お待たせしました。これで白い竜との対決は終わりです。
前回のあとがきに書き忘れていました。
セルティ・スロアの魔法については、オリジナル魔法です。原作ではジャガーノート戦で炎の魔法を使っており、アニメでは青い雷の魔法を使っておりますが、この作品では緑雷の魔法としています。
「我が名はギャラハッド・デカトゥリア!!最後の円卓の騎士にして、正義の眷属第13席に座るもの!!正義の翼と剣・・・そしてこの盾に誓って!!お前の攻撃は決してお姉さんたちに届かせない!!」
その日、少年は騎士としての英雄としての道に足を踏み入れた。
【神時代】が始まる以前の【古代】より受け継がれ来た盾を手にして・・・
その盾は円卓そのもの。その盾は円卓の在り方を示すもの。その盾は騎士たちの全てだった・・・
「すごい・・・これがあの盾の、ギャー君の力・・・」
「少しは雄の顔になったようで。」
「えぇ、ギャラハッドさんは、私たちがこの島に来てからずっと、自身よりも私たちのことを守ろうとしてくれていた・・・尊敬に値するヒューマンだ。」
「アタシらの末っ子が男見せてんだ!姉貴分のアタシらがぼぉ~っと突っ立てらんねぇよな。」
四人の視線は小さな背中と大きな盾に向かう。
今もなお白い竜の口から吐き出され迫り来る青紫色の死・・・白銀色の障壁が完全にアリーゼたちを死から隔絶していた。
そして白い竜はブレスを止めた。
「お姉さんたち今のうちです!!」
「「「「えぇ(いわれなくても)(はい)(任せとけって)」」」」
心強い乙女たちが獲物を手にして白い竜に突き進む。
「私たちも行くわ。」
「かっこよかったわよ。」
「流石、私らの家族だ。」
「次はお姉ちゃんたちがカッコいいところ見せる番だよ!!」
ノイン、イスカ、ネーゼ、アスタが先行した四人に続いて突き進む。
「
「
そして八人の乙女を支援するかのように、魔炎と緑雷が道を作る。
先ほどまでは通らなかった魔法も、ダメージを負った白い竜には効いたらしく、白い鱗が黒く焦げている。
なにより、リャーナ・リーツの放った魔法
そしてセルティ・スロアが放った
全員の与えたダメージが着実に白い竜を弱らせていた。
「ギャラハッド。」
英雄譚のような戦闘が繰り広げられる平野に一柱の女神が現れる。胡桃色の髪を持った美しい女神。そう、アストレアだ。
ギャラハッドの家の窓から
傍にはマリューがいる。痛み耐えるように汗が浮かんでいるが、それでもアストレアを守るという強い意志を感じる表情だ。
「ステイタスを更新するわ。その盾を持ったことでステイタスが変わっていると思うから。」
まだ【恩恵】を授けて三時間ほど経っていないが、【古代】の神器の影響は確実に、己の眷属へ反映されていると確信しているアストレア。
「アリーゼたちが時間を稼いでくれているわ。さぁ、早く。」
ギャラハッドは何もいわず、背中をさらけ出す。
ギャラハッド・デカトゥリア
Lv.1
力:80 H
耐久:126 G
器用:30 H
敏捷:73 H
魔力:0 I
スキル
【
・誓いによる行動での経験値上昇
・誓いの丈により効果向上
【誇り高き正義の盾】
・戦闘時、力と耐久のステイタス上昇。発展アビリティ【対魔力】、【耐異常】が発現。
・守護対象の側にいる際、全ステイタス上昇。守護対象の数に乗じて上昇。最大12名
・周囲にいる守護対象の耐久ステイタス上昇。
魔法
【】
トータル上昇値、驚異の300オーバー。
「この子・・・」
アストレアは考えた。この【
『このスキルを知って無茶をするようになったら元も子もないわね。』
この女神はどこまでも
