ミ~ムミムミム! ミムは全身ネットミーム人間ミムよぉ!! 作:ヤチヨ 幸せ なれる 質問
主人公は百合に挟まりません(リマインド)。
追記:番外編一旦上の方に置いてみたんですが、これ上と下どっちが良いですかね?
アンケートにしておきます、答えてね。
万夜は、私の配信を見ない。アーカイブで見ることも無ければ切り抜きで見る訳でもない。正真正銘、一切見ようとしない。
その上、手伝いとして呼ばれない限りはライブすらも見に来なければ、当然の様に私の歌う歌を聞くこともほぼ無い。
「おかしくない!?」
我大人気ライバーぞ!? 我美少女ぞ!? 心配になるくらいグッズは買ってくれてるけど! 万夜の部屋が私一色になってるのはすっごく嬉しいけど!
「それはそれとして配信見て欲しい~~!!」
ヤチヨの事を推しって言うなら配信もライブも沢山見て欲しい。曲だって聞いて欲しい。もう私はキラキラのかぐや姫じゃないって言うのに、みっともなくジタバタ暴れるくらいには見て欲しい。
向こう100年くらいは視聴履歴が私で一杯になるくらい見て欲しい。
「うぐぐ……どうすれば……そうだ! なんとかしてよFUSHIえも~~ん!」
「……無理だと思う」
「酷い~~! 少しくらいは考えてくれても良いでしょ~!?」
「とは言ってもなぁ……ヤチヨの配信と歌は万夜の趣味じゃないって結論がとっくの昔に出ただろ?」
「ぐぅ……」
もうぐぅの音しか出ない。万夜の趣味を考えればそれはそうかもしれないけど、それでも見て欲しいのが乙女心というかライバー心というか……フクザツ~~!!
こうなったらこのどうしようもない気持ちをジタバタに変換するしかない……!! 8000歳の月人の駄々だぞ恐ろしかろう人類!! 万夜はもっとヤッチョを大切にし――
「……何やってんだお前」
「うぇ!? 万夜!?」
咄嗟に飛び起きて正座する。恐る恐る視線を上げれば、私の事を呆れたように見下ろす万夜と目が合う……普段なら家でARモードを起動することが無いはずなのに……! それを良い事に万夜の家で駄々こねてたのに……!?
「な、なんでARモード起動してるの!?」
「なんでって……そりゃお前が文句言って来るからだよ」
私は別に家の中でまでARモードを強要しては――あれ、万夜の服装がお出かけ用だ。
……ってことは!?
「出掛けるぞ、着いて来るんだろ?」
瞳に着けたスマコンを光らせながら歩く万夜を見上げながら、隣を歩く。実際には歩いてないんだけど、そこは気分ってことで。
「それで、今日はどこ行くのかにゃ~?」
「池袋の水族館の後に上野の動物園、その後は秋葉原で適当に歩く」
「動物園に水族館! それに秋葉原! 楽しそう!」
いつも通り最低限の買い出しに行くのかと思ったら、今日は趣味の日だったらしい。心なしか、万夜の表情もいつもよりも楽しそうに――いつも楽しそうだから変わんないな。
「こっちの世界じゃ上野の動物園は初めて行くんだ」
「ヤッチョも初めてだから一緒だね~」
「はははっ、そりゃ良い。2人揃って初めてだ」
……やっぱり楽しそうなのは勘違いじゃなかったみたい。少しだけ、声が弾んでる。
本人は隠してるつもりなのかもしれないけど、8000年も一緒に居ればそれくらい解りますとも。
こういう時の万夜は、ちょっと子供っぽい。
あとはそう、万夜の好きな動物とか自然を見る時とかも!
ちなみに、どうして動物とか自然とかを見るのが好きなのか聞いたら、前はゆっくり見られる機会が無かったからなんだって。
確かに、万夜の居た世界が聞いた話通りなら、こうしてゆっくり自然を眺める時間も無ければ、自然そのものも無かったんだろうなと思う。
あまり前の世界の事は話してくれないけど、万夜はもう少しくらい報われても良いと思う。
沢山遊んで、沢山楽しんで、ハッピーエンドを手に入れる。
それでも足りないくらいだと、ヤッチョは思うな。
……それはそれとして、責任は取って貰わないとだけど。
「……それにしても、ヤチヨも着替える必要あったか?」
「あるに決まってるでしょ~! なんてったってデートなのですから! どうどう? 似合ってる?」
一応は歩幅を合わせてくれている万夜がこっちをチラッと見る。普段の和風から洋風に着替えたヤッチョの感想は~?
