名探偵プリキュア×仮面ライダーマイス 〜2つの仮面を持つ少年〜 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
ある日、澪たちが探偵事務所で過ごしていると……
『昨日、宝生美術館の宝生ちなみオーナーに対し、怪盗団ファントムと名乗る人物から予告状が――――』
「え!?」
「「!」」
テレビでこのまことみらい市にある美術館のオーナーに、怪盗団ファントムからの予告状が届いたというニュースが報道されていた。それを見て……
『予告状には”明日夜8時、星明かりのプリンセスをいただく”と書かれており――――』
「あんな!澪さん!」
「うん――――みくる、ポチタン、澪さん!美術館に行こう!」
あんなのその言葉に同意するように、みくるとポチタンはやる気に満ちた声を上げ、澪は静かに頷いた。それから美術館に赴こうとすると……
「澪、ちょっと待ってくれ」
「どうかした?」
「これを受け取れ」
ジェットが澪のことを呼び止めたのだ。そうしてジェットが澪に渡してきたのが……
「これって……?」
「澪専用のプリキットだ!」
澪のために作ったというプリキットで、雪の結晶を模した形の首から下げるネックレスだったのだ。
「!?このネックレスは……」
「綺麗……!ジェット先輩、これってどんな道具なの?」
ネックレスを見たあんなは何故か驚いた反応をしており、みくるはその綺麗さに驚きながらも、ジェットに使い方を訊いていた。
「簡単に言えばアイテムボックスみたいなもんだ。澪、試しにドライバーとエグズを出してくれ」
「?分かったよ」
澪はジェットの言う通りにドライバーといくつかのエグズを目の前に出し、それを見たジェットが軽くネックレスの雪の結晶の部分に触れると……
「!」
「えぇ!?」
「す、吸い込まれちゃった!?」
「ポチ!?」
何とドライバーとエグズが全て、白い光となって雪の結晶に吸い込まれていったのだ。それに驚くあんなとみくる、ポチタンだったが……
「大丈夫だ。ちゃんとこの中に入っている……澪、試しに呼び出してみろ」
澪はネックレスを首から下げた後で、軽く雪の結晶の部分に触れ……
「――――オープン」
「「おぉ……!」」
「ポチ……!」
一言そう発すると、ドライバーとエグズが澪の目の前へと現れたのだ。澪はそれらを手に取ると……
「ありがとう、先輩――――でも、何でこれを作ろうと……?」
「お前のカバンの中、いつもかさばってたろ?それに、これならすぐに装着もできるしな!」
「なるほどね……うん、大切に使わせてもらうよ」
そうして新たなアイテムを受け取った澪は、あんなたちと共に美術館に向かうのだった……。
◇
一方で、怪盗団ファントムのアジトである劇場では……
「アルカナ・シャドウ……わざわざ予告するとか、ちょーありえない!」
「いいじゃねぇか?きっと初陣で張り切ってるんだろうよ」
「はぁー!?なにそれ!」
アゲセーヌとゴウエモンが、そんなやり取りをしていた。アゲセーヌは予告状を出したアルカナ・シャドウことるるかに対し、どこか不満げな様子でいたが、ゴウエモンは予告状を出したことを肯定する様子でいた。すると、その会話を聞いていたのか……
「予告状……それもまた一興……」
ウソノワールはそう呟いていた……が、
(それにミラージュの書にも載っていない存在……仮面ライダービャクレン――――お前は一体、何者なのだ……)
プリキュアとも違う存在でありながら、自身たちの邪魔をしてきたビャクレンに対し、そんなことを思うのだった…
…。
◇
一方で澪たちは、早速ファントムからの予告状があった宝生美術館へとやってきていた。早速みくるは、この美術館のオーナーである宝生ちなみに会うために、受付の女性に取り次ぎをお願いしていた。
「予告状なんて、名探偵への挑戦ね!ファントムの好きにはさせない!」
「うん!ポチタンもミスティックの衣装着てやる気満々だよ!」
