守護霊じゃなくて死神なんですか? 作:合法ロリ系の霊王
「ほいっ!」
刀を一振。バターのように仮面を真っ二つにする。
すると目の前のでかい化け物は悲鳴をあげながら消えていった。
「うーん、よし!今日はこれでおしまい!」
空の上からぐるりと一回り。人間以外の霊圧がないことを確認した私は、満足そうに頷く。
今日はやけに数が多い気がしたが、脚長おじさんやホワイトお兄ちゃんが手伝ってくれたお陰で怪我一つなく片付けることが出来た。
『大丈夫か?少々力を使い過ぎたようだが……』
「うん、『シニガミ』の方は始解も使わなかったし、『ホロウ』の方はホワイトお兄ちゃんが鎖の操作をしてくれたから。やっぱり『クインシー』の方が向いてるのかなぁ?百発ぐらい矢を射ったのに、ぜんぜん疲れてないや!」
『射ちすぎだ馬鹿。お前は一護と違って、霊圧馬鹿じゃないんだから、もっと的を狙って射てっていつも言ってんだろ』
「バカバカうるさ~い!ホワイトお兄ちゃんだってグミ射ちバカじゃん!」
端から見たら電柱の上に突っ立って一人で会話してる危ない人に見えるかもしれない。こういう時、
「おーい!姉貴!そろそろ晩飯にすっぞ!」
ん?私が内に秘めたる強大な力と対話をしていると(厨二病じゃないよ!)我が家の玄関口から最愛の弟が呼んでいるではないか。
「うん!今いくー!」
私の名は黒崎双葉。この家の守護霊である。
おっ。今日の晩御飯はハンバーグか。私は食えないけど、美味しそうである。
そう言えば生前は大好物だった。
弟とはいつもどっちが大きいかと言い合いとなり、よくお父さんの皿から掻っ払ったものだが、それを見越してか私の皿にあるものだけ若干大きくなっていた。
「…毎回思うんだけど、別に食えないんだし、私の分まで用意する必要はないんだよ?」
お腹は減るし、霊子に変換したものなら食べれるのだがこういったものには手がつけられない。
弁当は
「仕方ないでしょ?遊子が家庭内差別はダメって聞かないんだから」
「それに、あとで俺が食えばいいしな」
「あ、また!お姉ちゃんがご飯いらないって言ってるんでしょ!私にはうっすらしか見えないけど、家庭内差別は許さないんだからね!」
ほら、と私のお茶をテーブルに置く次女の遊子に三女の夏梨が呆れたような視線を向ける。
一応、故人だが私が長子でこの三人は私の弟と妹だ。
ある日、グサッと胸を貫かれて死んでしまった私は、白装束に三角巾の幽霊になってあの世に行くわけでもなく、黒装束に刀一つをぶら下げた幽霊となってポツンと取り残されてしまった。
仕方がないので、成仏出来る方法を探してみたが仮面をつけた変な化け物に襲われるわ、猫だったり女の人になったりする妖怪に誘拐されそうになるわ、おかっぱ頭の変人とその一行に追いかけ回されるわ、散々な目にあっていた。
脚長おじさんとホワイトお兄ちゃんがいなかったら、きっと直ぐに捕まっていただろう。
そして家族に迷惑はかけたくないと、なるべく家には近づかないようにしていたのだが、ある日ついに下駄を履いた怪しげな男に捕まってしまい、ここまでかと観念した時である。
「このっ!姉貴を離しやがれ!!!」
「あれ?もうここまで力を使えるように、ウギャァァァァ!!!!?」
いつの間にか家の近くまで来てしまったようで、下駄の男はぶちギレた弟のビームで灰となった。
ホワイトお兄ちゃん曰く、あれが『虚閃』らしい。
そして脚長おじさんは、あの程度で死ぬ男ではないと断言してくれたので弟が殺人をおかさなくて助かったと胸を撫で下ろしたが、ガシッと手を捕まれて家まで連れ戻されてしまったのだ。
「俺と夏梨には見えてんだ。遊子も全く見えねぇわけじゃねえし、親父だって見えてる俺たちのことは気味悪がらずに理解してくれてる。今さら姉貴が幽霊になったからって怖がるやつは家に居ねえよ。だからさ、帰ってこいよ」
言葉では強がっているものの、目尻には大粒の涙を浮かべ、震えている弟の姿。この子が死んでしまった母と私の霊を探し回っていたのを私は知っている。
どうやら母親はあの化け物に食われてしまったようだが……それを知ってか知らずか。今にも崩れ散ってしまいそうな弟を無下に出来るほど私も冷たくはなかった。
「よぉし!今日も家族全員揃ったな!じゃあ、せーの!」
「「「「いただきます!」」」」
父に弟、そして双子の妹達。その中にいる故人である筈の私。同じ食卓に並び団欒する。そんな経緯で私はこの家の守護霊として日夜迫りくる危機から家族を守っている。
この生活が日常になってから早数年。一護は高校生になった。
私も生きていたら大学生になっていたのだろう。
花の青春時代を謳歌することなく、最終学歴が小学校中退で終わってしまったのは残念だが、その分この子達には私の分まで青春を謳歌してほしい。
特に一護は私よりも幽霊としての才能があるらしく、それを狙う人たちがいるらしい。
それを防ぐ為にここ数年、私はうちに宿る力達と対話を続けたり、クインシーの雨竜の家のお世話になったりと、いっぱい鍛えて、かなり強くなったと思う。
「それにしても、姉貴は変わらねぇな」
「仕方ないでしょ!子供の時に死んじゃったんだから!」
見た目こそ小さいが、私はお姉ちゃんだ。
それに背も1センチは伸びた……気がする。
ええい!見た目なんて関係ない!家族を守る為なら、お姉ちゃんすっごく頑張っちゃうぞ!!!!