原神偽造任務録 作:和傘木
創神計画が幕を閉じてからしばらく、落ち着きを取り戻し始めたスメールシティで旅人は変わった様子のドリーと出会った…
「この!おばか!書き入れ時にいなくなる従者がどこにいますの!」
「なに
「おだまり!おかげでパイプを失った商人の一部を取りこぼしましたのよ!」
「うぅ…私の元に来る筈だった可哀想なモラ達…およよ…」
肩に乗ったドリーに口角や髪を引っ張られているパンクスタイルの青年はアルカサルザライパレスの従業員?のようだ。揉め事中の関与は控えたかったけれど、
「まったく、探索でモラが得られるのは一度きりですのよ……と、あらあら!これはこれは今をときめくスメールの大英雄サマ!お久しぶりですの!」
こちらに気付くと同時にするすると青年の肩から降りはじめ、言葉尻では既に石畳を踏みつけ大袈裟なお辞儀をしてみせたドリーに苦笑しながら返事を返す。
「こんにちは、ドリー。相変わらずみたいだね…」
「ええ、ええ、勿論。私と貴女の交友が不変であるように、私の方針は一貫してますのよ!意見をコロコロ変えてしまう商人なんて、信用に値しませんもの。」
「一理あるかも。…それで、連れの人とはどんな関係なの?仲は良さそうに見えるけど。」
「ええと、そうですわね…」
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十数年前、スメール
ある日の午前、スメールでは珍しい黒髪の青年が宿駅の出口で荷積みをしていると、二人の少女が駆け寄ってくるのが見えた。足を止めて屈み受け止める姿勢を見せれば、爛漫な少女は勢いよく飛び込み、淑やかな少女は今一歩で立ち止まる。
「おにーさま!今回の行先は稲妻でしょう?お土産に緋櫻毬をお願いしますの!」
「ドリー、あまりおにいさんに無理言っちゃだめだよ。お仕事に行くんだから、」
「大丈夫、構わないよ。今回行くのは知り合いの所だからね、一人分の小包くらい請け負ってくれるさ。」
「----も、欲しいものがあれば遠慮しないで。」
「…じゃあ、ルミドゥースベルを見てみたい。」
青年の柔らかな笑顔がぴしりと固まる。どちらも色や香りを楽しむ植物であり、手に取ればその魅力は日持ちしない。時間を止めて持ち運べるか、数瞬で国家間を転移できるような装置でもあれば困らないのだが、そんなものは夢のまた夢、どうしたものかと思考を始める。
返事のない青年を不思議に思い頬をはたいてみる少女と、困らせてしまったかと右往左往する少女の頭に手を置き切り出す。
(行きにフォンテーヌへ寄って一株まるごと…いや、いっそ種や株を仕入れて稲妻まで商品として持っていけば万が一の予備にもなるかな。)
「…うん、どっちも用意できそうだ。楽しみにしてて。」
青年は互いの手を取り跳ねて喜びを共有する二人に心を温めながら関所を潜り、駄獣に揺られて宿駅を後にした。
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「いつか必ず、お支払いしますの!」
「だから、お姉ちゃんを助けてくださいまし!」
「……… 知ったことか。一千万モラ用意できたら、薬でもなんでもくれてやるよ。」
肩で息をしながら頭を下げ懇願する少女は、まるきり態度を変えて突き放すように断る青年の苦い顔に気付けないまま、乾いた砂を踏みつける音が聞こえなくなるまで、濡れた砂の上で俯いていた。
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風の凪いだ夜、スメールのとある民家に換気のために開けられたであろう窓から音もなく影が入り込む。羽のように軽くなってしまった姉の手の甲に小さな頬を乗せ、顔を顰め苦しそうに眠る少女の頭に影は手を翳しては引き、諦めたように懐から小瓶を取り出す。
抱き起こされる体と淡く澄んだ香りが少女を覚醒させる。フードとストールによって人相こそ窺えないものの、隙間から覗く濡れ羽色の髪の毛を見ればそれが誰なのかは容易に分かった。少女はふにゃりと相好を崩してただ一言、「おにいさん」と呟こうとするも、弱った喉からは掠れた空気しか出ない。
影──青年はしかし発声されなかった一言を聞き届けたのか観念したようにフードを外して、首を折り開封した小瓶を口元に運ぶと、少女は迷いなく口を開いた。
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雷スライム、あるいは子供の落書きのような生き物に圧し掛かられ、目を白黒させている青年に歩み寄る小さな影。
「行商のオニーサマ…お久しぶりですわね。」
「あァ…?チビ姉妹の妹の方か、あんま変わってねーな。」
「…勝手に助かったお前の姉は最近どうだよ、おかげでこっちは一千万の皮算用だ。」
「チッ、猿芝居を……レディに随分と失礼な物言いでしてよ?私の機嫌が良くなければ慰謝料をたんまりと請求していた所ですの。」
少女はしたり顔で懐から取り出した年季の入った小切手を、膝をつき後ろ手に縛られた青年の頬にぺちぺちと叩きつける。
「一千万モラ用意できたらなんでも……言質は取ってありますの♪」
「い゙っ…!小娘が、恩を仇で返しやがって…!」
「……はぁ、分かったよ。ガキ相手だからって迂闊に口約束した俺が悪い、飲んでやる。」
「!」
「それじゃあ私のワンちゃんになった記念に、この首輪を着けてあげますの……特注品ですのよ。」
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「ドリー?」
「!コホン、少し考え事をしてましたの。」
「それで、コレとの関係でしたわね?」
「『犬と飼い主』ですわ。」
なお話中に一度青年が「静かに」のハンドサインと共に立ち去ろうとしていたが、チョーカーに繋がれた腰まで続く鎖を引かれて転け、脛に追撃を入れられていた。
「ちくしょう…なんでジンニーには報酬があって俺には無いんだ…ガキだからってあんな約束するんじゃなかった…」
今回のオリ主ビジュ:白朮並の露出×リオセスリと同系のファッション
ドリー姉の症状は肺アスペルギスを当てはめたためこの世界線ではキノコンのせいになってます
フォンテーヌ実装頃から書き始めてこれです 終わってる