BanG Dream!×仮面ライダー詰め合わせ(になる予定) 作:湯豆腐に季節のエクレアを添えて~
今回の話で、祥ちゃんと朔くんの関係が一区切りつきます。
まだ、キバ編自体は続きますが・・・。
十五話、よろしくお願いします。
「・・・・・随分と、暴れてくれましたね・・・。黒瀬朔・・・」
「・・・・ビショップ・・・」
ようやく戦う気になったビショップを睨みつけながら、ハンマーを引きずって、彼へと近づいていく。
重厚な鎧が重くて、素早くは動けない。
ーーーけれど、負ける気がしなかった。
自分の持てる全身全霊の力で、ビショップへとハンマーを振るう。
「ふん・・・・」
ビショップは、それを鼻で嗤いながら、ハンマーを避けた。
最小限の動作で、わざと紙一重で。
僕の鈍重な動きを嘲笑い、ステンドグラスでできた鮮やかな剣で僕に斬りかかってくる。
それを、僕は籠手で強引に受け止めた。
分厚い紫の装甲と、剣が真正面から激しくぶつかり合う。
バチバチと凄絶な火花が散り、僕の腕に、骨が軋むほどの、とんでもない圧力が加えられる。
あまり屈強な武闘派には見えなかったけれど・・・・。
思っていたよりも、この男の格闘能力は遥かに強大だった。
・・・・流石、兄さんの側近だ。
「・・・・・っ!」
何とかそれに耐えながら、僕は籠手の角度を滑らせて、奴の鋭い斬撃を強引に斜め下に受け流す。
そのまま、空いた拳で、ビショップを吹き飛ばそうと殴りかかった。
直撃すれば、ただではすまないはずだ。
ーーーー直撃すれば。
「・・・甘いですね」
ビショップは鱗粉を纏い、その身を消した。
そのまま、その鱗粉が僕へと襲い掛かる。
バチ、バチ、チチチと、光の粒子が鎧に当たり続ける。
一つ一つは、そこまで強くない。
けど・・・・・。
「・・・・っ、目が・・・・っ!」
視界が遮られて、周りが見えにくい。
これじゃあ、何処にビショップがいるのか。
何をしようとしているのか、よく分からない。
「くそ・・・っ!」
僕は、何とかハンマーを振るい、光の粒を払おうとする。
ブンブン、とハンマーが空を切る音だけが虚しく響き渡る。
ーーーーそして、その隙を、奴が見逃すはずがなかった。
「・・・・ぐっ!」
僕の横腹にビショップの強烈な剣撃が容赦なく叩き込まれた。
以前のように、貫かれることはなかったけど、ひどく痛んだ。
けれど、骨の芯まで響くような衝撃に、僕の呼吸は激しく引き攣り、内部の肉体はひどく痛んだ。
あまりの衝撃の重さに、鎧の内側では確実に激しい打撲を負って血が滲んでいそうだった。
・・・・けど、そんなことを気にしてる場合じゃない。
僕はきつく歯を食いしばると、ベルトのキバットに向けて、ハンマーの持ち手を噛み合わせる。
キバットの声と共に、巨大なハンマーに、紫電が纏わりつく。
その紫電は、僕の意志のままに動いてくれた。
僕は、頭の中で命じ、雷をビショップの身体を縛るように操作する。
「・・・・ふむ。これは・・・・」
ビショップの身体を、紫電の檻が完璧に包み込んだ。
今度は避けられないように、幾重にも雷を重ねる。
何重にも、何重にも重ねてーーー。
そして、ハンマーに纏わせた雷で拳を作り出し、ビショップへと打ちつけようとする。
「・・・・・・ハアァァァァーーーーッッ!!!!」
僕は、魂の底からの大声と共に、ハンマーを全力で振り下ろし、その巨大な拳をーーー。
「・・・・はあ・・。学習しませんね・・・」
ため息と共に、ビショップの身体が光の粒子となって消えた。
幾重にも重ねた紫電の檻を通り抜けてーーー。
また、僕の視界を光の粒子が覆った。
ーーーそして。
「・・・・・終わりです」
目の前に、ビショップが現れた。
そして、僕の身体に、鮮やかな剣を真っ直ぐに、深く突き立てた。
・・・・今度は、至近距離で、諸に食らってしまった。
大きく吹き飛ばされてしまう。
変身解除はされなかったけど・・・。
身体中が痛い。
うまく動けない。
そんな僕を意に介さずに、ビショップは攻撃を続ける。
何度も、何度も。
逃げることを許さない速度で。
その剣を、僕に叩き込んでくる。
火花が散り続けーーー。
激しい轟音が周囲に響き渡り続ける。
鎧が頑強であるため、その剣が、僕の身体を貫くことはない。
けれど、衝撃で意識が飛びそうになる。
激しい、激しい打撃音が、何度も、何度も重なって。
どんどん意識がーーーー。
「・・・・・え・・・?」
途切れる前に、懐かしいメロディーが耳に届いた。
どこまでも温かくて。
どうしようもないほどに眩しくて。
それは、祥ちゃんの、彼女たちのーーー。
『悴んだ心 震える眼差し 世界で』
春日影の音・・・・。
『僕は ひとりぼっちだった』
『散ることしか 知らない春は』
『毎年 冷たくあしらう』
今、私たちはかつての5人で、私たちの歌を、春日影を奏でている。
その紡ぎ出される一音一音は、どこまでも懐かしくて、どこまでもあたたかい。
触れてしまえば、どこまでも、どこまでもその身を寄せていたくなる。
ーーーーずっと、この場所にいたくなる。
でも、違う。
違うのですわよね?
