BanG Dream!×仮面ライダー詰め合わせ(になる予定) 作:湯豆腐に季節のエクレアを添えて~
『Vシネはもうやりません』
今の私「ウソダドンドコドーン!」
・・・少し寂しい気もしますが、今まで沢山、楽しませて頂いたので・・・、まあ・・・。
あと、今回の話で、もう一人の朔くんについてちょっと分かります。
自分が犯してしまった罪を数え続け。
自らの崩れた幻想を取り繕うために、数え切れないほどの屍を積み上げた。
もう二度と叶わない、彼女たちとの時間を夢に見て。
そして、今ーーー。
かつての自分と似通った過ちを、ある破壊者の誕生によって見せられている。
それは、最悪で最高のチャンスで。
僕は、彼女の手を。
親愛なる友人の、もう一つの人格の手を取った。
そしてーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「モーティスちゃん、もうすぐ、長崎さんが来るから。僕はーーー」
「やだ!行かないで!」
私は、離れようとする朔くんの手を力任せに引っ張って、引き留める。
すると、朔くんは、困ったように汗を滲ませ、必死に私を諭すように語り掛けてきた。
「モーティスちゃん・・。ただでさえ、長崎さんが今のモーティスちゃんを見ちゃったら、驚いちゃうかもしれないんだから・・・。僕までいたらーーー」
「い〜〜〜や〜〜〜〜っっ!!」
私は激しく頭を横に振って、朔くんの言葉を遮る。
もう、絶対離してなんかあげない。
離しちゃったら、また、どっか行っちゃうもん。
そんな私を仕方なさそうに見つめて、朔くんは座り込んで私の傍にーーー。
「・・・・ぁ・・・」
行こうとした直後だった。
朔くんが、身体をブルッと震わせて、頬を引き攣らせたのは。
そして、大慌てで、ドアへと急ごうとする。
「ダメッ!」
ガッと、朔くんの手を掴む。
すると、朔くんは、更に体を震わせた。
そして、足を交差させて、もじもじさせている。
しばらく考えた後、朔くんは口を開いた。
泣き出しそうな掠れた声で。
「・・・モーティスちゃん・・・」
「い〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜っっ!!」
「トイレに行かせて・・・?」
頬に汗を滲ませながら、そう言った。
「昨日の夜から行ってなかったから・・・。もう、限界だから・・・・」
そして、ドアへと手を伸ばそうとする。
「ダメッ!行っちゃやだ!」
それを、私は、咄嗟に掴んで、止める。
「モーティスちゃん、本当だから!・・・嘘とかじゃないから!本当に危ないから!」
「い~~~~っ!」
「『い~!』じゃないよ!早く離して・・・・ッ!」
「・・・・二人とも何してるの?」
少し冷ややかな、けれど困惑に満ちた女の子の声が響いた。
「あ、そよちゃんっ!」
「・・・長崎さん・・・」
朔くんと揉めていたら、そよちゃんが、部屋に入って来た。
ひどく困惑した顔で、私と朔くんの方を見ている。
どうやら、お家のお手伝いさんが案内してくれてたみたいだった。
突如として現れたそよちゃんの姿を見ると、朔くんは、キラリと目を輝かせてーーー、
「長崎さん!少しモーティスちゃんをお願い!それじゃあ!」
「え?・・・急に何ーーー」
そよちゃんが何か言おうとしていたけど、朔くんは、全速力でトイレへと駆け込んでいった。
直後、廊下の奥からバタン、と信じられないほどに力強いドアの閉まる音が響き渡る。
・・・・本当に限界だったみたい。
「・・・朔くんに悪いことしちゃった・・・・」
「・・・睦ちゃん、これ、どういうこと?」
そよちゃんが、私の方を訳が分かってないような顔で見ている。
そりゃあそうだよね。
いつも全然喋らない睦ちゃんが、こんな風に子供みたいに豊かに感情を爆発させて、しかも朔くんと部屋で転げ回っていたんだから。
「えっとね・・・。そよちゃん、その・・・・」
私は、そよちゃんに、睦ちゃんと私のことについて話し始めた。
昨日の夜までは、パニックで、ちゃんと話せなかったと思うけど。
朔くんが、一緒にいてくれて。
少し落ち着いて。
自分でも驚くほど、すらすらと話すことができた。
終始、そよちゃんは、戸惑ってたみたいだけど。
「・・・私は、睦ちゃんを守りたかっただけなのに・・・」
