名探偵プリキュア×仮面ライダーマイス 〜2つの仮面を持つ少年〜 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
不可思議を無事に倒した澪は、あんなたちとともに探偵事務所へと戻ってきていた。それから買ってきたものを片付けた後……
「そうだ、澪さんに紹介したい人がいるんです!」
「僕に?」
「はい!ちょっと待っててもらえますか?」
そう言ってみくるは、誰かを呼びに部屋の外へと行った。すると……
「……あの、澪さん」
「どうしたの?」
「澪さんってその……前に私のこと――――」
「連れてきたよ!」
あんなが澪に何かを訊こうとしていたが、その前にみくるがとある人物を連れてきた。
「僕に紹介したいってやつは……そいつか?」
澪の前に現れたのは、金髪を後ろで一つに束ねた緑色の瞳を持つ少年で、頭部にはゴーグルを装着していた。
「紹介しますね。この人は天才発明家のジェット先輩で、私たちの使う探偵道具――――プリキットを開発してくれたのも、先輩なんですよ!」
「なるほど……」
「ジェット先輩、この人が澪さん!あんなと同じで未来から来たんだって!」
みくるにそう言われたジェットは、澪に近づくと……
「あんなと同じく未来から来たやつか……こんな偶然もあるんだな――――あっ、僕は天才発明家のジェットだ、これからよろしくな、澪!」
握手をするためなのか、その右手を差し伸べてきたのだ。
「うん、こちらこそよろしく。えっと……」
「ジェットでいい――――あ、それと『先輩』もつけろよ?」
澪もジェットの手を取り、2人は握手を交わした。澪とジェットの顔合わせが終わったところで、澪は全員に向かって不可思議やその不可思議から人々のことを守るために組織された十二支同盟についても簡単にだが話し始めた……。
「えっと……つまり不可思議は昔から人々を食べるために襲っていて……」
「その不可思議からみんなを守るためにいるのが、十二支同盟っていう人たち……ということですか?」
「そういう認識で合ってるよ」
「僕たちの知らないところでそんなことが……それに不可思議や十二支同盟っていうのも初めて聞いたぞ――――ついでに、その十二支同盟のリーダーが何故か猫っていうのもな」
そして、一通り澪の話を聞いたところで……
「そういえば……澪さんはいつから不可思議と?」
あんなが澪がいつから不可思議と戦っているのかを訊くと……
「あれから6年だから……10歳のときからだよ」
「じゅ、10歳!?」
「そんな時から!?」
「まぁ、色々あってね……」
『お父さん!!お母さん!!』
『澪……お前は生きろ……!』
『愛してるわ……澪――――』
『――――変身!!』
「……」
「澪さん……?」
「どうかしましたか?」
「!あぁ、ごめん……何でもないよ」
「「……?」」
澪は昔のことを思い出していたことを誤魔化すと……
「じゃあ……次はこっちから質問させてもらうけど――――」
「ポチ?」
「……その子は一体何者なの?」
あんなに抱かれているポチタンを見ながらそう訊いたのだ。
「紹介しますね。この子はポチタン――――妖精なんです」
「ポチ!」
「よ、妖精……?」
その回答が予想外だったのか、澪は思わず戸惑いながら首を傾げた。
「ちなみにジェット先輩も妖精なんですよ」
「え?」
「222歳だ」
「に、222歳って……十二支同盟よりも上……?」
ジェットの実年齢を聞いた澪は、思わずそう呟いていた。
「実は私……ポチタンの力でこの時代に来たんです」
その言葉を聞いた澪は……
「力……もしかして、ポチタンには時間を越えることができるけど、今はその力が無くて帰れない……とか?」
「……!」
「ポチ!」
「す、すごい……!」
「何で分かったんですか!?」
見事に今のポチタンの状況を当ててみせたのだ。全員が澪の言葉に驚く中、みくるがその考えに至った理由を訊いた。
「まず、その妖精――――ポチタンがその時を越える力を持っているにもかかわらず、あんなさんは元の時代に戻れていない。この状況から考えられるのは、ポチタンの力をこの時代に来る時に使い切ってしまったということ……そして今は、その方法を探しているか、ある程度目星がついていて動いている……そんなところかな――――流石にその方法までは分からないけど」
「ほ、ほとんど当たってる……!」
「澪さんって、本当に何者……?」
元の時代に帰る方法までは分からなかったものの、それ以外は全て当てた澪を見てあんなとみくるは驚いていたが……
「……」
(澪のやつ、もしかしたら向いてるかも――――いや、これは向いてるな……)
ジェットは澪に視線を向け、何やら別のことを考えていた……。
◇
「「行ってきます!」」
「ポチ!」
「うん、気を付けて」
