フリーザ、ヒーローになる ~宇宙の帝王がワンパンマン世界に墜ちた結果~ 作:&劉
キャベは地面へ片手をつき、どうにか身体を起こそうとしていた。腹部へ叩き込まれたターレスの拳は想像以上に重く、呼吸をするたびに内側から身体を握り潰されているような痛みが走る。
「ぐっ……!」
それでも倒れているわけにはいかなかった。カリフラとケールも別の場所へ分断されており、ここで自分まで動けなくなれば、三人揃って完全に敵の手中へ落ちる。
「どうした? もう終わりか?」
ターレスは数メートル先に立ったまま、苦しむキャベを見下ろしていた。息一つ乱しておらず、先ほどまでの戦いが彼にとってほとんど準備運動にすらなっていないことが分かる。
「まだ……だ」
「そうかい」
キャベは歯を食いしばり、震える膝へ力を入れた。そこで初めて、戦いとは別の異変が周囲で起きていることに気づく。
この惑星へ降り立った時、辺り一帯には豊かな森林が広がっていた。青々とした葉が風に揺れ、遠くには川も見えていたはずなのに、今ではその色が目に見えて失われ始めている。
「……何だ?」
キャベは荒い息を整えながら周囲を見回した。木々の葉は緑から黄土色へ変わり、さらに灰色へ近づきながら、次々と枝から落ちていく。
異変は一本や二本では済まなかった。視界に入る森の全てで同じ現象が起き、草は萎れ、地面には乾燥した大地のような亀裂まで走り始めている。
「これは……」
「いい感じだな」
ターレスは空を見上げ、満足そうに笑った。キャベの様子などほとんど気にせず、何か別のものが完成するのを待っているような顔をしている。
「そろそろ実が熟れる頃か」
「何の話をしている!」
キャベの声に、ターレスがようやく視線を戻した。問いかけの意味が本当に分からないらしく、少し呆れたように肩をすくめる。
「何だ。知らねえのか?」
「何をだ!」
「神精樹だよ」
聞いたことのない名前だった。キャベが眉を寄せると、ターレスは足元の枯れ始めた草を踏みつけ、乾いた葉を靴底で砕いた。
「星に植える特殊な木だ。根を張れば、そいつは惑星そのものから生命エネルギーを吸い上げる」
「惑星から……?」
「そうだ」
ターレスは枯れていく森を顎で示した。彼にとっては一つの惑星が死に始めている光景すら、神精樹が順調に育っている証拠でしかないらしい。
「水も、植物も、大地も、そこに生きてる奴らもだ。星が何億年もかけて溜め込んだエネルギーを、根こそぎ一本の木へ集める」
キャベの顔から血の気が引いた。これまでターレス一味が襲った惑星で、森林も水源も短期間のうちに枯れ果てていた理由が、ようやく一本の線として繋がっていく。
「まさか……」
「その通りだよ」
ターレスは楽しそうに笑った。自分たちの行いを隠そうという気配はなく、むしろ最高の手段を教えてやるとでも言いたげだった。
「神精樹は星の命を吸って育つ。そして、吸い上げた力を実に凝縮するんだ」
「じゃあ、お前たちが襲った星が次々に死んでいったのは……!」
「俺が植えたからだ」
悪びれる様子は一切なかった。ターレスにとって、星一つの命よりも、その命を凝縮して得られる神精樹の実の方が遥かに価値がある。
「この星は特にいい。水もあるし、緑も多い。これだけ吸えば、かなり上等な実になる」
ターレスは自分の拳を握った。指の間から漏れる気だけで、足元の小石が細かく震える。
「そいつを食えば、俺はまた強くなれる」
キャベは奥歯を強く噛んだ。ターレスの組織が短期間で勢力を拡大した理由も、本人の戦闘力が予想を遥かに上回っていた理由も、全て同じ場所へ繋がっている。
星を襲い、神精樹を植える。惑星そのものを干からびさせ、その生命力を実へ変え、それを食べたターレスがさらに強くなる。
