英雄を問う。   作:ただねこ

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障害物競争

『って事で今年の雄英体育祭、1年の実況プレゼントマイクだ!よろしくなリスナー!!そんで隣のはイレイザーだ!』

「解説を務めるイレイザーヘッドだ。……で、もう最初の関門か」

『おうよ!第一関門ロボ・インフェルノ!!一般入試の実技試験に出て来た0P敵が大量!!さぁどう切り抜ける!!』

 

 約40〜50m強の巨大なロボが、こちらを囲い見下ろすように陣取っている。

 とりあえず轟が凍らせるより先に抜けたいが……流石に高望みか。

 

「クソ親父が見てるんだから」

 

 ……っ、流石のコントロールだなほんと。体勢が悪い状態で絶妙な凍らせ方。……あ、崩れた。

 

『轟、突破と妨害を同時に!こいつぁシヴィー!』

「あやかるように曽我も着いて行ったな。選手宣誓で豪語した曽我はどうやって競争を制するか……見ものだな」

 

 相澤先生、意外と解説のノリがいいな?

 合理的だと感じ取ればきちんとやるタイプだもんなあの人は。

 

(っと、氷の勢いが強いな)

 

「当たれよ」

「当たるかよ。個性の操作が大雑把だぞ」

「ぐっ……!?」

 

 俺が個性や剣術だけに囚われた奴だと思ったか?残念、こう見えて鍛えてるんだ。片手で刀を好きに振るえるようになるの、訓練がいるんだよ。

 

『うお、轟がめっちゃ吹っ飛んだ!!曽我のやつ、何したんだ!?』

「ありゃ中国武術の寸勁*1だな。伊達に鍛えてないらしい」

 

「じゃ、お先」

「クソ……!待て!」

「本当は『(クモ)』で止めたいんだけどな、障害物競争(この競技)は使わずに行きたいんだ」

「俺のこと忘れんじゃねェよ刀ァ!!」

 

『爆豪、下がダメなら上からかよ!クレバー!』

「そのまま曽我に突っ込んでくか。曽我も黙っちゃいないだろうが……ここは前進を選んだな」

 

 悪いな爆豪。お前と潰し合うのは第三種目(タイマン)って決めてんだ。

 

「だからさ──順番待ちくらい守れよ優等生!!」

「五月蝿ェ刀ァ!!妖刀(ソレ)使えや!!」

 

 極力使うなって言われてんだよ。使ったら死人が山ほど出るだろうが。

 

『オイオイロボは意味ないってよ!?じゃあコイツはどうかな!!第二関門、ザ・フォールッ!!万一落ちてもネットがある!安心して這い上がって来な!!』

「爆豪は爆破での飛行ができるからかなり有利だろうな。曽我はこの綱渡りの中、爆豪の猛攻をどう凌ぐか……無論、後ろの奴らの奮闘も見逃すなよ」

 

 はは、宣誓が効いてるかな。観客席はここから見えないけど……多数のヒーローが競技場全体を見回してる。ヒーロー科だけじゃなく、普通科……特に心操にはいい道が拓けて欲しいんだが。

 

「俺には関係ねー!!」

「よっ、ほっ、っと」

「速ぇな、刀……!」

「いい加減名前で呼べよ。そのプライドへし折ってやるからさ」

「ハッ、テメェも熱くなってんじゃねェか!!爆速ターボからの──」

 

 ……!逃げ場のない移動中を狙って……!!

 

榴弾砲(ハウザー)……着弾(インパクト)ォ!!」

 

『何だァ!!爆豪の大技、大爆発ーー!!』

「回転に爆破の勢いを乗せて放ったか。そしてこれで……」

 

 逆転された。観客席から歓声が上がるのがわかる。ただ、お前はまだ青い。俺もだが。

 

「待て爆豪!」

「待つかよ!!」

 

 爆豪はそのまま第二関門を突破。数秒後に俺も突破する。純粋な速力なら俺の方が速いが……差が縮まらない。爆速ターボが効いてるな。

 

「仕方ない」

「やっと出したかよソレ」

 

 影から妖刀を取り出す。走る速度は少し落ちるが、そこまで支障は出ない。この後どうせ止めるしな。

 

「 『(クモ)』」

「!!」

 

