それは、喪失の始まり。
「GAME START」と鳴るブザー。
同時に、各陣営の意識がヒトツ鬼に向けられていた。
これからの悲劇を語るように、赤に変貌したツクヨミが……ライトアップされていた。
月人は、守るために防衛戦を開始した。
ドンブラザーズは、救うために電撃戦を始める。
両者は、間違いを犯しながら戦う。
誰もが、彼女に救いの手を差し伸べる。
両者の血によって……その手は、希望を穢していく。
無駄な争い。
それは、救いを求める者を傷つけ蝕んでいた。
今ここに再現される……8000年の争いの歴史。
繋がりのための仮想空間は、今や青と赤の液体が垂れ流される場所となった。
好きなクリエイターや表現を楽しむ場所は、■■に染まってしまった。
ヒトツ鬼――姫鬼となった彼女は、決意する。
月見ヤチヨは、この物語を最低の結末へ加速させた。
ヒトツ鬼――姫鬼は、敵味方を問わず、仮想空間さえも崩壊させる勢いで攻撃を始めた。
両陣営に、動揺が走る。
だが、オニシスター=酒寄彩葉は、その隙を見逃さなかった。
受け継いだザングラソードに、力を込める。
一文字切りを放った。
それは、奇しくも彼女の最も得意とする技だった。
それを止めようとする月人たちは、間に合わない。
だが、彼女は避けなかった。
奇しくも――
その一太刀を、受け入れたのだ。
月見ヤチヨの体も、消滅していく。
酒寄彩葉は、本来ならばありえない光景に動揺する。
その体を受け止める。
「なぜ?」
「どうして」
月見ヤチヨは、最後の言葉を残した。
「大好きイロハ」
消滅する彼女は、泣きながら微笑んだ。
酒寄彩葉は、動揺して失言してしまう。
「あなたは、誰?」
好きなクリエイターや表現を楽しむ場所――「ツクヨミ」。
「絶望」――それは、このツクヨミを覆って蝕んだ。
唯一の小さな希望は、まだ諦めていない。
「イロハ~! ヤチヨの思いをウケトレ!!」
FUSHIは、最後の力を振り絞った。
ヤチヨとかぐやの記憶をイロハに流し込んだ。
FUSHIの小さな体も消えていく。
酒寄彩葉は、変身が解除され、その場に座り込んだ。
彼女は、久しぶりに涙を流すのだった。
数日後――
この世界の喫茶どんぶら
マスターは、そのキビポイントを使った願いを止めた。
酒寄彩葉は、月見ヤチヨを蘇らせようとしていた。
「マスターなら、別の方法はある?」
「やめておけ!どれも危険が伴う」
私は、考える。
貰った記憶から、この願いなら彼女を救えると導き出す。
「マスター!桃井タロウとして願いを聞いて!!」
「過去に行かせて!!」
だから、私は大切な人を未熟な私に託す。