遊戯王DMT―転生したら城之内だった件― 作:Laginera
遊戯vs城之内の決勝戦は、遊戯のあらゆる攻撃に耐えきった城之内の勝利に終わった。
「そんな…遊戯、遊戯!!」
杏子は泣きながら遊戯の元に近づいた。遊戯の勝利を信じていた杏子にとっては受け入れがたい結果だった。
「城之内…。アンタは…」
舞は未だに信じられずにいた。持っているカード、プレイングスキルの全てが上回る遊戯を城之内が倒したことを信じれなかった。
(…アンタの恐ろしさは運の良さでも、テクニックでもない…。そのタフさって奴ね)
城之内の自分には無い強さを舞は認めていた。
(バカな…! 遊戯が城之内に負けただと…!?)
海馬もまた、この現実を受け止められずにいた。
己が信じる力で倒そうとしていた宿命のライバルが、目にも留めていなかった馬の骨に負けたという事実が目の前に広がっている…。
(城之内…やつはカードゲームのイロハも知らぬ素人だったはず…。それが短期間で遊戯に勝てる程に成長できるというのか…!? あのデュエル…ただ運が良かったという事実では片付けられん…! っく…城之内…!)
過去に多くのデュエリストと対戦し、頂点にいた海馬でもそこまで成長スピードが速いデュエリストは見た事が無かった。大会にでるほとんどのデュエリストはデッキをブラッシュアップさせ、実力を磨いた「完成」されたデュエリストだからだ。
(…この俺をどこまで虚仮にするつもりだ…!!)
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「コングラッチュレーション! お見事です城之内ボーイ!」
ペガサスが玉座から降りて城之内を称賛する。
「私の予想を超え、この決闘王国を勝ち抜いた実力…。見事と言えましょう。あなたにはこの王国の支配者である私と戦う権利を与えまショー!」
ペガサスから3時間後にデュエルを始めるのでそれまで自由時間とする趣旨を伝えられた。
そして本田と獏良が合流し、ペガサス城の地下に幽閉されていたモクバを救出した事を伝えられた。
「しかし、城之内が遊戯を倒すなんて信じらんねーぜ。一生分の運を使い切っちまったんじゃねーのか?」
「本田君。城之内君は実力でオレを倒したんだ。運と言う言葉だけでは片付けれない」
「お、おう」
遊戯の強めの言葉に本田は押し黙る。
「だけど、これで城之内君はペガサスと戦うってことだよね…? 彼の実力は未知数だ。どんなカードを使って来るのかすらわからない」
獏良の言う通りだった。原作ではペガサスと海馬のデュエルがあり、そこでペガサスが自分の為に作ったデッキ【トゥーン】を使うのがわかる。全ての攻撃を無効にして一方的に攻め立ててくる。さらにペガサスの持つ千年アイテム【千年眼】によって相手の手札・デッキを完全に透視するので相手の戦術をメタることが出来る。
ペガサスを倒すなら、【千年眼】に対抗する術がなければほぼ攻略不可能だろう。
(オレは原作を読んでいるからある程度ペガサスの手はわかる。だが〈千年眼〉だけはどうにもならない…。一体どうすりゃ)
「城之内君」
「遊戯?」
「折り入って頼みがある。少し時間をくれないか?」
「ああ」
遊戯と城之内は2人で部屋の中で話し合った。
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―3時間後。
デュエルフィールドに待つペガサス。
そこに城之内と遊戯、杏子、本田、獏良。そして最後のデュエルを見届けるため舞が現れる。
「城之内ボーイ。参加資格のカードを提示してください」
城之内は遊戯から借りた〈王の右手の栄光〉と〈王の左手の栄光〉を提示する。
「その参加資格〈王の右手の栄光〉がどうして空白になっているかユーにはわかりますか?」
「さあな。印刷ミスってわけじゃねえ。オレの顔でも入れてくれるってか?」
「フフフ…正解デース」
ペガサスは手元に〈魂の牢獄〉と書かれた海馬モクバのカードを提示する。
「モクバ君…!」
「遊戯のじーさんがビデオカメラに封印されたみてーにカードに封印されているのか!?」
「ユー達には到底理解できない領域ですが、千年眼には相手の魂を封じる力があるのデース! 城之内ボーイが負けた場合、そのカードに魂が封印されるのデース。 遊戯ボーイ。ユーはわかるでしょう?」
「…ペガサス」
千年パズルを手にした遊戯は、内部に存在する闇の力の存在を感じ震える。
「城之内ボーイ…。もしよければ取引をしませんか?」
「取引だと?」
「今回の勝負、その莫大な賞金をユーに与える代わりに私がこの大会の覇者となるのデース。部下に調べてもらいましたが、ユーには重篤な病を持った妹がいるようですね。今回の大会、遊戯ボーイが負けた事で私がこれ以上デュエルする理由はなくなりました。仮にユーとデュエルしても、ミーとユーの力の差は歴然、アリが像を倒す位に不可能デース!」
ペガサスの取引は城之内にとってありがたい話だった。原作屈指のチートである〈トゥーン〉デッキを要するペガサスに勝つのは至難の業と言える。リスクを追わずに妹の静香を救う事が出来るという事だ。
「城之内…。こんなこと言うのもあれだが、ペガサスの話は悪くねーんじゃねえか? 結局の所、負けても妹さんを救う事ができるってことだろ?」
「そうよ、負けたら魂をカードに封印されるのよ!」
本田と杏子はペガサスの話の要所を抑えて飲むべきではと促す。
「城之内君…」
遊戯は心配そうな顔で城之内を見る。
(城之内…。もしこの話を飲むのなら…。私はアンタを軽蔑する…! 妹さんの話は他人の私が聞いても大変なのは理解できる。でもアンタはその代わりにデュエリストのプライドを捨てるっていうの…!?)
