感想ありがとうございます!!
今回は少しほのぼの回とさせていただきます。
「ようやく帰ってこられたわオラリオぁ~!!」
「俺は一足先にウラノスへ報告してくる。リディスは帰ってゆっくりしとけ。」
「わかった、じゃあねヘルメス兄さん!!」
そういってリディスは【ヘルメス・ファミリア】の拠点【旅人の宿】があるオラリオの西に向かった。
「さて、早いところウラノスに報告しないとな。」
普段はヘラヘラして自身の内面を見せない神ヘルメスは、珍しく真剣な表情を浮かべていた。
「戻ったかヘルメス。」
島の調査内容を報告するために、ヘルメスは祈祷の魔にいた。
「調査はどうだ?」
「正直、わからないことだらけだったといっておく。ウラノス、これを読めるか? 神である俺が読めない文字とはなんだ?」
「これは…そうか、やはりあの場所には
ウラノスは心当たりがあったようだ。
「何か知っているのか?」
「あぁ、あの子の盾を見たときから、なんとなく予想はしていたが…その手記とやらを見よう。」
そしてウラノスはヘルメスから貰った手記を読みこんだ。
「そうか…あの子は下界の奇跡だったか。」
「下界の奇跡? それは一体どういう意味なんだウラノス!!」
「あの子は間違いなく
「あの子は
「いいや、
ヘルメスは島で見た施設を思い出す。あの場所で行われていたことは完全に禁忌の領域だ。人と交わること以外で人が産まれることは決してあってはならない!!
「ならなんだというのだ!!」
「ーーーーだ。」
「なっ!!」
「しかし、その機能は失われているようだ…代わりにあの子には騎士たちがついている。私はとりあえず一安心だ。」
「しかし、機能が復活するようなことがあれば!!」
「安心しろ、あの子は決してお前が危惧するようなことにはならない。あれほど純粋な少年なのだ。一人の少年として、一つの命として、我々は見守るのみだ。ヘルメス、このことは外部に漏らすなよ。」
「当たり前だ。いえるはずがない…そうか、見守るか…あぁ、俺もそうしよう。まだ会ったことはないが、英雄の器というのなら、見守るしかないな!!」
先ほどまでの暗い雰囲気は消え去り、両者の瞳には希望の光が宿っていた。
「会うのが楽しみだ…ギャラハッド・デカトゥリア君!!」
グリーン・ドラゴンを討伐したギャラハッドたちは、地上へ戻った。地上は既に太陽が沈んでおり、星々が輝いていた。
今日は満月らしい。まん丸な月が夜空に浮かび星々と戯れている。
「アストレア様を迎えに行くか。」
「えぇ、そうね。」
「今日は宝石樹のおかげで、大量に稼げたし、全員で食べに行かない?」
「それいいな!!」
「ここんとこ鍛錬続きだったし、たまには息抜きもしないとな。」
「お前たち…まぁ、そうだな。たまには息抜きも必要か。」
グリーン・ドラゴンが守護していた宝石樹には大量の宝石が実っていた。今日の目的は経験値稼ぎではあったが、金を稼げるなら金も稼ぐことが冒険者である。
魔石などと一緒に換金した結果、約8億ヴァリスになった。
一気に大金持ちだと舞い上がってしまう気持ちにもなるが、第一等級武装など購入すると一瞬で消えてしまう世界である。
それ以外でも、遠征の準備や
しかし、一日くらい飲み食いで豪遊してもいいだろう。
彼女らとて人間である、息抜きは必要だ。
【アイアム・ガネーシャ】にてアーディと共に留守番していたアストレアを迎えに行ったあと、ギャラハッドたちは【豊穣の女主人】へと向かった。
理由は、オラリオにある数々の酒屋の中でトップクラスにおいしかったからだ。
「いいの? 私まで同伴して。」
アストレアのことを護衛してくれていたアーディも今回は同伴している。
「もちろんよ! シャクティさんは明日も早いからって来れなかったけどね。」
「にしてもすごいねギャラハッド君。もうLv.3なんでしょ!!」
「はい。でも、オッタルさんはLv.6です。」
「そうだった…」
アーディの明るい笑顔が一転し暗く濁った。
「僕は勝ちます。勝ってアストレア様の下で、アリーゼお姉さんたちの側で、アーディさんたちと一緒に正義を貫きます!!」
「だな。」
「うちの弟分は強いからね!!」
「そうだよ!!」
「あの女神様にはあげないもんね。」
ネーゼ、イスカ、ノイン、リャーナの言葉だ。
【豊穣の女主人】は今日も冒険者たちで賑わっていた。
