お待たせしました!
ちょっと忙しくて投稿が遅れました。
歓楽街にて
「ふぅ、なんとか何事もなく終わったね。」
「えぇ、そうね・・・」
イスカとリャーナがため息をついた。
「ねぇ、ねぇ、ダイダロス通りって、迷ったら出られないっていわれているところなんでしょ。」
「そうだぞ、気を付けないと出られなくなる。
【ダイダロス通り】奇人ダイダロスが手掛けたといわれている迷宮都市オラリオにあるもう一つのダンジョン。
「ガルの匂いは世界の果てに至って嗅ぎ分けられるから安心して。」
ネーゼの鼻はどうなっているのだろうか・・・少し怖くなるギャラハッドだった。
「あら、可愛い騎士様ね・・・」
【ダイダロス通り】にさしかかる直前で、一柱の女神と遭遇した。
銀髪の髪を持った女神フレイヤだ。
彼女の横には一人の巨漢が立っている。耳が生えているおそらく
「神フレイヤ・・・【猛者】・・・」
イスカが曇った声を漏らした。
「神フレイヤって。」
「えぇ、【ロキ・ファミリア】と並び、二大派閥と称される【フレイヤ・ファミリア】のフレイヤ様だわ。隣にいる猪人の男性がLv.6の【猛者】オッタルよ。」
「跪いた方がいい?」
「構わないわ。可愛い騎士様・・・ふふふ、ねぇよかったら、あなた、私の
フレイヤはギャラハッドを見て微笑む。美の女神というだけあり、恐ろしく美しい微笑みだ。魂をぐっと掴み取られそうな、美しい薔薇には棘があるというか、よくわかる。目は怪しげな光を宿しており、どこまでも美しい。
「えっと、光栄ですが、この身はアストレア様の眷属であり、正義の盾でございます。御身だけの盾となることは出来かねます。ですが、もし御身の身に危険があるというのならば、わたくしは神々より頂いた【
手を胸に当ててはっきり言い放った。
その堂々たる振る舞いに【猛者】も口角がほんのわずかだが、上がった。おそらく怒りではない、どちらかというと興味が沸いたという表情だ。
「そう、振られてしまったわね。ありがとう、可愛い騎士様。さぁ、行くわよオッタル。」
そういって二人はギャラハッドたちが来た道を進んでいった。
「ガ、ガル大丈夫!!」
リャーナがギャラハッドの顔を覗き込んだ。
「大丈夫って何が?」
「美の女神を正面から見たんだよ。魅了されてない!? お姉ちゃんたちのことは大好き?」
「うん、お姉さんたち大好きだよ。」
「よかった!!」
リャーナがガシっとギャラハッドを抱きしめた。
ギャラハッドから離れたあと、オッタルはフレイヤに尋ねた。
「よろしかったのですかフレイヤ様・・・」
「えぇ、全く良くないわ。まさか私の魅了が効かないなんて・・・面白い子、絶対にあの子を私の
女神フレイヤは、美しい顔を歪ませた。
『アストレア、悪いけど彼は私がいただくわね。』
フレイヤは気に入った相手を魅了し、己の眷属にする。フレイヤに目をつけられたギャラハッドの運命はどうなるのだろうか・・・
「ここが【ダイダロス通り】・・・住宅街が密集してるんだね。」
「えぇ、そうよ。この辺りは広域住宅街になっているの。」
「そうなんだ・・・住んでいる人たちはよく道に迷わないね。」
「それは私も思うわ。私だったら絶対に迷って帰れなくなるもの。」
【ダイダロス通り】は広域住宅街となっている。そこら中に窓が見えており、それらは全て家となっている。もちろん空き家もあるだろうが、それにしてもかなりの数だろう。
「
「そういうことよ。だから気を抜かずに行きましょ。」
リャーナを中心にして三人で陣形を組んだ。正面をギャラハッドが、左右をネーゼとイスカで囲んでいる。
決して警戒を解かずに通路を進んでいく。
【ダイダロス通り】を進んで十五分が経過した。ギャラハッドたちは特に何も遭遇することなく巡回できている。
前から大量の野菜が入った袋を持つ女性が、こちらに向かって歩いてきた。
すれ違う・・・
ガギンッ!!
