魔法勇者ダイデンダー ーDDDー   作:夏目八尋

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第24話 Cパート ー動き出す闇ー

 

 果たしてそこは、何処にあるのか。

 仄暗い闇が支配する、どこか神殿めいた建物の中。

 

 微かな月明かりに似た光が、そこに陰影を描いている。

 

 

「……計画は順調か?」

 

 一本の柱の陰からぬるりと人影がひとつ現れ、言葉を放つ。

 

「地球の魔女。思ったよりもやるようだな?」

 

 それは誰かへの問いかけ。

 その問いかけに応えるように、別の柱の陰から人影が現れた。

 

 

「ヒョッヒョッヒョッ。そのようであるな。よもやよもや、我が輩のアッメ~~~イジングな試験体が、ああもあっさり2体とも、倒されるとは思わなんだ」

 

 映し出される影は、長い指をワキワキと動かしながら、楽しげに笑う。

 

「これは次の実験が、ひっじょ~~~うに楽しみであるっ!」

「……ふんっ」

 

 くねくねと身を揺らす影に、最初の陰は呆れたように背を向けた。

 

 

「オレが行く! オレにやらせろっ!!」

 

 天井側から、大きな影が飛び降りた。

 

 ズシンッ!

 

 着地とともに大地を揺らし、建物を軋ませて。

 

「逸るな」

「逸るさっ! オレの魂がそう叫んでいる!」

 

 最初の影に窘められても、大きな影は引かなかった。

 

 

「おやおや。皆様もうお揃いで、これはワタクシ、遅刻してしまいましたか」

 

 最後に現れた影は、縦に長いピエロのようなシルエットをしていた。

 

「遅いぞ“死神”」

「申し訳ございません“騎士”殿。少々個人的な用事がありまして」

「なんと、個人的な用事を優先してよかったのであるか? だったら我が輩、こんな会議になど参加せず、実験をしていたかったであるぞ!?」

「“博士”はいつもそればっかりだな? 実験なんかより体動かそうぜ!」

「黙らっしゃい“将軍”! 我が輩の崇高な知恵の前には、キサマの筋肉なぞ最高の素材でしかないのである!」

 

 やいのやいのと騒ぎ出す影たち。

 最初の影はそれを静かに見守っていたが、埒が明かないと思ったところで、腰に佩いた剣を抜き放ち。

 

「静かにしろ」

 

 その場から動かず、振り下ろす。

 

 カッ!!!

 

「「「!?!?!?」」」

 

 迸る閃光が、すべての影を照らした。

 

 

 上裸の巨体に獰猛な笑みを浮かべる、武人が如き“将軍”。

 

 モノトーンの道化衣装を身に纏う、仮面の“死神”。

 

 白衣の猫背からいくつもの機械腕を伸ばす、丸眼鏡の“博士”。

 

 そして――。

 

「……それでいい」

 

 ――白銀の鎧を身に纏う、褐色の“騎士”。

 

 

「我らが“王”からの命を伝える」

 

 騎士の言葉に、他の3人が一斉に目の色を変える。

 

「おいおい! 命があるなら話が違うぞ!」

「ヒョッヒョッヒョッ! どうやら状況が動くようであるな?」

「これはこれは、また楽しいことになりそうですね?」

 

 王命。

 これはこの場の全員が待ち望んでいたものだった。

 

 

「……“博士”。地球へ直接出向いての実験が承認された」

「ヒョッ!!!」

「他の者もそれに同行し、実験の成功に寄与せよとの命だ」

「おおっ! オレたちも出ていいのか! さすがは王だっ!」

 

 伝えられた王命に、誰もが高揚を隠せない。

 

「いよいよ始まるか……我々の新たなる“侵略”が」

 

 冷静を装う騎士もまた、震える己のこぶしを強く握っていた。

 

 

「ああ、でしたらひとつ、耳にお入れしたいことが」

「なんだ、“死神”」

 

 縦に長い体を折り曲げて、死神が言う。

 

「どうやらあちら、ワタクシたちのことを魂喰らい“ソウルイーター”と呼んでいるとか」

「ヒョヒョッ。これはまた的確に我が輩たちを理解した名付けであるな?」

「ええ、ええ、ワタクシもそう思います。ですので、もしも原住民と出会うことがあれば、それをそのまま名乗ればいかがかと思うワケです」

「ほぅ、そりゃまた面白そうだなっ!」

「……好きにすればいい」

「……はぁい。好きにしますね♪」

 

 全員の言質を取って、体を起こした死神が宣言した。

 

 

「ワタクシたちはこれより“ソウルイーター”を名乗り、地球侵略へと参りましょう!」

 

 

 宣言と同時。

 彼らから漏れ出る命の力(プラーナ)が、弾けた。

 




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