ミ~ムミムミム! ミムは全身ネットミーム人間ミムよぉ!!   作:ヤチヨ 幸せ なれる 質問

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 最近この作品でネットミームを書きすぎたせいか、ネットミームがゲシュタルト崩壊を起こし始めました。助けてください。


 感想もお気に入りも評価も全てありがたく栄養分になっております。とても感謝。


第十六話 うれしすぎて叫びたい気分です! 叫んでもいいですか? いいですよね? いいって言え(豹変)

「あ^~彩葉可愛いなぁ~~……」

「見てよこの彩葉の神エイム! プロ級って感じだよねぇ~~!!」

「彩葉いっつもライブに来てくれるんだよ~~うれしいなぁ」

「声かけちゃダメかな?? いつも来てくれてありがとうとか言っちゃダメかな!?」

「あっ……誰であれ、おイタはダメだよ~~?」

「見なよ万夜、ヤチヨの彩葉を……」

 

 

 

「狂う! 狂う! クレラップ! 狂う! 狂う! 狂う! 狂う! 狂う! 狂う! 狂う狂う狂う狂うクレラップ!! 狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う!!」

「ひぃっこわいっ!?」

「う~~ううう!! あんまりだ……HEEEEYYYYあァァァんまりだァァアァ!!」

 

 地面をのた打ち回り発狂する西洋甲冑の大男と、それを心配するウミウシ。甲冑を着た男が狂い散かす絵面はフロム以外では中々見れない光景であるが、残念ながらここは狭間の地ではない。ツクヨミ内にあるプライベート空間である。

 

「あーう☆スピキデルジバゼヨ!! ふざけるな! ふざけるな! 馬鹿野郎ォォォオオ!!」

「ど、どうしちゃったんだよ万夜ぁ……」

 

 そして、狂い散かしている大男が誰なのかと言えば、我らが主人公月見(つきみ)万夜(ばんや)。ついでに心配しているウミウシの方はFUSHIである。

 

 珍しい事に、この2人(?)*1が揃っているというのにヤチヨはこの場に居ない。

 

 結果生まれたのがこの惨事である。

 

「ほわあああああああああああああああっ!!」

「おちっ、一旦落ち着け万夜――」

「はい」

「うわぁっ!? 急に落ち着くな!!」

 

 FUSHIの言葉に万夜がピタッと動きを止める。あれほど荒げていた声も動きも急に無になれば、流石のFUSHIも落差でビビる。

 

 しかし、忘れてはいけない。このFUSHIもこのバカ(万夜)とは7000年来の付き合いがあるのだ。多少のトンチキはすぐに立て直せる。

 

「……はぁ、それで、どうして急に叫び出したんだよ」

「んー? 強いて言うならストレス発散のキチゲ解放ミムよ~」

「隣に居た僕の事も考えろよ! ビックリしただろうが!」

「それはそう。ごめんミムなFUSHI」

 

 あやまるメンダコ、ゴメンダコというスタンプを表示させながらの土下座。ちゃんと謝ってるのか謝って無いのかを分かり辛くするんじゃない。

 

「ふんっ、わかればいいんだ……それで、何がそんなにストレスなんだよ」

「……それは、漢女の秘密というか。トップシークレットというか――」

「まぁ、お前が言わなくてもわかってるけどな」

「じゃあ聞くなよ」

 

 結局、畳の上で横になる万夜。長い年月で慣れただけで常にメンタル超無理限界ギリな万夜とて、限界も限界だと横にはなるのだ。

 

 どうしてヤチヨも万夜も揃って横になるんだろうなぁ、とFUSHIは思いつつも言葉を続ける。

 

「一応だよ、違ったら困るだろ……でも、原因は最近のヤチヨで合ってそうだなこの感じだと」

「そうだよ(便乗)」

 

 万夜のメンタルを追い詰める原因は至極単純、シンプルかつ明確明快。

 

「――ヤチヨがイロハイロハうるせえんだ」

 

 本当に、四六時中毎日毎時毎秒聞こえてくるヤチヨのイロハトークに、万夜の精神は約1年ぶりのメンタルクラッシュに陥っていた。

 

「もうほんと、異端審問されてる時より辛いよ。俺耐えられない」

「そこまで効いてるのか……」

 

 ガチ効きである。100年単位で異端審問で拷問されたり、相棒がオルクに殺されたり、故郷の星が消え去ったり、挙句の果てにはFPSで勝ち確煽りされたってここまでメンタルに来る事は無かったんだぞ。

