遊戯王DMT―転生したら城之内だった件― 作:Laginera
町にLDS産のデュエルディスクが布教されていく中、遊戯の元に双六の友人であるホプキンス教授の孫であるレベッカ・ホプキンスが訪れた。彼女はチャチャに負けてからスランプになっており、デュエルに勝てなくなっていた。そこでホプキンス教授は双六の孫である遊戯と戦う事を勧めた。
来日したレベッカは遊戯とデュエルし、『勝つことよりも重要なこと』を学び遊戯に惚れてしまった。
その後、アメリカに帰る予定だったがLDSの社長・赤羽零児が表舞台に立ち宣言する。
『我が社のデュエルディスクを購入していただきありがとうございます。おかげで我が社の製品は全国で1000万台売れました。それを記念して、この童実野町でわが社主催のデュエル大会【LDSトーナメント】を開始したいと思います!』
LDSトーナメントはこれまでのルールと違いライフ8000で行い、新規の禁止制限を使う事になるという。デュエルディスクを持っているものは誰でも参加可能であり、誰もが王者に慣れるチャンスがあるという。
『我が社は多くのデュエリストを目指す方々を応援したいと思っております。デュエルは人種問わずに愛されるものです。この大会もより多くの人々にデュエルモンスターズが布教され、デュエリストが増えればと願っております』
こうして童実野町に多くのデュエリストが集まることになった。
先のバトルシティに参加できなかった者達も次こそ自分がデュエキングなると躍起になっている。
そして城之内と遊戯はLDSに呼び出され、赤羽と話をすることになった。
一方海馬は日本の海馬コーポレーションに戻り、自社制作のデュエルディスクの販売が落ちている事を解決するために帰国した。
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―海馬コーポレーション会議室
「で、LDS製のデュエルディスクの解析は?」
「はい。技術班によるととても他社では真似できない代物と言う結論でして、はっきり言って海馬コーポレーション製よりも10年先の技術であると言わざるを得ません…」
「技術だけではありません」
営業部長の鰯山が報告をまとめた書類を配る。
「LDS製は価格も我が社のデュエルディスクが数十万に対して、数万程のリーズナブルであります。更にカラーバリエーションも豊富で、追加オプションですぐに使えるストラクチャーデッキもついてくる。ユーザーを考えた商法でかなり売れています」
「我々もLDSと同じようにユーザー目線の展開をするしか…」
「ふざけるな!」
海馬は机を叩き営業部の意見を一括する。
「我々はデュエルディスクを開発、そして販売した先駆者だ! それが後追いの真似をするなど負けを認めるようなもの! LDSが10年先の技術をもって開発しているというのなら我々は100年先、いや未来永劫真似できない技術を開発し海馬コーポレーションこそナンバーワンである事を知らしめるのだ!」
あくまで海馬は自社の強みを作り、他社を圧倒する路線を崩さないとした。それに対し鰯山はため息をつく。
「現実を見ていないガキが…」
「鰯山! どういう意味だ!」
「現状海馬コーポレーションの売り上げは落ちている。だからこそ今は社員一丸になって耐える時期だというのに、アンタはまるで現場をわかっちゃいない」
「オレは常に未来を見据えている! 貴様らのようなその場しのぎの雑魚とは違う!」
「その雑魚たちが現場で体張ってるから会社が成り立ってんだろうが! アンタの未来絵図に振り回されてどんだけ現場が苦労してるのかわかっているのか!?」
「黙れ! 貴様、オレの指示を無視して勝手に行動し負ってからに! 結局は売り上げで負けているではないか!」
鰯山はビッグファイブが会社を去った後、営業部長に昇進した社員であり、現場のたたき上げなのもあって海馬コーポレーションのデュエルディスクの売り上げは彼で成り立っている部分がある。LDSが現れた際もほとんどの社員が慌てふためく中、彼は全国の企業に足を運びデュエルディスクの全国展開を行った。
もし彼がいなければ海馬コーポレーションは赤字になっていただろうが、彼は被害を最小限に抑えていた。
「アンタがデュエルモンスターズにかまけて現場を見ていないからだろう! アンタはかつてデュエルモンスターズのエキスパートとしてトップだっただろうが、足元をいつも見てないから遊戯や城之内とかいう素人上がりにコロっと負けるんじゃないのか!?」
「何だとお!?」
「ぷっ…」
「ククク…」
その言葉を聞いた社員達がくすっと笑い、海馬に嘲笑を向ける。
「鰯山! 貴様あ!!」
