皆様、お待たせしました。
一日空いてしまいました。
ギャラハッドは最後の追い込みのために、ダンジョンへ泊まり込みで経験値を稼いだ。
残念ながら、ステイタスの上昇率は期待以上の結果は望めなかった。
どの基礎アビリティもDまで上げるので精一杯だったようだ。
そしてついに
【フレイヤ・ファミリア】の拠点【
戦場に立つのはただ二人の冒険者。
方や現都市最強のLv.6【猛者】オッタル。方や
「この一月でまた強くなったようだな。」
「はい、あなたに勝つために必死でした。」
「そうか、あと一年あれば結果は分からなかったかもしれなかった。」
「そんな課程の話をしても変わりません。僕は今日、あなたに勝つためにここに立っています!!」
二人の視線がバチバチと交差する。
その様子は、下界に降りた神々でも唯一使用できる
「ガル…」
黄昏の館の大広間にてアイズがじっくりとギャラハッドの姿を見守る。
「フィン、あの子は勝つと思うか?」
リヴェリアがフィンに問いかけた。
「奇跡が起こったら勝てると思うよ。」
「それは勝てないといっているようなものだが、奇跡か…あの子なら起こしてしまいそうだな。しかし、相手はLv.6のオッタルだ。どうなるか…」
「ギャラハッド君…頑張って!」
ギルドの仕事を片手間にローズもまた、ギャラハッドのことを応援していた。
「いよいよね…」
「うふふ、ようやく、あの子が私の物になる日がきたのね…」
バベルの塔30階にて神々が集結している。全ては
アストレアとフレイヤの視線が交差する。
どちらの目にも浮かんでいるのは静かな炎。爆発寸前なのはどの神が見ても明らかだった。
「ごめんね、アストレア。私、どうしてもあの子が欲しいの。」
「えぇ、でもあげないわ。」
アストレアの視線は中央にある【神の鏡】へと集中した。
「頑張ってガル!!」
アリーゼたち【アストレア・ファミリア】もまた、アストレアと共にこの場所へ来ていた。
「さぁ、始まるわ。」
「あー!あー!えー皆さんおはようございますこんにちは。今回の
イブリ・アチャー、【ガネーシャ・ファミリア】所属の冒険者でLv.1。よく通る声で実況には持ってこいの人材だった。
ギルド本部の前庭にて仰々しい舞台が準備され、そこにイブリは座っている。
イブリの隣には一柱の神が座っている。
「解説は我らが主神、ガネーシャ様です! ガネーシャ様、それでは一言を!!」
「俺が、ガネーシャだ!!」
「はいっ、ありがとうございました!!」
「今回の
イブリが両者の紹介をした。
「ガネーシャ様、この勝負どう見ますか?」
「俺が、ガネーシャだ!!」
「はいっありがとうございました。Lv.6にLv.3が戦いを挑むという前代未聞の勝負となっております。正直、もう試合の結果は見るまでもないのではないでしょうか!! しかし、相手はたった四カ月でLv.3へと至った期待のルーキーもしかすると【
「ハンデだ。先にお前の全力の一撃を俺に放ってみろ。」
「いいんですか?」
「あぁ、来い!!」
【戦場の野《フォール・クヴァング》】の荒野にて向かい合う二人の冒険者。両者の手には獲物が握られている。
「それでは、いかせていただきます!! 我らの剣は
ギャラハッドは突如詠唱を始めた。
「故郷は彼方、歴史の片隅、王を守護せし12の騎士。」
ギャラハッドを中心に12の影が産まれる。
「この身は彼らの
更に一人の影が産まれた。頭には王冠を被っており、他の影が頭を垂れる。
「【
そして盾が輝いた。
光が収まったあと、そこには一人の騎士がいた。
「我が名はモードレッド!! 我らが子の願いに応じ参上した!! 気に食わない女神はぶっ倒してやる!!」
赤雷を纏う白銀の鎧。いつもの兜は消えている。
獅子を連想させる金髪に碧眼。手には宝剣クラレントを持っている。
「感謝しますサー・モードレッド。では、いきましょう!!」
そしてギャラハッドはスキル【誇り高き正義の盾】。
その様子を見ていた神々は…
「な、なんだ!! 人間の召喚!? 勝負は一騎打ちだルール違反じゃないのか!!」
「いいえ、彼は今を生きる人間ではありません。ギャラハッドの盾に宿る
「
「というか、一騎打ちに助っ人ってアウトじゃないか?」
「魔法で呼び出したようだし、セーフじゃないか?」
「いや、アウトじゃないか?」
「それいうなら、Lv.6とLv.3が戦うこと自体アウトだろ。」
「「「「それもそっか。」」」」
神々はギャラハッドの魔法を黙認した。
「モードレッド!! 嘘、本物!? なんで!! なんで、反逆の騎士がギャラハッド君に味方するの!?」
今日は非番だったアーディはギルド本部の前に設置されている巨大な【神の鏡】を見て叫んだ。
「うるさいぞアーディ。」
「ご、ごめんお姉ちゃん。じゃなくて、サー・モードレッドだよ!! 円卓の騎士だよ!!」
アーディの隣にいたシャクティが彼女の頭に拳骨を落とした。
しかし、アーディの興奮は止まらない。
「はああああああああああ!!」
モードレッドの足元が爆発、一瞬でオッタルの正面へ突貫した。モードレッドの通った道には赤雷が奔っている。
ドゴオオオオオオオオオオオオン!!