強くなった力で次の星を襲えば、奪える財宝も増え、仲間も集まり、さらに強い敵すら排除できる。ターレスのクラッシャー軍団が膨れ上がった裏には、星の命を食い物にする循環があったのだ。
そして何より、キャベには目の前の男を見ているだけで奇妙な不快感があった。顔立ちは孫悟空と驚くほどよく似ているのに、言葉も考え方も、そこに宿っているものはまるで違う。
「お前……!」
「何だ?」
「これ以上、好きにはさせない!」
キャベの全身から金色の気が爆発した。逆立った黄金の髪の周囲を青白い稲妻が走り抜け、大地そのものが低く唸り始める。
「はあああああああっ!!」
超サイヤ人2。それは、現在のキャベが安定して扱える中では最大級の力だった。
膨れ上がった気が周囲へ吹き荒れ、残っていた枯れ葉を一斉に巻き上げる。黄金の光の中でキャベが構えるのを見ても、ターレスは驚くどころか退屈そうに息を吐いた。
「またそれか、芸のない奴だ」
キャベが地面を蹴った。金色の軌跡を残して一瞬で間合いを消し、右拳をターレスの顔面へ叩き込む。
しかし、ターレスは首を僅かに傾けるだけで拳を避けた。続く左拳も身体を半歩ずらしてかわし、横から飛んできた蹴りは前腕で軽く流す。
「なっ!」
キャベは構わず踏み込んだ。腹部への拳、肘打ち、膝蹴りを途切れなく繋げるが、その全てをターレスは最小限の動作だけで処理していく。
右の拳を伸ばせば掌で軌道を逸らされ、左肘を狙えば肩を僅かに引かれる。踏み込んだ膝蹴りに至っては片手で押さえ込まれ、勢いそのものを殺された。
「そんな……!」
「だから言っただろ」
ターレスの目が細くなった。次の瞬間にはキャベの視界から姿が消え、振り向こうとした時にはすでに背後から首を掴まれている。
「芸がない」
「ぐっ!」
指が喉へ食い込み、キャベの身体が片手だけで持ち上げられた。超サイヤ人2の気を纏っているにもかかわらず、振りほどくことすらできない。
「もう一度だけ聞いてやる」
「……何を……!」
「俺と一緒に来る気はないか?」
キャベの目が見開かれた。ターレスは敵を勧誘しているとは思えないほど気軽な声で続ける。
「お前もサイヤ人だろ。強くなりてえはずだ」
「……!」
「宇宙を気ままにさすらって、好きな星をぶっ壊す」
ターレスの笑みが深くなった。首を掴んでいる指にも少しずつ力が入り、キャベの呼吸を締め上げていく。
「財宝を好きなだけ奪って、うまいものを食う。うまい酒に酔って、気に入らねえ奴がいたらぶっ殺す」
ターレスはキャベを自分の顔の高さまで持ち上げた。そこにあるのは、冗談ではなく本心から人生を楽しんでいる男の笑顔だった。
「こんな楽しい生活はないぜ」
キャベは苦しそうに顔を歪めながら、それでもターレスを睨み返した。
「だ……誰が……お前なんかと……!」
「そうか」
キャベは掴まれたまま右脚を振り上げた。最後まで抵抗を止めるつもりはなく、狙いはターレスの側頭部だった。
しかし、蹴りは空を切った。ターレスが半歩だけ身体を引き、伸びきったキャベの脚へ上から肘を叩き込む。
「ぐああっ!」
鈍い衝撃が骨まで突き抜け、キャベの口から絶叫が漏れた。蹴り脚から一瞬で力が抜け、ターレスが首から手を離すと、そのまま地面へ崩れ落ちる。
「俺だってサイヤ人同士は仲良くしたいんだぜ?」
ターレスはそう言いながら、倒れたキャベの背中へ片足を乗せた。言葉とは正反対の行動を取りながら、本人だけは本当におかしいことをしているとは思っていない。
「ぐっ……!」
「ほんとはこういうことすんのだって心が痛えんだ」
ターレスが少しずつ体重をかけると、キャベの胸が地面へ押しつけられた。負傷した腹部まで圧迫され、肺から苦しげな息が漏れる。
