宇宙戦艦ヤマト、推して参ります!   作:るーしー

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今回の総文字数は約4000字ですが、直ぐ分るように最初の200~300字程が、
前話……つまり(3)の末部と被っています。

これはW島作戦の話が、元より1つの短編……要するに1話分として執筆している為、
現行の分割投稿を意識しておらず、各話の繋ぎ部分に少々円滑さが不足している所為です。
この問題については、本作全体が習作的側面もあるので、改める事はありません。


アニメ等の構成を意識した――所謂アヴァンタイトル的な物と、思って頂ければ幸いです。

無論、本件についての感想も受けますが、『字数稼ぎ』等と頭ごなしに否定されても困ります。
また、否定する事は構いませんが、乱暴な言葉遣いはご遠慮願います。


第1次W島攻略作戦(4)

銃撃された友人を見た吹雪は、直ちに主機に最大戦速を命じ、睦月の前に強引に割り込むと、12.7cm連装砲を最大仰角で発射、敵機を撃墜した。

睦月は助かったが、状況は変わっていない。軽空母ヌ級は次々と新しい機体を吐き出し続けている。

 

そんな時だった。

 

「良い腕だ、ルーキー」

 

無線から聞こえてきた軽口と共に、マッハ3で飛来した対空ミサイルの群れが、60機余りの敵機を火球に変える。

 

噴進(ロケット)弾!? 一体どこから?」

 

彼女たちの知る噴進弾の射程は精々2km弱、どう考えても攻撃者が見えない距離に居る筈がない。

 

「ん、あれは……?」

 

吹雪が遠い空に見つけた数十の黒点は一瞬で巨大化し、同数の戦闘機が現れた。

 

 

ヤマト航空隊、見参!!

 

 

 

 

 

数分前、高度120kmの熱圏を巡航する、4機のコスモゼロと50機のコスモファルコンⅡは、W島からの水平距離300kmの大気圏再突入シーケンス開始ポイントに差し掛かった。

 

「再突入を行う。安全の為、間隔を充分に開けろ! 背面飛行からのダイヴだ、ビビって浅い角度で行くと降りられんぞ!」

 

高速度での大気圏突入は、下方への宙返りをする様なものだ。大気圧に持ち上げられぬよう、常に機首を抑えつける必要がある。

逆宙返りを避ける為の背面飛行、そして角度が浅いと浮き上がってしまう。航空隊長の檄に、隊員たちはその度胸と技量で以て応えた。

 

左バレルロールから直に捻り込んで下方ループに繋げる。隊に腰抜けなど1人も居ない事を如実に示す、鋭い急降下で突入。

十数秒で圏界面を抜けて中間圏に、主エンジンの出力を絞り、スラスターで制動を掛けながら降下する。加速度的に高まる気圧は、激しい熱と振動を機体に与える。

しかし、アルミニウムが融解するような高温も、宇宙艦戦にはさして問題のない温度だ。冷静に極超音速で降下しながら減速を続行。

 

中間圏も半ばを過ぎると、全機が超音速域までの減速も完了。背面飛行から、機首を下げた通常飛行に戻っていた。

スロットルを僅かに開いて超音速を維持したまま成層圏突入、電離層を抜けた事でレーダー精度が目に見えて回復した。

回復したレーダーは約200km先のW島近海空域に、100機近い敵機を捕捉する。

 

「全機、兵装セイフティ解除。対空ミサイル発射用意!」

 

ターゲティングシステムを同期させ、各々別個の敵機をロックオン。

 

発射(シュート)!」

 

成層圏を抜け出ると、各機は胴体中央のウェポンベイを解放し、超音速の矢を一斉に撃ち放った。

 

 

軽母ヌ級の艦載機群にとっては、正しく青天の霹靂だったろう。さながら天神の操る雷霆、避けようなき超速度で飛来し、ただの1発も外れぬ魔弾だった。

総数54基の対空ミサイルが、同数の髑髏爆戦に突き刺さって炸裂・粉砕し、撃墜された機の付近を飛んでいた僚機まで巻き込み、誘爆させる。

 

過半数を初撃で墜とし、残敵は40機足らずだが、敵機のパイロンに懸架された対艦爆弾の炸薬量は侮れる物ではない。

友軍艦艇の構成は軽巡と駆逐艦による水雷戦隊だ。足は速いが、装甲は貧弱で排水量も少ない。たった1発の被弾が致命傷になる。

 

「奴らに1発たりとも撃たせるな! 必ずその前に撃墜(おと)せ! 敵在空域突入(レンジ・オン) 戦闘開始(コンバット・オープン)!」

 

航空隊長の檄に、空を往く騎兵隊は鬨声を上げながら散開し、機銃のトリガーに指を掛ける。

有効射程距離に入ると同時に、コスモゼロとコスモファルコンⅡの主兵装20mm機銃が一斉に火を噴いた。

 

