遊戯王DMT―転生したら城之内だった件― 作:Laginera
―パラディオス社
「モンスターでダイレクトアタック‥‥!」
「ぐあああああーーー!?」
「ダーツ様!!」
アメリカ屈指の企業・パラディオス社。
その実態は世界の歴史の陰で暗躍する秘密結社ドーマのフロント企業。
警察から政府まで買収し、逆らえるものはいない。トップであるダーツの手腕の賜物であった。だが、彼はたった今デュエルで敗れた。
「…伝説の都アトランティスの生き残り、ドーマの長と聞いていたがこの程度とはな」
「馬鹿な…! 世界の運命を変える私が…!? こんな小娘に…!」
「オ.オレ達は悪夢でも見ているのか…!」
「ダーツ様が負けた…僅か1ターンで…!」
「そんなバカな事が…。なんだあの召喚法は…今まで見た事がない…!」
ダーツの腹心である『ドーマの三銃士』、ヴァロン・アメルダ・ラフェールの3人はその現実離れした状況に動揺していた。
「…この程度の実力で世界を変えるとは笑止! 世界を変えるのは我々アカデミア以外ありえない! この世界のデュエリストは雑魚しかいないと報告を受けていたが…トップでこの実力ではそこの3人は戦う価値すら無いと見た」
「オレ達が戦う価値の無いデュエリストだと!? それは戦ってみてから言いやがれ!」
「ダーツ様の仇は私が撃つ!」
「…くだらないな。こんな奴に依存するような雑魚に私は用が無い。〈オレイカルコスの結界〉がどれほどのカードかと思ったが、こんな欠陥品などなんの戦力にもならん」
「我らが力の源を虚仮にする気か!?」
「私のデッキには不要だ。アカデミアにも。…それにしてもお前たちはとんだ道化だな。こいつに騙されているとも知らずに」
「何…!」
「おかしいと思わなかったのか? ダーツはお前達が最悪の時を狙いまるで救いの神の様に現れた。だが、タイミングが良すぎる」
彼女はアメルダに書類を投げ渡す。
「お前は海馬コーポレーションの模擬戦争に弟を奪われたと聞いたが、海馬コーポレーションの社長がそこに訪れた記録はない」
「そんなバカな!? ダーツ様は…!」
「だが、代わりに面白い情報を得た。その場所に武器を持ち込んだのはたった1社しかない。このパラディオス社だけだ」
「何だと…」
「貴様! 一体どこからその情報を…!?」
「…さあ。だがお前は手駒を集めるために彼らの人生を台無しにした。その事実は確かだ」
「嘘ですよねダーツ様…。あなたは私達と愚かな人類を救うために…」
「フフフ、ハハハハハ! 面白い子娘だ!」
ダーツは開き直って笑い始める。
「ダ、ダーツ様…!」
「そうだ。私はこの世界を変えるために、意のままに操る手駒が欲しかった。だがそれこそが彼らに与えられた運命!」
「ダーツ様…いや、ダーツ…貴様アアア!!」
自分達の救世主と思っていたダーツ。その真実は自分達の運命を弄び、愛する家族や兄弟、居場所を奪った男であった。その真実を知ったドーマの三銃士達は怒りに身を震わせた。
「なぜだ! なぜ私の家族を奪った!?」
「弟を…マルコをなぜ…!」
「教会に火を放ったのはお前なのか!?」
彼らの問いにダーツは悪びれも無く答えた。
「下らん、世界の運命に比べればちっぽけな〈犠牲〉に過ぎない」
「うわああああー!!」
ドーマの三銃士は怒りに震えデュエルディスクを構える。
「まあ、もうお前の出番は終わりだ。お前ごときに運命は変えられない」
「なっ…!」
彼女はダーツに光を当て、1枚のカードに変えてしまった。
「なっ…ダーツがカードに…!?」
「さて、お前たちの主はいない。ここは今よりアカデミアの拠点となるが、お前達にチャンスを与える」
彼女が指を鳴らすとオベリスクフォースが現れた。
「ここでこの男同様カードになるか、それとも私の傘下に入るか。私はこの男と違って本気で世界を変えるつもりだ。もう誰も犠牲にならない世界にな」
「へえ…面白いじゃねえか」
「ヴァロン!? お前何を…!」
「だってそうだろ。結局俺達は奴の言う通りダーツの道化だった。もうオレは何も失うものは無い。それにオレを雑魚呼ばわりしたコイツにオレの力を認めさせてやりたいしな!」
「ふふ…簡単には認めんがな」
(駄目だ…! この少女は危険すぎる…! ダーツよりもさらに恐ろしいデュエリストだ‥!)