「もう少し仲良くしようぜ」
「その臭い足をどけろ」
低い声が荒野へ響いた。ターレスの表情が初めて僅かに変わり、足を乗せたままゆっくりと声のした方へ振り返る。
「何?」
少し離れた岩場に、一人の男が立っていた。腕を組み、鋭い目でターレスと、その足元にいるキャベを見据えている。
ターレスはその顔を見た瞬間、僅かに眉を動かした。自分と似た下級戦士の顔を知っているだけに、一瞬だけ別人の姿が頭をよぎる。
「カカロット……」
しかし、すぐに違うと気づいた。顔立ちこそ似ているが、雰囲気も気も、何より目つきそのものがまるで違う。
「いや、カカロットじゃないな。二度は言わん」
ベジータの声には、怒鳴る必要すらないほどの圧があった。腕を解きながら、ターレスの足元へ冷たい視線を向ける。
「キャベからその臭い足をどけろ」
倒れていたキャベが、信じられないものを見るように目を見開いた。痛みで霞みかけていた意識が、一瞬ではっきりする。
「し……師匠……!」
ベジータの眉が僅かに動いた。本来なら即座に訂正するところだったが、今はそんなことを言っている場合ではないと判断したらしい。
ターレスは二人の反応を見比べ、面白そうに笑った。キャベから足を退かすことなく、両手だけを軽く広げる。
「おいおい。いきなり会ってそれはないんじゃねえか?」
ベジータは返事をしなかった。視線も表情も変わらず、ターレスが次に何をするかだけを見ている。
「挨拶くらいしろよ。育ち悪そうだなお前」
ベジータの額に青筋が浮かんだが、それでも挑発には乗らなかった。目の前の男を殴る理由なら、すでに十分すぎるほど揃っている。
「二度は言わん。さっさとしろ」
ターレスは少しだけ目を細めた。ここまで言っても頭に血を上らせない相手だと分かると、わざとらしいほど丁寧に腰を折る。
「それでは、丁重にお断りする」
次の瞬間、二人の姿が同時に消えた。実際には消えたのではなく、キャベの視覚では捉えきれない速度まで一気に加速したのである。
頭上で激しい衝撃音が鳴り、少し離れた場所では何の前触れもなく地面が陥没した。直後には上空で空気が爆ぜ、さらに次の瞬間には反対側の岩山が内側から吹き飛ばされたように粉々になる。
二人の姿が見えるのは、拳や蹴りが真正面から激突した瞬間だけだった。ターレスの拳をベジータが受け流し、そのまま肘を返せば、今度はターレスが腕で防ぎながら膝を狙う。
互いに一歩も譲らない。高速で場所を変えながら、荒野の各所に衝撃波だけを置き去りにしていく。
「ずいぶん賑やかなことになっていますね」
別の声が聞こえ、キャベは苦しそうに顔を上げた。上空から五つの人影が降下し、そのままベジータとターレスの戦場から少し離れた場所へ着地する。
フリーザ、サイタマ、ジェノス、タツマキ、アマイマスク。フリーザは周囲の惨状より先に、地面へ倒れているキャベを見つけた。
「おやおや、なんとも無様ですね」
キャベの顔が引きつった。助けが来たことへの安堵より先に、よりによって最初にそれを言うのかという感情が浮かぶ。
「師匠の前でも立っていられないとは、一体何を教えられたのやら」
「言ってる場合じゃないだろ」
サイタマが即座にキャベの横へしゃがみ込んだ。フリーザの嫌味には慣れているので相手にせず、負傷の程度を確認する。
「大丈夫?」
「は……はい……」
「喋れるなら、とりあえず意識はあるな」
サイタマがキャベの身体を支えると、ジェノスも隣へ膝をついた。目から細い光を走らせ、全身の損傷を素早く読み取っていく。
「右脚に強い損傷があります。腹部にも複数の内部損傷がある可能性が高い」
「治せる?」
「本格的な治療設備はありませんが、応急処置なら可能です」