「ポチポチ〜!」
そうして待つこと数分……
「!あれって……!」
「テレビで見たオーナーさんだ!」
オーナーである宝生ちなみが、正面の階段から降りてこちらに向かってきていた。
「宝生さん、初めまして!私、キュアット探偵事務所の小林みくるです!」
「明智あんなです!」
「白峰澪で、す……?」
オーナーは3人に脇目も振らず……
「なんて可愛いポーチなの!」
「「え?」」
「ん?」
「このフリフリも堪らないわ〜!」
何故かポチタンのことを見ていたのだ。そして……
「……譲ってくださらない?」
「えぇ!?だ、ダメです!友達ですから!」
何とポチタンを譲ってほしいと口にしてきたのだ。そんな光景を見ていた澪は、辺りを見回すと……
「!なるほど……あれで見て来たのか……」
受付の上に監視カメラがあるのを見つけ、オーナーがカメラでポチタンのことを見て一目惚れし、譲ってもらうためにここへ来たのだと察した。
「星明かりのプリンセスの警護はあーたたちに任せるから……ね?」
「ぽ、ポチタンは譲りませんけど、星明かりのプリンセスは任せてください!」
「守ってみせます!」
「……ま、気が変わったら譲って?」
一旦はポチタンのことを諦めてくれたオーナーは、澪たちを連れて美術館の中を案内していた。
「「わぁ……!」」
「世界中から集めたあたくしのコレクションよ。皆さんにも見ていただいているの……そして――――こちらが、星明かりのプリンセス!」
「わぁ……!」
「はなまる綺麗……!」
澪たちの目の前には、緑色の大きめの宝石がはめられた金の首飾りがケースの中に飾られていた。
「歴史的価値のある首飾りで、20億円はくだらないわ」
「「にっ……!?」」
あんなとみくるは、星明かりのプリンセスの値段を聞いて驚いていたが……
「……」
(これって、もしかして……)
澪は星明かりのプリンセスを見て、なにやら訝しむような顔をしていた。
「しかし……怪盗団なんて本当にいますの?ノストラダムスのような噂話では?」
オーナーは怪盗団ファントムの存在自体を疑っていたが……
「最近、話題になっていますよ?結婚式場やパティスリーにも現れたって……」
「その事件、私たちが解決しました!」
「えっ!?」
「ちなみにあの神隠し事件を解決したのは、この澪さんなんですよ!」
「か、神隠し事件を……!?」
「はい!私、嘘つかないので!だから今回も私たちが、はなまる解決します!」
あんなはそう意気込んだが……
「あーたたちの出番はありませんわ――――はい、カモーン!」
「「えぇ!?」」
オーナーが手を叩くと、大勢の警備員が周りに現れたのだ。
「当美術館には優秀な警備員がいます。さらに防犯カメラで24時間監視、ケースは超強力な特殊ガラス製――――象が踏んでも潰れませんことよ!」
「「おぉ……!」」
「決め手はこちらのマシン……あたくしの顔をカメラで読み取ることでケースが開く、超最先端のセキュリティ!」
それを聞いたあんなは……
「あっ、顔認証!」
「!ご存知なの?」
「はい!スマホによくついて――――」
「はいストップだよ、あんなちゃん」
未来のことを口走りそうになったため、澪が咄嗟にそう言って止めたのだ。
「すまほ……?」
「!ど、どうかお気になさらず」
「……とにかく、あーた方が必要ないのは分かったでしょう?ポーチを譲る気になられたら、いつでも声を掛けて?」
そう言い残すと、オーナーは高笑いをしながらこの場から去っていった。
「ファントムが狙うってことは、マコトジュエルが宿ってるってことだよね」
「予告した時間は8時……それまで美術館を調査しよう!」
「うん!」
「了解」
そうして3人は、別れて美術館内を調査して回ることにした。澪も警備員の位置などの様々なことを調べ、それを手帳や頭の中で整理していると……
「警備員の人数はこれだけか……でも――――」
「……何を見てるの?」