故にアストレアは【
「行ってきますアストレア様!!」
【恩恵】の更新が済みギャラハッドは再び盾を手に取り尊敬する姉たちのもとへ向かった。
腰に携えた父の剣は既にない。白い竜のブレスにより溶けてしまったからだ。獲物は巨大な白銀の壁。
攻撃手段は皆無に等しいといえど、少年は姉たちを追いかけずにいられなかった。
『僕がお姉さんたちの近くにいればお姉さんたちは、傷付きにくくなる。行くしかない!!』
「【
「【
ギャラハッドが見たのはアリーゼと輝夜の魔法が爆ぜた瞬間。二人の麗しい乙女が目を見張るような激しい一撃を打ち付けた。
更に、アスタがドワーフの怪力を一心に込めた戦斧での一撃、ノインの浅くも表面を確実に傷つける裂傷を産み、イスカとネーゼがが鱗を剥がす。
逆鱗に触れたようで、白い竜が荒れ狂う。
口を広げブレスの用意・・・今度こそ煩わしい蠅を死滅させるつもりだ。
「みんな下がって!!リューは回避しながら、魔法の準備。ふふん、きっとギャー君がブレスを受け止めるら・・・」
リューはうなずく。ブレスが途絶えたあと、口腔に魔法をぶち込む。勝機はそれしかない。
そして乙女たちは、ギャラハッドの後ろに立つ。
「頼んだよギャラハッドくん。」
「お姉さんたちが後ろで支えるからね。」
「あぁ、だからお前は、あのクソ竜の攻撃だけに集中しろ。」
「完全に受けきったらご褒美にチューしてあげるね!」
「今考えると、私たちこの島に来てからずっとギャラハッドくんに頼りっぱなしね。」
「さぁ、怖い目がこっちを見てるわ。備えて。」
「GRYYYYYYYYAAAAAAAAAA!!」
最後の絶望・・・だが畏れることなかれ、
乗り越えた先にある希望をギャラハッドたちは確信していた。
「力を貸して円卓の盾!!」
ギャラハッドの頭に詩が流れる。
「真名、開帳・・・いや、神名、拝借──この身は正義の席に立つ……」
詩を詠うだけではない。既にこの身は正義の眷属なのだから。故郷よりも大切な物がある。
「其は全ての罪、全ての罪禍を正す我らが天秤──顕現せよ、
【
島全体を覆いつくす勢いで展開される魔力障壁。
かつての王城キャメロットが出現するやいないや朽ちていく。代わりに現れるのはすべてを正す天秤。
翼が生えたその姿。まさに【アストレア・ファミリア】のエンブレム。
「正義のお姉さんたちを守る。それが、僕の正義だ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
全体重を円卓の盾に預けてブレスを受け止める。ジリジリと足が地面を滑る。後ろへ押される。
だが決して背後の乙女たちには触れさせない。
そして盾への衝撃が消える・・・
「リオン!!」
「やれ青二才!!」
「【ルミナス・ウィンド】!!」
既に詠唱を終え待機状態へ移行していた妖精の魔法が動いた。数多の風の木霊が散々、自分たちを苦しめた白い竜の口腔に向かって特攻する。
触れるだけで切り裂かれ、炸裂する風の爆弾。大きな竜の口から体内へ侵入し、堅い鱗で覆われていた柔らかい体内を蹂躙する。
蛇のような巨躯のあちこちに、膨れ上がった様子が見受けられる。
全身を破裂寸前の風船のように膨らませて一気に弾けた。
大量の灰が降り注ぐ。
騎士王の時代より、島の洞窟で眠っていた白い竜がついに討伐されたのだ。
これが下界の未知。これが下界の奇跡。これが【
「や、やった・・・やったわ!!今度こそ本当にやったわ!!」
灰となった白い竜の姿を確認した赤い少女は右手の拳を高く掲げた。全身に感じる痛みも疲労もすっ飛んだかのように、太陽よりも熱量のこもった向日葵の笑顔を浮かべた。
