第01話 アバン ー勇者の産声ー
『ありきたりな日常』
毎日ほんの少しずつ変わっているのに、気づいたり、気づかないフリで過ごす日々。
大切な誰かに支えられながら、大切な誰かを支えていく日々。
びっくりするような数々のイベントに彩られながらも、結局は大体こんな感じだったってまとめられちゃうような日々。
当たり前すぎてほとんどの人が気にも留めない、そんな日々。
でも。
それこそが俺――
だからもしも。
そんな日常を守れる何か“特別な存在”になれるのなら。
俺は。
俺の持ち得るすべてをもって、その何かになりたいと思う。
俺の、大好きな日常には。
その日常を形作るための、掛け替えのない大切なものがたくさん……本当にたくさん、あるのだから。
今、この手の中にある平和で大切な日々。
それを、他でもない自分自身の手で守りたい。
それが俺の願いで、俺の望みだった。
でも……。
・
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その日。
俺は、俺の憧れていた存在と出会った。
「だ、め……逃げ、て…………」
「おとうと、く、ん……」
「お、にい……ちゃん……」
黒銀の戦士。灰緑の魔女。金白の光姫。
それらはみんな、平和な日常を守る“特別な誰か”たちだった。
「ド~レ~イ~~~~~~~ン!!」
「「「きゃあああ!!」」」
「やめろぉぉぉーーーー!!」
けれど。
その“特別な誰か”たちは、そのために命を賭して戦っていた。
俺の大好きな日常を破壊しようとする、常識外の化け物と。
(動け! 動け! 動け動け動け! 俺が、俺がみんなを守るんだろっ?! お前はそう決めて生きてきただろう! 今ここで動かなきゃ、お前が大切にしてきたすべてを失うことになるんだぞ!?
化け物相手にあっさりとボロ雑巾のようにされた俺は、あまりに無力だった。
覚悟も、これまでの訓練も、常識外の化け物相手じゃ紙きれ同然だった。
(足りない、足りない! 俺には何もかもが足りない!!)
今の俺に出来るのは、血が上った頭で渇望するだけ。
胸を焼き尽くさんとするような、炎のような怒りをただ、悪戯に燃やし続けるだけ。
(俺は、俺は絶対に認めない! こんな現実! こんな絶望!)
それでも。
諦めきれなかった。
(力だ! 力が……欲しい!!)
怒りと渇望。
望みを叶えるだけの奇跡を求めて、俺は魂を震わせる。
(力をくれ! 目の前の絶望を打ち払い、平和な日常を取り戻すだけの、力を……!)
祈りを捧げる。
神でも仏でもなく、今なお燃え続ける、自分自身の心に向かって。
「俺が! みんなの日常を、守るんだぁあああーーーーーーーっっ!!」
怒りが、渇望が、祈りが。
腹の底から魂を搾り出すような雄叫びを生んだ。
瞬間。
ピワァーーーーーーーーーオッ!!
甲高い音を伴って。
「!?」
奇跡が、俺を包み込んだ。
・
・
・
「ブレイブ・オン!」
そうして。
少年は変わる。
魂の赴くまま、言うべき呪文を口にして。
「
憧れと出会ったその日に、彼も。
大切な日常を守る、“特別な何か”へと、変身を遂げる。
「お前に引導をくれてやる!」
それが、この世界においてどれほど“あり得ないこと”なのか、知らないままに。
少年――大殿照也の願いは確かに叶えられた。
愛と希望、夢と絶望の世界に、勇気をもたらす異端の戦士が産声を上げた。
宇宙が、叫びを上げた。
次回、OP!
※本日の投稿は5分おき、第04話まで投稿予定です。