私は、お絵描きをしながら、そよちゃんと朔くんと話している。
睦ちゃんと私のことについては、朔くんがそよちゃんに説明するのを手伝ってくれた。
今も戸惑ってるみたいだけど、そよちゃんも何とか分かってくれた。
ーーーでも、
「黒瀬くん。これ、どういうこと?」
「あ、えっとね・・・。その、あの・・・」
「ちゃんと説明して」
「せ、説明したよね?」
「どうして、睦ちゃんがこんな風になったのか、教えて貰ってないけど?」
「そ、それは、僕も詳しくは分かんなくて・・・。というか、当たり強くない?」
「・・・当たり前でしょ。・・・前に黒瀬くんがやったこと思い出して」
朔くんは借りてきた猫のように小さく肩をすぼめている。
「・・・・こっちの僕も、似たようなことしてたんだね・・・」
「何?」
「あ、何でもないです・・・」
朔くんとそよちゃんは、仲が悪そうにひそひそ話をしてる。
「もー!そよちゃん!朔くんをいじめないで!」
「え、ええ?」
「あ、モーティスちゃん、僕は大丈夫だから・・・」
私の様子を見て、二人は、動揺しながらーーー。
「本当に、これ、どうなってるの?」
「え、えっと・・・。とりあえず、椎名さんや高松さん辺りに・・・」
まだ、ひそひそ話をしている。
「もーーーっ!ちゃんとお話聞いて!」
私の大声で、そよちゃんと朔くんは、身体をビクリと震わせる。
「今、大事な話してるんだよ!」
私は、足を踏み鳴らしながら、朔くんとそよちゃんの方に歩いていく。
「朔くん!そよちゃんが助けてくれるって話じゃないの!?」
「あ、うん・・・。そのはずなんだけどね・・、モーティスちゃん・・」
「・・・いや、私何も聞いてないんだけど・・・」
二人とも、全然頼りにならない。
さっきまで、あんなに頼りがいのあった朔くんは、気弱そうにしてるし。
そよちゃんは、力になってくれない。
「もう、二人とも知らない!お医者さんに電話する!」
私は、そよちゃんの近くにあった、携帯電話を取って、お医者さんに電話する。
二人が力になってくれないなら、お医者さんにーーー。
「もしもし!お医者さんですか!睦ちゃんが起きないんです!」
電話をして、お医者さんと話そうとする。
やっぱり、お医者さんは出てくれない。
無機質な待機音も流れない。
それでも、呼びかける。
『睦ちゃんーーー、何でーーースリッパにーー』
『モーティスちゃん。ーーーやっぱりーー』
全然、繋がってくれない。
それでも、何度も呼び続けて。
「もしもし。・・・モーティスちゃんですか?それとも、睦ちゃんですか?」
電話からお医者さんの声が響いた。
少し若い男の人の声。
聞き覚えがある声。
何故か、私のことを知っていて。
でも、そんなことは気にならなくて。
「あっ。お医者さんですか!・・・その、あの・・」
私は、ゆっくりと言葉を口に出す。
「本当は、私・・。バンドもギターも、睦ちゃんから奪っちゃいたいんです」
私の紛れもない本心を告げた。
睦ちゃんのために、私がしたいと思ってしまったことを。
「だって、苦しそうで・・・」
本当に苦しそうだった。
やっと、睦ちゃんが自分だけのものを手に入れたのに。
それが、睦ちゃんを苦しめていた。
「でも、それじゃあ、睦ちゃんが悲しむから・・・」
睦ちゃんは、そんなこと望んでないから、それは出来ない。
お医者さんは、少し躊躇った後、優しい声で答えてくれた。
「モーティスちゃん。・・・少し外に出てみよう。お日様に当たって、睦ちゃんのお友達と話そう。・・・そしたら、きっと睦ちゃんに気づいてくれる人がいるからね・・・・」
どこまでも優しそうで、どこか聞き覚えのある、私の全てを肯定してくれる声で。
私が今、胸の奥でどれだけパニックになっているのかを、見透かしてるみたいに。
その言葉の響きは、どこまでも温かくて。
お日様の光に包まれてるみたいに心地よかった。
「それで、その人たちと過ごしてみたら、睦ちゃんも起きてくれるよ」
心強い言葉を私に伝えてくれた。
・・・それが、何よりも心強くて。
「うんっ!・・・うん!お医者さん、本当にありがとう!」
私は強く頷いて、弾むような気持のまま電話を切った。
そして、朔くんとそよちゃんの方を向く。
「あ・・・っ。えっと、その・・・」
朔くんは、どうしてか、知らないけど。