「よくやったリオン、そしてギャラハッド。」
いつものポンコツ呼びも身を潜めたようで、輝夜はリューを褒める。そしてギャラハッドの頭を撫でた。
「ギャラハッドさんのおかげです。えぇ、本当に・・・」
最後のとどめを刺させたのは、白い竜が無防備になる状況を作り出したギャラハッドがいたからだとリューが微笑む。妖精の微笑みは英雄に活力を与えた。
「ほんとよくやったぜ!こんのうりうり。」
甘い桃髪がギャラハッドの鼻をくすぐる。脇腹に肘を入れられたが、痛みはない。
「乗り越えたわね。ギャラハッド。」
そして女神の降臨だ。胡桃色の髪が神々しく輝く。白い聖衣は煤と土で汚れてしまっているが、それが一層女神 の輝きを引き出している。
「改めて、皆さん。ほんとうにありがとうございました。」
ギャラハッドが11人の姉と1柱の神を見て頭を下げる。
「家族の仇を取ってくださって・・・」
「気にしないで。」
「もう私たち家族だもんね。」
「家族の家族は家族だからな。」
「ふふふ、かわいい弟が出来て嬉しいわ。」
「お姉さん、君の頑張る姿を見てキュンキュンしたわ。」
「これからもよろしくね。」
「全員で立派な婿にするからね。」
ノイン、アスタ、ネーゼ、リャーナ、マリュー、セルティ、イスカが笑みを浮かべた。
「僕はギャラハッド・デカトゥリア。誇り高き【アストレア・ファミリア】の眷属です。これからよろしくお願いします!!」
ずっと動かなかった表情が動き出した。
ずっと流れなかった涙がこぼれた。
ずっと吐き出せなかった
『感謝します女神の眷属。および、我らの子・・・』
突如、凛々しい女性の声が響いた。
彼女たちを囲む形で、13人の騎士が現れた。
「も、もしかして円卓の騎士?」
アリーゼが言い当てた。
『えぇ、我らは誉ある円卓の騎士。こちらにおられる方こそ、我らの王。アーサー王です。」
太陽の騎士が頭を垂れる。それに従い全員が頭を垂れ王に跪く。
『その盾から見ていました。あなたたちの正義を。』
白い光がアーサー王の顔を隠している。声は女声だ。
『既にキャメロットは遠い過去の遺物となっています。私たちの罪があなたたちを、そして我らの子を長く苦しめてしまいました。本当に、申し訳ありません。』
さきほどまで凛々しい声だったが、少しずつ消えさってしまいそうな儚い声へ変わっていく。
『そして、あなたが今代のギャラハッドですね。女神の眷属と出会ってから、いい
王はギャラハッドへ近づき顔を覗き込んだ。
「あ、あの、騎士王様。僕・・・」
『いいたいことはわかります。オラリオへ行きたいのですね。』
「は、はい!!」
『長い間、あなたたちを縛ってしまい申し訳ありませんでした。世界は広く美しく、そして残酷です。ですが、あなたならきっと乗り越えられます。』
騎士王は優しくギャラハッドを撫でた。
『円卓会議を行う。我らが子の行く末を、サー・パーシヴァル!』
兜を脱ぎ、剣を外した騎士たちはギャラハッドを見つめた。
『俺はこの子の行く末に、多くの笑顔があることを望みます。』
ギャラハッドよりも色素の薄い銀髪を持つ白光の騎士パーシヴァルが告げた。
『サー・ケイ!』
『俺はこの子の行く末に円卓の意思を持ち込まないことを望む。自由に生きよ。我らが子。』
王と似た金髪の眉間にしわを寄せる最古の騎士ケイが思いやる。
『サー・ガウェイン!』
『私はこの子の行く末に幸福を望みます。』
金髪の美丈夫、太陽の騎士ガウェインが微笑んだ。
『サー・ランスロット!』
『私はこの子の行く末に試練を、そして乗り越える覚悟を望みます。』
