遊戯王DMT―転生したら城之内だった件― 作:Laginera
海馬との騒動も終わり、遊戯のグループには獏良が加わっていた。ゲームについては遊戯レベルに詳しく、オカルトについても詳しい男子生徒。容姿もいいので女子生徒から良くモテる。
(前世が盗賊王なだけで業を背負うとか悲惨だよな)
「城之内君? 君もこれが気になるかい?」
獏良がそう言って遊戯の千年パズルと同様の千年アイテムの1つ、千年リングを見せる。
「いやまあ、遊戯の千年パズルに似てるから何か関連あるのかな~って思ってよ」
「そうだね。これは父がエジプトで購入したものだから」
「獏良君のもエジプト繋がりなんだね!」
何気ない会話が続くこの時間が楽しい。前世では友人と関わったことがあまりないので遊戯王の世界でこういう時間が愛おしく思った。
「城之内! アンタのターンだから早くカードを出しなさいよ!」
「ああっ。わかったよ」
城之内は杏子に急かされて〈岩窟魔人 オーガ・ロック〉を出した。
「魔法カード〈神の息吹〉を発動! 〈オーガ・ロック〉は風化して消滅! 私の勝ちね」
「また負けか…」
城之内はカードをまとめて席を立つ。
「城之内あんたやる気あるの?」
「ああ? オレはいつでも本気だぜ」
「その割にはいっつもおんなじカードばかりじゃない。少しはデッキの中身変えたらどうなの?」
「使い慣れているカードがいいんだ。余計なお世話だよ」
そう杏子に言って教室を出た。
(あんなバカ高いもんに簡単に金出せるかよ。まあ【真紅眼】が10万円する様な世界だから予想していたが…)
この世界のカード価格は攻撃力とレベル、そしてレアリティによって変動する。
他のカード屋でカードを見ていたが【コスモクイーン】が20万円、【ミノタウルス】ですら7000円するようなことにビックリした。
激レア魔法カードの〈死者蘇生〉や〈ブラック・ホール〉、〈サンダーボルト〉は10000円もする。
(攻撃力が1000ポイント超えただけで数千円するようなもんに金出したら生活できねーよ。【ダイアモンド・ドラゴン】を36枚持っている海馬とかイカれてやがる。そこまで持ってたらもう【ダイアモンド・ドラゴン】好きまであるぞ…)
パックを買っても入っているのは相性の悪い魔法カードや攻撃力の低いモンスターばかり。
〈あまのじゃくの呪い〉が当たったのはいいことかもしれないが。金を貯めるにはカード何て買ってられないし、弱ければ特に目立つことなく過ごせると思って
「城之内君」
「遊戯」
そこに遊戯が訪れる。良ければデッキを見せて欲しいと言われ城之内はデッキを渡した。
「何これ~!? 戦闘用のモンスターしか入ってないじゃないか!」
〈怒りの海王〉、〈破壊のゴーレム〉、〈岩窟魔人 オーガ・ロック〉としたバニラモンスターが紙束の様に入っている。ストレージで10円位のカード集めていたらそんなふうになったのは仕方ないだろう。パック買って集めていたらいつデッキができるかわからないもんじゃない。有名なセリフと共に遊戯は驚いていた。
「デュエルモンスターズはモンスターと魔法のコンビネーションが重要なんだ。良ければ今日デュエルモンスターズ全国大会の決勝戦があるから見に来なよ! 参考になるからさ!」
「おうわかった」
こうして放課後、家に帰った後、郵便受けに入っている封筒をカバンに入れて城之内は遊戯と共にデュエルモンスターズの全国大会を見る事になった。
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―遊戯宅
デュエルモンスターズの全国大会は虫野郎ことインセクター羽蛾とダイナソー竜崎の決勝戦が行われていた。ダイナソー竜崎の恐竜族モンスターをインセクター羽蛾が罠で封じ込め昆虫族モンスターと装備魔法カードのコンボで一層と言うあっけない幕引きで終わった。
決勝が終わった後、デュエルモンスターズの創造主・ペガサスから優勝トロフィーを渡された。
『優勝おめでとうゴザイマース! これからもデュエルモンスターズを愛してくださいネー!!』
ペガサスの挨拶で終わった後、今度は遊戯が家に届いたという小包を開ける。そこには懐かしのVHSのビデオテープとグローブ、そして2枚のデュエルに使用不可能なカードと星の欠片〈スターチップ〉が2個。
用途がわからないのでビデオを再生させるとそこには先ほどまでテレビに出演していたペガサスが映っていた。
