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さぁ、前回はフレイヤ様の全力の魅了を放たれてしまったところで終わりました。
ギャラハッド君の運命は一体・・・
椅子から立ち上がり、ギャラハッドの瞳を見つめた。全力の魅了が放たれる。
「なっ! ガル!! 見ちゃダメ!!」
「もう遅いわ。」
「・・・その、見つめられると恥ずかしいです。」
「えっ? 嘘、効いてないの? 嘘よ、美の女神たる私の魅了が効かないなんて!!」
ヒステリックを起こしたかのように金切り声をあげる。
「ガル? 大丈夫なの?」
「えっと、大丈夫ですけど。」
アストレアは今起きたことが信じられなくなり、思考が混乱する。
『どうして効かないの? スキルの力? 美の女神の魅了が効かないなんて効果書いてなかったわよ・・・【対異常】が発現するのも戦闘中だけ・・・この子は戦闘状態だと思って過ごしていたわけ? いえ、それだけじゃフレイヤの魅了が効かない理由にならない・・・』
考えられるありとあらゆる可能性を羅列していくが、どれも決定にはならない。
「盾が・・・」
ずっとフレイヤの背後で立っていたオッタルが呟いた。
フレイヤが盾の方に視線を向ける。
「盾が光っている・・・まさか、その盾が!!」
「これは・・・円卓の騎士の加護!!」
アストレアは、白い竜を倒したあとに現れた騎士たちの姿を思い出す。
「円卓の騎士? どういうこと・・・」
フレイヤは冷静さを取り戻したのか、アストレアに尋ねた。
「そ、それは・・・」
「フレイヤ様、以前も申し上げましたが、私は御身だけの騎士となることは出来ません。」
「えぇ、そうね。そうみたいね・・・ますますあなたのことが欲しくなったわ!!」
「え、えぇ~。」
今までフレイヤに対して、敬語を欠かさなかったギャラハッドだが、フレイヤの反応が予想外だったのか、うっかり変な声を出してしまった。
「騎士になってもらうことは諦めるわ。代わりに、私の
「はっ!」
控えていたオッタルが、フレイヤの指示に従いギャラハッドと向き合う。
「フレイヤ!!」
アストレアが叫ぶ。
「悪いわね、アストレア。どうやら私、
「オッタルさん・・・」
「フレイヤ様の命令は絶対だ。大人しくフレイヤ様に従え。」
ギャラハッドがオッタルに訴える。しかし、オッタルが意見を変えることはない。彼の中でフレイヤは絶対である。これは、何が何でも揺るがないだろう。
『そこまでにしてもらおう。』
凛とした女声が聞こえた。
「誰?」
「この声は・・・」
「騎士王様?」
四人以外、誰もいないはずのフレイヤの私室にて、聞こえるはずのない声が響いた。
『我らの子を穢さないでもらおう。』
実態はない、霊体のみだ。しかし、その姿ははっきりと見える。星の光を束ねたかのような金髪を持ち、緑豊かな土地を見つめ続けていたのかと思うほどの、碧眼・・・
王冠を被り、鎧を纏い、マントを羽織っている。そしてその手には星の聖剣・・・
「騎士王様・・・」
『久しいですね・・・我らが円卓の子よ。盾から見守っていましたが、神に運命を捻じ曲げられることは、見過ごせませんでした。故に、私はこの場に現れた。』
「騎士王? 我らが円卓の子? まさか、円卓の騎士の子孫だというの!!」
これまでの情報がまとまり、ようやくギャラハッドの出自についてたどり着いたフレイヤは、その顔を恍惚に染めた。
「まさか、英雄の子孫だったなんて・・・器も魂も完璧だわ。」
『女神よ、御身に我らが子の運命を任せるわけにはいかない。我らは正義の女神と共に過ごすこと望む。』