オラリオ中に響き渡った。
「へっ、まぁ、なかなかやるじゃねぇか。」
「なんて速さ、力、何者だ?」
背負っていた大剣を二本とも使ってモードレッドの突貫を受け止めた。
しかし、足元を見るとかなり背後へ押し切られたようだ。地面に痕が残っている。
「俺は反逆の騎士モードレッドだ!!らッ!!」
宝剣クラレントがオッタルの大剣を叩きつける。
ゴンゴンゴンゴンゴン、一合一合が爆音でオラリオ中に響き渡っている。
「おらっ!!」
急に剣での攻撃を辞めてオッタルの腹部へと拳を打ち込んだ。
「がはっ!!」
オッタルの堅い腹筋に拳がめり込む。そのままオッタルは吹き飛ばされた。
それを予想していたギャラハッドは既にオッタルが飛んでくる位置へ移動している。
盾を大きく振り構えてオッタルが吹き飛んでくるのに合わせて殴りつける。
ズドオオオーーーーン!!
円卓の盾の下部が深く突き刺さる。オッタルは再び吹き飛ばされた。
地面に転がりそのまま動かない。
「あれ、死んだか?」
モードレッドが肩にクラレントを担いで呟いた。
「ぐっ、なかなかいい攻撃だったが、まだだ。」
オッタルはすぐに立ち上がった。
しかし決してダメージは軽くない。
「そうこなくっちゃな!」
「も、【猛者】が一方的だああああああああ!!」
「俺が、ガネーシャだ!!」
実況のイブリの声がオラリオ中に響き渡った。
「嘘でしょ。」
その戦闘を見て一番度肝を抜かれたのはフレイヤだ。
ゼウスとヘラが無き今のオラリオで最強の座にいるオッタルが一方的にやられてしまうだなんて、信じられなかった。
それは他の神々も、いや、冒険者たちも同じだった。
「ガルいける!!」
アイズの目が大きく見開かれている。少年の勝利を疑っていなかったが、まさかここまで一方的に進むとは想像できなかった。
「ハハハハハハハハ!! やはり奇跡を起こしたか!!」
「バカな、人の手で英霊を呼び出すなど…」
フィンはオッタルの散々な姿を見て大爆笑している。これは黒い小人が姿を見せている。一方で、魔法についての知識に長けたリヴェリアは、ギャラハッドの魔法をありえないものだと考察した。
「英霊を呼び出すなど、それこそ神の力でもなければ、しかし【神の力《アルカナム》】を使えば神々が気づく…なぜだ!!」
「お姉ちゃんみてみて!! ギャラハッド君が!! サー・モードレッドが!! 【猛者】を圧倒してるよ!!」
「あ、あぁ、にわかには信じられんが…」
ギルド本部前でも静寂が支配している、それほどまでに都市最強のオッタルが一方的ということが信じられなかったからだ。
「えーガネーシャ様。英霊とはなんでしょうか?」
「うむ、英霊とは死後に、その信仰や偉業によって人類の守護者・超常の存在として昇華され、世界の裏側に座【英霊の座】へと祀られた英雄たちのことだ。しかし、それは空想上の論題として扱われてきた。天界にいた我々も英霊という存在は知っていても、実在していないことを知っていたからだ。だから、おかしい。何故、英霊がこの場に現れる。」
珍しく真面目モードのガネーシャが解説を行った。
「えぇと、よくわかりませんが、あのモードレッドと名乗った騎士は、かの騎士王の伝説に出てくる騎士の本人ということでいいのでしょうか?」
「あぁ、正確には違うが、そう捉えて大丈夫だ。」
