道楽鎮守府   作:アサルトゲーマー

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※ででんでっで夜戦
作詞・作曲:夕張

※ハウリング音
マイクとスピーカーの音が無限ループして鳴るキーンとした音


ザンネンとイケメンが両方そなわり最強に見える

「ででんでっで夜戦、ででっでんでやっせんー♪」

 

 太陽が顔を出した朝6時。川内は鼻歌交じりに味噌汁を作っていた。ダシに使っていたいりこを取り出し具を入れていき、白味噌を溶かす。ふわりと甘い匂いが調理場を満たした。

 

「姉さん、ご飯の準備が整いました」

「ん、りょーかい。那珂のほうは大丈夫ー?」

「こっちも準備おっけー!」

「んじゃ、いつものよろしく!」

 

 那珂は「はーい!」と元気よく返事を返すとトテテテッと足音を残して調理場から姿を消した。

 そして一瞬の静寂と小さなハウリング音。残った川内と神通は耳を塞いだ。

 

「おっはよーございまーーーーす!!! 那珂ちゃんが!朝食の時間を! おしらせしまーーす!!」

 

 耳を塞いでなお聞こえてくる爆音(モーニングコール)。それはハウリングとこだまを残して終了し、鎮守府がにわかに活気づいた。それを確認した川内と神通は耳から手を離して配膳の準備に取り掛かる。

 一番最初に食堂に訪れたのは島風。仮面ライダーのようなポーズで入室し「今日は私がいっちばーん!」と元気に宣言する。二番目に現れたのは白露で「島風はやーい!」とカクレンジャーのホワイトみたいなポーズで滑り込む。

 それらを皮切りにぞろぞろと艦娘たちが食堂に集まり朝食を受け取っていく。

 

 鎮守府の朝は騒がしい。

 

 

 

 

 

 朝食の片付けが終わった後の川内はおねむだ。普段から夜に起きているので寝るのは当然朝になる。

 寝ぼけ頭でふらふらと宿舎に向かう途中、駆逐たちの話が耳に入った。

 

「あれ、大鳳はんはどないしたん?」

「風邪ひいたんだって。頭から海にダイブしたらしいよ」

「mjd?潜水装甲空母キタコレ」

 

 そういえば朝大鳳来てなかったなぁ…などと思いながらそのまま自分の部屋に入ろうとして踏みとどまった。つまり朝食を食べていないからお腹が減っているのではないか?と。

 お見舞いに何かお腹に溜まるものでも持っていこうかなと思ったが、ふとガラスに自分の顔が映った。

 

 ひどいものである。寝ぼけまなこの顔はとても他人に見せれるようなものでは無いし、髪も解いてしまっている。さて、どうしようかと思った所で窓の向こうに髪の長くて背の高い色黒な女性が居た。ようするに提督である。

 

「ま、提督ならいっか…」

 

 酸いも甘いも分かち合った彼女の事は心から信頼している。ともすれば母や姉のように思っている縁もあるかもしれない。

 お母さんって呼んだら怒るかな?川内は微笑みながら執務室に向かった。

 

 

 

 

 

 

「お母さ~ん」

「なんやコイツぅ……」

 

 川内はおかゆを作った後で完全にダウンした。提督が大鳳の部屋から帰ってきたころには来客用のソファーに寝転がり寝言でお母さんと漏らす始末である。

 ため息を吐きながらも毛布を掛けてあげる提督。その瞳は呆れと言うよりは慈愛に溢れていた。

 散らばった髪の毛を整えてあげて頭を撫でた後、どうするかいなと提督が呟いた瞬間部屋にノックの音が響いた。

 

「おっはよーございまーす!川内ちゃんをお迎えにきましたー!」

「いつも姉さんが迷惑をお掛けします…」

 

 現れたのはお馴染み川内姉妹の元気担当と苦労担当。とても慣れた手つきで川内を抱え「おじゃましましたー!」と元気な声を響かせて風のように去っていった。

 まるで嵐やなぁと独白した後、提督は自らの椅子に座ってため息を吐く。

 

「お母さん…かあ」

 

 提督は執務机の引き出しに入った手紙の束を取り出した。

 それは故郷からの手紙。母や父、うどん屋の友達や幼馴染からの物だった。

 

「そろそろ、お返事でも送るかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何でうどんなの?」

「自分の故郷ではうどんを送り付けるんがふつうなんやで。せやけんな」

「へぇー。初めて知ったよ」

 

 夜8時になった鎮守府。元気になった川内は提督の謎の行動を目を輝かせて見ていた。提督はうどんをビニール袋に突っ込んでダンボールに詰めている。ここから提督の故郷まで車で5時間はかからない距離なので寝かせている間に運んでもらおうという魂胆だ。

 

「だしは?」

「一緒に詰めとる」

 

 得意げにビニールに入った茶色いだしをペシペシする提督。

 

「どこで切るの?」

「自分ちうどん屋やで」

 

 実家にある業務用機械式麺切りカッターを思い出しながら得意げに胸を張る提督。

 

「ちょっともらっていい?」

「ビニールに入らんかった分やったらええで。風邪ひいた大鳳ちゃんの朝ごはんかいな」

「ありゃ、ばれてた?」

 

 川内はバツが悪そうに笑った。それを見た提督はうんうんと頷く。

 

「ま、川内ちゃんはイケメンやからな」

「え?そりゃ顔は整ってるかもしんないけど…」

「ちゃうちゃう」

「んんー?」

 

 ま、そーいう所が川内ちゃんのええ所かもしれんな。提督はそう言い残すとうどんの入ったダンボールを持って執務室を後にした。

 残された川内は執務室の窓に映る自分をじっと見つめ、その整った顔をまじまじと観察する。

 

「イケメンって思ってることが顔に出やすいのかな…?」

 

 むにむにと自分の顔をいじる川内。その背中にはそこはかとない残念な匂いが漂っていた。

 




うどん宅配

一部の県において割とよくある光景。半生か生地を送るのがマナー。
間違えても生を送ってはいけない。



艦娘ナンバー6 川内

夜戦バカで天然でイケメンな艦娘。料理に関して才があり、手料理をしばしば妹や仲間に差し入れする。冷めても美味しいお米の研究をしている意外としっかりお姉さん。
面倒見が良いので割と駆逐艦に人気だったりするが昼間に出会えないのでレアキャラ扱い。睡眠時間は10時~18時の夜型。
昼食は食べないが夜食は毎日食べる。なので体重が増えないのだが一部の艦娘からは食べても太らないタイプだと思われている。
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