黒曜石のような紫髪を持つ湖の騎士ランスロットが答えた。
『サー・ガへリス!』
『はっ!王よ、私はこの子の行く末にささやかな平穏を望みます。』
ガウェインと同じ金髪を持つ平穏の騎士ガへリス
『サー・ガレス!』
『王よ、自分はこの子の行く末に苦難の連続、そして鋼の意思を望みます。』
ひと際小柄な愛らしい美しい手の騎士ガレスがいった。
『サー・べディヴィエール!』
『王よ、私はこの子の行く末に停滞を、そしてそれを突き破る信念を望みます。』
月の光を束ねたかのような髪を持つ隻腕の騎士べディヴィエールがそういった。
『サー・パロミデス!』
『我らが王よ、私はこの子の行く末には健全な肉体と精神を望みます。』
他の騎士とは違う雰囲気を纏う兜の騎士パロミデスが望む。
『サー・モードレッド!』
『はん!俺はこのガキの行く末には誉ある円卓の騎士の威光を望む。』
獅子の
『サー・トリスタン!』
『恐れながら王よ、私はこの子の行く末に悲劇を、そして喜劇に変える意思を望みます。』
アリーゼの赤とは違い、血のような紅い髪を持つ竪琴の騎士トリスタンの言葉
『サー・ガラハッド!!』
『王よ、私はこの子の行く末に冒険を、未知を既知へ逆行を跳ね返す奇跡を望みます。』
そしてギャラハッドをそのまま成長させたかのような騎士、聖杯の騎士ガラハッドが望んだ。
『恐れながら王よ、かの者たちの傷を癒すことをお許しください。』
『許す。かの英傑たちに聖杯の加護を。』
ガラハッドが己の胸に手を当てると、少女たちの傷が癒えていく。白い竜の毒に侵された肉体があっという間に毒に侵される前の美しい肌へ元通りだ。そしてまた、失った装備も時間が巻き戻るかのように修復された。
『円卓会議終了! 我らの子よ、そなたの行く末を我らは見守っている。さぁ、旅立つのです。新たなる円卓の子、正義の眷属。我らの愛した円卓の担い手よ・・・』
そういって騎士王たちは姿を消した。
「すごかった・・・」
「あ、あぁ、何が起きたのかよくわからないが。」
「うちの末っ子が、かの騎士王たちのお目にかなったってことだろ。」
「えぇ、当たり前です。わたしたちの家族なのですから。」
【アストレア・ファミリア】の少女たちは、目の前で起きた神秘に打ち震えた。
【古代】の英雄、かの騎士王と円卓の騎士たち。弟となった少年の遠い先祖たち姿。
「みんな、帰りましょう。オラリオへ・・・」
アストレアの導きのもと、新たな眷属を迎えた正義の眷属たちは拠点のあるオラリオへ帰還する。
白い竜討伐後のステイタス
ギャラハッド・デカトゥリア
Lv.1
力:201 F
耐久:239 F
器用:104 G
敏捷:135 G
魔力: 0 I
スキル
【
・誓いによる行動での経験値上昇
・誓いの丈により効果向上
【誇り高き正義の盾】
・戦闘時、力と耐久のステイタス上昇。発展アビリティ【対魔力】、【耐異常】が発現。
・守護対象の側にいる際、全ステイタス上昇。守護対象の数に乗じて上昇。最大12名
・周囲にいる守護対象の耐久ステイタス上昇。
魔法
【
詠唱
「神名、拝借──この身は正義の席に立つ……
其は全ての罪、全ての罪禍を正す我らが天秤──顕現せよ!」
・魔力障壁展開、あらゆる攻撃を隔絶する。
・発動後一定時間、発動範囲内にいる全てに力、耐久、器用のステイタス大幅上昇。
偉業達成を確認。
型月世界の円卓の騎士を参考にしております。詳細が不明な騎士が何名かいますので、その辺りは、作者が勝手に書きました。
【
盾に縛られていた少年は、オラリオへ旅立ちます。