「ということは、伝説の騎士が、小さな騎士を助太刀に来たということですね!!うおおおおおお盛り上がってきたあああああああ!!」
「ギャラハッド君!! がんばってええええええええ!!」
アーディは喉が張り裂けそうなほど大声で応援した。
「へっ、なかなかタフな野郎じゃねぇか。おい、ガル。俺ばっかりが戦っても、お前の勝利とは認められない。」
「はい! ここからは、僕が主体で攻撃します。」
「おう、頑張れよ。」
モードレッドはそういって、ギャラハッドのスキルの範囲内で下がった。
「なかなか面白い魔法を得たようだ。」
「えぇ、ご先祖様の前で情けない姿はさらせません。改めて、名乗らせていただきます!!
我が名はギャラハッド・デカトゥリア!! 最後の円卓の騎士にして、正義の眷属【アストレア・ファミリア】の第13席に座る者!!
この身が正義の盾としてあり続けるために、あなたを打倒します!!」
「ご先祖様の前で?」
【神の鏡】の前にいた誰もがその言葉を耳にした。
「「「「「「「「「「「えええええええええええええええええ!!!!!!」」」」」」」」」」」」」
バベルの塔30階にいる神々が叫んだ。
「ガチのやつ?」
「だから、英霊を呼べた?」
「いや、それだけじゃありえないだろ!!」
「まじかよ!! まじもんの英雄の卵かよ!!」
「おいアストレアどこで拾ったんだ!!」
事情を知っていたフレイヤは勝敗に夢中になっていおり黙っているが、他の神々はそうではない。娯楽や刺激が好きな神々にとって、英雄の子孫とは喉から手が出るほど欲しい存在だった。
「だれか天界から見てたやついねぇのかよ。」
「ゼウスは見てたけど、俺たちは色々忙しかったからな。」
「フレイヤ様は、それを知っていたのか?」
「…」
フレイヤは黙ったままだ。爪を噛み必死に【神の鏡】を見つめている。
「あらら、聞いてないな。アストレア答えろ。」
「えぇ、知っていたわ。でも、そんなの関係ない。あの子が英雄の子孫だろうと、極悪人の子孫だろうと、正義を司る私の大事な眷属よ。」
一方でギルド本部前はというと…
「ギャラハッド君って円卓の騎士に憧れてる子じゃなくて、子孫だったの?」
アーディが呆然と口を開けて立ち尽くしていた。
「確かに、似てるとは思ったけど、うんうん、そうじゃないでしょ!! そんなことより、今は応援、頑張れ!!頑張れ!!」
声を出しすぎてスッカスカになっているが気にせず応援を続ける。
更に【ロキ・ファミリア】の拠点、黄昏の館はというと…
「ガルも、英雄の子…」
アイズが先ほどまでの表情とはまた違った表情を見せる。それは驚きが大きい。
「まさか円卓の騎士に憧れる子じゃなくて、円卓の騎士たちの子だったとは…女神フレイヤが欲するのも納得だ。」
「あ、あぁ、アイズ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ガルは必ず勝つ、頑張って!頑張れえええええええええ!!!」
初めて聞いたアイズの大声に、黄昏の館にいた全員が驚く。
「勝って!! 私の英雄なんだから…」
手のひらをぎゅっと握りしめた拳を胸に抱える。
「来い円卓の子。女神の騎士となるために。」
オッタルが動く。ゆっくりから徐々にスピードが増す。
ギャラハッドも動く、足の裏に意識を集中、力を一点に集めて、解き放つ!!
ドオオオオオオオオオオン!!
