遊戯王DMT―転生したら城之内だった件― 作:Laginera
―日本・エジプト大使館
神宮寺一派の和勝と彰次はエジプトからの使者、イシズ・イシュタールを呼び出していた。
彼女にマリク逮捕の協力及び、証言提示を依頼するためである。
「あなたがイシズ・イシュタールさんですね?」
「はい、あなたは…」
「私は自遊党所属、神宮寺和勝です。隣にいるのはオレの兄弟分、彰次です」
「よろしくお願いいたします。早速ですがイシズさん、あなたの弟マリク・イシュタールが日本でグールズを使い窃盗と密造カードで数億単位の被害を出しているのはもうご存じで?」
彰次は応接テーブルに資料を出す。
「あなたの弟がした犯罪は少年法をもってしても見過ごせません。すでに神宮寺一派の傘下企業も被害を受けています。あなたにとって大切な弟でも、我々にとってマリク・イシュタールは経済に影響を与える脅威です。すでにエジプト政府にはマリク・イシュタールを捕まえ次第、司法により裁きを受けてもらいます。それに関してはよろしいですか?」
「はい…。それがエジプトと日本の関係を悪化させなくて済むのであれば」
「つまり、日本の政府並びに司法への協力を承諾していただけるという事で」
「構いません」
「ほお…以外と薄情なんだな。てっきり姉弟の情でマリクの減刑を求めてくると思ったが」
煙草を吸って和勝は怪訝な表情を浮かべる。
「マリクがしたことは姉である私をもってしても許容できるものではありません。それに私がマリクを庇えば、エジプトの立場が危うくなります」
「筋は通っているな…。アンタは若いが聡明だと聞いているが嘘じゃあないらしい。だが、イシズさん、私は1つ聞きたい、どうしてあのバ…海馬瀬人に神のカードを渡した? あいつには出過ぎたカードだ」
「すべては運命に従ったまでです。墓守の宿命に終止符を打つ。その為には瀬人に〈オベリスクの巨神兵〉を渡す必要がありました」
「…まるでアンタには未来が見えているみたいだな」
イシズは首元につけている千年アイテム「千年タウク」を持って話を続ける。
「私は〈千年タウク〉によって少し先の未来が見えます。墓守の宿命を終わらせるにはこの時代に目覚めた名も無きファラオの魂に出会い、我々が受け継いできた秘密を伝えるしかないと…」
「未来ねえ…」
「確かに世の中には超能力って奴を持っている人間がいると聞いたことがある。透視とか、未来余地とか、あなたはそういう類で?」
「全てを理解してもらおうとは思いません。ですけどそれによって起こった責任は私が取るつもりです」
「責任ねえ…」
「…イシズさん。オレは嫌な予感がするんですよ。神のカードだの、千年アイテムだの。そんなものはオレには全部理解できやしないが」
和勝は煙草を灰皿に押し付けて火を消す。
「出過ぎた力は災いを呼ぶ。第2次世界大戦、権力をつけた日本の軍隊幹部が余計な戦いの火種を作り犠牲を増やしたように。アンタが海馬に神のカードを与えたのは、より大きな災いを呼ぶようで気になって仕方がない…! 犠牲者が出たら誰にも償えない。アンタにも、オレにも、あの海馬のガキにもな」
しかめっ面を浮かべながら和勝はイシズを厳しい視線を向ける。
「アンタはマリクと同罪だ。奴が娯楽で始めたバトルシティで既にグールズの被害者が出ている。成すことに犠牲が出ないとは限らないが、オレは出来れば犠牲はだしたくねえ。犠牲に先にあるのは悲しい結末だけだ。ましてや他所者のせいでなんてな。オレは、オレ達神宮寺一派はこの日本国民を守る義務を背負っている。何が有ろうと。国民無くして国は成り立たない」
「…ご立派な思想ですね」
「それが政治家・神宮寺和勝なんですよ。こいつは国を背負う男になる。オレはそれを支える男になる。この国の平穏と安寧の為にね」
「フッ…」
和勝は誇らしげに笑った。
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一方、城之内は遊戯と合流しパズルカードが指し示す場所に向かって行った。舞の用意した車に全員乗っていた。
「本田は結局留守番らしいな」
「うん、医者からもまだ打撲の傷が癒えてないから安静にした方がいいって」
「災難だったな。あのトンガリ頭も」
「羽蛾、お前も決勝戦進出か」
「ああ、城之内。本選でかちあったら王国でのリベンジを果たさせてもらうぜ」
「オレも全力で挑むぜ」
「ちょっと! アタシだって城之内にリベンジするんだからね!!」
そして話しているうちにその場所へとたどり着いた。
「よく来たなデュエリスト諸君! これよりバトルシティ本選トーナメントはこのバトルシップにて行う!!」
海馬コーポレーションが用意した飛行艇。
予算の出し惜しみをしない海馬ならではの手法である。
「遊戯、貴様との決着を着けさせてもらうぞ」
「海馬君‥‥」
ここまで揃ったデュエリストは海馬、遊戯、城之内、舞、インセクター羽蛾。残り3人まで枠が迫った。
「あ、遊戯君じゃないか!」
「獏良君!?」
「ボクもパズルカード集めたんだ。それとこの人は親友のナム君」
「どーもナムです! 獏良君とは偶々知り合って友達になったんだ!」
「よろしくねナム君!」
(マリクの演技力やべえ…。原作でもバレなかったけどデュエリストよりこいつ俳優向きだろ…)
口にしなかったがマリクが偽名を使って『ナム』を演じているのに城之内はまじかで見て驚いていた。
「よろしくね城之内君!」
「お、おうよろしくなナム!」
城之内はとりあえず挨拶だけした。
(ククク…ばれてないようだな)
(折角協力したんだからうまくやれよ)
マリクと協力している闇バクラはバレない様にアイコンタクトで意思を伝えあった。
「ふうん、これであと1人か…」
「ふっふっふー!」
そこでチャチャが不敵な笑みを浮かべる。
「最後の1人は、何と私です!」
チャチャはそう言って6枚のパズルカードを取り出した。
「チャチャ!? お前いつの間に集めてたんだよ!」
「えへへ~♪ 克也さんがいない時に少しづつ集めてたんですよ~」
「チャチャさんってデュエリストだったの!?」
杏子もチャチャの正体に驚く。
「まあいい。小娘が増えた所で何の問題も無い。乗れ! デュエリスト達よ! 決戦の舞台へ全速前進だ!!」
バトルシップに全員乗り、本選がスタートした。