

 

 ずっと、そう、思っていた。

 そう思っていた、けれど。

 

 それこそ、漫画とかアニメに毒されすぎな出来事が起こったのだった。

 よりにもよって、こんなわたしに――。

 

 

 

 ある、夏休みの日。

 母親に買出しを頼まれて、自転車を近所のスーパーまで走らせる。

 裏の細い道路を抜け、大きな道路沿いを進み、スーパーで買い物をする。買ったものを自転車かごに入れ、来た道を戻る。

 何十回、何百回も通った道。代わり映えのない光景。代わり映えのない、平凡な行動。

 ただ、夏の猛烈な暑さがわたしを直撃し、汗を大量にかかせる。

 

 その帰り道、わたしは奇妙なものを目の端に入れた。

 裏道沿いにある、人気がない小さな小さな神社。まるで手入れもされていないような、忘れられている神社の境内に、ひときわ目を引く大きな木がある。

 そこの付近に、誰も見たことのないような、奇妙な門……みたいな、もの? が開いていた。紫色の神秘的で不気味なオーラに、渦巻く黒い空間。

 

 わたしに、「こちらに来い」、と言っているようだった。

 

 平凡未満の日々を送っていたわたしにとって、久々に興味を引かれるものが現れた。

 なにせ、こんなもの、15年の人生の中で初めて見たのだから。

 

 そこにわたしの意思はあったのだろうか。それとも、光に惑わされる羽虫のように、意思もなく誘引されてしまったのか。

 とにかく、わたしは自転車を付近に停め、その奇妙な門に近づいて――門に吸い込まれるような感覚がした後、意識が途切れた。

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