「お、落ち着いてください瀬人様!」
ヒートアップする2人抑えるため、磯野は割って入る。
「鰯山もいい加減にしろ! 瀬人様はアメリカから帰国してお疲れなのだ! 会議はまた日を改めて行うから今日はここまでにしろ!」
「こんな会議何度行っても無駄だと思いますけどね」
鰯山は訝し気な表情を浮かべ書類を纏める。
海馬コーポレーションの殆どは磯野の様に海馬にイエスマンな態度を取っていたが、鰯山の様に反抗的な態度をとる社員もいた。だがビッグファイブが去り人材不足の中で彼らは貴重な人材であるためにクビにできなかった。
「いやー鰯山がいてくれて助かるよな」
「ああ、社長とは言え、いつも年下のガキに頭下げんのは頭にくるもんな」
去り際に愚痴をこぼしながら社員達は会議室から出ていく。
海馬はカリスマ社長として世間から人気を得ているが、会社では現場の社員との意見の不一致で険悪な状況だった。
「ちっ…格下の分際でこのオレを愚弄するとは」
「瀬人様…。しかし彼のおかげで現場が成り立っているのもあります。私の方からも良く言っておきますので…。それと先ほどLDSの情報を受け取りました」
「何だ?」
「どうやらこの童実野町でデュエル大会を開くつもりです。おそらくデュエルディスクの普及に伴い、更に知名度を上げるつもりかと…」
「ふん、つまりは海馬コーポレーションに戦いを挑むという事か…! ならば思い知らせてくれる! このオレに戦いを挑むという事がどういう悲惨な結果を産むのかをな!」
「兄サマ…」
モクバが心配するなか、海馬はデュエルディスクを身につけてLDSに宣戦布告をした。
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―LDS・REOコーポレーション内
「凄いね城之内君。海馬コーポレーションも凄いけどLDSも」
「ああ…近未来って感じがするぜ」
社内は清潔であり、近未来の技術が所せましに並んでいるという雰囲気だった。会議室で飲み物とお菓子を飲食して待っていた2人に部下の中島をつれて赤羽零児が現れる。
「お忙しい所ありがとうございます。私は社長の赤羽零児と言います」
「ボクは武藤遊戯です」
「城之内克也だ」
「御二人の活躍は耳にしております。先のバトルシティで優勝と、準優勝され、城之内さんに至ってはあのデュエルモンスターズの生みの親であるペガサス氏が主催した大会で優勝したとか…」
「まあ、1人で勝てたわけじゃねーけどな。ところで何でオレ達を呼んだんだ?」
「単刀直入に言うと、是非ともLDSトーナメントに参加していただくて。それも一般参加ではなく本選シードとしてお2人を及びしたいのです。中島」
「はっ!」
中島は2人の前にデュエルディスクを置く。
「これってLDS製のデュエルディスク!?」
「ええ、本日製作されたばかりの新品です。今回お参加いただけるのならそちらのディスクを提供します」
新しいおもちゃを見る様にデュエルディスクを触る遊戯。城之内は少し警戒しながらディスクを見る。
「城之内君、どうかしたの?」
「いや、なんか盗聴器とか隠してないかなとか、変な装置ついてないか疑ってよ」
「まさか、そんな真似はしませんよ」
赤羽は笑ってごまかす。
「そうだよ城之内君! 海馬君じゃあるまいし」
「遊戯、お前海馬をそんな目で見てるのか?」
「いや、海馬君は凄いけど割とやりそうじゃない?」
「で、どうでしょうか? 良ければ引き受けてもらえるでしょうか」
「勿論いいよ! 城之内君も!」
「ああ。シードからならあんまりデュエルしなくて良さそうだから楽そうだぜ」
「もー城之内君はすぐ楽しようとするんだから!」
「いいだろ別に。それで、大会にはどれだけの人数が集まるんだ」
「そうですね。今回は特に制限は設けてませんので…おそらく100人は超えるかと」
「100人!? 長い戦いになりそうだ」
こうして何気ない会話をして城之内と遊戯はLDS産の新デュエルディスクを得た。
「…中島。発信機は付けたな?」
「はい。バレない様に小型のものを」
「武藤遊戯は兎も角、あの城之内克也と言う男は勘が鋭そうだ。警戒しろ」
「はっ!」
「我々の敵は海馬コーポレーションではない。次元の先にある巨大なる悪の根源…アカデミア…!」
ビジネススマイルを消して赤羽零児は厳しい表情を浮かべた。
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―その夜、高速道路・関東行き。
「お前らー! LDSの大会でワシらの力を見せたるでー!!」
「「おう!!」」
高速3車線を独占し、千石達がバイクに乗って童実野町に向かっていた。