「頼む」
ジェノスがキャベを引き受け、最低限の固定処置を始めた。フリーザは少し離れた場所からその様子を眺め、どこか呆れたように鼻を鳴らす。
「まったく、甘いですねえ」
「あんた、人のこと笑ってる場合じゃないわよ」
タツマキはキャベではなく周囲へ視線を向けていた。瞳が僅かに緑色へ光り、森や岩陰に隠れている複数の気配を念動力で拾い上げる。
「囲まれてる」
アマイマスクも片目のスカウターへ手を添えた。画面に次々と表示される反応を追いながら、周囲を素早く見回す。
「数が増えている。十、二十では済まないな」
「同意します」
ジェノスもキャベを支えながら索敵結果を重ねた。機械的な反応だけでなく、かなり大きな生体エネルギーを持つ個体も複数確認されている。
「複数方向から接近中です。サイヤ人と思われる高エネルギー反応も混在しています」
「歓迎されているようですね」
フリーザはむしろ楽しそうに笑った。敵の数が増えたことを危険ではなく、暇潰しの材料が増えた程度にしか考えていない。
直後、上空で再び大きな衝撃音が響いた。二つの影が地上へ降り立ち、互いに十数メートルほどの距離を空けて向かい合う。
一人はターレス。もう一人のベジータは、すでに黄金の髪と気を纏う超サイヤ人へ変身していた。
ターレスも完全な無傷ではなかった。頬には薄く血が滲んでいるが、その程度の傷を気にする様子もなく、むしろ口元には楽しそうな笑みが浮かんでいる。
「なかなかやるじゃねえか」
「貴様もな」
ベジータは拳を握ったまま答えた。社交辞令ではなく、少なくとも超サイヤ人を出す程度の相手だとは認めているらしい。
そこでターレスは初めて、フリーザたちへ視線を向けた。宇宙中へ事業を広げ始めている以上、顔くらい知らない方が難しい相手だった。
「これはこれは、フリーザ・コーポレーションの社長様じゃないか」
「どうも」
「有名人がこんな辺境まで、何の用だ?」
フリーザは地面に座らされているキャベを一度だけ見た。助けに来た本人の前で言うには少々ひどい内容を、普段と変わらない口調で告げる。
「そちらに転がっているサイヤ人には、特に興味はありませんが」
「フリーザ……」
キャベが何とも言えない顔をした。サイタマも横からフリーザを見たが、本人は気にする様子もない。
「あなた方を殺しに来ました」
笑みを残したまま、フリーザの赤い瞳だけが冷たくなる。先ほどまでの軽口とは明らかに違う殺気が、一瞬だけ周囲へ広がった。
「怖いねえ」
ターレスはまるで動じなかった。むしろ自分より遥かに有名な悪党を前にしても、楽しそうに笑っている。
「怖がっていただいて結構ですよ」
「フリーザ!」
ベジータの声が飛び、フリーザが僅かに眉を上げた。ベジータの視線は、最初から最後までターレスから外れていない。
「手を出すな!」
「何です?」
「こいつは俺がやる。邪魔するな」
フリーザは少しだけ不満そうな顔をした。せっかく面白そうな相手が現れたというのに、自分だけ戦うなと言われている。
「ずいぶん勝手ですねえ」
「黙って見てろ」
ターレスは二人を見比べると、楽しそうに喉を鳴らした。敵同士が自分を取り合っている状況を、危機より娯楽として受け取っている。
「なるほど。面白そうだ」
ターレスが指を鳴らした。乾いた音が荒野へ響いた直後、周囲の森や岩場から次々と人影が姿を現す。
サイヤ人だけではない。様々な種族の異星人や獣人、機械武装を身につけた者まで混ざっており、種族こそ違っても全員の目つきが悪いことだけは共通していた。
「どいつもこいつもガラ悪いわね」
タツマキが露骨に顔をしかめた。
「あなたに言われると、少し可哀想ですね」
「何か言った?」
「いいえ」