耳元にスリッパを当ててた。
まるで、電話の受話器を使ってたみたいに。
「朔くん?何してるの?」
「あ・・・。うん。何でもないよ・・・」
朔くんは、気まずそうに、目を逸らした。
少し気になったけど、私は、すぐにそよちゃんに向き直った。
「そよちゃん!睦ちゃんのお友達・・・。立希ちゃんと燈ちゃんのところに連れてって!」
私は、そよちゃんの手を掴んで、必死にお願いした。
そよちゃんは、一瞬迷っていたけど。
優しそうな、心配しているような目で、私を見た後ーーー。
「後で、説明してもらうから」
「うん・・・。モーティスちゃんをお願い」
朔くんにそう言って、私を連れて行ってくれた。
朔くんは、一人だけ別のところに行こうとしてたけど・・・・。
そよちゃんと私で連行した。
そしてーー、
そよちゃんのバンドメンバーの子達がいるライブハウスに来てーー。
「やっば~!すっごい可愛いし~。はじめまして!」
そよちゃんのバンドのお友達のピンク髪の子に話しかけられている。
はしゃいでいる声とミーハーそうな雰囲気の子で、睦ちゃんが少し苦手そうな子だった。
スマホを片手に持ってて、私のことを好奇の視線で見ている。
私は、すぐに朔くんの後ろに隠れた。
写真撮られたりするのが嫌だったから・・・。
朔くんは、少し戸惑っていたけれど、そのままにしてくれた。
「で?何で、お前がいんの?」
「・・・それは、その・・・。モーティスちゃんが睦ちゃんを助けるために・・・。要さんを・・・」
「は?何言ってんの?」
「話すと長くなるので・・・。というか、僕に対する当たり強いね・・・。・・・いや、あんまり変わらないね・・・」
「はあ?急に・・・、何を・・・。って、何その似合わない恰好?」
「・・・あ、似合ってないんだ・・・。そうなんだ・・・」
朔くんは、気の強そうな黒い長髪の女の子____立希ちゃんに詰められながら、少し落ち込んでいる。
カッコいいスーツを似合わないって言われて、落ち込んでるみたいだった。
こんなにカッコいいのに・・・・。
でも、そんなところがまた可愛かった。
それに対して、立希ちゃんに文句を言おうと口を開きかけーーー。
その時だった。
近くにいた女の子に気づいたのは。
白い髪のウルフカットに、金色と銀色のオッドアイ。
さっき、朔くんが言ってた女の子だった。
その子は、感情がよく読み取れない表情で、口を開く。
「・・・・寝てる・・・」
「・・・・・ぇ・・・」
心臓が跳ねた。
私は起きてる。
寝てる・・・。寝てる・・・。
睦ちゃんのこと?
「二人いる」
私の事を見ながら、また、そう言った。
疑念が確信に変わった。
「睦ちゃんのこと分かるの・・・?」
「行かなきゃ、バイバイ」
私の問いに答えるよりも先に、彼女はライブハウスをそのままふらりと出ていった。
「待って・・・っ!お願い待ってよ!」
私は、睦ちゃんのことを助けてくれるかもしれないと思って、彼女を追いかけていった。
『あっ・・・。モーティスちゃん。ちょっと待って・・』
『黒瀬くん。そろそろ、どういうことか説明してくれる?』
『さっきの睦のこと・・・。説明して』
『わ、わぁ・・・・』
泣き出しそうな朔くんの声が聞こえたけど、それを気にする余裕はなかった。
「やっと、追いついた・・・」
私は、荒い息を整えながら、あの子に追いついた。
周囲の景色は、もうすっかり暗くなってた。
あの子は、駐車場の片隅に座り込んで、猫と戯れている。
「ね?名前は?」
「ん?猫?」
「・・・え?」
急いで、彼女の近くに来た私の問いかけに対して、彼女は、不思議なことを言った。
そのままの平然としたテンションで、一本の細い指で、近くにいた猫たちを指さしていく。
「猫。猫・・。猫・・!」
「違う!あなたの名前・・・」
「ふん?楽奈」
彼女は小首を傾げながらも、自分の名前を教えてくれた。
その不思議な感じが。
どこか心地が良かった。
そして、私の方にも指を差してくる。
私の名前を聞いてるみたいだった。
「モーティス」
「寝てるのは?」
「・・・睦ちゃん・・」
「ふーん」
やっぱり、この子___楽奈ちゃんは、睦ちゃんのことにも気づいてた。
でも、どこか他人事のような声だった。
・・・・実際に他人事なんだけど・・・。
本当に、睦ちゃんを助けてくれるのかな・・・?
