WORLD TRIGGER ~Change The World~ 作:S'PADE
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暴れている5体のモールモッドの前へと到着した昴は周辺の状況を確認する。
「よかった…どうやら建物被害はあるが、街の人への被害はなさそうだ」
昴はその状況にホッとするのもつかの間…昴は5体のモールモッドへと対峙する。
「さあ…ここで時間を使う余裕はないんだ。悪いがさっさと終わらせてもらう」
昴は起動した自身のトリガーを構える。その形状は日本刀に似ているが、通常の日本刀よりも少し刀身が長いブレードとなっている。
ブレードを構えた昴は建物を使いモールモッドの真上へと飛び上がる。
「一匹目!!」
落下による勢いそのまま昴はブレードをモールモッドへ叩きつける。
叩きつけたブレードはモールモッドの硬い装甲を突き破りモールモッドは真っ二つとなり機能停止状態となる。
「早いとこ木虎の加勢に行かないといけないんでね…一気に片をつけさせてもらう」
昴は自身のトリオンを使いブレードの威力を上げる。
「はぁぁぁっ!」
昴が放った斬撃は空気を切り裂く刃となるモールモッド3体を断裂する。
そして残った1体目がけて昴は駆け出す。
「これで…終わりだ!!」
そう言い終えた時には既にモールモッドの機能は完全に停止しており、昴はわずか数分で大型
「本部への連絡は後だ今は木虎の…」
ドゴォォォォォォォン!!
昴が木虎のもとへと向かおうとしたその時、昴の耳に川沿いの方から爆音が聞こえてきた。
昴は急ぎ元の場所へと引き返しすと、
「おいおい…どうなってんだよこれ…」
そこには先程の新型
昴は川から這い上がってくる木虎に気付く。
「木虎!大丈夫か!?」
「南條さん…」
「あの
「…いえ、私ではありません。私ひとりではあの
木虎自身にも自分の身に何が起こったのか理解しておらず、はっきりしているのは自分たち以外の何者かが
「…分かった。俺の方もモールモッドの撃破は完了している。とりあえず俺の方から本部に報告しておくから修のところへ向かってくれ。街の人たちの救援をしている筈だ」
「…はい…わかりました」
木虎を修のところへと送り、昴は自分の上司へと連絡する。
「…もしもし、本城さん」
「昴ね…どうかしたの?」
「さっき発生したイレギュラー
電話の主は若干驚きの声をあげるが、すぐに落ち着くと回収班の派遣については了承する。
「それはそうと昴…あなた今日は休暇だったんじゃないのかしら?」
その声を聞いて昴は確信した…休暇を命じたにも関わらず
「い、いや…しょうがなかったんですよ…これには海よりも深い
「はぁ…まあいいわ。それよりこれから本部で会議があるわ。あなたもすぐ本部へ来なさい。城戸さんがお呼びよ」
「城戸さんが…分かりました。丁度本部へ行こうとしていたのでこれから向かいます」
そう言うと昴は電話切る。
「昴さん!!」
修たちが昴のもとへと駆けつけてくる。
「おお、修。市民の避難は終わったのか?遊真も大丈夫だったか?」
遊真はコクリと頷き、修は状況を伝える。
「はい…そちらの方はある程度は。それより
「ああ…そっちの方も撃破は完了している。新型1体に大型5体だな」
「あの
自分があれほど苦戦した
「当然じゃない。だって昴さんは…」
木虎が昴について説明しようとすると昴はそれを遮り、
「そういえばちゃんと自己紹介してなかったな」
昴がニコリと微笑むと…
「改めて言うが、ボーダー明光支部所属S級隊員…南條昴だ。これからよろしくな」
「S級隊員!?」
「三雲くん…あなた知らなかったの?」
昴の存在を知らなかった修に木虎は呆れるが、C級隊員である三雲にとっては無理もないことである。
「まぁ今はそんなことより本部へ急ごう、何か俺も呼び出し喰らっちゃたし…」
こうして予想外のアクシデントに見舞われながらも、昴たちは再度ボーダー本部へと向かうことにした。
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ボーダー本部直通通路入口前
今昴たちは工事現場の一角にあるボーダー本部の直通通路への入り口前にいる。基地周辺にはこういった入口が何箇所かあり、隊員は有事の際にはこの通路し本部へと入ることが多い。
これより先はボーダーのトリガーが解錠の鍵になっており、隊員以外は入ることができない。
入口のセンサーに木虎がトリガーホルダーをかざすと入口のドアが開く。
「なるほど、トリガーでドアが開く仕組みなのか」
「そうよ。ここから先はボーダー隊員以外入ることができないわ」
遊真はここから先は入れないことを知ると手を上げ帰る素振りを見せる。
