──オールマイトの授業風景について何か一言!
「新米。以上」
……連日オールマイトの授業について、取材陣が慌ただしいな。こっちとしては迷惑以外の何者でもないんだが。ついでに巻き込まれてた耳郎を引っ張って校門をくぐる。
「あっ、ちょっ、曽我!止まってってば!」
「悪いな襟引っ張って。あの人混みの中で捕めるのそこしかなかったんだよ」
「いや、それはいいんだけど……ごめんね、ちょっと匂いが」
「……悪い、香水強かったか」
「ううん、大丈夫だよ」
……俺が普段からつけている香水は、海……いわゆるアクアティック系とか言う奴だ。匂いをごまかす為に使ってる。その匂いは殆どしないが、念の為だ。
「さ、行くぞ」
「うん」
どこかのテレビ局が『雄英バリアー』を作動させたのを横目に、耳郎の手を引いて歩く。
「……ねえ」
「ん?」
「手、離して。恥ずいから」
「……すまん」
どうやら無意識のうちに握っていたらしい。強く握りすぎて跡が……とかはなかった。
(オールマイト、か)
最近オールマイトは、1日中ではなく一定時間だけの活動に留めている……と、思われる。
(年齢は公開してないが、活動開始時期から見てももう引退直前の時期か)
はたまた……弱体化か。
(オールマイトの引退……あまり考えたくはないな)
平和の象徴たるオールマイトが引退となれば、数多くの敵が活発になる。そもそもオールマイト1人だけではないが、敵犯罪率がここまで抑えられていたのが異常と捉えるべきだろう。
「……これから、荒れるかもな」
「何の話?もう教室着くよ」
「いや、こっちの話だ」
「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。……爆豪、お前もうガキみてぇな真似するな。才能あるんだから」
「……わかってる」
「緑谷はまた腕ぶっ壊して一件落着か」
「っ、」
「個性の制御、いつまでも「出来ないから仕方ない」じゃ通らねぇぞ。俺は同じことを言うのが嫌いだ。そこさえ超えればやれることは多い。焦れよ緑谷」
「はい!」
……とまあ話を終えて、唐突な学級委員長決めになった。そんなに学校っぽいか?雄英だって学校だろ。
「委員長!やりたいですそれ俺!」
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!」
「ウチもやりたい!」
「ボクの為にあるヤツ☆」
「リーダー!やりたいやりたい!」
雄英高校……そのヒーロー科ともなれば、学級委員長になるだけでも進路にお釣りが来るだろう。俺は他人を導ける器量はないから立候補しないが。
「静粛にしたまえ!」
「ん?」
「"多"を牽引する責任重大な仕事だ、「なりたい者」がなれるモノではないだろう……!」
それはごもっとも。飯田の主張は至極当然だがのものだ。それこそ、出身中学では委員長を務めてたのだろう。
「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……!民主主義に則り真のリーダーを決めるというのならば──」
「これは投票で決めるべき事案!」
「聳え立ってんじゃねーか!!何故発案した!!」
「早く決まればなんでもいい……投票するならさっさとしろ」
・・・・・
「僕三票ーー!?」
……当の本人である飯田は何故か緑谷に投票したことで、緑谷が委員長、八百万が副委員長となった。
少し時間が経って、昼時。雄英には「ランチラッシュ」という料理人のヒーローが常駐しており、ランチラッシュのメシ処という店が雄英生の腹を満たす。
「ランチラッシュのご飯美味しいよねー」
「最終的にお米だよねやっぱ!」
「うどんも美味いぞ」
ちなみに俺はうどん派だ。理由は早く作れるから。
相澤先生に料理作ってくれって頼んだら、多分うどんが出てくるはず。
「そういえば、曽我の個性ってどういうやつなの?なんかヤバい刀ってのはわかるんだけど」
「俺の個性は"妖刀"だ。刀を通じて生命力を奪い、主に還元する……道端の小石を蹴るように人が死ぬ個性だ」
「……赤子の手は捻らないんだ?」
「それよりも酷く手軽、ということだ」
「でもでも、あの拘束技使えば誰も傷つけないで人助けできるじゃん!」
「……!」
脳裏に浮かぶのは、実技入試。
(『
次々と穴が開いていく仮想敵に動揺するライバルを意に介さず、雄英に入ることだけを考えていた俺は敵を倒し続けた。
(……0ポイントか)
あの馬鹿デカい0ポイントは放置し、結局入試は首位。正直、入試が対人じゃなくてよかったとすら思っていた。
(俺のこの力でも……人は助けられるものだ)
それを認識するまで、随分時間が経った。
「……ありがとな、葉隠」
「どういたしまして?」
ピンと来てないなら、それでいい。
「さっさと食え。ヒーロー基礎学間に合わなくなるぞ」
「やば、食べなきゃ──」
ウウ〜〜!!
「!?」
「警報!?」
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに避難してください』
「セキュリティ3って何!?」
「わからない!が、非常事態であることは確かだ!」
「一旦逃げよう!」
芦戸の言う通り、食堂の出口へ駆ける。が、思惑は食堂内の雄英生、皆同じ。
「っぐ……狭い……!!」
「むぎゅ!」
「っ、身動きが──」
「大丈ーーー夫!!」
「「!!」」
「飯田……?」
「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません、大丈夫!!ここは雄英、最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!!」
「……はは」
「非常口?」
「僕は……飯田くんが委員長の方がいいと思います!あんな風に人を牽引できるんだ、飯田くんがやるのが正しいと僕は思うよ」
「委員長の指名なら仕方あるまい!!」
「がんばれよ飯田ー!」
「非常口飯田ー!」
どんな仇名だそれは。