「はぁ……」
部室でポケッとしていると、部長さんが疲れたようにため息を吐いた。眼帯さんがチラリと部長さんを見て、すぐにスマホに目を移す。
「どうしたんですか?」
僕は聞いた。というのも、これでため息が両手の指じゃ足りないくらいの回数になったからだ。
なぜ眼帯さんは話を聞いてあげないのだろう?
「実はね……最近、ずっと見られてるの」
見られている……。僕は首を傾げた。部長さんは、こくりと一度頷いて、窓の近くに行く。そして、外を指差した。
僕はついて行き、部長さんの指さす方を見る。
その指の先には、何やら人影があった。
学校の外、物陰から、じっとこちらを見つめている。小太りで、少し禿げて見える。
「あの方が……? ストーカー、ですか?」
「やはり見えるのね。アレ、普通の人には見えないのよ」
なるほど。僕は頷いた。
眼帯さんも、僕に続いて窓の外を見た。そして「うわっ」と軽く言って、また椅子に座ってスマホを見る。
「ずっと見てくるだけなんだけど、流石にそれが続くと気持ち悪くて……」
部長さんは少し憔悴していた。
走って向かってくる変なおじさんを退治したばかりなのに、今度はずっと見てくるおじさんとは……部長さんも苦労人のようだ。
次の日
登校時、部長さんと一緒になる。ふと昨日のことを思い出して周りを見渡すと、物陰から部長さんのことをじっと見つめるおじさんを見つける。
次の日
帰宅時、部長さんを見つける。
横の角に、おじさんがいた。
次の日
後輩になんとなくその話をした。
「は? 許せないな……」彼女は義憤に燃えた。
次の日
部長さんが疲れたようにため息を吐いた。
部室から窓の外を見ると、やはりおじさんがこちらをジッと見ている。
おじさんを見ていると、その道の向こうから後輩が歩いてきた。チンピラみたいに歩いている。肩をおじさんにぶつけた。難癖をつけている。
次の日
帰り道、部長さんがビクビクとしている。振り返ると、視線の先の曲がり角からおじさんが半分くらい見えている。
後輩が現れた。「何見てんだ!?」と叫ぶ。周りから視線が集まった。ズカズカと大股でおじさんに向かって行き、曲がり角に消えていく……。
次の日
登校中の部長さんを見つける。チラと視線を移動させれば、顔面に青あざを作ったおじさんが部長さんを見つめていた。
僕は横を見た。後輩の頬が腫れている。後輩が僕の視線に気付き、その次におじさんに気付いた。
次の日
登校中、遠目に部長さんを見つけた。
僕は横の後輩をチラリと見て、道を変える。
曲がり角を曲がると、腕を三角巾で吊って目を真っ青に腫らしたおじさんが立っていた。
松葉杖の後輩が吠えた。
終
・警察
通報に駆けつけた先で、ツインテールの女の子にマウントを取られて顔面をボコボコに殴られているおじさんを見つけて逮捕した。
・先輩
殴り合う後輩とおじさんを見てアワアワしていた。後輩に言われるがまま、靴下を脱いでその辺の拳大の石を中に入れる。
・後輩
謎のおじさんは先輩母の次に強かったと後に語った。目潰し、毒霧、金的、石を入れた靴下による攻撃でなんとか優位に立つ。
血塗れの拳で正当防衛を主張した。松葉杖はその為の布石。
・寺田くん
寺生まれで非常に強い霊力を持つ。
ツインテールのガキと謎のおっさんが喧嘩している横で涙目で狼狽える想い人を見つけ、義憤に駆られたが相手が人間だったので、術を無効化してから警察に通報した。
・にんしきそがいおじさん
好みの女の子をずっと見ていた。
自分への認識を阻害する術を使うが、ある程度の霊視能力を持つ人間や怪異相手には通じない。
社会的優位性で中学生女児に勝てるわけがなかった為、御用になった。