第01話 アバン ー緋色の戦士ー
キミたちに、新たなる物語へのカギを託そう。
これは。
キミたちの住む世界とは似て非なる、しかし、同じ心を確かに抱く人々の物語。
そして。
奇跡のような必然から始まる……新たなる勇者の伝説!
その始まりへ続く扉を開くのは、キミたち自身。
その手に握るカギを使って、さぁ、今こそ解き放とう!!
いつか見た、あるいは初めての……勇気の英雄譚を!
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少年は、怒りにその身を焦がしていた。
「だ、め……逃げ、て…………」
「おとうと、く、ん……」
「お、にい……ちゃん……」
黒銀の戦士。灰緑の魔女。金白の光姫。
それぞれ趣の異なる神秘的な衣装をまとう少女たちが、目の前で異形の触手に捕われ、敗北に沈むさまを刻まれて。
少年は、怒りにその身を焼き尽くしていた。
「ド~レ~イ~~~~~~~ン!!」
「「「きゃあああ!!」」」
「やめろぉぉぉーーーー!!」
平和な日常の裏で繰り広げられていた暗闘。
愛と希望に満ち溢れていたはずの世界に隠されていた、真実を目の当たりにして。
少年は、怒りにその身のすべてをくべていた。
(動け! 動け! 動け動け動け! 俺が、俺がみんなを守るんだろっ?! お前はそう決めて生きてきただろう!
何よりも、今。
守るべき者を守れず、ただ倒れ伏すだけの無力な自分が腹立たしく、許せないがために。
(足りない、足りない! 俺には何もかもが足りない!!)
今の少年に、目の前の絶望を押し返すほどの力はない。
あるのはただ、胸の内を焼き尽くさんとする炎のような怒りだけ。
世界の裏側は、ただの少年が立っていい舞台ではなく。
本当の現実は、覚悟だけで立ち向かえるような場所ではなかった。
(俺は、俺は絶対に認めない! こんな現実! こんな絶望!)
だとしても。
少年は決して諦めない。
今この瞬間にも彼の魂は熱く燃え盛り、すべてを覆そうと命の火を滾らせる。
(力だ! 力が……欲しい!!)
怒りだ。
怒りは、闘争心の源となる。
魂の叫びが倒れ伏すその身を突き動かし、少年を再び立ち上がらせる。
(目の前の絶望を打ち払い、平和な日常を取り戻す……力が欲しい!!!)
祈りだ。
祈りは、前へと進む推進剤となり……そして時に、奇跡を呼ぶ。
少年が右手に握りこんだ
――魂の赴くまま、叫ぶ。
「俺が! みんなの日常を、守るんだぁあああーーーーーーーっっ!!」
瞬間。
ピワァーーーーーーーーオッ!!
甲高い音とともに、紫の光が少年を包む。
その光はすぐさま真昼の太陽のごとき白光へと変わり、幾筋もの炎の帯をまとって卵のような楕円を象る。
「ブレイブ・オン!」
輝きの中から響く声。
決意をまとった少年の叫び!
「ドレッ!?」
卵が砕ける。
異形は、それを一目見て、自らをおびやかす脅威だと認識した。
「………」
光の中から現れたのは、緋色の戦士。
炎を焼きつけたかのような紅蓮のスーツに、燦々たる太陽のごとき赤熱の胸当て。
大きな羽飾りを左右に取り付けたヘルムは、今まさに羽ばたかんとする不死鳥めいて。
左の肩当てから延びる真紅のマントは、裏地に
エメラルドグリーンのバイザーから覗く瞳は、やはり怒りに燃えていた。
「……すぅ」
魂が示す
そして、まるでそうすることが当然だとでもいうように、腹に込めた力をすべて使い……その名を叫ぶ!
「
大気を震わす轟音。輝く肉体。
天高く掲げた右手首に煌めく紫の秘石が、少年の叫びに呼応して力強く神秘的な光を放つ。
それが――愛と希望と絶望の世界に、勇者が上げた産声だった。
次回、OP!
※本日の投稿は5分おき、第04話まで投稿予定です。