ラフェールは直感で彼女の危険さを感じ取った。
「…アメルダ。お前だけでも逃げろ」
「馬鹿を言うな! お前はどうするんだ!?」
「私はこいつらを食い止める。お前はこの恐ろしい事実を伝えるんだ」
「マルコの仇もとれずお前を犠牲にして生き延びて何の意味があるんだ!」
「お前が生きる事が家族の敵討ちであり、弔いでもある! 私はダーツの元で多くの罪を犯してきた。せめてお前だけでも守らせてくれ…! 例え偽りであってもアメルダ、お前とヴァロンは私の仲間だ…!」
「ラフェール…!」
「この数ではいつまで持つかわからん! 早く逃げるんだ!!」
「くそっ…! ラフェール! お前も生き延びろよ!!」
アメルダは1人で逃げ出した。
「逃がすか!」
「貴様らの相手は私だ!」
(ガーディアン・エアトスよ、仲間達よ。愚かな選択をしてしまった私を許してくれ。どうか友を逃がすため、最後の力を貸してくれ…!)
「へへへ…ラフェール! お前とは戦ってみたいと思っていたんだぜ…!」
「ヴァロン…!」
「さあ、見せてみろ。オベリスクフォース三獄将・星空天華に貴様の実力を…!」
この日、世界を影から支えた組織は崩壊した。
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―ヨーロッパのとある企業
「バ、バカなこの私が…運命に選ばれた私が…!」
「大したことなかったスね」
ヨーロッパの貴族で、企業を運営していたジークは膝をつく。
「ジークさん、約束っス。これからジークさんの企業はアカデミアの傘下に入ってもらうっスよ。その代わり、名前は残すからありがたく思って欲しいっス」
「くっ…。私は…こんな少年にも勝てないのか…!」
「ボクは少年じゃないっす。オベリスクフォース三獄将・丸藤翔っス。まあ、ジークさん程度の実力じゃ勝てないっスよ、アカデミアの誰にも」
翔はそう言ってオベリスクフォースを呼んだ。
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―海底起動要塞・バーチャルワールド
これは城之内達がバトルシティ中の頃である。
悲劇の死を迎えた海馬剛三郎の実の息子・海馬乃亜はバーチャル世界に記憶をコピーしていた。そして彼以外の人間がここに現れたのだ
「誰なんだお前は…どうしてボクの世界に…!」
「ふむ…。これが海馬コーポレーションの技術の限界ですか…。まあ、アカデミアの力に少しは役立つかもしれませんねえ」
「一体何のつもりで…!」
「ああ、名乗ってませんでしたね。私はデュエルアカデミア・オベリスクフォース三獄将が1人、スレーネと申します。あなたをデュエルアカデミアに誘いにきました」
「悪いがボクは瀬人を倒す準備をしているんだ。お前になんて構っている暇はない!」
「これを見ても」
と、そこには同じく、バーチャル内に自身の身を投じた海馬剛三郎がいた。
「父さん!」
「貴様…ワシをどうするつもりだ!?」
「どうもこうも、アナタ方はデュエルをしていただきます。そして生き残った方を現実世界に連れて行きましょう」
スレーネは2つのデュエルディスクを出す。
「フフ…さあ、デュエルなさい。この艦には外から攻撃を受け20分後には爆発します。その時生き残れるの1人だけ…」
乃亜と剛三郎の仁義なき親子デュエルが始まってしまった。
アカデミアの進行は確実にこの世界を蝕んでいった。