霊体の状態で星の聖剣をフレイヤへ突き付ける騎士王。
「あぁ、あなたも素敵だわ。星々を包み込む宇宙のような輝き・・・うっとりしちゃうわ。」
ちょっと言葉では表せない状態になったフレイヤに騎士王は少し引いたが、星の聖剣を突き付けたまま言葉を紡ぐ。
『御身が我らの子に害を成すというのならば、我ら円卓の騎士が見過ごしはしない。引いてくれないだろうか。』
「はぁ、どこまでも平行線ね。あの子に放った魅了を防いだのはあなたたち?」
『えぇ、今後もあなたが我らの子、及び我らの子と親しいものたちに害を成すというのならば、その全てを弾き、裁きを下そう。』
「騎士王とも高潔な騎士が、か弱い女神に対して脅しをかけるのかしら?」
『黙れ!! 御身の方こそ、至高の存在でありながら、魔女の真似事をするのだな。』
バチバチの口論が広がっている。フレイヤに対する言葉にオッタルは反応し、騎士王へ切りかかるが霊体故に攻撃は通らない。
「仕方ないわね、じゃあアストレア、【
【
「私が受けるとでも?」
「あら、怖いのアストレア? でも、そうね。あなたのところの眷属は一番高い子でLv.3だものね。」
「フレイヤ様、もしその【
「えぇ、なんだったら負けたら、アストレアの属神になってあげるわ。」
「アストレア様、属神って?」
「フレイヤが私たちのいうことを聞くようになるってことよ。駄目よガル!!」
「・・・アストレア様、受けましょう。勝負形式を一体一にすることは出来ますか?」
「普通は神々がくじ引きで決めるものだけど、そうね、特例で許可するわ。一体一でいいの?」
「はい!!」
「ガル!!」
アストレアを置いて話を次々進める二人。
「ごめんなさい、アストレア様。だけど、受けるしかないです。」
「どうして!!」
「僕の正義が受けろといっています・・・この戦いを受けたら【フレイヤ・ファミリア】の皆さんにも巡回を手伝ってもらえるようになります。多くの人を助けることが出来ます。アリーゼお姉さんたちを助けられます。」
どうやら、ギャラハッドにしては珍しく交戦的だとは思ったが、それらも全て【アストレア・ファミリア】のため、正義の為だった。
正義の・・・天秤の女神は公正な判断を下す。
「わかったわ。」
「ありがとうございます!!」
「じゃあ、決まりね。もちろん、ギャラハッドが出てくるのよね。」
「はい・・・この戦いは僕の戦いですから。」
「楽しみにしているわね。コロ丸くんもおいしかったわ。さぁ、オッタル、彼らを出口まで送って・・・」
「ありがとうオッタル・・・」
「いえ、気を付けてお帰りください。」
やはりフレイヤと話すべきではなかったという後悔がアストレアを襲う。
『我らが子よ、必ず勝利するのです。』
いつの間にか消えていた騎士王の声が聞こえた。
「騎士王様、どちらに?」
『私はもうすぐ声を発せなくなります。我らが子よ、必ずあの女神に打ち勝つのです。見守っていますよ・・・』
騎士王の気配が完全に消えてしまった。
「ガル、本当にやるのね?」
「はい、必ず勝ってみせます。」
星屑の庭に帰ったあと、アリーゼたちに【
「なんでそんなことになってんのよ!!」
「やはりあの女神・・・そもそも、どうして勝手に受けたんだ!!」
「アタシの耳がおかしくなっちまったのか・・・」
「ガ、ガル!! 一体どうしてそのようなことになったのですか!!」
アリーゼたちも【フレイヤ・ファミリア】と
「ガルが一騎打ち?」
「誰と?」
「そりゃ【猛者】でしょ・・・」
「やばすぎる!!」