 拘束の『(クモ)』。蜘蛛の巣場の紋様が浮かび上がり、その範囲内の生物の"運動"を停止させる。運動というのは、あくまでも身体の動き。個性の発動までは止められない。つまり耳郎のイヤホンジャック等、遠距離持ちには効果が少し薄くなる。まぁ行動制限ってだけでかなりのお釣りが来るが。

 

「お先にはしないさ。遊ぼうぜ」

「上等だ!!」

 

『あれが妖刀!!爆豪の動きを一瞬止めたぁ!!』

「曽我に提出してもらった書類から見ると、今のは『(クモ)』だな。拘束技で、相手の動きを止めるそうだ」

『そいつぁシヴィー!なんだよちゃんとヒーローできるじゃねェか!』

「爆豪を敵扱いするなバカ」

『イテ!ごめんてイレイザー。さァ最終関門!!地雷まみれ、怒りのアフガン!!ちゃんと見れば地雷の位置はわかるようになってんぞ、足元気をつけろー!』

 

 地雷か……!クソ、爆豪には意味がない!!

 

「空は……ドローンが飛んでんな。上からの突破はキチィなクソが」

「お、じゃあ陸上で勝負か?」

「やってやるよ!!」

 

 BOOM!

 

「っと……本当お前センスいいな。地雷の誘爆させずにその規模の爆破を……」

「テメェもすぐに引き摺り下ろしてやる。覚悟しとけ」

「そのセリフは……2位の時に取っておけ。『(トンボ)』」

「……っ!!戦闘訓練ん時に耳に使ったやつか……!」

「正解。コイツは真正面を穿つ。ほんとは衝撃波とかにしたかったんだが……抑えられなくてな」

 

『おお!?爆豪の足元に穴が!!』

「アレは『(トンボ)』。鞘尻の前方への飛ぶ突きみたいなものらしい……コンクリの壁に穴が開くほどの威力だそうだ。発動時、トンボの羽を模した紋様が浮かび上がるのが目印だな」

『オイオイそんなに教えて大丈夫かよイレイザー!?』

「この程度でアイツが折れるわけないだろう」

 

 ……はは、随分と買ってくれてるな、あの人は。

 

「それに応えないわけにはいかないよな。…… 『(クモ)』」

「クッッソ、しくった……!!」

 

 『(クモ)』に爆豪が引っかかり、そのまま動けなくなる。その隙に爆豪を置き去りにして、どんどん引き離す。

 

(先頭ほど地雷を踏む危険度は高くなり、後続に道を示すようなヒントを差し出すことにもなる。考えられてるな)

 

「待てやァ!!」

「待たねぇよ爆豪勝己!!」

 

 轟も追いついて来てる。流石に焦るな……。

 

BOOOOOOOM!!

 

「「「!?」」」

 

『A組緑谷、爆風で猛追!!つーか……抜いた!!』

「地雷を多数集めて一斉起爆。自身はロボインフェルノで手に入れたロボの装甲で姿勢制御……考えたな」

 

「やるな緑谷!!その機転を効かせられるお前が何故腕を壊す!?俺が鍛えてやりたいくらいだ!!」

 

 ああ、不味いな。ハイになってる。

 知るかよ。楽しめ。祭りなんだ。

 

「テメェは俺の下だ、デク!!」

 

 緑谷が再び地雷を爆破させ前へ出ようと試みるが、俺と爆豪がすんでのところで脱出。轟だけが巻き込まれる。緑谷は体勢の立て直しで数秒時間を食い、トップは俺と爆豪が争う事態に。

 

『緑谷一気に浮上!!追いつけるか!?』

「いやもう先頭がアフガンを抜けてる。あの2人のデットヒートだな」

 

「勝つのは……俺だァ!!」

「──悪いな」

「あ!?」

 

 ゴール寸前。妖刀をちらつかせる。爆豪は一瞬迷う。コイツの反射は凄まじいが、どうしても一瞬判断に隙が出来る。それを利用させてもらった。

 

「この時点で、一位は俺だ。お疲れ」

「クッッソがぁ!!」

 

『超絶デットヒートを制して!!一番最初にスタジアムに戻って来たのはァ!!1-A、曽我勾人!!」

*1
相手に触れた状態、もしくは数センチの距離から、全身を使い衝撃を伝える技術

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