「やっぱり。」
攻撃を防いだのはギャラハッドだった。ネーゼたちも反応している。一瞬でローブの女性を取り囲んだ。
「なんでわかったの?」
「歩き方、懐に何か武器を持っている人の歩き方だった。それを隠すために野菜を持ってたんだろうけど、殺意が漏れてたよ。」
「なら、逃げるわ!!」
女性が紙袋から球体を取り出し地面に投げつける。あたり一面に煙幕が拡がった。
「こっちだ!!」
五感が優れているネーゼが女性を追う。わずかな空気の移動を頼りにギャラハッドも着いてく。
「おかしい、ここで消えてる・・・」
四人は完全な袋小路へと女性を追い詰めたはずだった。しかし女性はどこにもいない。
「隠し通路があるとか?」
「その可能性はあり得る、なにせ【ダイダロス通り】だ。探してみるぞ!」
四人はしばらく細い路地を調べまわった。
「見つからない。」
「クソッ、やっぱり
「でしょうね・・・巡回メンバーを増やそうかしら。」
「アーディたちにも連絡した方がよさそうね。」
「下手したら、【ダイダロス通り】のあちこちに隠し通路があるかもしれないね。」
巡回を終え、帰ろうとバベルの前を通るとアイズがいた。
「ガル!!」
ギャラハッドの姿を見つけた瞬間、アイズが飛んでくる。かわいい・・・
「こんにちはアイズ! 今日もダンジョン帰り?」
「うん、今日は【ロキ・ファミリア】のみんなで潜ってた。」
アイズが指さす方に目を向けると同じ道化師のエンブレムが入った装備を持つ冒険者たちを発見した。中には、ラウルもいた。
「そっか、ファミリアのみんなと仲良くなれたみたいだね。」
「ガルが教えてくれたコロ丸くんをたまに配ってたら、みんなと仲良くなった。」
そういってアイズは笑顔を見せてくれる。後方にいたラウルたちも手を振っている。
「良かったねアイズ。」
「うん、ガルのおかげ。ガルは巡回中?」
「今終わって帰るところ。そうだ、アイズたちにもさっきの出来事教えた方がいいかな?」
「そうね、【ロキ・ファミリア】にも情報を共有している方が、大事の際に動きやすくなるかもしれないわね。」
ガルたちはアイズたちを集めて先ほどあった出来事を共有しはじめた。
「【ダイダロス通り】・・・団長たちも同じことをいってたっす。あそこには絶対隠し通路があるはずだって。」
やはりフィンは同じ考えを持っていたらしい。
「話を聞く限り、十中八九、黒ニャ・・・じゃなくて黒でしょうね・・・」
黒い毛並みを持つ美しい猫人の女性冒険者がうなずく。彼女の名前はアナキティ・オータムというLv.1の新人である。
「えぇ、あの通りには隠し通路も、隠し部屋でも、ダンジョンへ通じる道でも、何があってもおかしくないわ。」
「わかったっす! 団長たちに報告しとくっす。アイズさんはどうするっすか?」
「どうするって?」
「ギャラハッドとお話ししてから帰るっすか?」
「いいの?」
「アイズさんくらいの女の子が友達とお話しするなんて当たり前っすよ。」
「なんだったらご飯食べて帰る?今日の夕飯当番は僕だし、帰りは送っていくよ。お姉さんたちもいいよね。」
「私たちはもちろんいいわよ。」
「えぇ、ガルの友達だもの。」
「ガルはあげないけど、ご飯を食べにくるっていう分にはいいわよ。」
「じゃあ、お邪魔します。」
こうしてアイズはギャラハッドたちと共に星屑の庭へ来ていた。
「あらあら、アイズちゃんいらっしゃい。」
帰宅したギャラハッドたちを、いつものようにアストレアが出迎えてくれた。
「巡回の帰りにばったり会って、晩御飯のお誘いをしました!」
「そうだったのね、いらっしゃい。ゆっくりしていって。」
「お邪魔します。」
リヴェリアに躾けられたのだろう。ペコリと礼儀正しくお辞儀をした。
「ふふふ、よかったらお風呂も入る? 女の子だもんね、汚れたままなんて嫌でしょうし。」
そういってアイズは姉貴分たちに連れられて浴室へ連れていかれた。
「さて、みんながお風呂に入っている間に作っちゃおうかな。」
ギャラハッドは厨房へ向かっていった。
「お肌すべすべねぇ。」
「もちもちぷにぷに、可愛い。」
「うっ、ガルを狙っている相手なのに、可愛い・・・」
イスカ、リャーナ、ネーゼはアイズの頭や体を洗いながら声を漏らす。
「お姉さんたちは、ガルのこと好き?」
あわあわまみれとなったアイズが突然訪ねる。
「そりゃ大好きよ。」
「うんうん、私たちの大事な弟分であり、大事なお婿さんだからね。」
「アイズちゃんはどうなんだ?」
「・・・好きっていう気持ちかは、わからない。だけど、ガルと一緒にいると胸がポカポカする。」
「「「か、かわいいいいいい。」」」
三人からぎゅっと抱きしめられたアイズはわけがわからなくなり、頭上に?を浮かべている。
「ガルとこの子が結婚したら、私たちの妹にもなるってことよね!!」
「た、確かに・・・もういっそのこと全員でガルの嫁になるしかない!!」
「競争率高そうだし、それが一番ハッピーかも・・・」
一時は、己の大事な弟分を狙っている危険人物として警戒していたが、姉たちもまた、ギャラハッドと似た境遇を持つ彼女に絆されていた。
「ガルのおかげでファミリアのみんなとも仲良くなれた・・・家族が増えた気がして嬉しい。」
「わ、私たちも家族だよ!!」
「誰かに泣かされたらすぐにお姉ちゃんたちに教えてね!!」
「すかさず正義の鉄槌を下しに行くから!!」
ほんの二カ月前までは
「アイズちゃんが来てるって!!」
ガラガラ!!