「はいはい」
「流された!? ヨヨヨ、扱いが雑~!」
そんな期待をあっさり裏切るように、至って平坦な声。
はいはいいつも通りいつも通り!
確かに、UI操作でボタン1つ。そうすればどんな服にも着替えれてしまうのが私。だとしても、デートなんだからオシャレの1つもしたくなるのが乙女心……万夜にそんな事を説いても意味無いのは解ってるけど、たまには褒め言葉の1つくらい――
「ま、可愛いんじゃないか」
「――へ?」
かわいい……カワイイ……可愛い? 私の服を? 褒めてくれた……? 私の服を? 万夜が? あのクソボケの万夜が??
「どうした、置いてくぞ」
「ちょちょっ!? 今のって……」
あまりの衝撃に動きを止めていると、いつの間にか10mは先に居た万夜が振り返ってこちらを見ていた。
いつも歩幅を合わせてはくれてるけど、私が少し足を止めるだけで、やっぱり身長差のせいですぐにこんな距離が開いてしまう。
精一杯の駆け足で追いついて、隣に並ぶ。こうして待ってくれたり話しかけてくれるのは、私の事が見えない他の人から見たら変な行動に見えると思う。けれど、そんなことを一切気にせず待ってくれる所はヤチヨ的に高評価なのですよ~!
それに、サングラスに隠されているせいで目線は読めないけれど、この涼しい季節に頬が紅潮しているのは――
「……”慣れない事、するんじゃなかった”?」
「マジで置いていくミムよ~~??」
「ちょっ走られたら流石に追いつけないから待って~~!! それに口調も!!」
ってもうあんな所まで!? 流石に足速すぎ!! ひぃ~置いて行かないで~~!!
池袋のサンシャインシティの最上階。
ここの水族館は万夜のお気に入りで、私と一緒に来た事も何回かあるし、1人で来た事も沢山あるらしい。
私と再会する前から入り浸ってるらしいから、もうそこはわかんない。
教えてくれたりしないかなぁ、と思って横に座る万夜の顔を覗き込んでも、何も答えてくれやしない。
「……」
こうやって、一番大きい水槽の前にあるベンチに座ってただ眺めるのが好きなんだと笑っていた。ツクヨミでもこんな感じでボーっと空を泳ぐ魚を眺めてる時があるから、本当に好きなんだと思う。
それにしても、この体格でこの服装してる人がそんなロマンチックな趣味してるなんて誰も思わないだろうな。
つまり、万夜の趣味もこうして夢中で水槽を眺めてる横顔も、私だけの秘密。
「ふふん」
少しだけ優越感。
サングラスでも隠し切れないくらい夢中な顔しちゃってまぁ……欲を出せば私の配信とかライブでその表情を見たかったな!! ライブの演出にこういう魚群的なの取り込んじゃおうかな……?
そうすれば、少しくらいは自分から見に来てくれたり……しなさそうだなぁ。
「よし、そろそろ行くか」
「1時間くらい見てたねぇ~口開いてたよ~?」
「ガキっぽくてすいませんね~~」
そう言って万夜が名残惜しそうに立ち上がる。「よく飽きないなぁ」なんて思ってたけど、そんなヤッチョも1時間飽きずに万夜の横顔を見ていたので人の事は言えないのでした。
その後は万夜と一緒に残りの小さな水槽や両生類、外の展示もゆっくり眺めて……合計したら3時間くらいは水族館で過ごしてたかな。
そうして最後の最後は、屋外から屋内に戻って水族館のショップに入る。いつもの流れ。
「最後にこれ買わなきゃな~」
「その栞。また買うんだ」
ステンドグラス風の栞。水族館らしい柄のそれは、万夜のお気に入り。
当然の様に全種類4つ以上家に置いてあるし、なんなら使用中。なんでも色んな水族館に行くたびに買っているらしい。
光にかざせば、キラキラと色の着いた光が透けて見える。確かに、こうも綺麗で実用性もあると買いたくなる理由も解る。
「乙女チックだにゃ~」
「今時流行らんぞ、男女差別なんて」
「そういう意味じゃないよぉ!?」
私の抗議を他所に、栞を1つ……それに小さなメンダコのキーホルダーも手に取って、万夜はレジへと向かった。人を差別主義者にしおってからに。
……私の公式グッズだけじゃなくて、自分で見つけた概念グッズも買い揃えるレベルで推してくれるなら、ヤッチョの配信も見てくれないかなって思うんだ。
「ふい、お待たせ」
「おかえり~ちゃんと買えた?」