 

 だというのにここ1年で2回目のメンタルオワオワのオワ状態である。

 

 俺って弱点がわかりやすい男なんだなぁ、なんて笑いながら言う万夜の甲冑からは、滝のような涙が溢れ落ちていた。それも、このままだとこの部屋が海になってしまうくらいの量が。

 

「あーその……ヤチヨも、嬉しいんだ。わかるだろ?」

「ちゃんとわかる。8000年だもんな。喜ぶよな。でもわかるから辛いんだよ」

「そ、それに! 万夜の事もヤチヨは大事に思ってるさ!! うん!!」

 

 ――時に、月見万夜という男は難儀な男である。それは転生者云々だからでもなければ、メンタルが常に超無理限界ギリだからでもない。

 

「だとしても! 好きな奴が恋敵の事ニッコニコで話してるとこ見てメンタル無事でいられる訳無いだろ!?」

 

 月見万夜は、絶対に勝てない勝負に不本意ながら挑み続けている。故に難儀な男なのだ。

 

「ファ~~!! 再会の反応が明らかに俺と反応が違ったもんな!! やっぱ無理なんだなぁ~~!! あぁ~~~~!! 自分が嫌になる!! マジでさ!! さっさと諦め切りてぇよぉ~~!!」

 

 前世では恋愛する暇なんてなかった。前々世は機会に恵まれなかった。だから正真正銘の初恋――それが、絶対に勝てないことが世界に定められた相手だったのだからこうもなる。

 

 という訳で万夜がメソメソと女々しく泣き始めてしばらく、そろそろ部屋の水深が5㎝くらいになる。だんだんウミウシ(FUSHI)の暮らしやすい環境に近付いている気がする。

 

「……我ながらキモいな。6000年くらいズルズル諦めれてねぇの」

「僕からすれば6000年隠し通してる方に驚きだよ」

 

 6000年間。自分にも「ワンチャンあるかもしれない」なんて考えすら浮かばない程勝ち目が無いというのに、万夜は諦め切れていない。なんなら死んで転生してから再会するまでの間も、定期的に思い出すくらいには未練タラタラだった。

 

 それでも、なんやかんやヤチヨにだけは隠し通している。

 

「まぁ……自分の本音を隠しに隠して1万年だったからな」

 

 それくらいには引きずっていても、一切本人に気付かせないのがデキる超人兵士である。自分を偽ることくらいなんてことないのだ。

 

 なおたまにボロを出して異端審問されてた模様。大逆派か~~?

 

「そっか……」

 

 別に、無理して隠さなくたって良いのに。そう思っても口に出さないのが、デキるウミウシの条件だ。

 

 万夜が引くくらい拗らせた恋心を抱いてるのも、ヤチヨが引くくらいの愛情と独占欲とetcで彩葉と万夜を両取りしようとしてるのも知っている。そんなFUSHIからすれば、勝手にしてろとは思ってしまうけど。

 

「あ^~~」

「はぁ……似た者同士、だな」

 

 ただまぁ、ヤチヨもヤチヨで彩葉相手に似たような拗らせ方をしている気配があるから、本当にこの2人は似た者同士に思えて仕方がない。

 

 まったく、どっちがどっちに似たんだろうかと、FUSHIは思う。

 

「万夜、僕もヤチヨも当然彩葉の事が大好きだよ。だけど、君の事も当然大好きなんだ。だからまぁ、その……ガンバッテ!

「雑な励ましサンキューな……!! あ~~ヤチヨにバレたら終わるんだろうなァ~~」

 

 そんなことはない(そんなことはない)。全く、万夜もヤチヨも自己肯定感が低いトコロまでは似なくても良いだろ。

 

 と思いつつも、双方からの口止めがあるのでFUSHIは話題を変えることで対処する。

 

 さて、時刻は22時を回ってしばらく。十分深夜と行っても差し支えない時間帯になりつつある。旧暦においては冬に分類される今の時期、何を隠そう明日は――

 

「それはそれとして、だ。寝なくて大丈夫なのか? 明日は試験日だろ?」

「緊張で寝れる訳無いだろ……特攻した時よりも緊張してるわ今」

 

 ――高校受験の本番である。勉強はした、当然した。なんならこの1年は配信を休み、結局ゲームの時間を削ってまで勉強した。(信用出来ないとはいえ)スレ民の力も借りたし、ツクヨミの知り合い何人かにも助力を乞うて助けて貰った。

 

 文字通り、やれることは全部やった。2万年生きてきて、本気で勉強したことなんて初めてだった。

 