朔が私に伝えたかったことは。
私の手を引いたのは・・・。
皆と話をさせてくれたのは。
お父様を立ち直らせてくれたのは。
きっとーーー。
『暗がりの中 一方通行に ただただ』
あの雨の日の、彼の部屋の暗がりの中で、どこまでも身勝手に。
自身の愛を、ただひたすらに彼にぶつけた。
『言葉を書き殴って 期待するだけ』
忘れるように、忘れられることを。
ただただ、期待して。
彼に、睦に、初華に、寄りかかってーーー。
『むなしいと分かっていても』
虚しいことだと、ダメだと分かっていた。
それでも、止めれなかった。
『救いを求め続けた』
救いを求め続けた。
睦に、初華に。
ーーーそして、朔に・・・。
どこまでも眩しい、どこまでも懐かしい場所を求めるように・・・。
見ないふりをして。
忘れようとして。
ーーーけど。
『せつなくて いとおしい』
それでも、ずっと恋焦がれてーーー。
ずっと、それに心を預けていた。
ああ、だけどーーー。
『今なら、分かる気がする』
今、やっと、はっきりと分かりましたわ。
もう、CRYCHICはないのですわね。
だから、前に進もう。
ちゃんと終わらせよう。
『しあわせで くるおしい』
どこまでも幸せで。
どこまでも狂おしく恋焦がれていたこの場所に、別れを告げよう。
この、どこまでも美しい場所を、美しいままで。
彼が、私の手を引いてくれた。
その意味を、その意義を決して無かったことにはしないように。
今、目の前で、私たちの音を聞いている彼に届くように。
『あの日 泣けなかった僕を』
あの日、泣いていた私に。
涙を流すことさえ、罪だと思っていた私に。
ずっと閉じこもっていた私に。
ーーーそんな私に傘を差し出してくれた。
ーーー手を引いてくれた。
そんな彼に。
どこまでも、どこまでも届くようにーーー。
「・・・・・うん。聞こえたよ。祥ちゃん・・」
彼女の音が聞こえた。
聞こえるはずのない、遠く離れた場所で弾いているはずの彼女のキーボードの旋律が。
彼女たちの、どこまでも眩しくて。
どこまでも優しい、あの音が。
真っ直ぐに耳に届いた。
人間になりたいうた、が何処かで聞こえたように。
いや、それよりもはっきりと。
「何を、ごちゃごちゃと・・・っ!」
ビショップが、激情のままに、僕の下腹部に剣を突き刺そうとする。
きっと、キバットごと貫こうとしているんだろう・・・。
「キバット・・・っっ!」
「おうよ!任せとけ!」
僕の声と共に、キバットは叫び、大きく口を開ける。
ーーーーそして、
『ガチンッ!』
「・・・なっ!?」
「へへんっ!残念れひた~!」
ビショップの剣を、自らの小さな牙で真っ正面からガチリと噛み止めてみせた。
まさか、止められるとは思っていたのだろう。
ビショップの声は動揺に満ちている。
そういえば昔、キバットが自慢げに『俺の噛む力は、本気を出せば5t以上はあるんだぜ〜』とかろくでもない数値をボヤいていたのを思い出す。
咄嗟に頼んだけど、うまくいって良かった。
「・・・・ふんっ!」
僕は、そのまま、ビショップの身体を蹴り飛ばす。
今度は、避けることも、光の粒子になって消えることもなく、直に食らってくれた。
ビショップの身体が大きく吹き飛んだ。
「・・・・小癪な・・・・」
けど、ビショップはすぐに態勢を整える。
・・・・分かってる。
こんなのでは、効かないっていうことは・・・。
それだけじゃ、足りないってことは、分かってるんだ。
それでも、僕はもう目を瞑らない。
ちゃんと、前を向く。
進むために、勝つために、祥ちゃんのために。
だからーーーー。
『光は やさしく連れ立つよ』
太陽のように眩しい祥ちゃんに照らされるばかりじゃなくて。
僕が、祥ちゃんを月のような光で、ずつと連れ立つことができるようにーー!
