前回、星屑の庭にてディナーをごちそうになったアイズ。たくさんの姉が増えてよかったね!!
今回の話では、様々な原作キャラが出てきます。しかし、暗黒期前のレベルについてはおおよそで書いておりますご了承ください。
晩御飯を食べ終わると、ギャラハッドはアイズを黄昏の館にまで送っていた。夜風は冷たく、二人の肌を撫でる風は乾いている。
つみれ汁を食べて体がポカポカになった二人には心地良かった。
「【アストレア・ファミリア】の人たち、みんな優しいね。」
「うん、みんなアイズのこと可愛い妹だっていってたね。」
「お姉ちゃんがいっぱい増えた・・・嬉しい。」
アリーゼ、輝夜、ライラもアイズの可愛さに陥落し、妹と認めたようだ。ギャラハッドのときのように、これからデレデレになるのだろう・・・
「よし、アイズは明日もダンジョン?」
「ううん、明日はお休み。ガルは?」
「僕は明日も巡回だよ。もしかしたら、またバッタリ会うかもね。」
「そうだね。」
他愛無い会話を繰り返し、あっという間に【ロキ・ファミリア】の拠点である黄昏の館にまで着いた。
「おっ、おかえりさないアイズさん。話はラウルたちから聞いてるよ、ギャラハッドくんも、送ってきてくれたのかい?」
館の前には、いつぞやの門番が立っていた。こんな暗い時間だというのに大変だ。
「ただいま、ガル、送ってくれてありがとう。」
「またねアイズ。」
最後までニコニコと柔らかい笑顔を浮かべたアイズの姿を見て門番の男性も微笑ましくなったようだ。
「やぁ、ギャラハッド。アイズを送ってくれたようだね、晩御飯をごちそうになった上に、しっかり送ってきてくれるなんて。」
館の扉が開き、金髪の小人の男性が出てきた、フィンだ。
「フィンさん! いえ、こちらからお誘いしたので、それにアイズはLv.2ですけど
「ライラたちに随分紳士に躾けられているようだね。昼間の件についてラウルたちから聞いたよ。また後日改めて詳細な話を聞きたい。いいかな?」
「アストレア様たちにお伝えします。アストレア様も、ガネーシャ様、ロキ様、フレイヤ様には集まってもらってでもお話ししないといけないと申しておりました。」
「そうかい、なら話はそのときにしよう。ロキに伝えておくよ。じゃあ気を付けて帰るんだよ。」
「はい! じゃあねアイズ!!」
「ばいばい、ガル!」
アイズ、フィン、門番の男性はギャラハッドの背中が見えなくなるまで館の外で彼を見送った。
「楽しかったかいアイズ?」
「うん、お姉ちゃんがたくさん出来た。」
「お姉ちゃん?」
「うん、アリーゼさん、輝夜さん、ライラさん、リューさん、アスタさん、セルティさん、イスカさん、マリューさん、ネーゼさん、ノインさん、リャーナさん。」
「【アストレア・ファミリア】の全員じゃないか。」
「私がガルと結婚したら、みんな家族だねって・・・」
「け、結婚!?」
「そしたら最初、アリーゼさんたちに反対された・・・そしたらライラさんが、『アタシがフィンと結婚したら結局、妹になるんだからいいんじゃね!!』っていってた。」
そのときのやり取りを思い出したアイズはクスっと笑い声をこぼした。
「彼女はそんなことをいって・・・」
「でもね、リャーナさん、イスカさん、ネーゼさんたちが、みんなでガルと結婚するっていって、私もガルのお嫁さんになることになった。」
「ア、アハハ、まぁ、彼ならアイズのことを大事にしてくれるだろうから、僕としては安心だが・・・」
「私ね、家族がたくさん出来た。」
「そうかい、よかったねアイズ。」
「うん、ありがとうフィン。」
「リヴェリアに伝えるときは気を付けなよ。彼女、感極まって泣き出すだろうから・・・」
そういうフィンの目元も暗闇で見えなったが濡れているような気がした。月明かりが刺さないことを祈ろう。
アイズが星屑の庭にて晩御飯を食べた日から三日が経過した。
ギルドの一室を借りて、四柱の神とそれぞれの眷属が集まり、会合が行われていた。議題は勿論、【ダイダロス通り】と
「それでアストレア、私をここに呼んだのは?」
