英雄を問う。   作:ただねこ

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戦闘訓練②

『それじゃあ次でラスト!戦闘訓練、(スター)トリオvs曽我少年の対決を始めるぜ!曽我少年は準備をしてくれ!』

 

「了解」

 

 といっても、すぐに準備は終わるんだがな。核はわかりやすくヒーローが来にくい場所に置いて、俺はその前で待ち構えるだけだ。時間はあるし、ストレッチくらいはしよう。

 

「……ふぅ」

 

『5分経過だ!準備は出来たかい!?』

 

「お」

 

 さて、()()()()()に着かなきゃな。

 

『屋内対人戦闘訓練、開始だ!』

 

 


 

 

「……行くぞ」

「ああ」

「うん」

 

 曽我の個性はよくわかってない。生命力の還元とか、少しわかりづらい言い方しないでよ……。

 

(……あれ?)

 

 1人、居る?

 

「来たな、ヒーロー」

「「「!!」」」

「待ち構えてたのか!!」

「指向性放電……!」

「『(クモ)』」

 

 ……!やられた!さっきから鞘から抜いてないどころか、刀に触れてすらいないのに……!!

 

(発動が、早すぎる……!!)

 

「戦闘をしに来たわけじゃないんだよヒーロー。俺は優しいから教えてやる」

「……?」

「核は屋上に置いてある。俺は五階の階段に居るから、核を取りたいなら俺と戦え」

「……!?」

「は!?どういうことだ!!」

「そのままの意味だよ。これでもハンデじゃ足りないくらいだ。その頭でよ〜く考えろよ」

 

 そう言って、曽我は奥に消えていった。

 

「……あ、拘束解けた」

「あいつ、舐めやがって……!」

「いや、『危険な個性』って、客観的に見てもそう思えるからこそのハンデだろ。……それ相応に注意して行かなくちゃだぞ」

「うん。索敵はもう関係ないけど、ウチがする」

「「了解」」

 

 

・・・・・

 

 

「……4階どころか5階の途中まで、本当に何もなかったね」

「ああ」

「でも……索敵しなくても、こっからはヤバいってわかる」

 

 だって。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それに触れるなよ」

「!」

 

 なんでここに曽我が……!?

 

「……触れたら死ぬぞ」

 

 触れたら、死ぬ。

 

「ってことは、この花畑が?」

「正確には、花畑とこの黒い染みのようなものだ。これに触れると、この花の養分になる」

「……どんな風に?」

「実証とか出来るわけがないだろう。……まぁ、見るも無惨な姿になると思ってくれ」

 

 上鳴が露骨に怯えた声を出す。

 砂藤だって、恐怖はあるはずだ。

 

「死ぬかもしれない……?」

「?」

「んなこと言ってたら、ヒーローは何も出来ないじゃんっ!!!」

「耳郎!?!?」

 

 わかってる。無謀だって。ここに助けなきゃいけない人なんて居ないし、確保するのは核兵器だ。

 

(それでも!)

 

 ヒーローは、笑って人を助けるんだ!!

 

「『(トンボ)』」

「……え、」

 

 ドン、と音がした。衝撃音とかじゃなくて、壁に穴が空いた音。衝撃音ではない。

 

「嘘、でしょ」

 

 さっきまで、ウチが跳んでいた空中。ウチが着地した瞬間に放たれたそれは、その空中に大きな穴を開けていた。

 

「……だから言ったろ。死ぬぞと」

「は、はは……」

 

 ああ、上鳴がもう諦めモード。砂藤はまだ──いや、個性の反動が来てる!最初に曽我と会った時に糖分補給したのが仇になったか!!

 

「降参するか?」

「……っ」

「じ、耳郎……俺はもう降参した方が……」

「するならアンタ1人でしてよね」

「……え?」

「こんだけ舐められて何も出来ずに降参とか……」

 

 ロックじゃないから(ウチが嫌だ)

 

「……そう、だよな!ごめん耳郎、俺まだいけるぞ!」

「すまねぇ、俺はもう無理だ!頭痛が……!」

「ううん、大丈夫。……行くよ上鳴」

「おう!」

 

 これは戦闘訓練。曽我に散々ハンデつけられて、初っ端核の場所教えられて……「待ち構えてるからかかって来い」なんていう挑発をされて、つい立ち向かおうとしてしまった。……あの花畑を見れば、敵わないってことはすぐにわかったのに。

 

(だから、目指すのは曽我じゃない)

 

 曽我はもう倒せないと割り切った方がいい。これは戦闘訓練だけど、同時に曽我が作ってくれた敵犯罪の対処法。

 

 自分の力。人の力。ありとあらゆる可能性を模索しても、天地がひっくり返っても勝つ可能性が0に等しい。そんな敵と対峙したとき、自分はどうするか。助けを呼ぶ?いや、今ヒーローは周りにいない。ウチらだけでなんとかしなくちゃダメなんだ。

 

「上鳴、この上。ウチが壊すから、思いっきり腕上げてね」

「お、おう……!!」

 

 上鳴に肩車をしてもらって、5階の天井から核の位置を探る。この訓練は曽我に勝つための物じゃない、核兵器を確保する訓練なんだ。

 

ボゴォン!!

 

「行け、耳郎!」

「うん!!」

 

 ビンゴ!!核兵器は走れば1秒もかからない!このまま手ェ伸ばして──

 

「『(クモ)』」

 

 ……ッ!!!

 

「大正解だ、耳郎。この場合、俺という圧倒的な強さを誇る敵を避けて、目標の確保をする。助けて勝つヒーローだ、かっこいいな」

「……こ、の……!!」

「俺が提示した道筋なんだ、俺が予想してないわけがないだろう。……少しズルいが、このまま時間切れだな」

「……!!」

 

 全く動けない……!くっそ、こんなとこで……こんなところで……!!

 

「終われるか……!!」

「……無理だ、動けないぞ」

「っはは……忘れたの?」

 

 このトリオは、ウチだけじゃないってこと。

 

「助けに来たぜ、耳郎!」

「うおおおおおお!!!」

「なっ──」

 

 反応した時には、もう遅い。上鳴は既に、放電を発動してる。

 

「指向性放電、50万ボルト!!」

「ぐ……!!」

 

 動きが止まった!!これで……!!

 

「砂藤ぉ!!」

「よォし!!核、確保だ!!」

 

『そこまで!!ヒーローチーム……WIIIIIIIN!!!」

 

「……まいったよ」

 

 


 

 

「……」

 

 圧倒的だった。誰が見ても、結末は見えてた。あの刀野郎が勝つって。いや、ポニテは気付いてた……!俺は、気付かなかった……!!

 

「クソ……!」

 

 俺すら、アイツには勝てねえと思い込んだ!でも……

 

(勝ちやがった)

 

 頭ブン回して、弱え奴にできること模索しまくって……!!

 

「俺の方が……俺の、方が……!!」

 

 ──いや。わかってんだろ、爆豪勝己。この措置を取られた時点で……刀野郎があの余裕を見せてた時点で。

 

(俺はまだ、遠い)

 

 デクに負けて、半分野郎に規模の差を見せつけられて、ポニテの洞察に共感して……刀野郎に、勝てないと思い知らされた。

 

(こっからだ)

 

 こっから、No.1になってやる……!!




曽我の苗字は、カグラバチにおける妖刀「真打」の契約者、曽我明無良から。名前は真打の真名から来ております。かっこいい。
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