フリーザは即座に視線を逸らした。余計な敵を一人増やす必要はない程度の分別は残っている。
ターレスは集まった部下たちを見回し、両腕を大きく広げた。待ち伏せはキャベたちだけを想定したものではなく、多少の増援ならまとめて処理できるだけの戦力を用意していたらしい。
「お前ら、お客さんだ!」
周囲から下品な笑い声が上がった。何十という気が一斉に膨れ上がり、荒野の空気が急速に重くなる。
「盛大にもてなしてやれ!」
ジェノスがキャベを庇うように立ち、アマイマスクも一歩前へ出た。タツマキは静かに地面から浮かび上がり、いつでも周囲一帯を念動力で薙ぎ払える態勢を取る。
「待って……ください」
弱い声が聞こえ、サイタマが足を止めた。キャベはジェノスに支えられながらも、自分より別の方角を気にしている。
「何?」
「僕は……いいです」
キャベは荒い息を吐きながら、震える指を遠くへ向けた。自分の負傷よりも、分断された二人のことが頭から離れない。
「カリフラさんと……ケールさんを助けてください」
一行の表情が変わった。ベジータもターレスへ向けていた視線を僅かにキャベへ戻す。
「二人とも別の場所へ分断されました。気は感じますが、すぐに合流できる距離じゃありません」
「場所は分かる?」
サイタマが尋ねると、キャベは小さく頷いた。もっとも、その顔色は負傷だけでは説明できないほど青ざめている。
「でも……急いでください」
「どうした」
ベジータの声に、キャベが唇を噛んだ。ターレスよりもさらに強い恐怖を思い出したように、その視線が僅かに揺れる。
「向こうには……とんでもないのがいます」
フリーザの目に少しだけ興味が宿った。今のターレスを相手にここまで一方的に痛めつけられたキャベが、別の誰かを「あれ以上」とでも言いたげに恐れている。
「とんでもない?」
「はい。あいつは……」
キャベが続きを口にしようとした瞬間、大地が大きく揺れた。遠くの地平線近くで森が一斉に倒れ、空へ向かって巨大な砂煙が立ち昇る。
何かが爆発したわけではなかった。ただ一つの気が膨張しただけで、その余波がここまで届いている。
「何よ……今の」
タツマキの目が見開かれた。念動力による感知だけでも、先ほどまでとは比較にならない異様な圧力が遠方から伝わってくる。
「異常なエネルギー反応を確認した」
ジェノスの観測装置にも一瞬で警告表示が並んだ。スカウターを装着していたアマイマスクも、表示された数値を見て表情から軽さを消す。
「これが、キャベの言っている相手か」
キャベは苦しそうに頷いた。その方向にはカリフラとケールがいるはずであり、今の気が敵のものなら一刻の猶予もない。
「早く……!」
「分かった」
サイタマはキャベの肩を軽く叩き、その場から立ち上がった。いつもの気の抜けた顔は変わらないが、声からは先ほどまでの軽さが消えている。
「助けてくる」
フリーザも遠方へ意識を向けた。正体までは分からなくても、相手がかなりの力を持っていることだけは感じ取れる。
「では、久しぶりに少々暴れますか」
フリーザは肩を軽く回し、楽しそうに赤い瞳を細めた。その周囲ではターレスの部下たちが一斉に動き出し、包囲を狭めながら襲いかかってくる。
サイタマ、ジェノス、タツマキ、アマイマスク、そしてフリーザも、それぞれ敵へ向き直った。少し離れた場所では超サイヤ人となったベジータとターレスが再び構え、互いだけを見据えている。
そして、さらに遠く離れた場所では、巨大な気が今も静かに膨れ続けていた。その中心にいる男の名を、フリーザたちはまだ知らない。
ブロリー。
かつて一つの宇宙で語られたものとは異なる、もう一人の伝説の超サイヤ人。その力が完全に目を覚ます時は、すでに目前まで迫っていた。