『ハロー遊戯ボーイ! これからミーとデュエルをしてもらいマース!』
「バカな!ビデオ録画が会話してやがる!」
「遊戯! ビデオを消せ!」
慌ててリモコンを押した城之内だが
『ノー! このビデオは一度再生されると終わるまで止まりまセーン!』
「マシかよ…!」
この録画デュエルはどうやら止める事が出来ないようだった。
「良いだろう! 受けて立つぜ!!」
いつの間にかもう一人の遊戯と変わっていた遊戯はテレビ内のペガサスとデュエルを始める。制限時間は数十分あまり。
よくわからない属性相性と遊戯の出すカードを次々と当てるペガサスの力に遊戯は圧倒され、ライフが削れていくだけだった。
だが遊戯はサブリミナル効果によるトリックに気づき、切り札である〈ブラック・マジシャン〉をだして状況を覆す。これで遊戯にも逆転の眼が出たかもしれないと思われたが、ペガサスは〈幻想師ノーフェイス〉を場に出し状況を一変させる。
その後、遊戯の出した〈エルフの剣士〉を〈ブラック・マジシャン〉と同士討ちにさせ、遊戯は最後の逆転を〈デーモンの召喚〉に託したが、時間切れによりライフの差で上回ったペガサスの勝利となる。
そして遊戯は罰ゲームとして祖父である双六の魂をテレビに封印されてしまった。
『遊戯ボーイ! 彼を助けたければ私の主催するデュエルモンスターズの大会、【決闘王国(デュエリストキングダム)】に参加するのデース!』
「待っていろペガサス! 必ず貴様を倒しじいちゃんを助け出す!」
ヒロインよりもヒロインムーブしている双六を助けるべく遊戯は打倒ペガサスを誓った。
そして次に城之内の封筒を開け、入っていたビデオレターを見ていた。
『お兄ちゃん、久しぶりだね。静香です! 今日はお兄ちゃんに大事なことを伝えたくてビデオレターにしました』
「なんだよこの可愛い子は!」
「オレの妹だよ。川井静香、数年前にクソオヤジと別れたお袋に連れられて今は別の場所で暮らしている」
「城之内君の妹さん!?」
静香がこのビデオレターを送ったのは病気がひどくなりもうすぐ目が見えなくなること。自分の目が見えているうちに城之内にそのことを伝えたいこと、目が見えなくなる前に城之内に会いたいことを伝えビデオレターは終わった。
「昔から体が弱かったが…まさかここまでひどいとはな」
城之内の肉体に宿る妹への思いが自分の中に共感して溢れる。
「手術にはかなり金がかかるって聞いてるからな。…遊戯、悪いがオレは帰るぜ」
「城之内君!?」
「どこまでできるがわからねえが金の工面をしてみる。手術費用がそれくらいかかるのかもわからねえしな。お前は【決闘王国】で頑張れよ」
(しめた…! これで遊戯と別行動を取れる! ここで別れれば〈城之内死す〉の運命も変えれるかもしれねえ!!)
城之内は去ろうとしたが
「大丈夫だぜ城之内君! 妹さんを助ける方法はある!」
「えっ」
遊戯は2枚のカードを出す。それは同封されていた【決闘王国】への参加資格。
〈王の右手の栄光〉と〈王の左手の栄光〉。
〈王の左手の栄光〉には【莫大な賞金】と言う文字が書かれている。
「この大会を勝ち抜けば賞金が手に入る。そのお金で手術すれば妹さんが助かるかもしれないぜ!」
「そりゃ無理だぜ遊戯。その大会って遊戯や他のデュエルモンスターズの強豪が出るんだろう? オレじゃ勝ち抜くなんて無理だぜ」
「確かに、城之内じゃねえ。あまりも弱すぎるあんたじゃ初戦敗退が目に見えているわ」
「一生の運を使っても1度勝ち抜くのも無理かもな」
杏子と本田がボロクソに酷評する。だが遊戯は諦めずに城之内を説得する。
「城之内君、確かにこの大会には多くの強豪デュエリストが参加するだろう。だけど可能性はゼロじゃない! 海馬とのデュエル、ブルーアイズ三体の前でエクゾディアを揃えれたのは君や杏子の力…友情の力があってこそだった!」
「遊戯…」
(本田の名前も呼んでやれよ…)
「城之内君、君はまだ発展途上なだけだ。オレと力を合わせれば強くなって絶対に勝ち抜けることが出来る! 共に王国に行こう!」
「…わかったよ! 静香の為にオレも全力を尽くすぜ!」
「城之内君!!」
こうして城之内は折れる形で遊戯とスターチップ、デュエルグローブ、参加カードを半分にしてともに決闘王国に参加することになった。
物語の運命からは逆らえないようだ。
ペガサスの録画デュエルって停止ボタン押して停止できたのか謎。