『それじゃあ次でラスト!戦闘訓練、
「了解」
といっても、すぐに準備は終わるんだがな。核はわかりやすくヒーローが来にくい場所に置いて、俺はその前で待ち構えるだけだ。時間はあるし、ストレッチくらいはしよう。
「……ふぅ」
『5分経過だ!準備は出来たかい!?』
「お」
さて、
『屋内対人戦闘訓練、開始だ!』
「……行くぞ」
「ああ」
「うん」
曽我の個性はよくわかってない。生命力の還元とか、少しわかりづらい言い方しないでよ……。
(……あれ?)
1人、居る?
「来たな、ヒーロー」
「「「!!」」」
「待ち構えてたのか!!」
「指向性放電……!」
「『
……!やられた!さっきから鞘から抜いてないどころか、刀に触れてすらいないのに……!!
(発動が、早すぎる……!!)
「戦闘をしに来たわけじゃないんだよヒーロー。俺は優しいから教えてやる」
「……?」
「核は屋上に置いてある。俺は五階の階段に居るから、核を取りたいなら俺と戦え」
「……!?」
「は!?どういうことだ!!」
「そのままの意味だよ。これでもハンデじゃ足りないくらいだ。その頭でよ〜く考えろよ」
そう言って、曽我は奥に消えていった。
「……あ、拘束解けた」
「あいつ、舐めやがって……!」
「いや、『危険な個性』って、客観的に見てもそう思えるからこそのハンデだろ。……それ相応に注意して行かなくちゃだぞ」
「うん。索敵はもう関係ないけど、ウチがする」
「「了解」」
・・・・・
「……4階どころか5階の途中まで、本当に何もなかったね」
「ああ」
「でも……索敵しなくても、こっからはヤバいってわかる」
だって。
「それに触れるなよ」
「!」
なんでここに曽我が……!?
「……触れたら死ぬぞ」
触れたら、死ぬ。
「ってことは、この花畑が?」
「正確には、花畑とこの黒い染みのようなものだ。これに触れると、この花の養分になる」
「……どんな風に?」
「実証とか出来るわけがないだろう。……まぁ、見るも無惨な姿になると思ってくれ」
上鳴が露骨に怯えた声を出す。
砂藤だって、恐怖はあるはずだ。
「死ぬかもしれない……?」
「?」
「んなこと言ってたら、ヒーローは何も出来ないじゃんっ!!!」
「耳郎!?!?」
わかってる。無謀だって。ここに助けなきゃいけない人なんて居ないし、確保するのは核兵器だ。
(それでも!)
ヒーローは、笑って人を助けるんだ!!
「『
「……え、」
ドン、と音がした。衝撃音とかじゃなくて、壁に穴が空いた音。衝撃音ではない。
「嘘、でしょ」
さっきまで、ウチが跳んでいた空中。ウチが着地した瞬間に放たれたそれは、その空中に大きな穴を開けていた。
「……だから言ったろ。死ぬぞと」
「は、はは……」
ああ、上鳴がもう諦めモード。砂藤はまだ──いや、個性の反動が来てる!最初に曽我と会った時に糖分補給したのが仇になったか!!
「降参するか?」
「……っ」
「じ、耳郎……俺はもう降参した方が……」
「するならアンタ1人でしてよね」
「……え?」
「こんだけ舐められて何も出来ずに降参とか……」
「……そう、だよな!ごめん耳郎、俺まだいけるぞ!」
「すまねぇ、俺はもう無理だ!頭痛が……!」
「ううん、大丈夫。……行くよ上鳴」
「おう!」
これは戦闘訓練。曽我に散々ハンデつけられて、初っ端核の場所教えられて……「待ち構えてるからかかって来い」なんていう挑発をされて、つい立ち向かおうとしてしまった。……あの花畑を見れば、敵わないってことはすぐにわかったのに。
(だから、目指すのは曽我じゃない)
曽我はもう倒せないと割り切った方がいい。これは戦闘訓練だけど、同時に曽我が作ってくれた敵犯罪の対処法。
自分の力。人の力。ありとあらゆる可能性を模索しても、天地がひっくり返っても勝つ可能性が0に等しい。そんな敵と対峙したとき、自分はどうするか。助けを呼ぶ?いや、今ヒーローは周りにいない。ウチらだけでなんとかしなくちゃダメなんだ。
「上鳴、この上。ウチが壊すから、思いっきり腕上げてね」
「お、おう……!!」
上鳴に肩車をしてもらって、5階の天井から核の位置を探る。この訓練は曽我に勝つための物じゃない、核兵器を確保する訓練なんだ。
ボゴォン!!
「行け、耳郎!」
「うん!!」
ビンゴ!!核兵器は走れば1秒もかからない!このまま手ェ伸ばして──
「『
……ッ!!!
「大正解だ、耳郎。この場合、俺という圧倒的な強さを誇る敵を避けて、目標の確保をする。助けて勝つヒーローだ、かっこいいな」
「……こ、の……!!」
「俺が提示した道筋なんだ、俺が予想してないわけがないだろう。……少しズルいが、このまま時間切れだな」
「……!!」
全く動けない……!くっそ、こんなとこで……こんなところで……!!
「終われるか……!!」
「……無理だ、動けないぞ」
「っはは……忘れたの?」
このトリオは、ウチだけじゃないってこと。
「助けに来たぜ、耳郎!」
「うおおおおおお!!!」
「なっ──」
反応した時には、もう遅い。上鳴は既に、放電を発動してる。
「指向性放電、50万ボルト!!」
「ぐ……!!」
動きが止まった!!これで……!!
「砂藤ぉ!!」
「よォし!!核、確保だ!!」
『そこまで!!ヒーローチーム……WIIIIIIIN!!!」
「……まいったよ」
「……」
圧倒的だった。誰が見ても、結末は見えてた。あの刀野郎が勝つって。いや、ポニテは気付いてた……!俺は、気付かなかった……!!
「クソ……!」
俺すら、アイツには勝てねえと思い込んだ!でも……
(勝ちやがった)
頭ブン回して、弱え奴にできること模索しまくって……!!
「俺の方が……俺の、方が……!!」
──いや。わかってんだろ、爆豪勝己。この措置を取られた時点で……刀野郎があの余裕を見せてた時点で。
(俺はまだ、遠い)
デクに負けて、半分野郎に規模の差を見せつけられて、ポニテの洞察に共感して……刀野郎に、勝てないと思い知らされた。
(こっからだ)
こっから、No.1になってやる……!!
曽我の苗字は、カグラバチにおける妖刀「真打」の契約者、曽我明無良から。名前は真打の真名から来ております。かっこいい。