僕は、力強く、それを一気に噛み合わせた。
青と緑のフエッスルを、順番に、でも素早く、しっかりとキバットへ噛み合わせる。
『雲間をぬって きらりきらり』
曇天の隙間から光が僕に注ぎ込むように。
僕の身体に力が漲っていく。
左手に、蒼狼の凶暴な装飾に、眩い黄金の刀身が特徴的な短剣が。
右手に、エメラルドグリーンの妖しい水生獣を連想させる銃が。
それらを強く握ると、僕の左腕と右腕が変貌する。
左腕は、狼の毛並みや牙を連想させる、極めて鋭利で野性的な群青色へ。
右腕は、魚の鱗のような、独特で美しい多層構造のディテールが施された、深い緑色へ。
胸部のプレートは、さっきまでと同じ、重厚なプレート。
頭部は、いつもの馴染みのある、黄色い複眼に変わっていく。
バラバラで、全部ぶち込んだ、そんな勢いに任せた姿だ。
だけど、それがどこまでも心強かった。
『心満たしては 溢れ』
心に沸き立つ思いのまま、僕はビショップへと駆け出す。
『いつしか頬を きらりきらり』
私は、自分の頬を流れる熱いものを強く感じながら。
彼を、朔のことを想い続けていた。
・・・朔?
私、もう大丈夫ですわよ?
だって、こんなに、こんなに。
今、あの日々のことを。
CRYCHICの日々を、こんなに強く、愛おしく思えて。
こんなに嬉しい気持ちで、今、私たちの歌を奏でられてーー。
『熱く 熱く濡らしていく』
僕の目から熱いものが流れ続ける。
祥ちゃんの、優しい、嬉しい気持ちを強く感じた気がしてーー。
僕も、それが嬉しくてーー。
水に満ちた地面で、水弾をビショップに強く撃ち続ける。
滑らかに、軽やかに滑りながら、ビショップを短剣で斬り続ける。
「図に乗るなぁぁぁーーーーっっ!!!!」
ビショップが、僕の姿を捉え、その剣で斬りかかる。
僕の命を刈り取るために、必死にーーー。
『君の手は どうしてこんなにも温かいの?』
あの時、私を連れだしてくれた朔の手は、どこまでも温かくて。
どこまでも優しくて。
傍で、私を照らして欲しい、そうずっと思えるほどに。
眩い太陽ではなく、どこまでも優しい月の光を、私はーーー。
僕は、そのビショップの剣を強く受け止めた。
胸の分厚い装甲で。
そしてーーー。
「・・・・・ふんっ!」
巨大なハンマーで、ビショップを打ち倒す。
ビショップの姿勢が大きく揺れたことを確認すると、すぐに、ハンマーに紫電を纏わせる。
それを、奴の四肢を縛る檻のように幾重にも重ねーーー。
「・・・・・なっ!?」
水を操って、ドームのようにして、ビショップを包み込む。
今度は、絶対に逃がさないように。
『君の手は どうしてこんなにも温かいの?』
祥ちゃん・・・。
あのね・・・。
僕、ずっと祥ちゃんに憧れてたんだ。
きっと、神様みたいに思ってたんだと思う。
でも、今は違う。
祥ちゃんの手は、あんなにも温かくて。
守りたいと強く思う程に、壊れそうで、か弱くて・・・。
だからーーー。
『ねえ お願い どうかこのまま 離さないでいて』
もう、貴方の優しい手を離したくない。
もう、二度と離さないでいて欲しい。
その温かい手で、私の手を握って。
ずっと、私の近くで、優しく照らして欲しい。
僕は、もう祥ちゃんを離さない。
何があっても、絶対に。
どれだけ祥ちゃんが苦しんでいても。
どれだけ拒まれても。
ずっと傍にいる。
僕の人生を、全部祥ちゃんにあげる。
そう強く想いながら、僕は、右脚に巻かれているカテナを解き放ち、一対の禍々しい翼を現出させる。
魔皇力を右脚に収束させ、高く、高く跳躍した。
そのまま、身動きが取れずに藻掻くビショップの脳面へ向けて、一気に垂直に滑空していく。
『ねえ お願い どうかこのまま 離さないでいて』
・・・・うん。
もう、絶対離さないからね・・・。
万感の思いと共に、僕はビショップに。
ーーー自身が最も信頼してる一撃_____ダークネスムーンブレイクを叩き込んだ。
「・・・・・・っ、がはあぁぁぁーーーーっっ!!!!」
叫び声と共に、ビショップの身体は、ひび割れ、砕け散りーーー。
「優牙様ぁあああああああああーーーーーーっっ!!!!」
最後に、兄さんの名前を叫び、鮮やかなステンドグラスとなって砕け散った。
