第二試合……瀬呂対轟は、開始早々に轟の氷で行動不能、轟が勝利。第三試合、拳藤対上鳴は、上鳴の油断で拳藤が勝利。第四試合、発目対飯田は……
(ネットショッピングはおかしいと思う)
いや、サポート科という観点から見れば、間違ってはいないだろう。だとしても、飯田は実質シードで勝ち上がっているようなものだ。真面目な飯田としては複雑だろう。
「……対策は立ててきたか、芦戸」
「溶かしまくる!」
「それ言っちゃダメなやつだろ」
そして、第五試合。芦戸対俺だ。
「負けないからね!」
「ああ……受けて立とう」
試合開始のゴングが鳴らされたと同時に、芦戸が勢よく突っ込んでくる。
「やああああっ!」
「『
「!」
……なるほど、『
花がじゅわじゅわと枯れ溶け、黒い染みは酸で中和されていく。……この染み塩基性だったのか。
「ふんっ!」
「おっと」
「え゛、素手!?」
「今の俺は、お前の酸は無意味なんだよ」
「……あ、還元!!」
「正解」
この妖刀が持つ力である「生命力の還元」。それは治癒能力として表に現れる。たとえ手のひらに刺し傷が出来ても、足の骨折があろうとも、はらわたが何度刺されようとも、たちまち治る。……痛みはあるが。
「実際、手のひら溶けてはいるんだよ。後でリカバリーガールのところ行く」
「そんなに悠長な会話してると……負けちゃうよ!」
これは……ブレイキンか!
「近寄り辛いが……その体制から避けられるか?」
「げ」
立ち上がる途中からの芦戸に、『
「……わざとでしょ」
「そりゃあ本気で狙ったら頭に風穴開くからな」
「……わざとでよかった」
「ほんとにな」
「ぅぐ……!?」
ここで寸頸。芦戸の前で見せてはなかったから、選択肢から外れてたろ。それとも解説聞いてなかったか?
「……マジかー」
「俺の勝ちだ」
「くっそー!今度は勝ぁつ!」
ミッドナイトの判決で、俺は二回戦に進出した。
「……え、なんでここにいるの?」
「来たら悪いか、耳郎」
現在、第六回戦が終わった直後。耳郎に試合の結果を伝えに来た。
「試合は常闇の勝利だ」
「あー……やっぱ常闇強いよねぇ」
……妙に視線が外れる。
「緊張してるか」
「そりゃそうでしょ。全国放送で個性見られるとか」
そう言ってジャックを突き合わせる。恥ずかしがりな耳郎にとっては、少々キャパがキツいかもしれない。
「何を言ってる。お前は今まで通りでいい」
「……え?」
「ヒーローってのは、笑顔が大事だ。たとえオールマイトが来てくれたとしても、憤怒の表情を浮かべていたら……俺は少し怖くなる」
でも。
「もしも耳郎が笑顔で居たなら、俺は安心できる」
「!」
「なって来いよ、ヒーローに」
拳を突き出す。
「……うん」
耳郎はジャックを腕に巻きつけて、そのままグータッチ。
一瞬、鼓動が拳に伝わってきた。そしてその音は、限りなく穏やかだった。
(勝てるだろ、お前なら)
くぐもって聞こえるプレゼントマイクの声と歓声を聞きながら、俺は観客席へと戻った。