「・・・ん?」
不意に、小さくて確かな温かい感触が私の足にそっと触れた。
驚いて足元を見下ろすと、一匹の小さな野良猫が、私のスカートの裾に気持ちよさそうにその体を何度も擦り寄せてきていた。
「モーティス・・・。気に入ったって」
楽奈ちゃんが呟く。
猫は喉の奥をゴロゴロと喉を鳴らしている。
その仕草が可愛らしくて。
私は、その子の身体を、手のひらでそっと撫でた。
思っていたよりもごわごわだったけど、温かくて、触ってみると気持ちよかった。
その子も、気持ちよさそうに私の手のひらに身を委ねてくれている。
こんなことをしている場合じゃないのは、分かってるけど。
今の雰囲気が、少し心地よくて。
そしてーーー。
『うん・・・。モーティスちゃんの所為じゃないよ』
『昨日の夜から行ってなかったから・・・。もう、限界だから・・・・』
『わ、わぁ・・・・』
朔くんの、心強くて、けど、少し抜けてる様子を思い出してーーー。
「ふふっ・・・・」
自然と笑みが零れていた。
睦ちゃんのためでも。
Ave Mujicaのためでもない。
私が、私のためだけの。
ーーーそんな穏やかな時間を過ごすことができた。
そして、今日は、私は楽奈ちゃんとライブハウスのロビーで過ごしている。
途中まで、朔くんが、私の変装と移動を手伝ってくれた。
たくさん歩いて、疲れちゃった時は、肩のハサミの傷跡の痛みなんて気にせずに、おんぶまでしてくれた。
その大きな背中に私を優しく乗せて運んでくれたりもした。
楽奈ちゃんが美味しそうにパフェを食べているのを見ながら、今日の朝のことを思い出して、自然に笑みが零れてしまう。
睦ちゃんは、まだ起きてくれないけど・・・。
でも、少しだけ気が紛れた。
『・・・僕、ハサミが肩に刺さっても、近くにいたのに・・・。・・・昨日、会った楽奈ちゃんにベッタリになっちゃってる・・・』
『え、あ、大丈夫そう?』
『うん。大丈夫・・・。・・・というか、椎名さん、優しいね』
『私を何だと思ってーーー。何、その顔?』
『いや、こっちの僕は、嫌われてないんだな・・・って』
『何のことか分かんないけど・・・・。まあ、お前自体には、特に悪いところとかないから・・・』
『・・・・そっか・・・』
『それで、どうすんの?睦のこと?』
『それはーーー』
朔くんは、立希ちゃん達と何だかよく分かんないことを話している。
けど、朔くんは、私が楽奈ちゃんにばっかりベッタリとしているから、ヤキモチを妬いてるみたいだった。
もう、そんなに拗ねなくても良いのに・・・。
朔くんのことをどうでも良いなんて思ってないよ。
初めて会った夜から、私にとって朔くんはーーー。
なんて、思っていたら、
「ギター、弾く」
楽奈ちゃんがそう言って、私にギターを見せてくれた。
ちょっとボロボロだったけど、大切にしてることが分かった。
「・・・わぁ!」
それが、すっごく素敵だなぁと思って、私の唇からは自然と笑みが零れていた。
楽奈ちゃんがその小さな指先でギターを掻き鳴らす。
楽しそうで。
自由で。
すごく、すごーく、凄かった!
心の奥底から聞いてた、睦ちゃんのギターとも違ってて。
それで、それでーーー。
「歌ってる」
一瞬、私の意識が途切れたと思った次の瞬間、その言葉が、口から出ていた。
その声音は、静かで。
聞き覚えがあって。
「・・・睦ちゃん?」
間違いない。
私が、この世界の誰よりも大好きな、睦ちゃんの声だった。
「睦ちゃん!睦ちゃんが起きた!」
私は、興奮のままに声を上げて、飛び跳ねた。
呆然としている周りの皆の視線も余所に、自分の意識の引き金を深く、深く引き絞る。
ーーーーそして、そのまま、睦ちゃんに会いに行った。
心の中の世界で、私は睦ちゃんを探す。
暗い部屋の中を探す。
今までは、ずっと見つからなかったけど、今回はすぐに見つけることが出来た。
睦ちゃんは、可愛らしいお人形の姿で、テレビの前に座っていた。
「睦ちゃん!良かった・・・」
私は、睦ちゃんに涙ながらに抱き着き、温もりを確かめるように強く腕を回した。
本当に、死んじゃったかと思ってた。
だけど、ちゃんと起きてくれた。
ちゃんと、生きてた。
それが、すごく嬉しかった。
ーーーけど、睦ちゃんは、何も話さない。
私の方を向いてくれない。
ずっと、テレビの方を向いてる。
テレビで、楽奈ちゃんがギターを弾いてるのを見てる。
「・・・・・・・・」
私の中で、ほんの少し嫌な感情が湧き出そうになった。
すぐに、それを振り払う様にして、私は、手元のリモコンで、テレビの電源を切った。
「・・・・・ぁ・・・」
睦ちゃんは、やっと気づいてくれたのか、小さく声を出して、私の方を見てくれた。
「睦ちゃん。ずっと起きなかったんだよ!お医者さんに相談しても起きなくて大変だったんだから!」
私は、睦ちゃんの顔を覗き込みながら、そう言った。
少しだけ拗ねたような声音で、少しだけ不満をぶつけた。
確かに、睦ちゃんに傷ついてほしくなくて。
眠って欲しかったけど・・・・。