静寂が戻った水面には、巨大なコウモリを象った、キバの紋章だけが残されていた。
それを静かに見つめながら、僕は力を抜いて、キバの鎧を解いた。
そのまま、目を深く閉じる。
さっきの、祥ちゃん達の歌を____CRYCHICが奏でた五重奏を噛みしめながら・・・。
「朔~!さっきの姿、凄かったぜ~!」
そんな僕の感慨に、気づいてか気づかずか、陽気なキバットの声が響く。
・・・・少しは、感慨に浸らせてくれても良かったのに・・・。
「名前、何て付けるかな~。ドガバキフォームとかどうだ?スゲェだろ?」
「はいはい・・・。うん、それで良いよ、キバット・・・」
本当に、このお喋りコウモリは・・・。
まあ、でもーーー。
「ありがとう・・・。キバット・・・」
「おう!」
本当に、僕には勿体ないぐらいの相棒だ。
僕がどれだけ引きこもって逃げていても、最後の最後まで、見捨てずに僕の傍についてきてくれたのだから。
・・・・・まあ、まだ問題は山積みなんだけど・・・。
ビショップを倒したら、本格的に兄さんも動き始める。
僕を消すために・・・。
それに、三角さんが何者なのかも分かっていない。
・・・・あの、ワインレッドのスーツの僕____紅朔についてもよく分かってない。
これから訪れるであろう未来への不安は、まだ、僕の心に鋭く襲い掛かって来る。
だけど、僕の口から出たのはーー。
「はぁ・・・。祥ちゃん達の歌、直接聞きたかったなぁ・・・」
何故だかよく分からないけど、聞こえたのは良かったとして・・・。
正直なところ、祥ちゃんの姿をこの目でしっかりと見たかったのが本音だ。
・・・・きっと、大丈夫だと思うんだけど・・・。
『・・・・そろそろ、代わってあげるね』
僕にそっくりな、あの男の_____紅朔の声が聞こえた。
どこか寂し気な優しい声。
その直後に。
僕の視界が、マゼンタとシアンのオーロラに覆われる。
ぐちゃぐちゃとした光景の中でーーー。
『まだ・・・、僕はこの世界に残るけど、君が、祥ちゃんと睦ちゃんを傷つけない限り、何もしないから・・・』
『・・・・だから、ゆっくり見届けて・・・。君の選んだ未来の結末を』
そんな言葉が聞こえたと思ったらーーー。
「・・・・あれ・・?」
いつの間にか、RINGの客席にいた。
「・・・祥子、祥子ぉ・・・」
隣では、祥ちゃんのお父さん____清告さんが、顔をクシャクシャに歪めて、子どものようにボロボロと大粒の涙を流して泣いている。
舞台では、皆が泣いてる・・・。
高松さんが泣いてる。
椎名さんが泣いてる。
長崎さんが泣いてる。
祥ちゃんが泣いてる。
睦ちゃんは、穏やかな笑顔で微笑んでいる。
皆、本当に、どこかすっきりとした顔つきで。
不安なんて。
確執なんて。
どこにもない。
「・・・祥ちゃん・・・」
祥ちゃんの顔は、どこまでも晴れ渡っていた。
あの雨の日から、ずっと見ることの出来なかった、祥ちゃんの心の底からの笑顔。
それは、僕がずっと恋焦がれていたーーー。
「・・・・祥ちゃんっ!!」
僕は、思わず駆け出した。
祥ちゃんの元にーーー。
その心に湧きあがり続ける、喜びと、親愛のままに。
ーーーそして、
そのまま、祥ちゃんを抱きしめた。
「さ、朔・・・?」
朔が、私を強く抱きしめた。
どこまでも強く、絶対に離さないようにーーー。
「・・・・・良かったっ!本当に、本当に・・・っ!・・・祥ちゃん・・・っ!」
大粒の涙を流しながら。
どこまでも嬉しそうに・・・。
言葉にならない想いを、私に伝えようとしている。
その彼の姿が、どこまでも愛おしくて、尊くてーーー。
私はたまらなくなって、彼のその綺麗な唇に向かって、自らの顔を寄せーーー。
「・・・祥ちゃん?」
涙を浮かべたまま、彼はキョトンとした顔で、私を見つめている。
・・・違う。
私が、彼に伝えたい思いはーーー。
そんな、浅ましい淫らな方法で伝えるものではないーーー。
それは、彼を貶めることになってしまう。
だから、私はーーー。
「本当に、大好きですわよ・・・。・・・朔」
彼の白くて柔らかい頬に向けて、自らの唇で、そっと優しく触れた。