「いらっしゃいませ、あら、ギャラハッドさん!!」
迎えてくれたのはシルだ。今日も緑色の制服が彼女の持つ銀髪ととてもあっている。
「こんばんは、シルさん。」
「来てくださって、とても嬉しいです!! 聞きましたよ、【フレイヤ・ファミリア】と
冒険者ではない彼女の耳にも、ギャラハッドが【フレイヤ・ファミリア】と戦うことが伝わっていたらしい。
「その、なんか成り行きで…」
「成り行きでですかぁ~」
「アホが、どこの世界に成り行きで【猛者】と戦う冒険者がいるんだ。」
輝夜が、ギャラハッドの頭を優しく叩いた。
「アハハ、ギャラハッドさんが素敵だから、きっとフレイヤ様もギャラハッドさんの虜になっちゃったんでしょうね。こちらへどうぞ。」
シルは苦笑しながら、ギャラハッドたちを席へ案内した。
「申し訳ありません。本日はご予約が入っておりますので、こちらの席で分かれて座っていただけたら。」
前回座った大テーブルは座れないらしく、6人席を二つ用意してくれた。それでも隣同士なので、ほとんど同席といっていいだろう。
周囲からは相変わらず、お腹の虫を鳴かす匂いが漂ってくる。
「ガル、私の隣においで。」
アストレアが自身の隣をポンポンと手で叩く。
「はい。」
「あっ!! じゃあ、私がその隣ね…」
続いてアリーゼが座ろうとした。
「ちょっと待て、そこには私が座ろう。」
師匠輝夜が待ったをかけた。
「えぇ、私も座りたいんだけど。」
「わ、私だって隣に座ってガルにあーんしたいわ!!」
いつぞやのときのようにギャラハッドの隣をめぐって争いだす。
「では、公平なじゃんけんの結果、私がギャラハッド君の隣に座ります。」
ギャラハッドの隣を勝ち取ったのはアーディだった。
流石モテ女ことアーディさん!! 俺たちにやってのけないことを平然とやってのける!! そこに痺れる憧れるうううううう!!
二位リャーナ、三位アスタ、四位マリューの三人はギャラハッドの対面に座ることになった。五位のアリーゼは、椅子を一脚借りて、テーブルの横、いわゆるお誕生日席のような形で座ることになる。
他の六名は隣の席になった。どうせ、場が賑わってきたら席を移動してくるとは思うが。
「じゃあ、ガルのLv.3
「「「「「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」」」」」
アリーゼが乾杯の音頭を取ってくれた。
ギャラハッドは相変わらず果実水にて参加している。
「ぷはぁー!!」
「久々のお酒おいしいわ。」
「また口元が髭みたいになってるぞ。」
「嘘!!」
「嘘だよ。」
「なんですって!!」
他愛無い会話が場を暖めてくれる。
『もし負けちゃったら、僕はこうしてみんなとお話することもできなくなるのかな…』
楽しい雰囲気の中で一人、沈み込んでしまった。それをなんとなく察したアストレアが頭を撫でる。
「大丈夫よ。あなたはきっと勝てるわ。さぁ、今は楽しみましょ!!」
胡桃色の髪から甘く優しい香りがギャラハッドの鼻腔へ伝わる。
「うん、よしいっぱい動いたから、いっぱい食べよう!!」
「その意気だよ!! はい、あーん!!」
届いた料理を真っ先にアーンしたのは隣に座る権利を勝ち取ったアーディだ。熱々の魚のムニエルを切り分けて、しっかりと冷ましてからギャラハッドの口元へ運んだ。
「どう、おいしい?」
「おいしい。バターの香りがふんわり広がるね。」
「もう、そうじゃなくて、私にアーンしてもらったから、おいしいっていうの!!」
「アーディさんにアーンしてもらったからおいしい。」
「よくいえました! ほら、もう一口。」
そういってリャーナは再び、魚の切り身をギャラハッドの口へ運んだ。
その光景を見ているしか出来なかった敗北者たちは血涙を流しそうな表情を浮かべている。
「くっ、アーディが強すぎる。」
「ちょっとリオン、なんとかしてよ!! あんたの親友でしょ!!」
「そうよ!! 親友に取られちゃうわよ!!」
「神々は、こういうのをWSSっていうらしいわよ。」
「どういう意味ですか?」
「私が先に好きだったのにって」
「「「「「「「「「「ガハッ!!」」」」」」」」」」
「おぉ、すげぇな。みんな沈んでる。」
フィンにぞっこんなライラ以外のメンツがジョッキを片手に沈み込んだ。
「ガル、ほら私のも食べて。」
おぉ~っと!!ここで参戦してきたのはアストレアだ!!