こんなにずっと起きなかったから、心配で心配で仕方がなかった。
「・・・・ぅ・・・」
睦ちゃんは、下を向いて、消え入るような声で小さく呟いていた。
その小さな肩が、どこか申し訳なさそうに微かに縮こまっている。
「でも、これで睦ちゃんがギター弾いてくれたら、バンドも元に戻るね」
睦ちゃんが戻ってきてくれたことが嬉しくて。
私は、睦ちゃんに向かってそう言った。
睦ちゃんも、バンドが元に戻ったら安心してくれると思った。
「・・・・ぇ・・?」
けど、睦ちゃんは、私の言っていることが分からないかのように、小さく声を漏らした。
寝ていたから、何が起きてたか分かんないみたいだった。
急に全部教えちゃったら、睦ちゃんがショックを受けちゃいそうだったけど・・・。
躊躇いながら、私はリモコンを操作して、テレビに映像を映そうとする。
ほんの少しだけ。
都合よくかいつまんで・・・。
そう思ってたんだけど・・・。
パチリ、と。
私の意志とは無関係に、テレビが急についてーーー。
『Ave Mujicaの終幕とさせて頂きます』
『いやあああああああああああああああああああああああああああぁあぁあああああ!!』
Ave Mujicaが解散した日のことが、画面の奥から溢れ出た。
『だから、私は祥子ちゃんが嫌い』
『ねえ、知ってる?朔くんね。本当は祥子ちゃんよりも、睦ちゃんが好きなんだよ?』
それだけじゃない。
ドームの裏手で私が祥子ちゃんと話した時のことも映し出された。
祥子ちゃんの傷ついた表情もいっしょに。
そしてーーー
『・・や、だ・・。もう、嫌だ・・・。近づかないで・・・』
『知らないって言ってるでしょ!!』
顔を涙でぐしゃぐしゃにした朔くんが、私を突き飛ばした時の光景がーーー。
『モーティスちゃん、大丈夫だから。・・・睦ちゃんはーー』
『うるさいっ!』
私が朔くんに木箱を投げつけて、ハサミが朔くんの肩に突き刺さった時の光景が映し出された。
それらを映し終えると、テレビの画面は、砂嵐に覆われる。
「・・・祥。・・・朔・・・」
睦ちゃんは、驚いてるような声で、小さく呟いている。
辛そうで。苦しそうだった。
・・・・ここまで、見せるつもりはなかったのに・・・。
睦ちゃんを元気づけようと、私は口を開く。
「大丈夫。怖いことからは、私が全部守ってあげる。だから、睦ちゃんは、安心してギターを弾いて。それで、朔くんとーーー」
「どうして、あんなことしたの・・・?」
睦ちゃんが、絞り出すようにそう言った。
そして、可愛らしいお人形の姿のままで、私の方をじっと見る。
「・・・ぇ・・・?」
「任せて、って言ってたのに。・・・私のしたいことしてくれるって言ったのに。祥や朔のこと守ってくれるって言ったのに」
「・・・こんなのひどい」
「祥は、どこ・・・?」
あんなに、祥子ちゃんの所為で苦しんだっていうのに、まだ、睦ちゃんは祥子ちゃんのことを気に掛けてーーー。
また、睦ちゃんが、自分勝手な祥子ちゃんの所為で苦しめられると思って・・・。
・・・それが嫌で・・・。
「ダメ!」
いつの間にか、さっきのライブハウスに戻っていた。
周りの皆が私の急な絶叫に驚いている。
でも、そんなの気にならなかった。
「睦ちゃんは、何にも分かってない!」
私は声を張り上げる。
睦ちゃんに言い聞かせようとする。
だけど、私の意識は、途切れ途切れになってーー。
どんどん、睦ちゃんが外へとーーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
早く、祥のところに急がないとーーー。
私は、モーティスを押しのけて、表の意識へと這い上がった。
さっきのモーティスが見せた光景が、信じられなくて、信じたくなくて。
でも、ちゃんと知りたくて。話したくて。
祥の所に歩こうとする。
「お願いだから、祥に会わせて」
モーティスにお願いする。
けどーー、
「ダメ!」
モーティスが私を押しのけて表の意識へと出てきた。
大きな声で叫ぶ。
それでもーーー、
「祥と話がしたいの・・・」
「ダメだって言ってるでしょ!・・・祥、祥って、そんな睦ちゃんなんてーーー!」
階段から転げ落ちた。
身体が悲鳴を上げ、全身に激しい痛みが走った。
でも、そんなの気にならなかった。
それよりも、ずっと胸が痛くて。
私は、モーティスに反論しようとする。
けど・・・。
「大嫌い!」
それは、モーティスも同じみたいだった。
「祥子ちゃんが、変なこと言ったから、睦ちゃんも朔くんも危ない目に遭ったんだよ!」
「それに、そもそも、睦ちゃんが傷ついた原因は、祥子ちゃんでしょ!」
興奮した様子で、叫んでいる。
私に、有無を言わせないような口調で。
「・・・・違う!・・・私が、壊しちゃったから」
「睦ちゃんじゃなくて、祥子ちゃんが壊したんでしょ!全部、全部・・・・っ!」
違う、私が、全部・・・。
CRYCHICを祥が辞めるって言った時に、皆に酷いこと言ったから。
上手く伝えられなかったから。
祥に、傘を差し出せなかったから・・・。