激しい接吻ではなく、少し子供っぽい、そんな軽いーーー。
でも、私が彼に抱いた想いは、そんな風に伝えることが一番だっと思った。
どこまでも優しいあなたに感謝を。
ずっと寄り添ってくれていたあなたに親愛を。
そしてーーー、ずっと傍にいて欲しいという思いを。
それに乗せてーーー。
「さ、祥ちゃんっ!」
朔が頬を赤く染めて、激しく動揺している。
・・・今まで、もっと激しいことをしたことがあるというのに、耳まで赤く染めてーー。
それを見たら、愛おしさが胸から溢れ出して、私の唇から自然と笑みが零れ落ちてしまった。
私と朔の関係は、あの雨の日から歪なものに変わってしまった。
ずっと、彼に寄りかかってーー。
浅ましくも彼を求め続けてーーー。
だけど、今の温かい世界では。
また、彼と年相応の純粋なーーー
「ふふっ・・・」
「さ、祥ちゃん・・・?」
どこまでも温かい、そんな関係を築いて行ける。
そう、強く、強く信じることが出来た。
「・・・朔。・・・今度、デートに連れて行って下さる?・・・私の手を引いて・・」
そんな私の問いに、彼はーーー。
「うん・・・。・・・もちろん、喜んで・・・っ!」
私の手を両手で優しく掴み、どこまでも優しく微笑んだ。
月のように優しく、穏やかにーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
斯くして、少年_____黒瀬朔と少女___豊川祥子は。
美しい五重奏と共に、過去との決別を果たし。
手を取り合い、未来へ進むことを決めーー。
どこまでも、どこまでも一緒に、歩み始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・何で?
何で、祥が、朔の頬にキスしてるの・・・?
・・・何で、朔は、そんなに嬉しそうな顔をして、るの?
分かってたはずなのに。
朔が祥のことが好きなのは知っていたのに・・・。
ーーーでも、
朔は、私が苦しい時に一緒にいてくれて・・・。
モーティスも納得させてくれて・・・。
朔のおかげで、また、皆でCRYCHICをすることが出来た。
RINGに来る前に、朔が言ってくれた言葉のおかげで、私も、CRYCHICがもうないことを受け入れられたのに・・・。
『もちろん。睦ちゃんの頼み事も絶対守るから・・・』
・・・・朔は、私のお願いをなんでも一つ聞くって言っていた。
だから私は、演奏が終わった後で、あの言葉を朔に言おうとしてた・・・。
なのにーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん祥ちゃん
・・・・何で、いなくなっちゃったの?
何で、あんな男の手を掴んだの?
私じゃダメだったの?
ねえ、祥ちゃんーーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二人の少女を置き去りにしたままで。
第十五話の閲覧ありがとうございました。
祥ちゃんと朔くんが健全な関係になりそうです。
デートするんですって、良かったです。
・・・・最後の不穏な二人は・・・。
次話以降から大暴れしそうですね・・・。
十四話の時点の後書きでも書いていたのですが、キバ編は十五話では終わりませんでした。
一応、朔くんと祥ちゃんの話は、十五話で大体書けました。
・・・ただ、それ以外の話がまだ残っているため、キバ編は続けさせて頂きます。
あと、十四話の後書きで話していたガヴ編については見送らせて頂くことにしました。
(キバ編の内容ががっつり絡んでしまうため+ガヴ原作を見ていない方が、キバ編の内容が分かりにくくなってしまうため)
本当に申し訳ありません。
少し拙い所もありますが、生温かい目で見守って頂けると幸いです。
十五話時点での登場人物紹介などを投稿したら、十六話を投稿しようと思います。
今回の話で、一つの区切りとなりましたので、今までの話や今回の話の評価や感想を書いてくださると嬉しいです。
とても嬉しくなって、私のモチベーションが上がります。
・・・・このように、十五話をオーバーしてしまうこともありますが、これからもよろしくお願いします。