乱暴に浴室の扉を開けてやってきたのはアリーゼたちだった。
「なんでお前ら抱きしめあってるんだ?」
「ライラ!! 聞いてよ!! この子ったら・・・」
【アストレア・ファミリア】の女性陣が集まり一気に騒がしくなった浴室、アイズが風呂から上がれたのは、これから一時間後だった・・・
「なんか浴室の方が騒がしいなぁ、楽しそうだしいっか。」
「そうでしたね、今日はガルが晩御飯の当番でしたね。」
「リューお姉さん! 今日はゆっくり休めた?」
「えぇ、今日は一日、拠点でゆっくり過ごしました。」
今日の拠点の防衛はリュー、輝夜、アスタ、ノインだった。四人は既に風呂に入っていたらしく、他の面々とは入浴していないようだ。
「今日の献立は何ですか?」
「今日はね、輝夜さんに教わったおにぎりと、つみれ汁って料理を作ってみる!!」
「極東の料理ですか、肉じゃがもおいしかったですし、楽しみですね。」
「リューお姉さんにも教えてあげるね。」
「え、えぇ、お願いします。」
リュー・リオン13歳、料理は出来ないままだった・・・降りてきた天啓によると今後も料理は上達しないらしい・・・
つみれ汁、イワシ、サンマ、アジといった魚をすり身にして団子状にまとめたものをしっかり出汁のとったスープに入れたもの。【ニョルズ・ファミリア】から購入したイワシを今日は使用する。
「アイズも来てるし、デザートも作っちゃお。」
「私が昔着ていた服だけど、ごめんね。」
「いえ、私が急にお邪魔したので、お風呂の上に服まで用意していただいて、ありがとうございます。」
「ふふふ、おいで髪の毛も乾かしてあげる。」
服を貸したのは小柄なセルティだった。そしてそのまま髪の毛も乾かしてあげるようだ。リヴェリアの娘のような存在のアイズは、セルティにとっても敬う存在だった。
「ガルのお父さんとお母さんはどんな人だったんだろう・・・」
アイズがボソッと呟く。
「私たちも知らないの。あの子、自分のことあまり話さないから・・・」
「そうなんだ、ガルと出会ったときのお話聞きたいな。」
「うぅ~ん、初めて会ったときは、森の中で魚を焼いてたかな。」
「えっ?」
「あのときはビックリしたなぁ、まさか人がいるなんて思わないし、しかもそれが、七歳の男の子なんだよ。」
セルティはくすっと笑い声を漏らす。今となっては、大事な大事な思い出となっている。
「輝夜はこんなところに子供一人でいるわけがない、
「そうなんだ、輝夜さんて刀持ってる人だよね。」
「そうだよぉ、今じゃ私たちの中でもトップクラスにガルを可愛がってるね。」
「ふふ、ガル輝夜さんのこと尊敬しているっていってた。」
「わ、私のことは!!」
アイズとはちょことちょこ会ってお話しをしているギャラハッドは、そのたびに姉たちの話をアイズにしていた。アイズもまた、ファミリアのみんなの話や、ダンジョンでのことなどを話していたりする。
「セルティさんのことは、物知りなお姉さんだって、歳が一番近いから話しやすいともいってた。」
「そっか、ふふふ。」
思わぬ報告にセルティはニタァとちょっとやばい笑顔になる。
「皆さん晩御飯できてますよぉ~。」
エプロンを付けたギャラハッドが待っていた。
優しいお出しの香りが漂ってくる。
「ほう、昆布だしか。」
「はい! 輝夜さんに教えてもらった通りに作りました!!」
「アレンジは慣れてからということか、いただこう。」
今日は一日自室でゆっくりしていた輝夜が席についた。
「今日は極東の料理なのね、楽しみだわ。」
アストレアも席についた。相変わらず美しい・・・
「アイズ温まった?」
「うん、ここのお風呂とっても広いね。」
「僕も最初ビックリしたんだ。服はセルティ姉さんの?」
「うん、ちょっと大人っぽすぎるかな?」
「そんなことないよ! とっても綺麗だよ!」
アイズを褒める弟分を見て姉たちは静かに親指を立てた。