隊長機が先導する楔形隊形=三角フォーメーション――圧倒的な火力で前方空間を面制圧する、密集隊形での掃射戦法――2個小隊が浮き足立っている敵機の群れに正面から吶喊。

コスモファルコン17機とコスモゼロによる計142門の制圧射撃。

敵機の密集領域を狙って蛇行し、通過空間に存在した深海髑髏爆戦を片端から血祭りに上げ、空路を敵機の爆炎で舗装する。

 

下方より牙を剥いた騎兵隊は、超音速機の通過による乱流に翻弄された深海艦戦を、凄じい掃射で悉く蜂の巣にする。

更に別働隊が、猛禽の様に上方から襲い掛かり、鋭い嘴と鉤爪で不気味な怪鳥を仕留め、機体を引き起こして上昇離脱。

 

「粗方撃墜(おと)したか。母艦を潰すぞ――椎名、続け!」

「了解!」

 

ブラックゼロを駆る美丈夫が、直属の部下(エース)を伴い、新たな攻撃機を吐き出そうとしている軽母ヌ級に機首を向ける。

比翼の様に息の合った機動で敵艦をロックし、黒き機体(コスモゼロ)白き機体(コスモファルコン)は2発ずつミサイルを放つ。その鏃は対空用で、対艦用より炸薬量は少ない。

しかし超音速でヌ級の発艦口に飛び込んだ矢は、その速度による貫通力と衝撃力を以て、飛行甲板の装甲をブチ抜いて炸裂。ヌ級を内部から引き裂き、撃沈した。

 

 

 

正体不明の友軍編隊を見た瞬間に神通は、これは天祐と云える好機だと確信した。

一般に戦闘機の強さは速力に比例する。神速で飛翔する彼らの存在は、神仏が吹かせる追い風の如しだ。

 

一見、淑やかな少女に思える軽巡神通だが、その実体は鋼鉄の信念と烈火の闘志を秘めたサムライである。

既に制空権は友軍が手中に収め、大勢は決した。だからと云って、偶々吹いた神風(・・・・・・・)に全てを任せる様では、華の二水戦の名折れ。

 

「陣形変更、単縦陣! 攻撃目標1時方向のヌ級、全艦突撃!」

 

素早く命令を飛ばし、自ら先陣を切って正面に躍り出た神通は旗印となり、部隊を牽引する。往年の水雷戦隊旗艦の勇姿――我ニ続ケ。触発された第三水雷戦隊は、訓練時を超えた操艦で神通を追い掛ける。

 

後方に感じる仲間達の気配を頼もしく思いながら、神通は撃ち方を始める。

主砲――4基の14センチ単装砲が斉射され、初弾から夾叉し1発がヌ級に命中。続けざまに、川内と那珂の砲撃が撃ち込まれ、片舷の高角砲を破壊。

ヌ級の直奄機は、此方の友軍機を追い掛けて、もう居ない。魚雷の次発装填は済んでいる。必殺の状況に、全員の意思が一点に収束。

 

()ぇー!」

 

三水戦、全6隻による酸素魚雷一斉射。

必中距離で放たれた雷撃は、悉くヌ級に突き刺さり、喫水下を根こそぎに爆砕。その破壊は船体の上部構造物にまで及んだ。

 

 

神通達がヌ級を屠り去るのとほぼ同時に、ヤマト航空隊がもう1隻のヌ級を仕留め、戦闘は収束に向いつつある。

 

混戦による同士討ちや衝突を避ける為、最初の突撃後は率いる小隊と共に、上空警戒に当たっていた緋眼のエースは、少し離れた空域をフラフラと飛ぶ敵機を見つけ、その直後に総毛立った。

 

格闘戦(ドッグファイト)で自分達が喰い残したとは考え難い。恐らくは、初撃=対空ミサイルで爆破された僚機の破片を受けて損傷、そのまま戦闘空域(キルゾーン)を離れ、運良く生き残ったのだろう。

だが、そんな推測(コト)はどうでも良い。

 

奴の近くを、友軍の駆逐艦が航行している。その狙いは明らかだった。

 

「ッ、間に合え!」

 

狙われた艦は睦月型駆逐艦・如月。装甲が薄い旧型の彼女が、爆撃されたら一堪まりも無い。

操縦桿を捻り、フットペダルを蹴っ飛ばして、急旋回(ブレイク)。敵機と如月との距離が近過ぎて、対空ミサイルが使えない。スロットルを解放し、一気に超音速へ加速して要撃に向かう。

 

 