「【ダイダロス通り】はあなたたちの拠点からそう離れていないわ。用心していおいて損はないでしょう。」
「それはそうね。」
アストレアが呼んだ神は、ガネーシャ、ロキ、フレイヤだった。いずれも今のオラリオにおいて実権を握るファミリアだ。
「ヘルメス様は、現在、団長と共にオラリオを離れているため、僭越ながら私が代理で出席いたします。」
アストレアは交流の広いヘルメスにも召集をかけたが、どうやらオラリオを離れているらしく、代わりに水色の髪をショートカットにした女性、アスフィが代理で参加している。
各派閥で参加している眷属は
【アストレア・ファミリア】・・・アリーゼ、輝夜、ライラ、イスカ、リャーナ、ネーゼ、ギャラハッド
【ガネーシャ・ファミリア】・・・シャクティ、アーディ
【ロキ・ファミリア】・・・フィン、リヴェリア、ガレス、アイズ
【フレイヤ・ファミリア】・・・オッタル、アレン、ヘディン
シャクティ・ヴァルマ、アーディの姉でLv.4【
アレン・フローメル、【フレイヤ・ファミリア】所属の猫人。Lv.5【
ヘディン・セルランド、【フレイヤ・ファミリア】所属の白妖精、Lv.5で【
「それじゃあ、まずは私の子たちが遭遇した
そしてあの日、巡回に参加していたイスカ、リャーナ、ネーゼ、ギャラハッドが話を始めた。
「以上になります。」
「ラウルたちの報告は聞いたが、やはりか・・・僕も
「せやな、あれだけの構成員が見つからずに潜伏できる場所なんて、ダンジョン内か、【ダイダロス通り】くらいなもんや。」
「えぇ、かといってシラミ潰しに探しても見つかるわけもないわ。」
「ガネーシャのところも【ダイダロス通り】には細心の注意を払って巡回をしている。それなのに未だに
三柱の神々は深くため息を吐いた。どの神も以前から【ダイダロス通り】については怪しいと思っていた。しかし、それでも
「奇人ダイダロス・・・厄介なものを作ってくれたものだ。」
フィンの呟くが重く拡がる。
「そもそも、本当に
アレンが【アストレア・ファミリア】の面々にそう言い放った。
「もし魔法で姿を隠したとしたら、私の鼻が気づく。しかし、あの場所で急に匂いが途切れた。それこそ、壁の向こう側へ続くかのように。」
「魔法ね・・・空間転移といった線もありえるわ。」
「それをいわれたら返す言葉もないわね。」
ネーゼの言い分にフレイヤが違う意見を突き付ける。アストレアも、その意見に反論できる余地がないようだ。
「だが、そんな高度な魔法をポンポンと使えるものなのか?」
ガネーシャの意見だ。
「えぇ、確かにそうね。
「空間転移の
「・・・それらの意見が出るとしたら、最初の隠し通路があるという意見が最も現実的ね。」
フレイヤが考えを改めた。空間転移を可能にする
「そういえば、ガル、あのとき面白いことをいってなかった?」
ネーゼがガルにそういった。
「えっ?」
突然話を振られたガルは戸惑う。
「ほら、隠し通路以外にもあるかもって。」
「あぁ、隠し部屋とか、ダンジョンに通じてる可能性があるって?」
「そうそう、それならダンジョンで急に現れるのも説明がつくし。」
「その意見は無下に出来ない意見ね・・・」
「せやな、確かにダンジョンとそもそも繋がってるとしたら、あいつらがあっちゃこっちゃに出てくるのも説明がつく。」
「オラリオ外へも繋がっている可能性もある。密輸などの問題も、それがあれば可能だ。」
ギャラハッドの意見は、かなり的を射ているようだ。オラリオに入る際の監査も、そもそも通ってすらいないのなら、監査することも不可能だ。
「とりあえず、この線で警戒することにしましょう。」
「えぇ、そうね。思ったより有意義な話を聞けたわ。」
「ほな、うちらのとこでも暇な連中は巡回させるようにするわ。」
「ガネーシャのところも今後は更に警戒を厳しくするぞ!!」
こうして四柱の会合は終わった。
「あぁ、そうよアストレア。」
「どうかしたの、フレイヤ?」
去り際にフレイヤはアストレアに声をかけた。
「あなたのところのギャラハッド、うちに招待してもいい?」
「いっとくけど、あなたにあの子は渡さないわよ。」