「ふふふ。」
ここ最近張りつめていた様子のアストレアだったが、今は穏やかな表情を浮かべている。
「アストレア様、僕もアーンしますね。」
「あら、ほんと? ありがとう。」
やられっぱなしは性にあわねぇ!!オラッとギャラハッドが優しく、アストレアの口元へ料理を運ぶ。
そしてその様子を見ていた町娘はというと…
『私も混ざりたいんですけど!? ふん、まあいいですけど、どうせもうすぐギャラハッドさんは、私の…』
「ご予約のお客様がご来店しました!!」
入口の方から声がする。
「あれって【ロキ・ファミリア】の皆さん!」
どうやら予約していた客というのは【ロキ・ファミリア】達だったようだ。
「そういえば、アイズも、そろそろみんな帰ってくるっていってたっけ。」
アイズがギャラハッド共にダンジョンへ潜っていたのには、【ロキ・ファミリア】の大半が遠征に出ていたこともある。
フィンを入れた六人の幹部陣は勿論、参加していた。Lv.3以下の冒険者たちは、アストレア主催の会合で話した通り、街の巡回のため残った。
そして、昨夜フィンたちはダンジョンより帰還していたのだった。日数にしておよそ二週間。到達階層は40階層。
「なんやアストレアも来とったんかいな。」
ロキがアストレアの姿を目にして近づいてきた。
「えぇ、あなたのところの子たちもダンジョンから帰ってきたみたいね。」
「大小傷はあったけど、みんな無事に帰ってきてくれたみたいやわ、ほな!」
ロキはそういって大テーブルの方へ戻った。
【ロキ・ファミリア】たちがやって来てしばらくすると、アイズがギャラハッドの方へ来た。
「ガルも来てたんだね。」
「うん、アイズはこっちに来て大丈夫?」
「私は大丈夫。リヴェリアたちにもいってきた。」
「なら、私とガルの間に座る?」
アストレアが自身の座る位置を少しずらしてスペースを作る。小さなアイズであれば十分座れるスペースだ。
「なら、お邪魔します。」
可愛い妹分が増えたことで乙女たちは微笑んだ。
「ガルLv.3おめでとう。」
「ありがとう。アイズも手伝ってくれたおかげだよ。」
「私もすぐに追いつく。守ってもらうだけじゃない。私もガルと一緒に戦う。」
恥ずかしそうにはにかむアイズ。とても可愛い。
その様子を遠くから見ていた
『最近はますます年頃の女の子になってくれたようで、ふふふ。』
偉大なる母親をしていた。
「アイズたん、完全にあの少年にホの字やな。」
ロキは面白くなさそうな表情をしている一方で、素直に良かったとも思っている。
「にしてもLv.3ってどないなっとんねん。」
ジョッキに並々入っていた酒を一気飲みしたあと、ロキは呟いた。
「さぁな、かの【ゼウス・ファミリア】や【ヘラ・ファミリア】に続く英雄になるんじゃないか。」
「おもないわ。」
ロキの目はフィンへと向けられていた。
人工の英雄…フィン自身が選んだ道だとしても、【
「めちゃめちゃいい子ってのが、また綺麗になれへんところやわ。」
ロキ自身、決してギャラハッドのことは嫌っていないのが事実。アイズのことも含めても、ギャラハッド自身がめちゃくちゃいい子なのはわかっている。だからこそ、難しいのだろう。
「ガッハッハ! ロキよ、ジョッキが空ではないか、もう潰れたのか?」
空気を読んだのか定かではないが、近くにいたガレスがロキのジョッキを見て酒を促す。
「まだまだ飲めるっちゅうねん!! シルちゃん、おかわり持ってきてぇ!!」
騒がしい夜はまだまだ続きそうだ。
そして隙を見ていつの間にかフィンも【アストレア・ファミリア】たちの方へ来ていた。
「なんだフィン! アタシに会いに来たのか?」
酒が入ったことで普段よりもテンションの高いライラがそういった。
「こんばんはライラ。まぁ、君だけに会いにきたわけじゃないけど、少しお礼をね。僕たちが遠征にいっている間にアイズが世話になった。」
「気にしないで!」
「アイズちゃんは、もう私たちの妹だもんね。」
「そうそう!」
アリーゼ、アスタ、セルティの言葉だ。
「前にアイズが『たくさんのお姉さんが出来た』って喜んでいたが、本当だったんだね。」