「そうか…じゃあおれはここまでだな。オサム、何かあったら連絡くれ」
「ああ、わかった」
修も遊真の言葉へ同意すると基地の中へと入っていく。
遊真もそれを見届けると帰宅するため元来た方向へと振りかえるが、昴がそれを呼びとめる。
「おい!遊真」
「ん?どうした昴さん」
「いや、大したことじゃないんだが…お前とは近々また会いそうだったからな」
昴の言葉の意味が遊真には理解できず、"またな"と手を振り基地の中へと入っていく昴を遊真はただ見つめることしかできなかった。
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本部に到着すると昴は用事があると言って二人と別れる。
とりあえず支部長のもとへ向うために廊下を歩いていく。
「昴くん」
「ん?…円さん」
昴に声を掛けたのは明光支部のオペレーターである
彼女は昴が所属するボーダー明光支部に所属している隊員の中では最年長の23歳であり、メガネをかけスーツをきっちり着こなしたキャリアウーマン風の美人である。
「迎えにきたわ。会議室で本城さんたちがお待ちよ」
円は明光支部支部長の補佐係を兼務しており、任務以外の際は本部に赴くことも多く、支部長と一緒にほとんどの会議に出席している。
「了解です」
会議室への道すがら昴は今回の会議の議題について尋ねる。昴は今回の会議については修の処分を決めるものだと思っていたため、自分が呼ばれたことを不思議に思っていた。
「今日の会議は修の処分に関してですよね?なのになんで俺が呼ばれたんですか」
「それもあるけど、昨日から発生しているイレギュラー
「へぇー…迅も来てるんですか(あいつホントに今日忙しかったんだ…)…ところで円さん、迅にセクハラとかされませんでしたか?」」
昴の中での迅は美人な女性を見ると見境なくセクハラ行為に及ぶ印象があるため、昴は同僚である円の事を心配する、
それに対し円は誰の目に見てもあきらかに顔をしかめる。
「私は大丈夫よ…ただ…」
「ただ?」
「…響子さんがお尻を触られていたわ」
どうやら本部長補佐の
「…あいつには後でキツく言っときます」
「…ええ、ぜひお願いするわね。それより話は変わるけど、昴くんは三雲くんを名前で呼んでるけど知り合いなの?」
"修"と名前で呼んでいる昴を疑問に思ったのか今度は円の方が尋ねる。
「知り合いというか…ここまで一緒に来てたんですよ。静也から大型
「木虎さん?どうして彼女が三雲くんに会いに行く必要があるの?」
「あはは…ですよねー…木虎は修が逃げないように本部まで見張るって言ってましたけど、本音はただ同年代の修が活躍してたのが気に入らなかったんでしょ」
昴から聞いた木虎の姿を想像し可笑しくなったのか円は笑みを見せる。
「なるほどね。でも木虎さんらしいじゃない」
"たしかに"と昴もつられて笑いだす。そんな会話をしているうちに会議室前に到着し、二人は中へと入る。
「失礼しまーす…南條昴、只今到着しました!」
会議室のボーダー上層部のメンバーが勢ぞろいしており、その中で昴の上司でありボーダー明光支部支部長の
「遅いわよ昴。早く座りなさい」
「了解しました」
昴は先に到着していたボーダー玉狛支部所属の
「揃ったな。本題に入らせてもらう」
そう言って話を切り出したのはボーダー本部司令でありボーダーの最高責任者でもある
「議題は昨日から発生しているイレギュラー
「待ってください城戸さん。まだ三雲くんの処分についての結論が出ていないではないですか」
そう城戸に対して反論したのはボーダー本部長の
忍田は修の処分についてが中途半端のまま次の議題に進んだことに対して納得がいかなかったようだ。
「結論?そんなものクビに決まっとろう。一日に二度も違反を犯した隊員を残しておくわけにはいかんだろ」
「そうですねぇ。他のC級隊員にも支障が出ますし、何より市民の印象が悪くなってしまったら困りますしねぇ」
そういって修の解雇を進言したのは開発室長の
「私は反対だ。市民の命を救っている隊員を簡単に処分するのは」
「
「その木虎が市民の救助活動には三雲くんの功績が大きいとの報告がある」
忍田のその言葉に昴は少し驚く。木虎が素直に同輩の功績を認めるとは珍しいことであったからだ。そしてそれは昴の横に座っていた迅も同意見のようであり小さく感嘆の声を上げていた。昴にしても修の処分については気乗りしないため助け舟を出すことにした。
「確かに修は隊務規定違反をしたけど、今日の中学校での一件では
昴の怒涛の反論にさすがの鬼怒田と根付も押し黙ってしまう。
「それに修に市民の救助を依頼したのは俺です。あの時の状況では最善の指示だったと思います」