「でも結局C判定までしか出なかったんだよなぁ」

 

 フィジカル以外は本当に無能だぜ俺ってと万夜はヘコむ。文字通り全身全霊をかけて勉強をしたって、手に入ったのは受かるか落ちるか五分五分という微妙な判定。そこが万夜の限界値。

 

「きっと受かるさ、あれだけ頑張ってただろ?」

「努力が報われる事の方が少ないのは経験則で知ってるんだよぉ……」

 

 それこそ兆単位で報われなかった奴らの死体を見て来た過去があるのだから、自分の努力だけが実るとは到底思えない。むしろ自分みたいな奴は報われなくて当然だとすら万夜は思っている。

 

「いいや、大丈夫だ。万夜なら絶対受かる。この僕が保証してやる!」

 

 自分の涙に半身が沈んでいる万夜の頭の上に飛び乗って、FUSHIは言う。心の底からの応援。これくらいの激励はしてやらなきゃだ。

 

「……ありがとなっ!」

「おわわっ……ぷえっ!」

 

 いよっこらせと一息に起き上がって。巻き込まれて宙に舞ったFUSHIをキャッチ。このウミウシいつも雑に扱われてるよな。リフティングされたり。

 

 特に意味は無いけれど、気持ちを切り替えるためにと自身の軽く体を伸ばして息を整える。

 

「ま、人生ダメで元々ZOY! やれるだけ頑張ってから発狂するわ」

「いや発狂はするなよな」

 

 あとは涙を止めてサムズアップ。メンタルオワオワ状態でも、流石にここまで励まされて立ち直らないのは女々しいが過ぎるから。万夜は形くらいは元気に見せるのだ。これぞまさにからげんき(ノーマル/物理)。

 

「それにかの串田アキラさんも言ってるからな。”男なんだろクヨクヨするなよ”ってな!」

 

 手の形をサムズアップから人差し指を立てる形に変えながら万夜は笑う。なお若くは無いので(恋愛的には)諦めたりはする模様。お前は宇宙刑事になれない。

 

「……もう取り返せないくらいクヨクヨしてなかったか? それにアレはグズグズするなよじゃ――」

「コマけぇことは良いんだよ! それはそれ、これはこれな?」

 

 都合の良い論法を展開しつつ、いつも通り――少なくとも一見はいつも通りに戻った万夜が立ち上がった。

 

 そして、普段はミニヤチヨの定位置である肩にFUSHIを乗っけてから、プライベート空間の出入り口に設定されているドアへと向かう。

 

「どうせ寝れないし、少しツクヨミを歩くとするかね」

「良いんじゃないか? 気分転換すれば寝れるかもしれないしな!」

「ははっ、確かに――」

 

 と、そこまで言った所で、万夜の動きが止まった。しばらく遅れてから、プライベートルームのドアが開く。

 

「ただいま~2人とも何の話して――ってなにこれ海っ!?

「あっ」

「やっべ」

 

 外側からドアを開けたのは、用事を終えてニッコニコで帰って来たヤチヨだった。

 

 さて、洪水や津波の危険性を伝える話として有名な話がある。成人男性でさえも、水深が15㎝もあれば流れる水に足を取られて流されてしまうという話だ。

 

 今しがたドアを開けたのは子供姿のヤチヨで、部屋の中には横になった万夜の半分が沈むくらいの涙が溜まっていた。水深にして20㎝は優に越えていただろう。

 

 つまり――

 

「ぎえ~~流されるぅ~~!?」

「あ~あ」

「”あ~あ”じゃなくて助けろよ!」

 

 サイレンが鳴った~~っ!(鳴ってない) 季節外れの流しヤチヨの開始だ――GOー!!

 

 単純計算で4トンを超える膨大な水量の暴力によって、ヤチヨは成す術もなく流される。これには思わず万夜も溜息。FUSHIはそんな万夜に頭突きしながら救助しろと文句を言う。

 

「しょうがないにゃぁ~」

 

 そんな言葉と共に甲冑の隙間をこじ開けるようにして溢れ出た触手が、器用にヤチヨをキャッチする。そんな冒涜的な光景を目撃した貴方は成功で1d20、失敗で1d100のSAN値チェックです。

 

「うひゃっ――!? や、ヤッチョに乱暴するんだ! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」

「なぁFUSHI、これこのまま潰したらyachiyo.zipになるかな」

「なるんじゃないか?」

「怖い話してる!? ひぃ~~ん謝るからヤッチョを助けてぇ~~あばばばばば!?」

 