『『『『『『『『『『『流石私たちの弟だ』』』』』』』』』』』
そしてみんなはギャラハッドが作ったつみれ汁を食べた。
「優しい味・・・」
「お口にあった?」
「うん、じゃが丸くん以外の料理も、ガルは天才。」
「輝夜お姉さんに教えてもらった通りに作っただけだよ。」
「教えてもらった通りに作れるだけで充分だ。どこかのポンコツエルフはそれすらできないからな。」
「ぐっ、か、輝夜!!」
輝夜とリューが向こうで言い争っている。
「このお団子は魚?」
「そうだよ、【ニョルズ・ファミリア】から買ったイワシって魚。それにショウガと味噌を入れて団子にしたんだ。」
「ふわふわでおいしい!」
「良かった、まだまだあるからお代わりしてね。」
「うん。」
ハフハフと食べるアイズの姿を見てギャラハッドは笑顔になった。
「ガルおかわり!!」
「わたしも欲しいな。」
いつもおかわりするアリーゼはそうだが、マリューもつみれ汁が気に入ったようだ。空になった器を持って恥ずかしそうにお代わりを頼む。
「このライスのかたまりは?」
アイズがガルに尋ねた。
「おにぎりっていうらしい。今日のは全部、塩だけのおにぎり、つみれ汁と一緒に食べてみて。」
「うん、もぐもぐ、もちもちしてて甘いんだ・・・つみれ汁によく合う。」
初めて食べる極東の料理はアイズの口に合ったようだ。じゃが丸君を食べるときのように、もくもくと食べ進めている。
「肉じゃがもうまかったけど、このつみれ汁ってのもうめぇな。」
「巡回で汗をかいた体に活力がみなぎる。」
ライラとネーゼも先ほどから食を進める手が止まらない。
ギャラハッドたちと同じく巡回組だったライラは塩の効いたおにぎりをつみれ汁で流している。
「どうしたのアイズちゃん?」
アイズが周囲をじっくり見つめていることに気が付いたアリーゼが尋ねる。
「うんうん、ガルと結婚したら、みんな家族になるんだと思って、それが嬉しい・・・」
「「「「「「「「「「「なっ!! 」」」」」」」」」」」
「あらあら、新しい娘が出来ちゃうわね。」
目玉が飛び出している姉たちの側で、アストレアはニコニコしている。
「ちょっと待ってね、アイズちゃん。ガルと結婚? 誰と誰が!?」
「なぁ、アイズ、私がフィンと結婚しても妹になるんだ、だから早まらなくても・・・」
「そうだ!! ライラが【
アリーゼ、ライラ、輝夜が抗議を申し立てた。
「私たちのガルが、アイズとけっこ・・・」バタッ
リューは気絶した。それほどまでに受け入れがたいのだろうか。
「アイズちゃんは私たちの妹だもの!!」
「そうだそうだ!! ガルと同じく、私たちの大事な妹だ!!」
「みんなでガルと結婚すれば済む話なんだから、いいじゃないか。」
浴室でアイズの妹力にやられたリャーナ、イスカ、ネーゼがアリーゼたちに抗議した。
「ガル、もう一杯おかわりもらっていい?」
「もう一杯ですかマリューさん。いいですよ! 気に入ってもらえたみたいで嬉しいです。」
「うん、このつみれ汁とってもおいしい。おにぎりとも相性抜群で・・・太っちゃうかも。」
「マリューお姉さんはとっても細いので、大丈夫ですよ。マリューお姉さんが結婚相手に困ったら、僕が貰いますね。」
「ほんと? なら、待ってるね。」
「「「「「「「「なに抜け駆けしてるの!!」」」」」」
アイズが初めて星屑の庭で晩御飯を食べた日は、とっても騒がしい日となった。
アナキティさんの入団時期が分からなかったのですが、ウィキペディアによると七年前、暗黒期に加入しているらしいです。ですが、この作品では半年前に加入していることにします。
フレイヤ様、そろそろ何かしてきそうですね。
つみれ汁食べたいです・・・
そしてアイズのヒロイン力が高すぎでビックリです。原作でもこれからアイズにスポットライトが向けられると思うので大変楽しみですね。
次回、【女神】と【女神】Ⅱ