またオラリオに轟音が届く。
オッタルの大剣はギャラハッドの盾に受け止められている。
「これを止めるか。なら、うおおおおおおおおおお!!」
高速の連撃が始まった。
普通の冒険者が受け止めようとすれば、一撃で吹き飛ばされるような必殺が何度も、目に止まらぬ速さで盾に打ち付けられる。
「ぼく、は、まけ、ない!!」
城壁の如くオッタルの攻撃を受け止め続ける。
「いいぞ! その盾を持って負けることは、この俺様が許さねぇからな。いけ、ガル!!」
無呼吸で何度も続く連撃も、必ず止まる隙がある。
その一瞬を狙っていたギャラハッド…
「ふんッ!」
そしてついに、攻撃が止まった。
「はああああああああ!!」
両手で盾を振りかぶり、オッタルの大剣を一対弾く。
大きく右半身の重心を崩したオッタルは、その勢いを利用して左手の大剣で切り付ける。
「があああああああ!!」
ギャラハッドの盾をすり抜けて、大きく大剣はギャラハッドの右肩に入り込んだ。
両断は免れたが、致命傷である。
しかし、【時に微笑む正義の盾】が発動した。
ギャラハッドの身体が光、傷が癒されだす。
「ぐっ、痛いけど、痛いけど、負けるかああああああああ!!」
オッタルの手首を掴んで唱える。
「赤雷よ《クラレント》!!」
「ぬっ!」
赤雷がオッタルの左手首から心臓へ達する。神経は高圧電流によってショートし、一時的な心臓麻痺を引き起こした。武器を手放し、後退する。
「はあ、はあ、はあ…」
刺さったままの大剣を無理やり抜いた。血が大量にあふれ出る。
流れた血は戻らないが、傷はスキルによって癒される。
「このスキルを発動中は、あなたの攻撃は僕に届きません。ここから五分間は一方的に攻めさせてもらいます!!」
傷は完全に治っていないが、ギャラハッドは攻撃に徹するようになる。
盾でオッタルを殴り、魔法で焼く、掌底で巨体を殴打し、着実にダメージを蓄積させていった。
「そこだ!! いけ!!」
その様子をモードレッドはあぐらをかいて見届ける。
Lv.3
力:132 H → 638 C
耐久:204 G → 813 A
器用: 93 I → 564 D
敏捷: 89 I → 547 D
魔力:105 H → 603 C
【騎士】:F
【治力】:H
スキル
【
・誓いによる行動での経験値上昇
・誓いの丈により効果向上
【誇り高き正義の盾】
・戦闘時、力と耐久のステイタス上昇。発展アビリティ【対魔力】、【耐異常】が発現。
・守護対象の側にいる際、全ステイタス上昇。守護対象の数に乗じて上昇。最大12名
・周囲にいる守護対象の耐久ステイタス上昇。
【騎士の名乗り】
・恐怖耐性を獲得。
・
【時に微笑む正義の盾】
・対象1名に5分間の絶対防御、オートヒール付与。再使用に10分のチャージが必要。
魔法
【
詠唱
「神名、拝借──この身は正義の席に立つ……
其は全ての罪、全ての罪禍を正す我らが天秤──顕現せよ!」
・魔力障壁展開、あらゆる攻撃を隔絶する。
・発動後一定時間、発動範囲内にいる全てに力、耐久、器用のステイタス大幅上昇。
【
詠唱
「
・速攻魔法
【
詠唱
「我らの剣は
故郷は彼方、歴史の片隅、王を守護せし12の騎士
この身は彼らの
・召喚魔法、召喚した対象は注いだ魔力の分だけ活動する。魔力が切れると自然退去。再召喚に13時間を要する。同時召喚可能数 1
キリのいいところで終わります。
そしてついに召喚されましたね、モードレッドさん。
なんでここでモードレッド?と思いますが、単純にフレイヤの在り方が彼女みたいで気に入らなかったからですね。
ちなみに他に協力を申し出た騎士はパーシヴァルとガウェインさんです。昼間の戦いだったため、ガウェインさんを召喚してしまうと、圧勝するためギャラハッド君の勝利とは認められないと騎士王に止められました。
パーシヴァルは、モードレッドに押し切られ今回は辞退。
ギャラハッド君のステイタスが強さに反映されるため、現在のモードレッドさんはLv.3となっております。それで、あの強さ…円卓組 怖い