「そりゃね。前からこのメンダコちゃん欲しかったんだよなぁ」
「へぇ~」
早速と言わんばかりに、愛用のポシェットにメンダコのキーホルダーを着けてご満悦な万夜。本当に、パッツパツのGパンと黒で髑髏が描かれた白シャツを着てる人の趣味じゃないと思うな。
「さてさて、これは何だと思いますかお姫様」
「何って……さっき買ってたメンダコのキーホルダーじゃないの?」
「正解! という訳で贈呈だ」
ポイっと投げ渡されたメンダコのキーホルダーへ、手に取る事なんて出来るはずもないのに思わず手を伸ばす。
「……触れ、てる?」
「買ったのはここに着けただろ。もしかしてお忘れか?」
「あっ、そういえばそうだった……じゃ、じゃあこれって――」
「万夜くん謹製のコピー品。おそろっちってコト。著作権とか怖いから流出は勘弁な」
そう言って、イタズラが成功した悪童の様に万夜は笑う。
お揃い、お揃いか……私も、お出かけ用の衣装に着けておこう。そうしよう。
「さて、そんじゃ次は上野まで行くぞ」
……今日の万夜は、特別な気がする。
「上野公園に来るとさ、動物園以外にも行きたい場所無限にあって困るよな」
「美術館だったり博物館だったり科学博物館だったり。確かにどれも好きそうだよね~」
「当然お好きにござるよ」
とはいえ今日は動物園だけどと、万夜は笑う。お願いしたら、いつか美術館だったり博物館にも連れて行ってくれるかな。
なんて考えながら万夜の横に着いて動物園の入口へ。
「動物園の匂いだ、良いねぇ」
「良いなぁ~私も匂い感じてみた~い!」
「はははっ……それは難しいかもなぁ」
そうだよねぇ……嗅覚も味覚も触覚も、皆には当たり前にある物が無いのは辛い。
ま、8000年もすれば慣れちゃうんだけどね。
羨ましいとは、ちょっぴりだけ思うけど。
「中学生1人でお願いします」
「えっ!?」
「あっ、これ学生証です」
「えっ……!? えぇっ!? ……あ、都内なので無料ですね、お楽しみください……?」
受付の女の人が目をパチクリさせている。そうだよね、どう見ても中学生には見えないよね。
実際、本人曰くズルっこのウソっこらしいけど、万夜が都内在住の中学生なのは事実だからこうして無料で動物園に入れる。
チケット欲しかったなぁとしょんぼり気味なの、ちょっと可愛い。
「高校生になったら入り浸ってチケットコンプ目指すか……」
大きな身長からは考えられないくらい小さな野望。こういう姿ばかり見ているからか、万夜の実年齢が私の倍以上ある事を忘れちゃいそうになるんだよなぁ。
「それで、どの順番で回るの?」
「順路通りに決まってる。こういうのは順番守るのが一番良いとされている」
そう言いながら、いつの間に貰ったのか園内マップを広げて笑う。
実は本当に中学生だったりしない? 体格以外が年相応すぎると思うんだ。
「あ~そっか、もうサル山無いのか……もっと早くに来とけばよかったな」
「見たかったの?」
「動物園の目玉だろ、サル山って」
「そうかな……そうかも?」
水族館に比べて大きいとはいえ、足を止める時間がそう長い訳じゃないから、入ってから経った時間はだいたい40分くらい。
体感はあっという間だったけど、意外と経ってる。
この調子で見てれば、あと1時間もせずに動物園は見終わってしまう計算だ。
せっかくのデートなんだから、もっと長く居たいけど、ヤッチョも万夜もツクヨミの管理人なのであまり長く空ける訳にはいかないのです……ヨヨヨ。
「西園といえばハシビロコウだな、動いてる所見れたら良いんだが」
「何時間も前に張り付かないでよ~?」
「流石に2時間は越えないから大丈夫大丈夫」
「1時間59分の時点でヤバいのを自覚してね~」
ヤッチョがあんまり言えた事じゃないけど、長生きのし過ぎで万夜の時間感覚はガッツリおかしくなってると思う。もっとこう、統一性を持って欲しい。
「園内電車も無くなって……寂しいな」
「乗ったことあるの?」
「まぁ、多分何回か」
少しだけ、悲しそうな表情。万夜の前々世についての話は、前世の話以上に知らない。でも、思い返す表情を見るに、思い出すだけで帰りたくなってしまうくらい、そんな良い世界だったんじゃないかな。
「おー! 馬だ! っぱ競馬場で見るのとは違うなぁ……」
ちょっと未成年??