「もう嫉妬深いわねぇ、ちょっとお茶をしてお話しするだけよ。」
「ダメよ。」
「あらあら、珍しいわね。あなたがそこまで子供に執着するなんて。」
アストレアが珍しく執着する姿を見せたことで、フレイヤの興味は更に惹かれる。やはり、あの子には何かあるのだと・・・
「そうねぇ、あなたが、あの子のお茶させてくれるっていうなら、私たちの子供たちも、今後は積極的に巡回させるようにするわ。」
「うっ・・・駄目よ。あなたのところに向わせたら、何されるか分からないわ。」
「はぁ、本当に頑固ね。なら、あなたも一緒に来るっていうのはどうかしら?」
「・・・ガル、あなたはどう?」
「どうって、フレイヤ様とお茶するだけですよね。正直恐れ多いですが、アストレア様や、アリーゼお姉さんたちのためになるなら、僕はいいですよ。」
「やった、その子もこういってくれていることだし、楽しみにしているわ!!」
一気に上機嫌となったフレイヤは恋する少女のように部屋から去っていった。
「ごめんね、ガル。」
アストレアは、決してギャラハッドを奪わせないという意思を感じる強い抱擁を行う。
「ここが
ギャラハッドとアストレアが訪れたのは、オラリオの南にある【フレイヤ・ファミリア】の拠点。黄昏の館と同じ、いやそれ以上の規模を誇る。更に、拠点の庭では日々、Lv.1からLv.4の団員たちが朝から日没まで【洗礼】と呼ばれる殺し合いのごとき鍛錬を繰り広げている。
「ようこそおいでくださいました、アストレア様。」
アストレアたちを出迎えてくれたのはピンク色の髪をツインテールに分けた美少女。彼女の名はヘイズ・ベルベットといい、最近Lv.3へと
また、洗礼にて負傷した団員たちを
「フレイヤ様からお聞きした通り、とても目立つ盾をお持ちですね。」
「傷つく人を減らす大事な盾です。」
「ふふふ、では、こちらへどうぞ。」
ヘイズが案内してくれた先はフレイヤの私室である。
「いらっしゃいアストレア、そしてギャラハッド。」
私室の中央にて椅子に座るフレイヤは大変神々しい。聖衣は白いドレスで髪飾りにはクォーツをあしらったものを着用している。彼女の美しい紫の瞳と相まって、とても似合っている。
傍にはオッタルも控えている。今日はドレススタイルで参加しており、体格の良さがよくわかる。
アストレアとフレイヤに挟まる形で座ることになったギャラハッド。両端に並ぶ美しい女神たちにタジタジになってしまう。
「さぁ、ではお話ししましょ。」
ギロリと紫色の瞳がギャラハッドを打ち抜いた。思わず身震いしてしまう。
「へぇ、お料理が得意なのね。」
「得意ってほどではないですが、好きです。拠点でも当番制で料理をしております。」
「最近巷で流行っているというコロ丸くんも、あなたが考えたって聞いたわ。」
そうである、アイズと共に作ったコロ丸くんは、ギャラハッドが【デメテル・ファミリア】へと持って行ったところ、デメテルがぜひ販売させてほしいといってきたのだった。
お世話になっているデメテルの頼みということもあり快諾したのだが、最近になって屋台で販売される姿が目に入るようになった。巡回の途中で、姉たちも口にしていた。
「アイズがじゃが丸くんが好きとのことだったので、ボリュームを抑え、軽く食べられるように改良したのですが、デメテル様が大変気に入ってくださったようで・・・」
「デメテルだけいいわぁ、わたしも食べてみたいわ。」
ギャラハッドは持ってきていた袋を取り出す。
「じ、実は、お口に合うかはわかりませんが、私の作った料理をお持ちしました。コロ丸くんをお持ちしました。」
「あら!! ほんと!!」
とても嬉しそうな表情を浮かべる女神フレイヤ。オッタルも背後からフレイヤの喜ぶ姿を見て嬉しそうにしている。
「冷えている状態でもおいしいので、よかったらどうぞ。お茶には合わないかもしれませんが・・・」
「いただくわ・・・あら、とってもおいしいわね。軽い口当たりと程よい塩加減。中身はジャガイモね、じゃが丸くんほど重たさのある感じもしないし、デメテルが気に入るのもよくわかるわ。」