マリュー、ノイン、アスタ、イスカの四名においては悲鳴を上げている。
「ガ、ガルならきっと勝ってくれる!!」
「そうよ! まだ勝負は始めっていないのに諦めるのはダメだよ!!」
セルティ、リャーナが他のメンバーを励ます。
「アストレア様の眷属として、アリーゼお姉さんたちの弟として、僕は負けるつもりはありません!!」
『よくいった!!』
突如、盾が光り輝いた。
『その意気だ。あんのクソ女神に一杯食わせてやれ。誇り高き円卓の騎士としてな!!』
星屑の庭に、一人の騎士が現れた。騎士王ではない、フルフェイス型の甲冑を着用しているが、この声は聞き覚えがある。
「サー・モードレッド?」
『あぁ、そうだ。反逆の騎士、モードレッド様だ!!』
「フレイヤ様、
「ありがとうヘルン、ふふふ、楽しみだわ。早くあの子を私の
フレイヤは
そこでフレイヤはギャラハッドの提案した勝負形式を押した。
勝負形式を一対一にし、場所を
ロイマンもそれならとしぶしぶ了承し、なんとか
「さて、オッタル頼むわよ。」
「フレイヤ様の仰せの通りに・・・」
「それにしても、まさか、かの円卓の系譜だとは・・・」
私室の窓から空を眺める。
円卓の騎士、このオラリオから遠く離れた島にて活躍したといわれている騎士団。星の聖剣を携えた騎士王を守る12人の騎士たち・・・誰もかれもが一騎当千の騎士だったといわれている。
「ふふふ、盾を持つ騎士・・・聖杯の騎士・・・あぁ、素敵だわ。」
フレイヤはその夜、夜空に浮かぶ美しい満月を見ながら、葡萄酒を一本空けたのだった。
「その程度では【猛者】に勝てないぞ!!」
「くっ、まだまだ!!」
【フレイヤ・ファミリア】との
「【
輝夜の斬撃を防いだと思ったら、横からリャーナの魔法が飛んでくる。
「【ルミノス・ウィンド】!!」
更にリューの魔法まで、現在は輝夜、リャーナ、リュー、アリーゼと同時に戦っていた。
「ガハッ!!」
急接近したアリーゼの膝蹴りがギャラハッドの腹部へ突き刺さる。
「ま、だ、まだ!!」
近くにいるアリーゼに盾を振るう。
ガギンッ!!
輝夜が横から現れ狙いを逸らされた。
「常に死角を意識しろ!!」
「はい!!」
一度跳躍し、詠唱に入っているリャーナに向って盾ごと落下する。
この中で一番厄介なのはリャーナの放つ魔法【
「後衛だからって舐めないでね!!」
詠唱を止め、ギャラハッドの攻撃を回避。そのまま回し蹴りを放つ。
その足を掴んでギャラハッドはリャーナを投げ飛ばした。輝夜に習った極東の技だ。
「なっ!」
投げ飛ばされた方向にはリューがいた。
「ぐっ。」
回避するのではなく、リャーナを受け止めることにしたリューから曇った声が漏れる。
「【アガリス・アルヴェシンス】!!」
アリーゼの
「相変わらずカッコいいお姉さんたちだ!!」
「ふふん、そうでしょ。でも、褒められたからって手は抜かないわ!! ガルを、渡さないためにも!!」
高速の連撃が盾を襲う。
「
ズドーン、アリーゼの目の前に赤い稲妻が落ちた。
反逆の騎士モードレッドが現れたあの夜、モードレッドはギャラハッドへ力を授けた。それこそが、この力。
「超短文詠唱・・・しかもかなり威力だわ。」
「あぁ、回避もしにくい・・・厄介な魔法だ。」
【
詠唱
超短文詠唱の魔法だった。
迸る赤い稲妻が周囲を奔る。
「
そしてもう一発魔法を放つ。
魔法はリューとリャーナに向って飛んでいき、二人を焼いた。
「まだ二人残っている。」
厄介な魔法を使う二人を戦闘不能にしたことでアリーゼと輝夜との勝負に集中できる。
「【一閃】」
鞘から必殺の一撃が放たれる。
ガギンッ!!