「あったあった……うん、上下巻両方あるな」
「秋葉原に来て最初に来る場所が本屋さんとは……通ですなぁ~」
「忘れない内にってだけな? カドショも行くし、PCパーツも見に行く。ヤチヨのグッズも見に行く」
「欲張りセットだねぇ~」
2冊の本を手に取ってレジへと向かう万夜。どんな本を買うつもりなのかにゃ~と、まだ棚に残っている本を見る。
「プロジェクト、ヘイルメアリー……? 万夜が好きな映画、だったよね? 原作ってことなのかな」
確か万夜曰く、ハードSFモノの頂点と言っても良い作品らしい。前に「事前情報無しで見ることをおすすめするミム」って言われてから、律儀に今まで情報を仕入れていないヤッチョなのであった。
質感を感じれる訳でもないのに、本の表紙を撫でる。
きっと、万夜は漂う紙とインクの香りまで含めて本屋さんを楽しんでいるのだろう。触覚嗅覚の話をさっき動物園でも一度考えてしまったせいか、また羨ましいなと思ってしまう。
紙の本を1ページずつ捲る感覚なんて、もう覚えてないや。
「お待たせ」
「待ってないよ~」
ニコニコ笑顔で帰って来た万夜。本当に、好きなんだとわかる笑顔。
私の配信とかライブでもその笑顔を見せて欲しいんだけどなぁ! くそぅ、ヤッチョにやれるのか、ハードSF系配信……!? こう、月の技術の解説配信をSFって体にすればワンチャンあったり……しないか。
「さて、そんじゃ最初はPCパーツでも――」
「その前に、ちょっとだけ聞きたい事があるんだ。聞いてもいいかな?」
「――なんだいなんだい?」
思わず口から飛び出た言葉に、自分でも驚く。
そこでふと、さっきから胸の奥に引っ掛かっていたことを思い出す。
そうだ。良い機会かもしれない。
はやめに聞いておこう。ずっと気になってたし。
「今日の万夜はずっと変だった。出掛ける時に自分から私に声をかけたり、私の服装を褒めたり。お揃いのキーホルダーなんてプレゼントしてくれたり」
どう考えても
だから必然的に浮かび上がってくるのが――
「今日のお出かけ、誰からの入れ知恵? 脳内掲示板の人達……じゃないよね?」
「……バレたか」
――協力者の存在。それも多分、私も知ってる誰かが協力者。
こういう女の子を喜ばせられるプランを提案出来るのなんて、余程リアルでモテる人か、女の子の扱いに慣れてる人。あとはそう、女の子。
万夜の知り合いに前者2つに該当する人は居ないはずだから、あり得るとすれば一番最後の女の子という択。そしてそこから導き出されるのが――
「当ててあげよう。オタ公ちゃんでしょ?」
「Exactly(その通りでございます)……」
そうだよ正解だよ、と万夜は降参のジェスチャーをする。
ヤッチョは思います。万夜はオタ公ちゃんの事を気に入りすぎだと。確かに叩けば鳴るし、ライバーとしての能力もセンスも二重丸を超えて花丸。その上人間性も良いし可愛い。あとスタイルが良い。
……そりゃ万夜が気に入る訳だ。
オタクに優しいギャルに弱くないオタクは居ないからね、仕方が無いね。ところでヤッチョもだいぶギャルっぽいと思うんだけど、どうして一向に浮気癖が治らないのかなぁ????
「……まぁ、楽しかったから許してあげる。ヤッチョは寛大なのです」
「楽しんでもらえたのなら何よりですお姫様……」
「ただし、残りの時間もちゃんとエスコートしてくれたら、だけどね?」
「そりゃもう当然、喜んで」
ヤッチョってばチョロい子。なんにせよ楽しいデートが出来たという事実だけで、このキザな台詞まで全部許せちゃうのです。
楽しいデートが出来たんだから、オタ公ちゃんにはたっぷりお礼しなきゃね。当然裏の意味とか無く普通のお礼を!
月見万夜:クソボケがこんなご機嫌取り出来る訳無いだろ! 出掛ける時はだいたいスマコン隠し用のサングラスに、黒で髑髏が描かれた白シャツと暗めのGパンを来て髑髏のネックレスをしてる。イカついファッションセンス。
月見ヤチヨ:万夜のことは当然なんでもお見通し。それはそれとして嬉しいので機嫌は良くなった。月見万夜はヤッチョの配信を見ろ委員会(総勢1名)の会長。
忠犬オタ公:「妹分のご機嫌取りプラン? 自分で良ければアドバイスしますよ!」とか言ってアドバイスしたら、ヤチヨから凄い量のお礼がツクヨミ内外で届いてビビり散らかした。
番外編の位置
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1番上
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1番下
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本編の合間合間