フィンが苦笑しながらそういった。
「フィンがアタシと結婚すれば、正真正銘の妹になれるぞアイズ。」
「!! そ、そうだ、フィン!! ライラさんと結婚!!」
「アイズに何を教えてるんだ!!」
まさかの裏切りにかの【
「それに、ギャラハッドもLv.3おめでとう。」
「ありがとうございますフィンさん!!」
「まさか、こんなに早く
「なんだ、フィンならはっきり、ガルに勝ち目ねぇっていうと思ったのに。」
「確かにね。ただ、ギャラハッドなら奇跡を起こすかもしれない。僕の親指が疼いているんだ。」
「まじか!!」
アストレアに一礼し、フィンは再び【ロキ・ファミリア】が座っている大テーブルの方へ戻っていった。
Lv.3
力:0 I → 132 H
耐久:0 I → 204 G
器用:0 I → 93 I
敏捷:0 I → 89 I
魔力:0 I → 105 H
【騎士】:G
【治力】:H
スキル
【
・誓いによる行動での経験値上昇
・誓いの丈により効果向上
【誇り高き正義の盾】
・戦闘時、力と耐久のステイタス上昇。発展アビリティ【対魔力】、【耐異常】が発現。
・守護対象の側にいる際、全ステイタス上昇。守護対象の数に乗じて上昇。最大12名
・周囲にいる守護対象の耐久ステイタス上昇。
【騎士の名乗り】
・恐怖耐性を獲得。
・
【時に微笑む正義の盾】
・対象1名に5分間の絶対防御、オートヒール付与。再使用に10分のチャージが必要。
魔法
【
詠唱
「神名、拝借──この身は正義の席に立つ……
其は全ての罪、全ての罪禍を正す我らが天秤──顕現せよ!」
・魔力障壁展開、あらゆる攻撃を隔絶する。
・発動後一定時間、発動範囲内にいる全てに力、耐久、器用のステイタス大幅上昇。
【
詠唱
「
・速攻魔法
これが現在のギャラハッドのステイタスだ。
「うぅ~ん、あんまり伸びてないな。」
「なにいってんだ。十分伸びてるわ!!」
ギャラハッドの呟きにライラが突っ込みを入れる。
「でも、もう一週間ないし…」
「やっぱり一月は短すぎるのよ。」
「今からでも延長してもらう?」
「あの女神が許すと思うか?」
「「「「「「「「「「「ないわね。」」」」」」」」」」」
「だろ。」
乙女たちのフレイヤに対するイメージは一致していた。
「クシュッ!」
「どうしたのシル、風邪? 珍しいわね。」
「誰かが私の噂でもしてるんですよ。」
【豊穣の女主人】にておいしいものを食べたことで、リフレッシュできたギャラハッドはダンジョンへ潜る準備をしていた。
「あと九日…泊まり込みで潜った方がいいのかな?」
ギャラハッドはふとそう思った。
【ロキ・ファミリア】の遠征ほどではないが、二日三日ほど潜ってもいいかもしれない。日帰りで潜れる階層では、大した経験値も稼げない。
そこでギャラハッドはアストレアに提案してみた。
「そうね、そうするしかないわね。ちょっと心配だけども、それぐらいしないとステイタスは伸びないわね。」
アストレアも心配ではあるが、ギャラハッドの意見に賛成してくれたようだ。
「18階層を拠点に、25層まで探索してみます。余力があればもう少し潜ってみます。」
「えぇ、気を付けてね。アリーゼたちも気を付けてね。」
今回はダンジョン内で三泊過ごすことにした。
その間ずっとアストレア様を【ガネーシャ・ファミリア】に任せることも難しいので、輝夜、リャーナ、アスタ、イスカが地上へ残ることとなった。
「気をつけろよ。私たちも二日目には団長と交代するからな。」
「はい! 頑張ってきます。」
地上で待機している輝夜、リャーナ、アスタ、イスカは二日目の夜にギャラハッドたちと合流し、アリーゼ、ノイン、セルティ、リューと入れ替わる予定だ。
そのため、最初から最後まで潜るメンバーは、探知能力に長けたライラとネーゼ、そして
「それじゃあ行ってきます!!」
初めてのダンジョン内での野営にギャラハッドは少し胸を躍らせていた。
ウラノスとヘルメスの会話…気になりますね。
町娘さんったら、完全に正体をバラしちゃってますね。
では、次回もお楽しみに!!