盾で防ぐことに成功したが、手がしびれている。しびれた腕を殴って無理やり使えるようにした。
背後から迫るアリーゼの気配を察知し盾を構える。
「流石ねッ!!」
剣が盾にぶつかる直前で足元の炎が激しく燃え上がりアリーゼの身体はギャラハッドを飛び越える。
「はい、おしまい。」
クリムゾン・オーダーの切っ先がギャラハッドの背に当たる。
「負けました。」
「いや、誉めてやろう。確実に強くなっている。しかし、まだ足りない。」
タオルで汗を拭いながら、輝夜がそういった。
「え、えぇ、その魔法も使い勝手が良く、ガルにピッタリです。」
「いたたたた、まだ痺れてる・・・ガル強くなったねぇ。」
先ほどまで意識を失っていたリューとリャーナが起き上がる。魔法のダメージは大きくなかったようだ。
早朝鍛錬を終えるとダンジョンへ潜る。
この半月、毎日この鍛錬メニューで過ごしていた。
ギャラハッドのステイタスもみるみる成長してはいるが、それでも【猛者】へは届かない。
「ガル、右三匹いった。」
「わかったアイズ!!せいッ!!」
ギャラハッドはライラ、セルティ、ノイン、そしてアイズと共にダンジョンへ潜っていた。現在は、
ギャラハッドへ襲い掛かったのは三匹のヘル・ハウンド。口から火を吐き出す厄介な
しかし、毎朝姉達との鍛錬を繰り広げたギャラハッドにとっては、この程度余裕だった。
盾を投げつけ一匹を消す。盾をキャッチしたと同時に盾を振るい、もう一匹のヘル・ハウンドの首を切断。
「
とどめにモードレッドから授かった魔法を放った。
首を赤い稲妻が貫通した。
「良い動き。」
「ありがとうアイズ。まだまだいくよ。」
「うん!」
ダンジョンだというのにアイズの表情は明るそうだ。ギャラハッドの力になれることと、共にダンジョンへ潜ることができて嬉しいのだろう。
「あの二人、なかなか良い連携じゃん。」
「うん、私たちも負けてられない。」
「おーい、連れてきたぞぉ!!」
アイズとギャラハッドの姿を見て闘志を燃やしていたライラとセルティ、そして通路から大量の
今回はノインが引き連れている。
ヘル・ハウンド、アルミラージが20は越えている。
「我が名はギャラハッド・デカトゥリア!!」
スキル【騎士の名乗り】を使用し、ノインが買っていたヘイトを受ける。
ヘル・ハウンドたちの口元に炎が集中する。
「盾よ!!」
ギャラハッドが構えた盾が2.5メドルの大きさへ戻る。
ブレスを完全に防ぎきると、また大きさが変わる。1.5メドル、いつもの大きさになった。
「はああああああああッ!!」
盾を正面に構えて激しい突進。アルミラージが次々に轢かれていく。一撃で灰に代わり、ヘル・ハウンドたちが残った。
「ガル!」
アイズがギャラハッドの背後で剣を構える。
「後ろは任せて。」
「ありがとうアイズ。じゃあ、いくよ!!」
「うん!
Lv.2
力: 434 E → 973 S
耐久: 626 C → 1130 SS
器用: 361 F → 932 S
敏捷: 331 F → 925 S
魔力: 307 F → 958 S
スキル
【
・誓いによる行動での経験値上昇
・誓いの丈により効果向上
【誇り高き正義の盾】
・戦闘時、力と耐久のステイタス上昇。発展アビリティ【対魔力】、【耐異常】が発現。
・守護対象の側にいる際、全ステイタス上昇。守護対象の数に乗じて上昇。最大12名
・周囲にいる守護対象の耐久ステイタス上昇。
【騎士の名乗り】
・恐怖耐性を獲得。
・
魔法
【
詠唱
「神名、拝借──この身は正義の席に立つ……
其は全ての罪、全ての罪禍を正す我らが天秤──顕現せよ!」
・魔力障壁展開、あらゆる攻撃を隔絶する。
・発動後一定時間、発動範囲内にいる全てに力、耐久、器用のステイタス大幅上昇。
【
詠唱
「
・速攻魔法
偉業を達成できれば
「ゴライアスを倒すか・・・」
ギャラハッドを鍛えている輝夜はアストレアより預かったギャラハッドのステイタスを見て呟いた。
【フレイヤ・ファミリア】との
さぁ、あと半月で一体どこまで成長させられるか・・・楽しみですね。
そして円卓の騎士の魔法!!
クラレントというのは、モードレッドが持つ宝剣の名前ですが、短く詠唱しやすいため、クラレントになりました。
モーさんカッコいいよ。
次回、【女神】と【女神】Ⅳ、お楽しみに!!