突然、怪盗団ファントムに所属している森亜るるかが現れたのだ。目の前の少女が怪盗団の一員だとは知らない澪は……
「!……展示室の様子を見てたんだよ」
いつの間にか自分に近づき話しかけてきたるるかに少しばかり驚きながらも、そう返していた。
「そういう君は?」
「ただの見学よ」
「そう……君はよくここに来るの?」
「初めてよ……何でそんなことを?」
「いや、何だか展示品に詳しそうに見えたから」
「見えた……?」
るるかは澪の言葉に首を傾げていたが……
「あなたは、あれを見に来たの?」
今度は逆に、澪に質問を返していた。
「いや、僕は探偵の仕事だよ」
「探偵の?」
「怪盗団の予告状があったから、それでね」
「そう……」
るるかはそれを聞いたあと、視線を展示されている星明かりのプリンセスへと向け……
「……ねぇ、探偵さん」
「?」
「あなたは……真実を伝えることは、いいことだと思う?」
突然、そんな質問をしてきたのだ。それに対し……
「いいこと、か……僕は必ずしも、いいことじゃないと思うよ」
澪はそう答えたのだ。
「……それはどうして?」
「真実を伝えることで、相手が辛い思いをすることもあるから……あのことだって、僕だけが知っていれば――――」
「あのこと……?」
「!いや、こっちの話……とにかく、全部を伝えることがいい結果になるとは限らないってことだよ」
そう話す澪の表情は、るるかやその腕の中でぬいぐるみの振りをしているマシュタンには、どこか辛そうに見えていた……。
「澪さーん!」
「!じゃあ、僕はこれで」
みくるに呼ばれた澪は一言るるかにそう言うと、みくるのいるところへと歩いて行った。
「澪、ね……仮面ライダー、ビャクレン……あなたは何を抱えているの?」
◇
そうして迎えた夜8時前、美術館の周りにはメディアが集まり、中にいる警備員たちにも緊張が走っていた。
「時間まで後少し……」
「宝生さん、危ないのでここから離れていた方が……」
あんなはオーナーのことを心配していたものの……
「心配には及びませんわ。ここには優秀な警備員の方々がいますもの。他のどの場所よりも安全ですことよ」
オーナーは警備員を信頼しセキュリティーにも自信があるのか、ここから動くつもりはないようだ。一方その頃……
「さてと……作戦開始前に、占っとくわ!」
「わぁ……!」
美術館の屋上にはるるかとマシュタンがおり……
「マシュマシュマシュマシュマシュ――――マーシュー!」
マシュタンが目の前の水晶玉で、今回の作戦に関する占いをし始めたのだ。
「見えたわ!るるか、貴女の目の前にお邪魔虫が現れるって」
「……ありがとう。マシュタンの占いはよく当たるものね。でも――――私に失敗はない」
るるかは何故かプリキュアや探偵事務所の関係者しか持っていないはずのプリキットの1つ、プリキットグロスを取り出したのだ。
「オープン――――プリキットグロス」
るるかはグロスを唇にひと塗りすると、姿を美術館の警備員と同じものへと変えたのだ。
「行こう、マシュタン」
「任せてるるか!作戦開始よ!」
それから二手に別れ、るるかは警備員の中に紛れ、マシュタンは美術館の灯りを8時丁度に落とすために主電源のある場所へと向かっていた。途中、マシュタンの方では巡回中の警備員がやってくるというアクシデントもあったが、主電源のある場所まで運んでもらうことができたのだ。そして……
「あと10秒!」
「9,8,7,6――――」
「ん……?」
予告時間の8時が後僅かに迫る中……
「5,4,3,2――――」
(あの位置に警備員は配置されていないはず……!まさか―――)
「っ!」
澪は何か異変に気付き、警備員に変装したるるかのところへと走ろうとしたが……
「!?」
(気づかれた!?でも――――)
「1――――」
『!?』
8時丁度になり、美術館の灯りが全て消えてしまったのだ。
「て、停電!?」
「っ……」
(どこに行った……!)