「・・・祥と朔に、あんな顔・・・、させたくなかった・・」
さっき見た、祥と朔の顔が頭に過る。
すごく傷ついてた祥の顔に。
涙でぐちゃぐちゃになっていた朔の顔。
優しい二人に、あんな顔させて、何の力にもなれなくて。
だから、モーティスが、私の代わりに、二人を守ってくれるって言った時、任せたのに・・・。
「・・・どうして、壊したの・・?」
「睦ちゃんが、会いたくても。祥子ちゃんは違う!・・・・あれから一度だって会いに来てくれなかったじゃないっ!」
「CRYCHICが壊れたから。だからーーー」
「もう、祥には、ムジカしかないのに・・・。手を差し出してくれてたのに・・・。気遣ってくれてたのに・・・」
「あんなの、ただの気まぐれに決まってる!そうじゃないなら、なんで来てくれないの!」
モーティスが、私に対して叫んでる。
けど、私も、モーティスに分かって欲しくて。
祥に会いたくてーーー。
お互いが主導権を奪い合って、現実の肉体の唇から、何度も、何度も言い合った。
けど、モーティスも、もっと大きな声で叫んで。
『あれ?あの子、Ave Mujicaの』
『マジ?何かの撮影?』
『私も撮っとこ』
気づいたら、人が集まっていた。
シャッター音と、動画を回している人たちの声が聞こえている。
好奇の視線と声音が耳に鳴り響く。
「睦ちゃん!」
「・・・っ!」
私を呼ぶ、切実な二つの声と、地を蹴る足音が、私に向かってくる。
そよの声に。
朔の声。
急いで、階段を下りてきてくれている。
「撮らないでください!・・・・撮らないでください!」
「睦ちゃん!大丈夫だからっ!大丈夫・・・」
そよが、私に向かってそう言ってくれている。
今日、朔に説明されたばかりなのに、こんなに私のことを心配してくれている。
前に、あんなに・・・、酷いことを言ったのにーーー。
朔も、私の姿を周りの人から隠すように、包み込んでいる。
それで、私の背中をさすってくれている。
けど、シャッター音と周り人の声は消えなくてーー。
そしてーーー。
パチンッと指を鳴らした音がしてーーー。
次の瞬間、私の視界は、マゼンタとシアンのカーテンに覆われた。
パチン、と響いた、指パッチンの残響と、視界を優しく覆いつくしたマゼンタとシアンのオーロラ。
それらの光の渦が、静かに掻き消えたと気づいた時、私は、見知らぬ路地裏にいた。
そして、朔に抱えられている。
お姫様だっこのような姿勢でーーー。
「・・・・朔・・・?」
「うん・・・。睦ちゃん・・・」
見上げた先、朔が私の顔を見つめながら、微笑んでいる。
私を安心させるように。
どこまでも優しい表情で。
いつの間にか、日が暮れていた。
夜空に月が浮かんでいる。
そして、その澄み切った光が、薄暗い路地裏に差し込んでくる。
「大丈夫、大丈夫だよ。睦ちゃんは悪くないから。・・・・今は、少し休んで?」
どこまでも優しい声で、そう言ってくれている。
私の髪を、温かい手のひらでそっと愛おしそうに撫でながら。
その優しい声が、その表情が。
空に浮かんでいる月みたいに私を照らしてくれているみたいで・・・。
祥と話さないといけない。
朔ともーー。
けど、その焦燥は、朔から伝わってくる安心感とぬくもりで塗り替えられていってーーー。
「大丈夫、大丈夫だよ・・・。全部、上手くいくからね・・・」
その優しい声と共に、私を瞳を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お休み。睦ちゃん・・・」
僕は、抱きかかえている彼女が、完全に深く眠ったのを確認した後、夜霧の路地裏で静かにそう呟いた。
今、彼女は僕の胸元に顔を埋めながら、すやすやと穏やかな寝息を立てて眠っている。
モーティスちゃんも起きてこない。
・・・少しは、安心してくれたんだろうか・・・?
僕は眠っている彼女の薄緑色の髪をそっと撫でながら、そのことに対して、ほんの少しだけ安堵を覚える。
・・・自分で仕向けておきながら、いざ、あの状況を目にしてしまうと。
どうしても、動かずにはいられなかった。
もう少し、睦ちゃんとモーティスちゃんのことを周りの人に撮らせて、祥ちゃんやこっちの僕を動かそうとしたんだけど・・・。
・・・・上手くいかないものだ・・・。
それどころか、あんな大衆の前でオーロラカーテンを使ってしまう始末・・・。
「・・・・はあ・・・」
「あらぁ~?一体どうしたのかしら、そんなに深いため息をついちゃって~?」
「うわぁ!?」
そんな風にため息をついていたら、耳元で声がした。
妖艶で、どこか悪戯っぽい女の子のような高い声。
慌てて視線を向けたその先、夜霧の空間がマゼンタに歪み、そこからパタパタと羽ばたきながら一匹の奇妙な生き物が姿を現した。
白と妖しい紫色でその小さな身体を彩り、ルビーのような一対の紅い瞳を輝かせている、お喋りな雌のコウモリ。
キバ―ラ。
僕のかつての相棒の妹だ。
ーーーー正直に告白すれば、彼女が僕に引き合わせた『鳴滝』という男と同様に、このコウモリのことも私はこれっぽっちも信用などしていなかった。