「ソースも準備いたしました。こちらが酸味の強いトマトソースです。もう一方の方はチーズソースをご用意しております。」
「トマトソースとも相性が抜群だわ、強い酸味が揚げ物特有の重たさを消してくれてるわね。チーズソースの方は逆に濃厚さに特化した味わい・・・どちらもおいしいわ。」
「お口にあったようで、何よりです。」
「この色が濃い方は何なの?」
ノーマルコロ丸くんをいくつか食べたあとに、色の濃い甘いコロ丸くんを指差した。
「そちらは、甘いコロ丸くんとなっております。そちらなら、ご用意していただいた紅茶とも合うと思います。」
「甘いのね、まずはそのまま・・・あら、また全然違った味わいね。これはスイートポテトを上げてるのかしら?」
「その通りです! 以前、デメテル様に教えていただいたスイートポテトを揚げてみました。」
「香ばしくて甘いのが癖になるわね。揚げたても気になって来たわ。」
先ほどまでとは違った視線をギャラハッドへ向ける・・・この視線は覚えがある、甘味を前にした女性陣たちが向ける狩人の視線だ。
「ホイップクリームと、抹茶クリームをご用意しましたので、そちらと共にお召し上がりください。」
ギャラハッドが用意したコロ丸くんを食べ終わったフレイヤは改めて、ギャラハッドと話す。
「ねぇ、やっぱりあなた、私のところへ来ない?」
「光栄なお話ですが、何度も申し上げました。この身はアストレア様に拾っていただいた身ですので、申し訳ありません。」
深く頭を下げて断るギャラハッド。その姿を見てアストレアもほほ笑んでいる。
「はぁ、もしアストレアじゃなくて、私たちが
どこか遠くを見るフレイヤ。その視線の先のずっとずっと遥か彼方には、ギャラハッドがいた孤島がある。
「そうですね、もしかしたらそのような未来もあったかもしれません。ですが、私はアストレア様の正義と、正義の眷属である姉たちの正義を見てついていきたいと思うようになりました。ですので、フレイヤ様やオッタル殿が来られていても、オラリオに来ていたかは定かではありません。」
「ふふふ、そのときは魅了してでも来させてたわ。」
そういってフレイヤは紅茶に口をつける。
「いづれにせよ、当時の私は島から出ることの出来ない身でしたので、フレイヤ様の眷属となることは不可能でした。」
「あら、それはどういう意味?」
「私の一族は、この盾を守護する使命を負っておりました。」
武具の話ということもあり、オッタルも聞き入っている。
「一方で、盾は私たちの一族を一定以上の離れた場所へ行かせないように、縛り付ける力もあったのです。」
「ということは、あなたがいつも盾を持ち歩いているのは・・・」
「オラリオ市内くらいならば、どこに盾があっても大丈夫です。」
「そうなのね、島から出られなかったというのは、盾があなたを縛り付けていたわけね。」
次々に興味深い話が飛び出してきたため、フレイヤは紅茶のことをすっかり忘れて話を聞いている。アストレアは横で、どこまで話すのかが内心穏やかではなかった。
「アストレア様たちと出会う前の私は、盾を持つことが出来ず島から出ることが出来ませんでした。ですが、アストレア様と出会い、正義を知り、正義を背負う姉たちの炎を見て、私は盾を持つことが出来るようになりました。」
「・・・なるほどね、どちらにせよ、あなたはアストレアに拾われたのだから、過ぎてしまった過去を話していても進まないわね。」
「ご理解いただき恐縮です。」
興味深そうに聞いていた表情から一変し、一目で落胆しているとわかる顔になるフレイヤ。
冷めきってしまった紅茶に口をつけてため息を吐く。
「なら、力づくであなたを奪うことにするわ。」
「フ、フレイヤ様!?」
椅子から立ち上がり、ギャラハッドの瞳を見つめた。全力の魅了が放たれる。
「なっ! ガル!! 見ちゃダメ!!」
「もう遅いわ。」
さて、全力の魅了を放たれたギャラハッド君の運命はどうなるのでしょうか!!
原作ベル君と違って一途に思っている相手がいないため・・・
次回、【女神】と【女神】Ⅲお楽しみに!