それから数十秒して、非常用電源の灯りが付き……
「!ファントムのカード!『怪盗団ファントム参上。星明かりのプリンセスは、すり替えられた偽物。あしからず』って……!?」
「ななな、なんですって!!?」
ケースにメッセージが書かれたカードが貼られていたのだ。オーナーはすぐに顔認証を行い、ケースを開けようとしていた。
「ダメだ!」
「えぇ!?」
「っ!そうか――――偽物だと思わせ、鍵を開けさせる……でも、中身は本物!」
澪とみくるが狙いに気付いたのか、オーナーを止めようとしたが……
「その通り――――」
『!』
「鍵を開けた瞬間に、ケースの中身を貰う……古典的なトリック――――」
「!君は――――」
時すでに遅し――――変装したるるかはケースの中身を盗り、煙玉によって姿をくらませた。
「っ……2人とも上に!」
「!なるほど……!」
「分かりました!」
みくるとあんなは澪の言葉に従い、すぐさま展示室の外に出て逃げたるるかを追いかけたが……
「……宝生さん、無事ですか?」
「え、えぇ……何ともないですわ。それよりも……あーたは追わなくてよいのですこと?」
「僕もすぐに追いかけます。でも――――」
澪自身は一旦この場に残っており……
「その前に1つ、お訊きしたいことがあります」
◇
一方で……
「上手く行ったわね?」
「うん」
星明かりのプリンセスを手に入れたるるかは、マシュタンと共に屋上に逃げて来ていた。だが……
「オープン!」
『!』
「プリキットライト!輪投げ!」
そこにあんあとみくるが追いついてきており、あんながプリキットライトで生み出した光の輪で捕まえようとするも、るるかはそれを難無く避けて着地した。
「……何でここが?」
「美術館の入口には10台以上の防犯カメラがあるし、外には沢山の記者がいる……屋上からの方が下よりも圧倒的に逃げやすい」
「やるじゃない……それに、澪って人もね」
そう呟くと、るるかは警備員の変装を解除した。
「!あなたは昼間の……!」
「でも、それでは私を止められない……プリキュアになりなさい。でないと、また変装して街に溶け込み――――逃げちゃうけど?」
るるかはそう言いながら、自身の持つプリキットグロスを見せつけた。
「あれって……!」
「プリキットグロス……!?」
「ポチー!」
何故か自分たちしか持っていないはずのプリキットを、怪盗団ファントムのるるかが持っていることに驚いていたが、2人は顔を見合わせて頷いた後……
「「オープン!ジュエルキュアウォッチ!」」
あんなとみくるはジュエルキュアウォッチを取り出し……
「「プリキュア!メイクアップタイム!3!」」
「見つける!」
その針を『3』の部分に合わせると、あんなとみくるの髪型と色が変化し……
「「6!」」
「向き合う!」
続けて針を『6』に合わせると、それぞれの衣装へと身を包んでいく。
「「9!奇跡の2人!」」
さらに針を『9』に合わせると、2人の脚には靴とソックス、手には穴開きのグローブが装着され……
「くるっと回して!」
「キュートに決めるよ!」
最後に針を一周させると、髪と耳にアクセサリーがつき、さらにはそれぞれ髪色と同じ探偵のようなケープをその身に纏った。そして……
「どんな謎でもはなまる解決!名探偵、キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵、キュアミスティック!」
「「名探偵プリキュア!」」
「私の答え、見せてあげる」
名探偵プリキュアへと変身を遂げたのだ。
「……」
「貴女、一体誰!?」
「どうしてプリキットグロスを持っているの?」
アンサーとミスティックはそう訊くも……
「推理するのが探偵でしょ?」
「答えを訊くなんて、オシャレじゃないわね?」
逆にそう返されてしまっていた。
「……マシュタン、預かってて」
「分かったわ」
すると、るるかはマシュタンに星明かりのプリンセスを預けると……
「いいわ、今日は特別……答えを教えてあげる」
首から下げているアクセサリーを手に取り……
「オープン――――ティアアルカナロッド」
それをティアアルカナロッドという長杖のアイテムへと変化させた。それから、ロッドに紫のマコトジュエルをセットすると……
「シャッフル」
先端についているカードのようなものを回転させ、その髪を金色へと変化させた。
「リバース」
次にそう口にすると、髪がロングヘアになり、全身を黒を基調とした衣装へと身を包んでいく。頭の前には黒いダイヤ型が並ぶ髪飾りがつけられ、後ろには黒い蝶の飾りを添えた薄紫のヴェールが身につけられていき、ロッドの先を胸元にかざすと黒いケープが羽織られたのだ。そして……
「神秘と秘密で包み込む……キュアアルカナ・シャドウ――――さぁ、迷宮へ誘いましょう」
黒いプリキュア――――キュアアルカナ・シャドウへと変身したのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は、キュアアルカナ・シャドウが変身したところまでとなります。さらに序盤には、澪専用のプリキットも登場させました……次回はキュアアルカナ・シャドウ登場回の後半となっていきます。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。