遊戯王DMT―転生したら城之内だった件―   作:Laginera

53 / 55
第53話「決戦前夜、神からの贈り物」

予選を勝ち抜いた8人のデュエリストによるトーナメントが終了し、遊戯・城之内・チャチャ・海馬の4人が準決勝に向かう事になった。

 

闇バクラの影響で気を失った獏良は疲労の為に医務室で爆睡中。

海馬はデュエルが後、解析班に頼みラーのカードの解析を行っていた。そしてその内容を見て驚愕する。

 

(バカな…! オレにはこのカードの内容が理解できる…!)

 

ラーのテキストは神のカードを作ったペガサスでさえ解読できず、やむを得ずに石板に描かれた〈古代神官文字〉をそのまま書き記していた。

 

そしてその文字を見た瞬間、海馬は理解してしまった。〈ラー〉の持つ恐るべき能力を…。

 

(城之内とのデュエルでマリクは残る2つの能力を使わなかった。城之内如きに残る能力を使う必要がないと思っていたのか…。いや、奴は知らなかったのだ! 〈ラー〉を失ったアイツはまるで余裕がなかったのだからな。だがこれで合点がいく。

 最上級ランクの神の効果が生け贄に捧げたモンスターの合計で決まるだけなどお粗末すぎる! それならまだ〈オシリス〉が強い。…ククク。恐らく城之内も〈ラー〉の能力を把握できてないはず…。オレが奴を倒し、神2体を手中に収めれば…! オレの勝利は確実になる…! 遊戯、貴様を倒し、オレがデュエルキングの称号を手にする…!)

 

海馬は不敵な笑みを浮かべて、〈オベリスクの巨神兵〉を取り出す。

 

「城之内、貴様は所詮悪知恵と小細工が得意な凡人に過ぎん。神はそれ相応たる決闘者が持つべきなのだ‥!」

 

海馬の中で未来が描かれる、神を手中に収め頂点に立つ姿が。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

 

―城之内の客室

 

「…」

 

何度見ても〈ラー〉のテキストは理解できなかった。

そもそも〈ラー〉を扱えるのは千年アイテムを持つ人間か、神に選ばれた人間だけだ。

手にした所でどうしようも出来なかった。

 

(だが、オレが持っている事で他の面々は最大神を1体までしか使えない。神のカードは出せば無敵だが、その召喚には3体の生け贄が必要だ。それより前に手早く決着を着ける以外に勝つ方法はねえ。もっともここまで残った奴らはそう簡単に行くような奴らじゃないが…)

 

〈ラー〉をメインデッキとは別のケースにしまおうとしていた時、突如〈ラー〉のカードが光出した。

 

「くっ…!?」

 

城之内は光の中に吸い込まれていく。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

―

目の前の光が消えると、不思議な空間の中にいた。

 

『ようこそ城之内克也』

「お前は…〈ラーの翼神竜〉…!」

 

眼の前に鎮座する神のカード。そして城之内の周りには共に戦ったモンスター達がいた。

 

『マスタージョウノウチ…ワレラガカミガ、ツタエタイコトガアルラシイ』

「どういうことだサイコ・ショッカー?」

『全ては神が話してくれる…』

 

鉄の騎士ギア・フリードが神に一礼し、下がる。

 

『城之内克也。あなたは神のカードを使う事はできない。ですがそれは悲嘆すべきことではないのです』

 

「だって、使うには資格が必要なんだろ?」

 

『それもそうですが、元々、我々神のカードは古代エジプトにて人知を超えた厄災が降り注いだ時に最後の手段として選ばれたファラオだけが使えた切り札でした。そもそも普通の人間がそうそう使えるものではないのです。あのマリクによって我々は再び現代の地によみがえりましたが、その結果多くの惨劇を産んでしまった…』

 

「それはお前らのせいじゃねえ。使い手が悪かっただけだろう」

 

