宇宙戦艦ヤマト、推して参ります!   作:るーしー

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時系列的には、本来「プロローグ 遥か彼方より」の次に来るべき物語を、飛ばしています。
それ故、その話で説明する予定だった設定を、省略した形になりますが、ご容赦ください。
ただ申し上げたいのが、別にそんな設定を知らなくても、本編を楽しむのに支障はありません。また本編中でもそれとなく設定を描写しています。

さて今回の「第1次W島作戦」ですが、アニメの世界観でのお話です。
また全体としての文字数は、約1万7000文字程度になる予定です。
この(1)の投稿時点で、1万5000字ほど書き上げ、終わりが見えて来たので、投稿を開始させて頂きます。
サクッと読める様に、各話を3000~6000文字程度で切ってみました。


第1次W島攻略作戦(1)

この鎮守府で目覚めてから数日後、ヤマトは生身の身体こそ回復しつつあるが、肝心の艤装については、修理の目処すら立っていなかった。

部品や材料が手に入らないのは、この世界の技術力を考えれば仕方無いが、核融合炉=リアクターの再起動が出来ない状況は致命的だ。

これでは水上航行はおろか、最低限の艦内設備すら動かせず、艦船として今のヤマトは、ムダに莫迦デカい狸の置物に等しい。

 

着陸する為とは云え、あの時オーヴァーブーストを使い、予備エネルギーを空っぽにしてしまった事を、ヤマトはちょっぴり後悔する。

 

 

訓練帰りの特Ⅰ型駆逐艦・吹雪は、そんな少々どんよりしているヤマトを見かけると、元気づける様に声を張り上げた。

 

「ヤマトさん!」

「あら、吹雪ちゃん。いつも、頑張ってますね」

 

微笑んだヤマトに謙遜すると、吹雪は艤装を置きに工廠へ立ち寄った際、工廠長を務めている工作艦・明石からの言伝を、この美しい大戦艦へと渡した。

 

「それよりヤマトさん、明石さんが呼んでましたよ。なんでも、頼まれていた物の用意が出来たって……」

「え、本当ですか!? 直ぐに行かないと……吹雪ちゃん、ありがとうね!」

 

パッと目を輝かせたヤマトは、吹雪に感謝すると、明石の待つ工廠へと走って行った。

 

「いつもお淑やかだと思っていたけど……でも、ああ云う意外な一面も素敵だな~って、私には赤城先輩がいるんだから!」

 

どうにも美人に弱いらしい特型駆逐艦は、乙女回路改(プラグイン)の暴走に、赤くなったり、自戒?したりと、百面相を呈した。

 

 

 

 

入渠ドックに隣接する工廠まで走って来たヤマトは、軽巡洋艦・夕張に出迎えられた。

 

艦娘・夕張の元となった軽巡夕張は、新方式の船体構造、単装砲・連装砲の混載による重武装、機関は重油専燃缶を採用など、実に野心的な新技術実証艦だった。そのノウハウは古鷹型重巡や特型駆逐艦の設計に反映されている。

そんな艦の魂を受け継ぐ艦娘・夕張は、兵装実験軽巡の異名を持ち(自称し)、巡洋艦・駆逐艦用の各種装備の開発やテストを行っている。

また、彼女自身が優秀なメカニックで、工廠長である明石の補佐官として、技術士官としても活躍している。

 

要するに、技術屋(メカオタク)で新しい物好きな夕張が、全く未知の超技術で建造された艤装を見たかったので、ヤマトを待ち伏せていたのだ。

 

 

艤装用乾ドック=通称:ハンガーでは、この場所ではあまり見慣れない極太の電気ケーブルが、何本も船台を這っている様子が、ヤマトと一緒に入って来た夕張の目を引いた。

そして盤木(ラック)に懸架されたヤマトの艤装を見ると、工廠に入り浸り気味の夕張は、何度も見ているにも関わらず目を輝かせた。

 

超弩級艦としても大型に分類される長門型の艤装が、コンパクトに思える程に、巨大な艤装。前後に長大な艦体は主機の為のスペースだと云う。

主砲46cm三連装砲塔が3基、副砲20㎝三連装砲塔は2基。艦首及び艦尾魚雷発射管が各6門、片弦8門づつの舷側魚雷発射管。その他小火器、対空砲・高角砲多数。

艦首は先進的なバルバス・バウ。当初、主機だと思っていた足部艤装は、補助機関(エンジン)に過ぎないらしい。また艦尾の上甲板にカタパルトがある事から、航空機も運用出来るようだ。

ケタ外れの重武装に、夕張はため息を吐く。そんな彼女にヤマトは曖昧な顔をした。

 

 

彼女たちの気配に気付いたのか、ヤマトの艤装の近くで、送電ケーブルを弄っていた明石が顔を上げた。

 

