石を水面で跳ねさせて遊ぶ要領で爆弾をぶつける爆撃方法。上部装甲に当たりにくいのでハードポイントに当たりやすく効果的。
大鳳は演習に出ていた。
相手の艦隊は空母1戦艦1巡洋艦2駆逐2の編成。対し大鳳の艦隊も装甲空母1航空戦艦1巡洋艦2駆逐2の編成。
戦況は終始劣勢で、既に仲間の駆逐艦は撃沈判定で退場済。巡洋艦も中破し頼みの航空戦艦も相手の飽和攻撃に翻弄されていた。
そんな折である。がら空きとなった大鳳を格好の獲物と見て彗星が低空を飛んできたのだ。
「くっ、反跳爆撃か…!」
対空火器をほとんど持たない空母にとってそれはとても効果的な攻撃である。爆弾を切り離した彗星は軽くなった機体を急上昇させながら大鳳のすぐ上空を飛び去って行った。
水面を跳ねながら迫りくる爆弾。
これを見た瞬間、大鳳の中でゲーム脳が爆発した。
迫りくる爆発物を避ける方法はゲームにおいてとてもポピュラーなものだ。その中でも最初に思い浮かべたのはローリング。すなわち飛び込み前転である。
ギアーズオブウォーのマーカス、地球防衛軍のストーム1、ロストプラネットのウェイン、メタルギアのスネーク…挙げ始めれば限が無い程の主人公たちが使ってきた伝統の技。これならば避けられる!大鳳はそう信じ疑わない。
未だ勢いを衰えさせずに迫りくる爆弾を見据えながら低く構え、そして大鳳は大きく飛び出した。
「とおおおおおーーーぅ!!」
「ほぉん?それが海に頭から突っ込んだあらましな訳やな」
「うごごご…顔から火が出そうです…!」
結果的には爆弾を回避した大鳳ではあったがその代償として装備の無い部分から海に飛び込んだので海に浸かって全身ずぶ濡れになった。ちなみに演習には戦術的には勝ったが勝負には負けた感じだ。
全身を濡らした大鳳は見事に風邪を引いて布団にくるまっていて、見舞いに来た提督に今回の起こった事件を説明していたのだ。
ルームメイトであり戦友である夕張は「なんでロックマンDASHを省いた! 言え!」と判りやすく憤慨しながらも大鳳の氷枕を取り換えている。
「ま、風邪ひいたんなら温かくして消化のええもん食っとき」
「消化の良いモノ?…ああ」
夕張は察した。この提督の事だから白くて細長いアレを推してくるのだろうと。
「お昼はおかゆでも作ったろか」
「ぽへ?」
驚きのあまり変な声が出た。大鳳に至っては完全に絶句である。夕張は無言でおでこを合わせて提督の熱を測ったが平熱以外の何物でもなかった。
「なんや」
「いやぁ、提督がうどんを推さないから大鳳の風邪でもうつったのかなって」
「アホな…」
提督の顔は心外だとでも言いそうな表情を作っていたが普段が普段なので夕張は無言の抗議を無視した。鈍感な提督は気付かなかったが。
「ま、ええわ。おかゆ作ったるけん寝とき」
「いやほんと、面目ないです…」
「んで出来たのがコレや」
「そんな料理番組みたいに」
大鳳のツッコミが終わらない内に土鍋を取り出し蓋を開ける提督。部屋の中におかゆ独特の美味しそうな匂いが広がった。
提督はおかゆをレンゲで掬い、ふぅふぅと冷ましてから大鳳の口元に持っていく。これがかの有名なおかゆふーふー…!と羨ましそうな目で見ている夕張を尻目に大鳳はおかゆを口に含んだ。
「あ…とても、美味しいです」
「ま、大体は川内ちゃんが作ったんやけどな」
「ん?じゃあなんで川内はお見舞いに来てないの?」
「それなんやけどな」
夕張の問いに提督は「おかゆ作ったら直ぐ寝てしもたんや」と答えた。確かに今はお昼時であり、川内は寝ている時間だ。なるほど、川内は大鳳のために睡眠時間を削ってくれたのかと夕張の心が温かくなった。
提督はその間にもおかゆを掬って大鳳の口元に持っていく。
「ま、たくさん食って元気になりや」
大鳳はおかゆを口に含むことを返事とした。
翌日。鎮守府の工廠では艦載機の整備をする大鳳の元気な姿が。
「もう海の上でローリングなんてしません」
「何言うてんねん」
架空のカメラに向けて発言した大鳳に龍驤のツッコミが飛んだ。
それを全スルーして大鳳は考える。やはり空母は近距離戦に弱い。なら近距離用の何かがあればいいのではと。アイディアが転がってないかぐるりとあたりを見回して、ひとつの工具が目に留まった。
「プラズマが飛び出すカッターとかどうですかね?」
「いきなりなんやねん」
大鳳のゲーム脳の闇は深い。
プラズマが飛び出すカッター
ゲームで出てくる架空の工具。EAから発売された実物大の模型を大鳳は大事に飾っている。
艦娘ナンバー5 大鳳
小柄なのにけっこう健啖な艦娘。ゲームを集めるのが趣味でコンシューマからエロゲまで網羅している。
趣味が合うのでよく夕張とアニメを一緒に見たりゲーム談義をしている。最近ついうっかりフォールアウトを始めてしまいヌカコーラ禁断症状に陥っていたり。
ジブリ映画で出てくる美味しそうな料理を再現するのが夢。近頃は生ハムを作り始めた。