髪染め肌焼きお化粧はもちろん、アクセサリーやちょっとした制服の改造すらも許容するほどに、生徒の自己表現を受け入れる大らかさがある。
反面、勉学においてはきっちり厳しく、赤点を取ると鬼のように課題が出されるが。
生徒会の裁量についても同じで、かなりの自由が与えられている。
生徒会室という専用部屋があるのはもちろん、各種学校のイベントを主導し、派手に楽しくお祭りを盛り上げられるようにと、あれこれ企画する権限も有している。
そして、第60代たまな学園高校生徒会執行部生徒会長――
「ほらほら、見て見て弟くん! 新作ガジェット~~♪」
「うおおおおお! 凄すぎる!!!」
ガジェット同好会なる自分と
「今回のは腕時計型! ほら、このスイッチを押すと……これが起動して」
「うわっ! VRみたいにヴゥンッ、って数字出てきた!」
そのガジェット同好会の活動も、彼女が趣味で行なっているガジェット制作の完成品や製作途中の品を、同じくガジェット好きの愛する弟に持ってきて見せるという内容のため、まごうことなき職権乱用なのである。
『不純異性交遊だけはダメですわよ? 不純異性交遊だけは、ダメですわよ? フリではありませんわよ? マジでフリではありませんわよっ!?!?』
とは、彼女たちをよく知る、生徒会会計を務める金髪縦ロールのお嬢様の談だ。
つまるところ、容姿端麗文武両道才色兼備の
「毎度毎度の圧倒的クオリティ……
「えへへ~。弟くんが喜んでくれて、お姉ちゃん嬉しい! ぎゅ~!」
驚くほどに、弟(弟ではない)
※ ※ ※
「そのガジェットねぇ、弟くんにプレゼント~」
「えっ、いいのか!?」
「いいよいいよ~。弟くんがわたしのあげたものを身に着けてくれるのが、嬉しいから~」
「俺の私服だいたいが
「うぇへへ~♪」
溺愛している
ふわふわマシュマロボディとも称される女性的で肉感的な体も、今はスライムばりにぷにゃっと伸びている。
「へへっ」
対してプレゼントを受け取った
ある意味ではこの二人も、似た者姉弟と言えなくもない。
「またお礼しないとな。
おむつ替えはもちろん、寝かしつけやお散歩、幼少の頃から
「あっ、だったらわたし、弟くんのご飯食べたーい」
「もちろん。その時は腕によりをかけて、
「やったー!! 弟くん大好きー!」
「うわっ!?」
飛びついて、抱きしめて、頬ずりをする。
このくらいは日常茶飯事。むしろ一昔前に比べてこれでも大人しい方である。
ちょっと前まではぺろぺろしたりあむあむしたりもデフォルトであった。
今の
「弟くん弟くん、だーい好きー! むぎゅむぎゅー!」
「むぐぐっ、
抑えているのだ。
※ ※ ※
「またねー、弟くーん!」
「またな、
その後、
「………」
キーンコーンカーンコーン……。
あれよあれよという間に、放課後になった。
「春は不審者が出やすい季節ですからね。気をつけて帰るんですよー!」
教師のありがたい忠告を最後に、1-Bの生徒たちは思い思いに動き出す。
自分の所属する部活動へと向かう者。
塾や習い事へと向かう者。
さっさと帰宅してしまう者。
教室に居残ってしゃべり続けている者。
「……さてっ、帰るか!」
みなが放課後の日常を過ごす中、
現在、実質的に
海外出張が続く両親から託された家の管理と義妹の世話こそが、彼のやるべきことだった。
「……結局、聞けずじまいだったな」
最後のチャンスと
・
・
・
「よしっ。買い物はこれで全部だな」
帰り道の途中でスーパーに立ち寄り、諸々の買い物を済ませた時には、空は茜に染まっていた。
「……近道、するか」
早めに帰って晩の用意をし始めるべきかと考える彼に、公園への道が目に入る。
敷地が広大な割に明かりが少なく、夜になると真っ暗になって危ない場所だが、今の時間なら大丈夫だろう。
そう考えた
「この大池の真ん中を突っ切るルートが、早いんだよなっと!」
たまな自然公園。
その中心に位置する大池の真ん中を貫く桟橋の道を、
そろそろ涼しさが恋しくなってくる季節だというのに、今日の公園に人気はなく。
じっとりと肌に張り付くような不快な感覚に、知らず
「なんか、雰囲気悪いな……ん?」
嫌な気配に眉をひそめながらも、とっとと通り過ぎようとしていた……その矢先。
ちょうど橋の向こう側、対岸に佇む人影を見つける。
「不審者? ……いや、あれは……えっ?」
目の焦点を合わせて捉えた人影の正体に、
「あれは、
向かう先にいた
ドシャァァァァーーー!!!
突如として池の水面が盛り上がり、巨大な何かが姿を現す!
「え?」
「ば、化け物!!」
「なっ、どうしてあなたがここに!?」
突然のことに身構える
だが、そこから次の行動に繋げるより先に、異形の怪物が動き出す。
「ドーレーイーーーーーーーーーン!!!」
イソギンチャクのような体に一つ目の怪物は、大量の触手を生やして一斉にそれを伸ばすと、近くにいた
「う、うわぁぁぁーーー!!」
とっさの出来事で反応できず、買い物袋を落とし、ただ見ているしかできない
(な、なんだこれ! 何が起こって、俺、ここで死ぬのか……!?)
突然の終わり。唐突で、理不尽な終焉に、カッと
無情に迫る触手は
シュピピピッ! ズバッ!!
「……へ?」
ボチャチャチャチャ!
――彼の見ている目の前で、輪切りにされて池へと落ちていく。
「……巻き込んだ。やらかしたわ」
「え?」
声がしたのは、桟橋を支える高い柱の上。
「……えっ?」
先ほど見た制服姿とは異なる、黒と銀を基調とした、肌に貼りつくスマートで神秘的な衣装を身にまとい。
その手に大きな、少女の身の丈を超す大鎌を持ち、凛とした佇まいで身構える……戦士。
「
「………」
(ダダダ、ダダダ、ダッダッダー!)←アイキャッチ
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次回からBパート。投稿は翌20時から。1日1話ペースで進めさせていただきたく思います。
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それではまた、物語の続きまで……ブレイブ・オン!