魔法勇者ダイデンダー ーDDDー   作:夏目八尋

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90年代の空気を今、令和に注ぎ込む!


第1章 ダイデンダー、大誕!
第01話 アバン ー勇者の産声ー


 

 『ありきたりな日常』

 

 

 毎日ほんの少しずつ変わっているのに、気づいたり、気づかないフリで過ごす日々。

 

 大切な誰かに支えられながら、大切な誰かを支えていく日々。

 

 びっくりするような数々のイベントに彩られながらも、結局は大体こんな感じだったってまとめられちゃうような日々。

 

 当たり前すぎてほとんどの人が気にも留めない、そんな日々。

 

 

 でも。

 

 それこそが俺――大殿照也(だいでんでるや)にとって大好きで、大切なモノだ。

 

 

 

 だからもしも。

 

 そんな日常を守れる何か“特別な存在”になれるのなら。

 

 

 俺は。

 

 俺の持ち得るすべてをもって、その何かになりたいと思う。

 

 

 俺の、大好きな日常には。

 その日常を形作るための、掛け替えのない大切なものがたくさん……本当にたくさん、あるのだから。

 

 

 今、この手の中にある平和で大切な日々。

 それを、他でもない自分自身の手で守りたい。

 

 それが俺の願いで、俺の望みだった。

 

 

 

 でも……。

 

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 

 

 その日。

 俺は、俺の憧れていた存在と出会った。

 

 

「だ、め……逃げ、て…………」

「おとうと、く、ん……」

「お、にい……ちゃん……」

 

 

 黒銀の戦士。灰緑の魔女。金白の光姫。

 

 それらはみんな、平和な日常を守る“特別な誰か”たちだった。

 

 

「ド~レ~イ~~~~~~~ン!!」

「「「きゃあああ!!」」」

「やめろぉぉぉーーーー!!」

 

 

 けれど。

 その“特別な誰か”たちは、そのために命を賭して戦っていた。

 

 俺の大好きな日常を破壊しようとする、常識外の化け物と。

 

 

(動け! 動け! 動け動け動け! 俺が、俺がみんなを守るんだろっ?! お前はそう決めて生きてきただろう! 今ここで動かなきゃ、お前が大切にしてきたすべてを失うことになるんだぞ!? 大殿照也(だいでんでるや)!!!)

 

 化け物相手にあっさりとボロ雑巾のようにされた俺は、あまりに無力だった。

 覚悟も、これまでの訓練も、常識外の化け物相手じゃ紙きれ同然だった。

 

(足りない、足りない! 俺には何もかもが足りない!!)

 

 今の俺に出来るのは、血が上った頭で渇望するだけ。

 胸を焼き尽くさんとするような、炎のような怒りをただ、悪戯に燃やし続けるだけ。

 

(俺は、俺は絶対に認めない! こんな現実! こんな絶望!)

 

 それでも。

 諦めきれなかった。

 

 

(力だ! 力が……欲しい!!)

 

 怒りと渇望。

 

 望みを叶えるだけの奇跡を求めて、俺は魂を震わせる。

 

 

(力をくれ! 目の前の絶望を打ち払い、平和な日常を取り戻すだけの、力を……!)

 

 祈りを捧げる。

 

 神でも仏でもなく、今なお燃え続ける、自分自身の心に向かって。

 

 

「俺が! みんなの日常を、守るんだぁあああーーーーーーーっっ!!」

 

 

 怒りが、渇望が、祈りが。

 腹の底から魂を搾り出すような雄叫びを生んだ。

 

 

 瞬間。

 

 

 ピワァーーーーーーーーーオッ!!

 

 

 甲高い音を伴って。

 

 

「!?」

 

 

 奇跡が、俺を包み込んだ。

 

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 

「ブレイブ・オン!」

 

 

 そうして。

 少年は変わる。

 

 魂の赴くまま、言うべき呪文を口にして。

 

 

「魔法勇者(マジカルブレイブ)! ダイ・デン・ダーーーーーッッ!!」

 

 

 憧れと出会ったその日に、彼も。

 大切な日常を守る、“特別な何か”へと、変身を遂げる。

 

 

「お前に引導をくれてやる!」

 

 

 それが、この世界においてどれほど“あり得ないこと”なのか、知らないままに。

 

 

 

 少年――大殿照也の願いは確かに叶えられた。

 

 愛と希望、夢と絶望の世界に、勇気をもたらす異端の戦士が産声を上げた。

 

 宇宙が、叫びを上げた。




次回、OP!

※本日の投稿は5分おき、第04話まで投稿予定です。
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