けれど、オーロラカーテンを使えるようにしてくれたのは、他ならぬ彼女。
無駄に敵対することは避けたい。
「何かな・・・?」
「さっき、派手にカーテンを使ってたわよね~?」
「・・・・・・・・・」
「別に良いわよ~。ちゃんと、後で働いてくれるなら」
「もちろんだ。約束は守るよ」
あくまでも、ビジネスライクな関係性である。
それ以上でもそれ以下でもない。
僕が、こちらでやりたいことが終わったら、あちらの要求もーーー。
「あ、そうそう。ファイズと響鬼の子が、貴方に対してあんまり良い印象持ってないらしいから、気を付けてね~」
「は?ちょっと待って、あの人たちに邪魔しないように言ってーーー。っていないし・・・」
気づくと、すぐにいなくなっていた。
本当に、掴みどころのないコウモリだ。
・・・あの二人に関しても、まるで分からないし。
こっちの僕と世界の狭間で初めて会った時、オーロラカーテンの先にいた、僕と同じ『仮面ライダー』と呼ばれる人たち。
正直、僕は仮面ライダーの定義もよく分からないし。
何故、自分が仮面ライダーというよく分からない括りで表されているのかも知らないけど・・・。
そんなことを理解しようとする気はない。
・・・・ただ、自分がやらなけらばならないことをするだけだ。
祥ちゃんと睦ちゃんのために。
さっき、睦ちゃんのパニックの様子は、SNSのトレンドへと急速に這い上がってきているはずだ。
あの映像が、こっちの僕のスマホの画面に少しでも引っかかれば、きっと彼も動こうとするだろう。
・・・・かつての僕がそうであったのだから・・・。
もし、動かなくても、僕が代わりに動けば問題ない・・・。
一先ずは、長崎さん達に連絡して、筋書き通りに動いてもらおう。
そう思いながら、僕はスマホを取り出し、長崎さんの電話番号に電話を掛け始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『祥子ちゃんが、変なこと言ったから、睦ちゃんも朔くんも危ない目に遭ったんだよ!』
『それに、そもそも、睦ちゃんが傷ついた原因は、祥子ちゃんでしょ!』
『もう、祥には、ムジカしかないのに・・・。手を差し出してくれてたのに・・・。気遣ってくれてたのに・・・』
『あんなの、ただの気まぐれに決まってる!そうじゃないなら、なんで来てくれないの!』
手のひらの中で冷たく光るスマートフォンの液晶画面。
そこに流れている動画の中で、睦とモーティスが言い争っていた。
苦しそうに、辛そうに。
人格を切り替えながら、睦は私のことを擁護しようとしてくれている。
モーティスが、私のことを非難している。
ーーそれでも、睦は、私を庇おうとしてくれている。
その必死な様子がーーー。
『何かの演出?』
『ムジカ復活ある?』
大衆の見世物のようにされている。
どこまでも、どこまでも私の所為で。
私の所為で、睦が苦しんでいる。
そしてーーー、
『睦ちゃん!』
『・・・っ!』
そよと朔が、睦のことを気に掛けて、駆け寄ってくる。
周囲の人達に、撮らないように、必死に呼びかけ。
睦の背中をさすり、優しく声を掛けている。
そして、
パチンッという、指パッチンの音ともに、映像がマゼンタとシアンのカーテンに覆われた。
そこで、動画は終了している。
最後の映像については、正体不明の現象としても話題になっているが・・・。
演出として捉えている人たちが多いようだ。
「・・・睦、朔・・・っ」
私はもう、内側から溢れ出す焦燥と罪悪感に居ても立ってもいられなくなり、震える膝を立てて立ち上がろうとした。
早く、二人の元へ。
二人に謝って。
二人を助けようとーーー。
そう思ってーーーー。
けれど。
『だから、私は祥子ちゃんが嫌い』
『ねえ、知ってる?朔くんね。本当は祥子ちゃんよりも、睦ちゃんが好きなんだよ?』
『睦ちゃんじゃなくて、祥子ちゃんが壊したんでしょ!全部、全部・・・・っ!』
「・・・・っ、・・・・あ・・・」
モーティスの言葉を思い出して、足が止まってしまう。
私が壊した。
私が睦を人形にした。
私が朔を傷つけた。
震える指先で、もう一度、動画を再生する。
睦のことを心配そうに見つめている朔の姿を。
睦の身体を壊れ物を労わるようにして、愛おしそうに見つめている姿を。
心の底から睦のことを心配そうにしている。
私を、あの雨の日に救い出してくれた時と同じような表情で。
私だけのものだと思い込んでいた、あの神聖な優しい表情で。
・・・ああ、きっと、そういうことなのだ。
私が会えば、二人はまた傷つく。
それにーーー、
朔は、私のことではなく、睦のことを愛しているのだ。
モーティスが以前言っていたことは、真実だった。
・・・これ以上、私が二人と関われば、また二人を壊してしまう。
それならば、もう私はーーーー。
私は、スマホの電源を切りーー、
「ただいま。祥ちゃん」
「ええ。おかえりなさい。初華」
帰って来た、私の大切な友人を迎えた。
