魔法勇者ダイデンダー ーDDDー   作:夏目八尋

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90年代の空気を今、令和に注ぎ込む!


第1章 ダイデンダー、大誕!
第01話 アバン ー緋色の戦士ー


 

 キミたちに、新たなる物語へのカギを託そう。

 

 これは。

 キミたちの住む世界とは似て非なる、しかし、同じ心を確かに抱く人々の物語。

 

 そして。

 奇跡のような必然から始まる……新たなる勇者の伝説!

 

 

 その始まりへ続く扉を開くのは、キミたち自身。

 その手に握るカギを使って、さぁ、今こそ解き放とう!!

 

 いつか見た、あるいは初めての……勇気の英雄譚を!

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 少年は、怒りにその身を焦がしていた。

 

「だ、め……逃げ、て…………」

「おとうと、く、ん……」

「お、にい……ちゃん……」

 

 黒銀の戦士。灰緑の魔女。金白の光姫。

 それぞれ趣の異なる神秘的な衣装をまとう少女たちが、目の前で異形の触手に捕われ、敗北に沈むさまを刻まれて。

 

 

 少年は、怒りにその身を焼き尽くしていた。

 

「ド~レ~イ~~~~~~~ン!!」

「「「きゃあああ!!」」」

「やめろぉぉぉーーーー!!」

 

 平和な日常の裏で繰り広げられていた暗闘。

 愛と希望に満ち溢れていたはずの世界に隠されていた、真実を目の当たりにして。

 

 

 少年は、怒りにその身のすべてをくべていた。

 

(動け! 動け! 動け動け動け! 俺が、俺がみんなを守るんだろっ?! お前はそう決めて生きてきただろう! 大殿照也(だいでんでるや)!!)

 

 何よりも、今。

 守るべき者を守れず、ただ倒れ伏すだけの無力な自分が腹立たしく、許せないがために。

 

 

(足りない、足りない! 俺には何もかもが足りない!!)

 

 今の少年に、目の前の絶望を押し返すほどの力はない。

 あるのはただ、胸の内を焼き尽くさんとする炎のような怒りだけ。

 

 世界の裏側は、ただの少年が立っていい舞台ではなく。

 本当の現実は、覚悟だけで立ち向かえるような場所ではなかった。

 

 

(俺は、俺は絶対に認めない! こんな現実! こんな絶望!)

 

 だとしても。

 少年は決して諦めない。

 

 今この瞬間にも彼の魂は熱く燃え盛り、すべてを覆そうと命の火を滾らせる。

 

 

(力だ! 力が……欲しい!!)

 

 怒りだ。

 怒りは、闘争心の源となる。

 

 魂の叫びが倒れ伏すその身を突き動かし、少年を再び立ち上がらせる。

 

 

(目の前の絶望を打ち払い、平和な日常を取り戻す……力が欲しい!!!)

 

 祈りだ。

 祈りは、前へと進む推進剤となり……そして時に、奇跡を呼ぶ。

 

 

 少年が右手に握りこんだ宝石(ジュエル)と、その手首に巻き付く腕時計(ガジェット)が、彼の想いに応えたかのように煌めいた。

 

 ――魂の赴くまま、叫ぶ。

 

 

「俺が! みんなの日常を、守るんだぁあああーーーーーーーっっ!!」

 

 

 瞬間。

 

 

 ピワァーーーーーーーーオッ!!

 

 

 甲高い音とともに、紫の光が少年を包む。

 その光はすぐさま真昼の太陽のごとき白光へと変わり、幾筋もの炎の帯をまとって卵のような楕円を象る。

 

 

「ブレイブ・オン!」

 

 

 輝きの中から響く声。

 決意をまとった少年の叫び!

 

 

「ドレッ!?」

 

 卵が砕ける。

 異形は、それを一目見て、自らをおびやかす脅威だと認識した。

 

 

「………」

 

 光の中から現れたのは、緋色の戦士。

 炎を焼きつけたかのような紅蓮のスーツに、燦々たる太陽のごとき赤熱の胸当て。

 大きな羽飾りを左右に取り付けたヘルムは、今まさに羽ばたかんとする不死鳥めいて。

 左の肩当てから延びる真紅のマントは、裏地に宇宙(ソラ)の星々を包み込む。

 

 エメラルドグリーンのバイザーから覗く瞳は、やはり怒りに燃えていた。

 

 

「……すぅ」

 

 魂が示す(しるべ)に従い、少年は戦いの構えを取る。

 そして、まるでそうすることが当然だとでもいうように、腹に込めた力をすべて使い……その名を叫ぶ!

 

 

魔法勇者(マジカルブレイブ)! ダイ・デン・ダーーーーーッッ!!」

 

 

 大気を震わす轟音。輝く肉体。

 天高く掲げた右手首に煌めく紫の秘石が、少年の叫びに呼応して力強く神秘的な光を放つ。

 

 それが――愛と希望と絶望の世界に、勇者が上げた産声だった。




次回、OP!

※本日の投稿は5分おき、第04話まで投稿予定です。
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