澪が探偵事務所に住み始めてから数日後、澪は学校に行く2人と1匹を見送っていた。あんなはみくるが通っている学校の理事長のおかげで、この時代でも学校に通うことができている……みくるは澪が学校の高等部に通えるように理事長に話すつもりでいたようだが、澪はこの十二支同盟が目覚めていない時代での不可思議の討伐と調査を優先するためにその申し出を断ったのだ……。
あんなたちを見送った後で澪は支度を済ませると、この時代に来る原因となった古時計の不可思議の手がかりを探しに行こうとした……すると……
「――――あの、すみません」
「「!」」
「キュアット探偵事務所ってここで合ってますか?」
探偵事務所に、女性の依頼人らしき人物が現れたのだ。
「はい、合ってますよ。こちらにどうぞ」
「み、澪?」
「ここは僕が代わりにやるよ……なるべく上手くやるから」
「あ、あぁ……」
ジェットはその申し出に少し戸惑っていたが、最終的には澪に任せることにしたのだ。それから澪は、依頼人をソファーに座らせてからお茶を出すと……
「それで……今日はどうされましたか?」
早速、依頼人に話を訊くことにした。
「実は……友達と昨日から連絡がつかなくて、家にも行ったんですけどいなくて……」
どうやら女性の話によると、数日前に会った友人に連絡しようとしたところ何故か繋がらず、家に行っても留守だったというわけだ。
「もしかしたら、最近起きている神隠し事件なんじゃないかって……」
「神隠し……?」
澪が首を傾げていると……
「最近、まことみらい市で起きている事件のことだな……何の前触れもなく人々が消えるようにいなくなることから、そう呼ばれてるらしい」
ジェットがそう説明してくれたのだ。
「なるほど……ちなみに、最後に連絡をとったのはその日の何時頃ですか?」
「え?えっと……だいだい昼前くらいですかね……」
「昼前……あと、その時にどんな話をしましたか?例えば……あなたの友人がどこかに行く話とか」
「!そうなんですよ!前から楽しみにしていた喫茶店に行くって話していました」
「喫茶店……その店はどこに?」
澪はそれから、依頼人の女性にその店の話を訊いた後、事務所の出口まで見送った。そんな澪の後ろから……
「澪……お前、結構手慣れてるんだな」
今までの一連の流れを見ていたジェットが、感心したようにそう言ってきたのだ。
「まぁ、こういうのは何度もやってきてるし」
「もしかして……不可思議ってやつを探すのにか?」
「そういうことだよ。それに今回の依頼、もしかしたら……」
「……?」
「とにかくまずは、他の神隠し事件の被害者を調べる……それから例の店に行ってみるよ」
澪はいつの間にか準備を済ませ、外に出ようとしたが……
「ま、待ってくれ!僕も行く!」
「えっ?」
ジェットも澪の調査についていくことになったのだ……。
◇
「被害者の関係者に訊いたけど、やっぱり全員からこの喫茶店の名前が出た……」
「何か関係があるってことだな」
他の被害者の関係者たちに話を訊いた澪とジェットは、話にもあった例の喫茶店の前に来ていた。
「じゃあ、行こうか」
「中に入るのか?」
「もしかしたら、この方が手っ取り早いかもしれないしね」
そう言って店に入っていく澪に続き、ジェットも後を追っていく。それから席に座り、澪とジェットが店の中で見張っていると……
「あの、お会計をお願いしたいんですけど……?」
「……」
女性客が会計をしようと1人の店員らしき男に声を掛けた。だが、その男は何故か黙ったままでおり……
「どうしたんだ、あれ?」
「……」
すると……
『GyA……!』
『!?』
その男の顔に紋様が浮かび上がり、またたく間に不可思議へと姿を変えた。その姿は今までの翼や牙が発達している不可思議とは違い、脚の部分がまるでチーターなどの足の早い動物のように発達していたのだ。さらには数日前に倒した不可思議と同じように胸の辺りに時計盤の数字があり、今回は『Ⅱ』とあたのだ。そして、不可思議が目の前の女性客を捕食しようとした……その時――――
「ふっ!」
『GyA!?』
立ち上がっていた澪が、すぐさま不可思議に蹴りを入れたのだ。
「やっぱりか……」
「な、何で人間が化け物に……!?」
人間が不可思議に変わったことに、ジェットは驚いた反応をしていたが……
「不可思議は人間に擬態することもあるんだよ」
「擬態だと!?」
「それよりも先輩は周りの人たちを」
「わ、分かった!」
ジェットは澪の言葉の通りに、周りの人たちを避難させに駆け出していった。
『GyAAAAAAAAAAAA!!』
「っ!」
一方で澪は不可思議と戦いつつも、不可思議を人がいる場所から遠ざけようとしていた。そして……
「ふっ!そろそろいいか――――」
澪は周りから人々が逃げたのを確かめてから、バッグの中にあるドライバーを取り出して腰に巻き、続けて上着のポケットからライドエグズ0を取り出した。そして澪は、ライドエグズを2回左肩に当て、ドライバーの中心へとセットし……