『その言葉で少し救われた気もします。ですが、大事なのは我々を使えるかどうかではないのです。我々デュエルモンスターズの精霊はこの世界に近づく厄災に感づいています。その時、私達神のカードは何の役にも立てません。神のカードを所持し、操れるデュエリストであってもその厄災には太刀打ちできないでしょう』

 

「…遊戯や海馬でもどうにもできないっていうのか?」

 

『はい。その厄災はこの世界ではなく、別の世界から侵略してきます。野心溢れる猟犬たちを従え、途方もない未知の戦略を操るデュエリスト達がやってきます。そのイメージを見せましょう』

 

神がそういうと、フィールドが戦火に包まれえた町に変わる。

 

「これは…童実野町…!!」

 

古びた機械兵を操る軍隊によって戦場にされ、町は廃墟と化していく。

 

『さあ、ハンティングゲームの始まりだ!』

 

兵士達の言葉で街の人々は消え去りカードにされていく。

エスパー絽場も、梶木涼太も、御伽龍児も‥‥。名だたるデュエリスト達が敗れ消え去っていく。

 

『さあ、絶望と共に消えなさい』

 

良く見えないが、女性らしきデュエリストと対する2人のデュエリスト。

 

「あれは…海馬と遊戯か!?」

 

海馬と遊戯はそのデュエリストによって消え去られてしまった。

 

『うわあああああー!!』

『ぐわあああああー!!』

 

2人はカードにされて消えてしまった。

 

『この世界の秩序は私の元‥アカデミアと【アムネジア・リヒター・オメガ】と共に生まれ変わる…!』

 

「アムネジア・リヒター・オメガ…!」

 

アムネジアの周りに集まる決闘者。

シルエットになり見えないが、小柄で丸メガネをかけた男。双子の姉妹、麿繭の男、作り笑いを浮かべた男。そして赤、黄色のイメージがあるデュエリスト。

彼らの手によってこの世界は蹂躙され、帝国へと変えられていく…。そして他の世界も。

 

そして映像が終わると、城之内はラーの元に戻っていった。

 

「はあ…はあ…!」

 

『これは私の力であなたに見せた未来予知…。このままではデュエルモンスターズによって多くの被害者が出ます』

 

「オレにどうしろって言うんだ…! オレなんかがこんな災害防げるわけねえだろ…!」

 

(だが何だ…? この懐かしい雰囲気は…まるでどこかで見た事がある様な…)

 

『ですが、城之内克也。あなたが最後の希望なのです。神を操れるデュエリストが倒れた時、人々の希望になるのは神を殺す力があるデュエリストだけなのです』

 

「神を殺す…?」

 

『マリクは私の力を完全に使いこなせなかったとはいえ、あなたはこの私を見事に倒した。あなたは自身を貧弱に思っていますが、あなたには可能性がある。愚鈍なる力を打ち砕き、仲間を纏める才能がある。その力で侵略者を打ち砕くのです。僅かばかりですが、私からささやかなる贈り物を与えましょう』

 

ラーはそう言うと城之内に自身の力で生み出したカードを与える、そして〈ギア・フリード〉と〈ベビードラゴン〉、〈真紅眼〉を新たな姿に生まれ変わらせた。

 

「これは…! 2体のモンスターが〈真紅眼〉の力を得たのか…!? そしてこの〈真紅眼〉は…!?」

 

『生命は皆、暗闇の中から生まれ光の中でその姿を変える。火はそのために試練を与える。…城之内克也、あなたの肉体には2つの記憶がある。それはこの世界で試練を超え、〈城之内克也〉と言う存在を研磨してきました』

「お前…オレが転生者だって…」

『それは些細な事です。城之内克也、どうかこの世界とデュエルモンスターズを救ってください…』

 

その言葉を最後に城之内は光に包まれ、元の世界に戻って来た。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「今のは一体…だが夢じゃねえ…!」

 

城之内の手元には〈ラー〉から与えられたカードが握られていた。

 

「【アムネジア・リヒター・オメガ】…! それがこの世界に訪れる厄災…!!」

 

〈ラー〉が城之内に託した願い、その願いは転生城之内に新たな試練となった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。