墜落寸前だった深海髑髏爆戦には、高空からの急降下爆撃を行う余力も、特攻する体力も無い。それ故、敢えて如月の手前で降下し、高度を速度に置き換える。

位置エネルギーを消費して加速した代償に、損傷を増やした深海爆戦は引き起こしで失速、海面に衝突して砕け散る。

しかし墜落の寸前に深海爆戦は、対艦爆弾を切り離していた。末期の呪詛が込められた爆弾は、水切り石の様に水面を跳ねて、如月に悪意を届けんとする。

反跳爆撃(スキップボミング)と呼ばれる対艦爆撃法。砕け散った機体を置き去りにして、放出された爆弾のみが水面を跳ねて行く様子は、ある種のおぞましさがあった。

 

発射の阻止が出来なかった以上、爆弾を撃ち落とす他ない。コスモゼロを駆る緋眼のエースは、焦燥に冷や汗が吹き出る中、エースらしい冷静さで腕の震えを抑え付けた。

敵機の怨念に引導を渡すべく、照準器を睨みながら一度きりのチャンスを狙う。猶予は僅か数秒だけだ。万一その瞬間を逃したら、如月に爆弾が直撃する。

 

後4秒……3秒……不穏な水切り音に如月は左舷を確認し、避けられない位置まで迫った対艦爆弾に、彼女は目を見開いた。

その直後、死に直面したアメジストの瞳が絶望に染まると同時に、その死を撃ち抜かんとする緋色の瞳が機銃のトリガーを引き絞る。

コスモゼロの機首下部に4門、キャノピー下の左右に1門ずつの20mm機銃が、一斉に咆哮する。1基につき毎分8000発以上の速度でパルスビームの弾丸を発射。

合計6門――毎秒800発以上の光弾が、如月に直撃しようとする爆弾を、削り……穿って、貫き破壊する。

 

 

しかし、撃ち砕かれた呪いの破片が、無防備な如月に降り掛かる。

ゼロやファルコンの機銃が放つ弾丸は、高エネルギービームブレット――温度に換算すると、最大数十万Kにも達する高熱源体。爆弾の外殻など容易く蒸発させて貫通するが、必然的に充填された炸薬も灼いて爆発させたのだ。

 

直撃ではないが至近弾である。爆発は容赦なく如月の左舷を襲った。

爆炎が彼女の装甲を炙り、可燃性の部位に放火する。鋭利な弾殻の破片は兵装を破壊し、背負った機関部を損傷せしめた挙句、左足の主機部にも罅を入れた。

更に、それだけでは無い。爆風と燃える飛礫を浴びせられた左半身は、セーラー服が袖口から体幹まで燃え焦がされ、下着の紐も千切れている。

また、爆圧で大きく右に傾いた如月だが、異常な早さで復原する。左舷の小さな破孔からの浸水が、この時だけは復元力として作用したのだ。

 

熱風と灼けた爆片は、細く嫋やかな肩から、手折れそうな小さな手までを、下卑に舐め上げた。残忍に凌辱された左腕は、重度の熱傷と裂傷で朱く染まる。

衝撃で脳震盪を起して如月は立ち続けられず、同時に傷めた左脚から膝を付いて項垂れる。ピンが壊れたのか、額から頬を伝う鮮血と共に、富貴桜(サイネリア)の意匠をした髪飾りが海に落ちた。




レンジ・オン、コンバットオープン:はい。『エリア88』より拝借しました。すみません。

椎名晶:暗黒星団帝国3部作に登場するパイロット。アキラの名を持つ三傑の1人。
多分、山本の嫁。

ヌ級に対空ミサイル:スクランブルだった為、対艦ミサイルは積んでいなかった。

さむらい・ぐんかん・じんつう:左は某『渋』での神通改二のルビですね。
恐らく以前は最前線で大暴れしていたに違いない……と勝手に想像。
と云うか、やっぱ神通は二水戦でしょ!

超音速へ加速して:超音速による衝撃波=ソニックブームは、高高度でも地上に大きな影響が出る為、亜音速以下で飛行するのが嗜み。

毎分8000発:参考までに、20mm航空機関砲M61Aヴァルカンの発射速度は、毎分6000発。試験においてのみ、最大12000発の記録があります。
大気圏内ならこれ位?

高エネルギービームブレット:ソースと云うか、新旧作にも依るんですが――高温プラズマ弾だったり、パルスレーザーだったりと……イマイチハッキリとしない。
仕方ない→ビームには変わらんだろう→ヒデェ思考だな→ヲッ。

数十万K:ケルビン=絶対温度。趣味です! と云うより天文学や物理学では、絶対温度を使用する場合が圧倒的に多いのです。

サイネリア:如月の髪飾りは何か。この命題で3日程、筆が止まりました。
ヒトデ? リボン? お花が良いかな。
第一の条件は2月に咲く花で、赤or紫色がある。他には花言葉などで選びました。
花言葉は、快活・望みある悩み・喜び・華やかな恋、などです。如月に合いますね。
しかも、2/14(ヴァレンタイン)の誕生花とか! 実にロマンティックです。
ハラショー! レディに相応しいわ!
!すでのな


気付いたら、総文字数が2万を超えてるし……どうでも良いけど。
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