 このゼノ女マジでさぁ……と思いつつ。万夜は至って平静に、それでいて触手を使ってる癖にヤケに紳士的にヤチヨを引き戻す。すげぇだろ、触るとヤバそうな場所には触れてないんだぜこの触手。

 

「器用だねぇ」

「まぁ、こういうの慣れてるしな」

 

 しばらく待った後に、ヤチヨを水の引いた部屋の中に下ろす。そうして仕事を終えた触手がシュルシュルと甲冑の中に戻り、何事もなかったかのように甲冑が閉じた。

 

 これで元通り、いつも通りのプライベート空間といつも通りの3人(?)*2である。

 

「はぁ~ビックリした……で、部屋の中に海が出来てるなんて――本当に2人して何話してたのかな?? ん??

「何を話してたか、ねぇ」

「それはまぁ……」

 

 急に訪れた理不尽な流しヤチヨに若干キレ気味なヤチヨを前にして、万夜とFUSHIの目が合う。

 

「「秘密、だな」」

「うぇぇ~~!? ひど~い! ヤッチョだけ仲間外れにするんだぁ~~!!」

「秘密を持ってる方が男ってのはミステリアスに見えるからな。許してくれ」

「僕はか弱いウミウシだから逆らえないんだ~~」

 

 なんて、2人して似たような顔をして(片方は見えないが)言うモノだから。ヤチヨは思わず笑ってしまう。

 

「――ふふっ、似た者同士だねぇ」

 

 まったく、どっちがどっちに似ちゃったんだろうね。

 

「あっ、ねぇねぇ聞いて! 今の今まで彩葉がヤチヨGPTで――」

「俺寝るから消えるっ」

「えっ」

「うわぁっ急に消え――むぎぇっ!?

 

 脳破壊の波動を検知した万夜の素早いログアウト。急な消失に取り残されたFUSHIが落っこちて変な声を出す。

 

 逃げる時はすぐ逃げる、これが長生きの秘訣である。

 

 

 


 

 

 

 PCの画面に映された高校の公式サイト。合格者の番号が一覧で掲示されている。

 

 何の因果か、俺の受験番号は0168番。そして画面には――

 

「あっちゃうんだよな……コレが!」

『やったやった! 合格だよ! 合格!! やったね万夜!!』

「あーうん……そうだな、合格だ」

「……あれ、叫ばないの? パルキアすると思ってたのに」

「そんな元気無いんだよ今は」

「じゃあ代わりにヤッチョが喜びの舞を踊ってあげるね!」

 

 なんて言いながら画面の中で変な舞をしているヤチヨをぼんやりと眺める。

 

 久々だな、自分の努力が報われた事実を嚙み締める感覚ってのは。クソほど苦労しただけにクソほど気分が良い。

 

 まったく、ここまで頑張って合格して。やる事が恋敵に塩を送ろうってんだから面白れぇよな俺って奴は。惚れた弱みレベル100って感じだ。

 

 もうぜってぇガチで勉強なんかするもんか。

 

「ま、受かっちまったからにはこっちのモンだよ。赤点ギリギリで良いならゲームも配信も出来らぁ」

『そうかな……? ()()()()()()()()()()は大分キツそうだったけど』

 

 へぇ、前の輪廻の俺はキツそうだったんだな。そうなんだな。

 

 ……()()()

 

「――あぁ、なるほど、そういう事な」

 

 面倒な時間軸の構造になってんだなこの世界。だけど良かった、予定通りに大阪理論が使えそうで助かる。

 

 やはり、君はやり遂げることになる。

*1
ウミウシモドキと人間モドキなので”人”が単位として適していない。

*2
ウミウシモドキと人間モドキとAIモドキなので”人”が単位として適していない。(二度目)




月見万夜:300年くらいガチで狂ってた経験があるので狂人の演技のクオリティが高い狂人。それでいて色々と拗らせてる頭の悪い悲しい男。触手は装備とかではなく自前。百合には絶対に挟まらない。

FUSHI:面倒くせぇなコイツらと思いつつも、ハッピーエンドを願ってる健気なウミウシ。なんやかんや皆大好き。

月見ヤチヨ:仲間外れにされた埋め合わせはして貰うつもり。彩葉が可愛くて最近は常に浮かれてる。万夜が知らないだけで、第一話以前に万夜を見つけた瞬間も同じくらい浮かれてた。




 次回から遂に原作に行けます。ようやくですね。
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