「
「山猫!」
「仮面ライダー!」
「ビャクレン!」
バックルを操作し、仮面ライダービャクレンへと変身を遂げたのだ。
「!あれが……!」
「仮面ライダービャクレン……お前は僕の獲物だ」
ビャクレンはそう言うと、ビャクレンブレイカーを取り出して不可思議に向かい猛スピードで駆け出していく。
「しっ!ふっ!」
『GyA!?』
ビャクレンはそのスピードで脚不可思議の周りを駆け、ブレイカーで連続攻撃を加えていく。それから、ダメージを受けた脚不可思議は地面に倒れたがゆっくりと立ち上がり……
『GyAAAAAAAAAA!!』
「!」
状況の不利を悟ったのか、この場からの逃走を図った。その速さは発達した脚のおかげか、車の速さを余裕で凌ぐほどのものだった。
「流石に速いな……なら――――」
ビャクレンはそう言うと、ライドエグズやシードエグズとは違った水色に銀の縁取りがされた普通のエグズとは一回りか二回り大きめのエグズを取り出し……
『ライドモード!』
側面についたボタンを押してから目の前に投げると、エグズは水色と銀のラインのバイクへと変形したのだ。
「行くよ……マシンビャクヤ」
ビャクレンは白山猫のようなフロントマスクがついたバイク――――マシンビャクヤに跨ると、逃走した脚不可思議を追いかけていく。それから少しもしないうちに、ビャクレンは脚不可思議を捉え……
「捉えた」
『GyA!?』
まさかビャクレンがもうここまで来てるとは思ってもいなかった脚不可思議は、驚きながらも急に反転してビャクレンに向けて突っ込んできたのだ。それに対し、ビャクレンはブレイカーを構える。そして……
「しっ!」
『GyAAAAAAAAAA!!』
ビャクレンはすれ違いざまに脚不可思議を斬り、体制を崩して転ばせたのだ。
「悪いけど……ここで仕留める」
ビャクレンはマシンセツナを反転させた後、ドライバーのバックルを操作した。すると、マシンビャクヤとビャクレンが氷のエネルギーに包まれながら加速していき……
「山猫!」
「消えろ」
「セ・ン・メ・ツ!」
『GyAAAAAAAAAA!!?』
そのまま脚不可思議に突っ込み、撃破することに成功したのだった……。
◇
「先輩、こっちはどう?」
「あぁ、被害者たちは店の裏で全員無事に見つかったってさ」
不可思議を撃破してシードエグズも3つ手に入れた澪は、事件現場の喫茶店に戻ってきていた。そこには既に警察や救急車が来ており、被害者たちが救急車で病院に運ばれているところだった。
「そっか……良かった」
澪は被害者たちが無事な様子を見て、少し微笑みながら安堵の表情を見せていた。そんな澪に……
「……なぁ、何で澪は不可思議と戦ってるんだ?」
ジェットは急にそんなことを訊いてきたのだ。
「何でって……単純に困ってる人を放っておけるわけないよ」
「!」
「僕はあの時、不可思議のことを知ってしまって、そしてそれを倒す力も手に入れた……不可思議から人々を守る――――これは、僕がやるべきことと同時にやりたいことでもあるんだよ。そしてゆくゆくは、僕みたいな人がいなくなるといいなって……そう思ってるよ」
「……」
ジェットの言葉に対し、澪は真剣な表情でそう口にしたのだ。それを聞き……
「――――合格だ」
「え?」
何故かジェットが澪にそう告げたのだ。
「ご、合格って……何が?」
何のことかさっぱり分からない澪は、思わずそう訊き返していた。
「澪、お前のことを試させてもらっていた。ポチタンとあんなの事情を言い当てた推理力……それに、聞き込みとかの調査の手際も申し分ない。まぁ、今回は僕にとっては想定外の事態になったが、無事に事件を解決して被害者たちも全員無事に助け出した……何より――――
その困っている人々を助けるというその想い……探偵に必要なものを、澪はちゃんと持っている」
ジェットはそう言うと……
「だから頼む……探偵になってその力、僕たちに貸してもらえないか?」
澪にそう頼んできたのだ。それを聞いた澪は……
「……分かった」
「!……理由を訊かないのか?」
「困ってるんでしょ?なら僕はそれを助けるだけだよ。それにもともと、考えていたことでもあるしね」
「!……感謝するぞ、澪!」
急なことだったにも関わらず、その頼みを引き受けたのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は澪が、キュアット探偵事務所の探偵に秘密裏の試験を得てスカウトされる話でした。そして、澪の過去にも何かが……?
ちなみに、仮面ライダーマイスの第二話で仮面ライダーダットの変身がお披露目となりましたが、十二支同盟のライダーがドライバーを巻いてからバックルを装着するのとは違い、澪はバックルをベルトにつけたままにしています。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。