英雄を問う。   作:ただねこ

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口田不在、ヒロイン耳郎です。よろしく。


入学式は非合理の極み

 雄英高校。超常現象が"個性"と呼ばれるほどに染みついた社会で、その個性を人助けに活かすヒーローを育成するための高校。偏差値は79という数値を誇り、ヒーロー科の倍率は300とかいうバカみたいな数値を叩き出している。

 

「次。常闇と曽我(そが)。早よ」

 

 俺は、この世界を識っている。「僕のヒーローアカデミア」は頁がくたびれる程に読んでいたから。緑谷が、爆豪が、轟が、死柄木が、オールマイトが、オールフォーワンが。彼らの成す物語が好きだった。

 

 そこに、曽我勾人()という異分子が混じった。

 

 AFOに対抗するべく、駆藤敏次よりも前に蜂起した者達が作り出してしまった、妖刀。何の因果があるか知らないが、転生者である俺の手によく馴染んだ。

 

 ……この、殺戮兵器が。

 

『6秒55』

 

「上々かな?」

 

 ちなみに、俺自身は"無個性"だ。というより、妖刀によって無個性にされている。妖刀に施された制限機構、「命滅契約」。一度契約すると、契約者が死ぬまで、契約者以外は妖刀の力を発揮できない、というものだ。

 

(……11位)

 

 目立たないよう、平々凡々の順位で終わらせた個性把握テストは、そこそこの退屈と疲弊を残して終わった。

 

「曽我、お前後で職員室な」

「はい」

 

 


 

 

「さて」

 

 相澤先生……だけではない。職員室には、雄英の全教員が集まっていた。

 

「教師陣がかなりいるが、圧をかけるつもりはない。お前の個性……妖刀について、少々説明をしてもらいたくてな」

「個性届だけだと、不十分ですからね」

「わかる奴じゃないか。さっさと説明をしろ」

「わかりました。とりあえず……よいしょ」

 

 妖刀を取り出す。普段、妖刀は俺の影にしまってある。コイツが隠れたがっているわけではないが、俺の心と共鳴しているらしい。

 

「まず、妖刀とは──」

 

 

・・・・・

 

 

(ここまで、凄まじい物なのか)

 

 曽我勾人(まがと)。雄英高校1年A組、出席番号13番。個性や過去

 

「これは兵器。あってはならない、殺戮兵器ということです」

「……概要はわかった。お前が死ぬまで他の奴には使えないことと、お前が死んだ後、誰かが妖刀を悪用する可能性。そして……12年前の悲劇も」

「ええ。ですから妖刀は封印して──」

「何言ってる」

「……え?」

 

 酷く白んだ、感情の無い顔。この兵器と呼んでいる刀を、振るいたくない気持ちはわかる。でもな。

 

「力は、使い手によっていくらでも変貌しうるものだ。お前が殺戮兵器と呼んでいるソレも、ヒーローが使えば英雄の刀だ。……俺は、妖刀を振るうことに制限を設ける気は無い」

「……狂ってるな、あんたら」

「幾らでも言え。ヒーローは後ろ指差されても、人を助けなきゃいけないんだ」

 

 曽我の呆れた表情に、俺は安堵した。

 

(これから曽我の学校生活は大変なことになる)

 

 人を殺さないように、人を助けなければいけない。されも、ほぼ自動的に妖刀が殺すことを避けなければいけない。

 

「今は鞘から抜けない。まだ時間はあるんだろ。なら、その時間を使って死ぬ気で模索しろ。じゃなきゃ、お前は大量殺人犯だ」

「ヒーローが脅しか!……それくらいしなきゃ、やってらんないもんな」

「わかったらとっとと帰れ。明日から過酷な訓練の目白押しだ」

「わかりましたよイレイザーヘッド」

「学内では相澤先生だ」

「はいはい。さようなら先生」

「おう、気ィつけろよ」

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