「もう来られたんですかヤマトさん。今接続部(ケーブル)の加工をしているので、ゆっくりしてて下さい」

「いえ、先に装甲を外して外部コネクタを露出させます」

「むむ、そうですか? では、私の手伝い(クレーン)などが必要な時は、遠慮無く云って下さい」

 

明石の親切に返礼したヤマトは、何処からともなく工具を取出すと、艤装に取り付いて作業を始める。

暫らくして、ヤマトが艤装の各所に点在するメンテナンスハッチをすべて開放した頃には、明石の方も自作した特殊規格のプラグの取り付けを終えていた。

 

ヤマトと明石は、次々と艤装のコネクタにケーブルを取り付けて行き、夕張も手伝いながら2人の会話に聞き耳を立てる。

 

「ほぼヤマトさんの注文通りですよ。これの内、2本は鎮守府の一次受電から引っ張って来た、それぞれ別系統の2万ボルト。他のは、常用・非常用の自家発電(ディーゼル)や、電源車から引いた物で各々3~4000kWほどの容量があります」

「何から何まですみません。これだけの物を揃えるのには、かなり大変でしたでしょう?」

「大変でなかった、と云えば嘘になりますね。でも、大規模停電に備えた訓練の一環と云う事で、申請を通してあるので、あまり気になさらないで下さい。それに、これでも足らないのでしょう」

 

これでも足らないと云う明石の言葉に、夕張は思わず手を止めた。概算でも軽く数万から十数万kWと云うアホみたいな電力で、尚不足と云うのか。

正規空母・赤城を筆頭とする大型艦は一般に大喰らいで、大食艦などと陰口を云われたりするが、明らかに次元そのものが違う。実際、彼女(赤城)たちでも、3千kWもあれば十分過ぎるお釣りがくるのだ。

 

「あの……ヤマトさん、そんな大電力を一体何に使うんですか? と云うか、足らないって……」

 

恐る恐る訊いてきた夕張に、苦笑いしたヤマトは快く答える。

 

「基本的には核融合炉(リアクター)――つまり、自家発電の再稼働ですね。慣性制御システムの復旧には、エネルギーが少な過ぎますし……」

 

一般に核融合発電はその稼働に多大なエネルギーが必要だ。だが、一度起動すれば、入力エネルギーに対し、およそ100倍の出力を得られる。

ヘリウム3を主燃料とするヤマトの核融合炉は、1億kW超の出力を誇る。それでも尚、波動エンジンの始動には足りない。

だが、波動エネルギー理論の副産物――慣性制御……すなわち人工重力システムを稼働させる事は出来るのだ。

 

「――2~3日は充電ですね。ある程度まとまったエネルギーが欲しいし、何より点検をしないと」

 

夕張は開いた口が塞がらなかった。そんな軽巡に明石は苦笑い。

随分と後の事になるが、大食艦では余りにも生温いヤマトに、夕張はある称号(あだな)を見い出した。

 

大暗黒艦(ブラックホール)

 

 

 

 

 

 

外部電源の供給開始から3日後、軽巡洋艦夕張がアホみたいと評した莫大電力を喰らいに喰らい、ヤマトは波動エンジンの第1補助機関である核融合炉の再稼働に成功していた。

尤も、主機の再始動にはエネルギー不足も甚だしいが、艦内サービスは勿論、慣性制御システムも復旧し、晴れてヤマトは狸の置物から、瀕死の狸へと昇格を果たした。

 

そんな晴れやかな日、ウェーク島攻略作戦が発動された。




ヤマトの核融合炉の出力について……ソースは何処なのか、公式設定なのかと云った疑問を持たれる方も、いらっしゃると思います。
これは、ヤマトシリーズとは、縁も所縁も無い文献を調べて計算した値になります。


計算式ですが、まず現代の原子力空母に搭載されている原子炉の出力が約180万kWです。

次に、水素やヘリウム3の核融合と、ウランやプルトニウムの核分裂で発生するエネルギーの差を考えます。単位質量当りのエネルギーは、核融合反応は、核分裂の約20倍です。

そして最後に熱効率、つまり発生させたエネルギーをどれだけ利用できているか。まず現行の汽力発電の効率が30%程度です。そして核融合発電ですが、60%以上の効率を出せる物も作れるのではないかと云われています。
更に核融合の問題点、核融合反応によって衝撃波や放射線が発生します。これが炉心を傷める原因になり、開発を難航させる要因でもあります。
ですが、ヤマトの時代の科学力ならば、この衝撃波をも利用しうるシステムを構築しているでしょう。
それらを踏まえ、熱効率を75%位に設定しました。

結果:[基準出力]200万kW×[単位質量に対する熱量比]20倍×[熱効率]2.5倍=1億kW
と計算しています。


その他小ネタ

狸の置物:沖田艦長が、動けないヤマトを「瀕死のタヌキ」と評した事から。
乙女回路改(O‐プラグイン):何故か吹雪に実装されているモノ。霧の艦隊これくしょん? 
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