舞は静かに城之内の回答を待った。
「ペガサス。その話をオレにしてくれるのはありがてえ」
「では…」
「だが答えはノーだ」
城之内ははっきりと口にした。
「では、ユーは折角のチャンスをドブに捨てると…?」
「静香の事は大事だ。だがその話を受けたら遊戯のじいさんとモクバはどうなっちまうんだ?」
「城之内君…!」
「それは城之内ボーイには関係ない話デース。彼らは成るべくしてこうなったのですから」
「ペガサス。アンタはとびっきり優秀な男だ。デュエルの腕もビジネスの腕も相当なもんだろう。以前のオレなら…デュエリストでもなかったオレならありがたくその話を受け入れるだろうよ。だがオレもまがいなりにもこの大会で戦いここまで生き残ってきた。それにオレ1人じゃこの大会を勝ち進んでくることは出来なかった!」
城之内はこれまで戦ってきた。デュエリスト1人1人の顔を思い浮かべる。
「もうこのデュエルはオレ1人の問題じゃねえ。オレがこの島で戦い、そして去っていった奴ら全員の思いを背負ってここにいるんだ。オレがもしその話を受け入れたらそいつらを裏切ることになる! 決勝で正々堂々と戦った遊戯を裏切ることになる!!」
「城之内…!」
「それだけは出来ねえ。そんな不義理で得た金で静香を助けても何の意味はねえ。だからオレはアンタを倒し賞金を手にする!」
城之内はデッキを取り出し、ペガサスに立ち向かう。
「城之内ボーイ。強き者に屈しない、ジャパンでいうヤマトダマシイというものですか? 素晴らしい…。それほどの意気込みを持った魂を封印できるのなら…私もデュエルをする甲斐があるというもの…!」
「ペガサス。このデュエルにオレが勝ったらモクバと遊戯のじーさんの魂を解放しろ! オレが負けたらこの魂をどうしようが構いやしねえ…!」
「OK。それぐらいのレイズは認めましょう」
2人のデュエルが始まろうとしていた時、
「城之内君! これを!」
遊戯は千年パズルを城之内に渡す。
「もう、ボクは何も手助けできない。だけどせめてこれをお守りの代わりに」
「ああ、ありがたく借りるぜ」
城之内は千年パズルを首に下げてデュエルに挑んだ。
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「ここまでバカだと最早何も言えぬな…。だが、栄光は己の手で掴む。その部分はオレも理解でいる。その部分だけはな」
モクバをベッドに寝かせ、海馬は最後の戦いを影から見届けていた。
「馬の骨がどこまであがくか、その散り様を見届けてくれるわ」
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互いに手札を引き、デュエルが開始される。
「「デュエル!!」」
ペガサスの先行でデュエルがスタートする。
「私のターン、〈トゥーン・アリゲーター〉を守備表示で召喚しマース」
〈トゥーン・アリゲーター〉☆4 攻撃力800 守備力1600
ペガサス LP:2000
手札:5
デッキ:34
墓地:0
除外:0
融合デッキ:1
モンスターゾーン:
〈トゥーン・アリゲーター〉守備力1600
魔法・罠カード:無し
「あれがペガサスの使うモンスター?」
「まるでアメコミの漫画見てーなモンスターだぞ」
ペガサスの使うカードがあまりにも可愛げがあるので杏子たちは肩透かしを食らった。
「まだデュエルは始まったばかりだよ」
舞はペガサスの力を警戒していた。
「オレのターン、ドロー! オレは…〈暗黒騎士ガイア〉を召喚!!」
〈暗黒騎士ガイア〉☆7 攻撃力2300 守備力2100
「ホワッツ!? それは遊戯ボーイのカード!?」
城之内が遊戯の使用していたモンスターを出したのでペガサスは驚く。
「ペガサス!オレと…」
その瞬間、千年パズルが光り出す。
「オレと城之内君の力で貴様を倒すぜ!」
城之内に宿った名も無きファラオの魂がペガサスに立ち向かう。