彼女が私から離れないことを、静かに祈りながらーー。
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「・・・何、これ・・・?」
僕は震える手のひらにスマホを握らされ、半強制的にキバットの小さな羽によって、ある動画を見せられていた。
最初は、見ようとしなかったけど、キバットが無理矢理見せてきてーーー。
僕は、この動画を見た瞬間、心臓が一瞬止まったかのような感覚を覚えた。
睦ちゃんが、訳の分からないことをずっと喋ってて。
それを、ワインレッドの服を着た僕が宥めていた。
意味が分からなかった。
恐ろしかった。
睦ちゃんが、訳の分からないことを叫んでいることでも。
もう一人の僕が、睦ちゃんの近くにいることでもない。
ーーー自分が、閉じこもっている間も、物事が酷い方向に向かっていることが。
何よりも怖かった。
これ以上、酷いことにならないように、閉じこもったのにーーー。
僕がいなかった方が、祥ちゃんも睦ちゃんも幸せになれると思ったのにーーー。
なのに、もっと酷いことになってーーー。
「・・・や、やだっ!」
「お、おい!朔・・っ!」
僕は、手に持っていたスマホを床に叩きつけた。
自分の頭の中に渦巻く、嫌な考えから逃げ出したくて。
今、起きている現実を受け入れられなくてーーー。
ガシャンッ!!と、大きな音を立てて、スマホが砕け散った。
僕は、それを確認すると、這うようにして再び分厚い毛布の中へと潜り込み、その身体を小さく丸めて完全にくるまった。
そして、強く、強く目を瞑る。
さっき、見た動画を忘れるように、深く、深くーーー。
「おい!このままじゃ、ダメだって分かってんだろ!起きろよ!」
聞こえない、聞こえない。
キバットが、僕に怒っている声なんて聞こえない。
「このままじゃ、本当に取返しつかないことになんだぞ!」
・・・大丈夫、あと少ししたら、キバットはいつもの調子に戻って、おちゃらけた、おしゃべりコウモリに戻るんだ。
それまで、待ってればーーー
「もう、良い。・・・お前が、その気なら、こっちにも考えがあるからな」
キバットは低い声でそう言った。
すると、バサバサという激しい羽ばたきの音とともに、寝室の窓が開く音が聞こえてーーー。
「キバット・・・?」
毛布の隙間から、部屋の様子を見てみると、窓が開いてて。
キバットの姿がどこにもなくて。
ずっと近くにいた、僕の家族がいなくなってしまって。
それが心細くて。
寂しくて。
でも、外に出るのも怖くて。
僕は、ただ枕を抱きしめて、目を強く、強く瞑ることしか出来なかった。
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少女は、王の影の手に導かれ。
死の人形と少女は、王の影の胸の中で休息を手に入れた。
その一方で、成り損ないの王と忘却を望む少女は、王の影の望むシナリオ通りには動かない。
二人の運命は未だ、虚勢の王と一人の少女の望む方向へと進んでいる。
だが、それを知ったところで。
王の影はーーーー
「お?ここか?あのワインレッドの怪しい奴が、オーロラ抜けてちょっかい掛けに来た世界は・・・。おっ、あこと巴の学校の制服着てる奴がいるな。おーい!」
「・・・ぇ?あ、ぉぉん・・・」
「え?なにあれ?鬼の・・・、コスプレ?」
「そう。お前らだ。黒とピンクの髪のーーー」
「ともりん、知り合い?」
「・・・うぅん。・・・あのちゃんは?」
「私も知らないよ。・・・うわ、なんかこっち来るし、あんな変な人に関わっちゃダメだよ!」
「おーい。誰が変な人だよ。・・・俺は、怪しい奴が、こっちの世界にちょっかい掛けないようにだなーーー」
『ジリリリリ!ジリリッ!』
「ちょ、ちょっと待ってくれ!防犯ブザーは鳴らすなって!・・・っていうか、何で、高校生なのに、防犯ブザーなんて持ってんだ!」
「あ、立希ちゃんに貰って・・・」
「素敵な友達だな!」
「あ、ありがとう・・・」
「・・・・・引きこもっちまった朔のために、CRYCHICの元メンバーの・・・、燈ちゃんでも誘い込もうとしたんだけどよ・・・。何だよ。この状況・・・」
「あ・・・っ、金色のコウモリ・・・?」
「わぁ!すっごいレアじゃん!写真撮ろうっと」
「おい!撮んなよ!クソッ!これだからミーハーは・・・っ!」
「おい。俺は変な人じゃなくてだな・・・・」
どんなに鎖が張り巡らされた盤であっても。
網の目の随所には、綻びが常に生まれるものなのである。
第九話の閲覧ありがとうございます。
・・・・また、大分好き勝手書いたなぁって・・・。
一応、言っておきますと、強引なてこ入れではないです。
元から、登場させる予定でした。
ちゃんと、最後の方に出てきた人も、目立ち過ぎない程度にキバ編で活躍しますし、響鬼編で、しっかり書きますから。
安心してください。
誤字などがありましたら、報告お願いします。
励みになりますので、感想や評価などもぜひ・・・。
それでは、次回もよろしくお願いします。