「…昴さん」
昴は修の方を見ると軽くウインクをし、再び城戸を見据える。
「城戸さん…どうですか?」
「確かに南條、お前の言うことも分からなくはないが…ボーダーのルールを守らない人間は私の組織には必要ない」
「…ですよねー」
昴はやっぱりかと言った表情を見せる。どうやら城戸がこの程度の反論で意見を変えないことは予想がついていたらしい。
「では聞くが三雲くん…もしまた今日のような状況になったら君はどうするかね?」
「…やっぱり目の前で人が襲われていたら放ってはおけません。今日と同じように助けに行くと思います」
修は自分の意思をはっきりと伝える。修のその言葉を反省なしと捉えたのか、鬼怒田はさらに解雇を強く進言し、根付はこれ以上は議論の余地なしと判断したのか議題を変える。
「もういいでしょう…今はイレギュラー
根付は営業担当でありボーダーの金庫番でもある
「いや、金を集めることが私ですから構いませんよ。けど…このような事態が被害が続けば…どうなるかは分かりませんが」
そう言って唐沢は鬼怒田を見る。現在イレギュラー
現在はトリオン障壁によって
「それでお前ら2人が呼ばれたってわけだ…迅、昴」
「2人とも…やってくれるわよね」
林藤と本城の両支部長が昴と迅を見据える。
何やら端末をいじっていた迅と先程から黙っていた昴をお互い口を釣り上げ、
「もちろんです。なんせ実力派エリートですから」
「俺らでやればさほど難しい任務にはならないと思いますよ」
殺伐とした雰囲気がなかったかと思えるほどあっけらかんと答える2人。そんな2人の態度に鬼怒田と根付は驚きの表情を見せる。
「どうにかなるのか!迅、南條!?」
「もちろんですよ鬼怒田さん。実は今日のイレギュラー
これには横にいた迅も驚く。
「おいおい…ホントかよ昴」
「ああ…イレギュラー
「なるほどね…それなら大丈夫そうだな。それじゃあ城戸さん…イレギュラー
そう言いつつ迅は修の肩に手を置く。
「彼の処分はおれ達にまかせてもらえませんかね?」
迅の提案に対して鬼怒田達が疑問の声をあげる。
「彼が今回のイレギュラー
「…(出たよ…迅の決め台詞)」
「いいだろう…その件はお前らに預ける迅、南條。今日はここまでだ、次回は明日21時より開始する…解散だ」
城戸のその言葉をきっかけに会議参列者は次々と外へ出て行く。
「迅…俺らも行くぞ」
「わかってるって…それじゃあ頼むぞメガネくん」
迅も修の肩を叩いて昴の横へ並ぶ。
会議室から出る途中、迅が鬼怒田、根付、唐沢になにやら根回しをしていたが、昴はあまり興味がなかったため特に聞いていなかったが…
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その後修も合流し3人は基地の外を出て帰路についていた。
その道中思いつめた表情をしていた修に迅が声をかける。
「何思いつめた
「そうだな。修…迅の言う通り心配することはないさ」
この2人の自信に溢れた表情に修は疑問を募らせる。
「昴さんはさっきイレギュラー
「どうしてと聞かれる難しいが…まぁ簡単に言えば
「…視えた?」
昴の返答に修はますます訳が分からなくなってしまうが、迅は修の背中をバンバン叩く。
「メガネくん!昴がこう言ってんだから間違いないさ。大丈夫…おれのサイドエフェクトがそう言っているから」
「…サイドエフェクト?」
修はこの時の迅が言ったサイドエフェクトという言葉が引っかかり、再度尋ねようとしたが2人と別れ道が来てしまったため諦めた。
「それじゃ、おれ達はこっちだからまた明日なメガネくん」
「明日は忙しくなるからちゃんと休んどけよ」
「はい、それじゃあ失礼します。迅さん、昴さん」
修と別れた2人は互いの支部までの間、お互いの知り得ている情報を共有することにした。
「…なるほど。イレギュラー
昴が導き出したイレギュラー
「ああ、後は大本を見つけるだけだな。それで?そっちは何を
「さっきメガネくんを
「誰かって誰だよ?」
「さぁな…でもメガネくんが知ってるヤツだと思うぞ…というかお前も知ってるヤツだぞ昴」
昴は迅のその言葉を聞きある人物の顔を思い出す。
「なるほど…やっぱりあいつか」
「おいおい一人で納得すんなよ。誰なんだそいつは?」
しかし、昴はそれを迅には話さず自分の胸の内へとに閉まうことにした。
「教えるかバーカ!明日まで楽しみにしとけっつーの」
迅がやれやれと言った表情を浮かべ昴はそれを無視して先を歩いている。
「(ほんとに早い再会になっちまったな……遊真)」
2話目です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。